2005年3月 Archive

Catégories: /

  [amazon] [amazon]
「老人たちの生活と推理」に引き続き、「海の上のカムデン」シリーズの2作目と3作目。こちらも楽しかったです。2作目のマーティネス警部補は、好奇心旺盛な老女たちにダミーの任務を与えて事件から遠ざけようとするけど失敗。3作目は、老人ホームで起きた殺人事件の担当は、いつものマーティネス警部補ではなくて、ごく事務的なベンソン部長刑事だった...と、変化を作り出そうとする苦心のあとが?(笑) 老人ホームの厨房にいるシュミット夫人の料理も、ますます豪華になって美味しそうだし。でも私に限っていえば、アンジェラやキャレドニアといった元気なおばあちゃんたちと、若くてハンサムなマーティネス警部補の会話が楽しめれば十分。やっぱりこのシリーズは登場人物たちのやりとりがとても楽しいです。でもね、マーティネス警部補がギルバート・ローランドという映画俳優の若い頃に似てるそうなんですけど、その顔写真が検索しても全然見つからないんです! メキシコ系で口髭を生やしてるそうなので、なんだか想像がつく気はするのですが...。ああ、気になる~。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「老人たちの生活と推理」コリン・ホルト・ソーヤー
「氷の女王が死んだ」「フクロウは夜ふかしをする」コリン・ホルト・ソーヤー
「ピーナッツバター殺人事件」コリン・ホルト・ソーヤー

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
サンディエゴから北に20マイルのところにある超高級老人ホーム、海の上のカムデン。ここの建物から浜に下りる階段の下で、入居者のうちでも最も大人しく、最も人畜無害な女性が死んでいるのが発見されます。なかなか進まない警察の捜査に業を煮やした4人の元気なおばあちゃんたちが、推理に乗り出すのですが...。

ということで、「海の上のカムデン」シリーズの1作目。老人ホームが舞台の作品といえば、やっぱり島田荘司氏の「ひらけ!勝鬨橋」を思い出すなー。で、あちらの息詰まるゲートボール勝負(笑)とカーチェイスが楽しかったんですけど、こちらのおばあちゃんたちもすっごく元気で楽しい! 4人のおばあちゃんたちが探偵ごっこの相談をしているところなんて、まるで女学生みたいで可愛いのです♪ それにこの老人ホームに捜査にやってきたマーティネス警部補の、老人たちとのユーモアたっぷりの応酬ってば。でもそういうユーモラスなドタバタミステリかと思いきや、その奥にはなかなか深いものも含まれていました。それぞれの老人たちが積み重ねてきた人生の歴史の重みもあるし、「老い」ならではの問題も無視できないし、人の死が決して珍しいことではない老人ホームでの殺人事件って、普通のミステリ作品とはまたちょっと違うんですね。そんな風に、ユーモアの奥に内包している深みと切なさが、またとても良かったです。
このシリーズは今3作目までが訳されているんですけど、もう既に9作目まで書かれているようですね。近々発刊予定の4巻は光原百合さんが解説をされるそうなので、それも楽しみ。続けて2巻3巻にいきまーす。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「老人たちの生活と推理」コリン・ホルト・ソーヤー
「氷の女王が死んだ」「フクロウは夜ふかしをする」コリン・ホルト・ソーヤー
「ピーナッツバター殺人事件」コリン・ホルト・ソーヤー

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
昨日の「西行花伝」に引き続きの西行。でもこちらは物語ではなく評伝ということで、またちょっと違う西行の姿が見えてきました。「西行花伝」の西行は、少年時代から利発で、源重実の語る雅(みやび)な心について真面目に考え込むような少年。若いころから、人間的にかなり出来てるんですけど、白洲さんを通して見る西行はそれほど人間が出来てなくて、結構荒々しい面も持ってたみたい。若いころは好き嫌いがひどくて癇癪持ちで、世話になっている人でも、一旦見切ってしまうと簡単に縁を切ってしまったとか。出家の時に実の娘を縁から蹴落としてる、鎌倉中期に描かれた絵なんかも載ってて、かなりびっくりです。それもそのはず、西行の先祖には平将門を討った荒くれ者の俵藤太がいたから、なんだそうですが... そういうものなんですかね?(笑) あと、出家した後も待賢門院のところの女房たちとか、通りすがりの遊女相手に粋な歌のやりとりをしてみたりという艶やかさもあったり。もちろん「西行花伝」の西行が絶対とは思ってなかったんですけど、やっぱりかなり違うものなんですね。面白いなあ。
白洲正子さんご自身が、西行縁の地を辿って色々な旅をしてらっしゃるので、そういう紀行文的楽しみもあるし、能や歌舞伎、その他様々な資料に残る逸話を引き合いに出しての説明も興味深かったです。白洲正子さんの潔さのある文章もいいですね。(新潮文庫)

ということで、西行はこれで一旦オシマイ。次は坂口安吾氏の「桜の森の満開の下」を読もうかと思ったんですけど、あいにくとまだ満開じゃないんですよね。てか、まだほとんど蕾だし! なので、咲き揃うまでもうちょっと待つことにします。(^^ゞ


+既読の白洲正子作品の感想+
「日本のたくみ」白洲正子
「西行」白洲正子
「遊鬼」白洲正子

| | commentaire(4) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」という歌からも、桜のイメージの強い西行。ここ数年、桜の季節に合わせて白洲正子さんの「西行」を読もうと思いつつ、果たせずに積みっ放しだったのですが、今年こそ!
ということで、まずは辻邦生さんの「西行花伝」を読んでみました。(えっ、白洲さんじゃないの?) 西行の死後、弟子の藤原秋実という人物が、生前の西行に関わりあいのあった人物を訪ね歩いて、西行に関する話を聞き出していくという形態。秋実自身はもちろん、乳母や従兄、友人知人、そして他ならぬ西行自身の言葉によって、徐々に西行という人間が浮かび上がってきます。西行に関する知識など皆無に等しい私にとっては、人間関係を掴むまでがちょっと大変だったのですが、でも文章がなんて美しい...! 柔らかな語り口なんですけど、芯の強さがあるんでしょうね。読んでいてすごく心地良かったです。森羅万象を愛しむ西行の懐の深さと相まって、なんだか大きな温かいものに包まれているような気分になりました。和歌の説明が特についていなくても、読んでいるうちに自然と分かってくるような気がしたし。そして西行といえば、もっと世を儚んで出家したのかと思っていたのですが、この作品によるとそうではないのですね。歌に生きるため、この世の全ての物を愛するがため、この世を美しく豊かに生きるための出家。現世(うつせみ)が好きだからこそ、現世を棄てる。現世から一歩離れてこそ、その良さが見えてくるし、より深く現世に関わるための出家。700ページという大作で、結構時間をかけて読んだのですが、でももっとゆっくり読みたかったな。序+21帖に分かれてるから、1日に1帖ずつ読むというのもいいかも。今度ぜひとも再読して、またじっくりと味わいたいものです。

これは実は5回目のたらいまわし企画で、おかぼれもん。のpicoさんが「感銘を受けた本」として挙げてらした本。たらいまわしって、漫然とした私の読書意識にいつもほんとガツーンとショック与えてくれて凄いです。私なんて参加するたびに全然読んでない本ばかりで、自分の底の浅さにショック受けちゃうんですけど、でもおかげで少しは幅が広がりそう。
ということで、次こそは白洲正子さんの「西行」。本当は瀬戸内寂聴さんの「白道」も読んでみたいんですけど、こちらは未入手。これは来年かもしれないなあ。(新潮文庫)


+既読の辻邦生作品の感想+
「西行花伝」辻邦生
「手紙、栞を添えて」辻邦生・水村美苗

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
第15回ファンタジーノベル大賞受賞作。ずーっと読みたいと思ってて、でも図書館解禁まで我慢我慢... と思っていたら、なんと友達が持ってました。ラッキー♪ ...って、確かに図書館自粛は破ってないけど、友達から借りてたら一緒...?(笑)
あ、でも来月辺りそろそろ図書館解禁にしようと思ってます。積読本はまだ70冊ちょっとあるんですけど、それでも自粛してる間に100冊以上消化しましたしねー。とは言っても、その間も本は買ってるので、あんまり効率が良くない減り方なんですが...(^^;。まあ、図書館行きを解禁しても、その70冊を消化するために、当分は週1~2冊借りる程度に抑えようと思ってます。(って、一体誰に向かって説明してるんだ...? 笑)
そしてこの「太陽の塔」なんですが、主人公は休学中の京大5年生。この彼が、1年前のクリスマスに自分を振った「水尾さん」を、「研究対象」とか言って付け回してたりするあぶなーい人だったりするんですが、でもこれがストーカー小説かといえば全然違います。主人公もその周囲の男友達も、自分たちのことを素晴らしい人間だと信じきっていて、自分たちがモテないのを棚上げして、ひたすら強がってる人たち。時には鼻持ちならない勘違い振りなんですが、でもその勘違いの方向がまるでズレてるから、逆に微笑ましくなっちゃうのね。東大生では、この雰囲気は出せないかも。京大生ならではかもしれないなあ。でもって、照れ隠しでわざとちょっと硬めにしてみました... という風情の文章がまた、まるで昔の帝大時代の文学少年といった雰囲気なのです。...これのどこがファンタジーノベル大賞なんだ? なんですが(笑)、でもこの妄想ぶりはまさにファンタジーかも。爆笑できるというよりは、何度もニヤリとさせられちゃう青春小説。特に、土地勘がある人には、かなり楽しめるのではないでしょうか。(笑)(新潮社)


+既読の森見登美彦作品の感想+
「太陽の塔」森見登美彦
「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦

| | commentaire(2) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
東京郊外の新興住宅地、通称緋沼サテライトで不吉な事件が次々に起こっていました。動物や人間が襲われ、殺されたり行方不明になっていたのです。目撃した子供の口から出てくるのは「トレチアがやった」という言葉のみ。事件現場では白シャツに制帽姿の少年が目撃され、「キジツダ」という言葉が...。

前回の「ペニス」(感想)に引き続き、幻想小説テイスト。あちらほどの難解さはないと思うんですけど、こちらも結構な難物デシタ。前半部分は、人工的な新興団地の闇に浮かぶ都市伝説。まだ大人ではなく、かと言って善悪の区別のつかない子供でもなく... といった年代の子供たちの中途半端さと、容赦ない極端さが怖い! そして後半になると、その都市伝説が崩壊して怒涛の広がりを見せることになります。その辺りが津原さんの津原さんたる所以のような気がするんですが... 自分が果たしてどの程度理解できているのかと考えると、妙に不安になってしまったり...(^^;。(集英社文庫)


+既読の津原泰水作品の感想+
「ペニス」津原泰水
「少年トレチア」津原泰水
「綺譚集」津原泰水
「妖都」津原泰水
「蘆屋家の崩壊」津原泰水
「赤い竪琴」津原泰水
「ルピナス探偵団の当惑」津原泰水

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories:

たらいまわし今回のお題は、「『旅』の文学!」。留守にしていた間にお題が発表されていて、すっかり出遅れてしまいましたが、でも今回も参加しまーす。参加が遅くなると、挙げたい本が他の方と重なりやすいのが難点なんですが... 気にしないっ。

私は旅が好きです。つねに漂泊の思ひがやむことはありません。しかし一応職業を持つ身としてはそうそう放浪ばかりしているわけにもいきませぬ。そんなわけで、みなさまに「旅」の本をあげていただいて、せめて心だけでも別世界へ飛ばしてもらおう!と思った次第です。 といっても、何も紀行文学でなければいけないというわけではありません。「旅」を感じさせてくれるものならなんでもOK。精神的なトリップでも可(←ちょっとあぶないぞ)。そのへんは広義に解釈していただいて結構です。

この企画に興味をもたれた方は、右上の「本が好き」アイコンをクリック! 今回の主催は、Le Journal de La Princesse frivoleのMlle.C さんです♪

| | commentaire(24) | trackback(14)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.