2005年11月 Archive

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森福都さんの新作。おなじみの中国唐代を舞台にした短編集です。今回も森福都さんらしい雰囲気で面白かったです。則天武后や玄宗皇帝など実在の人物も登場しながら、どことなくミステリアスな雰囲気。それでもって粒揃い。でも、改めて感想を書こうとしてはたと手が止まってしまいました。読み終わって、「ああ、面白かった。」しか残ってないんですが、こういう場合は一体どうすれば...(^^;。
(多分、ここんとこちょっと調子が悪くて、集中力が散漫なせいかと)
連作じゃなくて、普通の短編集だったのだけがちょっと残念だったかな。登場人物に感情移入しても、すぐに頭を切り替えなくちゃいけないんですもん。あ、もしかしたら、私が短編集に苦手意識があるのは、そういう切り替えが下手だからかもしれないなあ。(実業之日本社)


+既読の森福都作品の感想+
「琥珀枕」森福都
「漆黒泉」森福都
「狐弟子」森福都
「楽昌珠」森福都
「肉屏風の密室」森福都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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以前、たらいまわし企画・第10回「映画になったら見てみたい」で挙げたこともある本なんですけど(記事はコチラ)、実は読んでる作品と読んでない作品があって、この1冊を通読するのは今回が初めてだったりします...。(ダメダメ) 表題作は、何度も読んでるんですけどね。たむらしげるさんの絵本でも読んでますし。(感想はコチラ

amazonの紹介によると、「少年愛、数学、天体、ヒコーキ、妖怪...近代日本文学の陰湿な体質を拒否し、星の硬質な煌きに似たニヒリスティックな幻想イメージによって、新しい文学空間を構築する"二十一世紀のダンディ"イナガキ・タルホのコスモロジー」

なんだかものすごい紹介なんですが(笑)、私が好きなのは、若い頃書かれたという幻想的な作品群。表題作のほかに、「黄漠奇聞」「チョコレット」「天体嗜好症」「星を売る店」「弥勒」「彼等」「美のはかなさ」「A感覚とV感覚」の全9編が収録されていて、大体年代順に並んでいるんですけど、ずばり前半の「星を売る店」までですね。特に表題作と「黄漠奇聞」が大好き。大正時代に書かれている作品なんですけど、今読んでも違和感が全くないのが凄いです。レトロな雰囲気を持ちつつ、「モダン」という言葉がぴったり。幻想的で、美しい情景が広がります。特に「黄漠奇聞」の異国情緒溢れる雰囲気が溜まりません~。(これ、最後に「ダンセーニ大尉」という人物が登場するんですけど、もしかしてロード・ダンセイニのことなのでしょうか)
でもこの後、足穂はアルコール中毒などで一時断筆したようなんですよね。前半の作品から「弥勒」が書かれるまで15年ぐらいあいていて、「弥勒」や「彼等」にもまだまだ足穂らしいモチーフはあるものの、自伝的でどこか重い雰囲気。極貧生活を送っていた足穂自身の姿も垣間見えるし、同性愛的傾向も濃くなるし。それはそれで悪くはないんだけど... でもやっぱり前半部分のおとぎ話的な雰囲気が好きです。若い頃の作品をもっと読んでみたいなあ。(新潮文庫)


+既読の稲垣足穂作品の感想+
「一千一秒物語」稲垣足穂・たむらしげる
「一千一秒物語」稲垣足穂

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退行性の病気で痴呆が進み、あっという間に死んでしまったモリーという女性と、かつてその恋人だった3人の男たちの物語。知的で洗練された雰囲気で、大人のための小説といった印象なんですが、男たちの自滅ぶりは実に皮肉な視線で描かれています。かつての恋人たちは、それぞれに高名な作曲家、新聞の編集長、そして外務大臣。そんな世間的に高い地位を築き上げた男性たちでも、一旦歯車が狂い始めてしまったら、崩壊するのは一瞬なんですよね。そこに、このシンプルな文章が効果的。
でも、音楽家が交響楽を作曲するシーンは面白かったし、端正な文章も良かったんですけど、男たちの自滅ぶりがあまりにありきたりに感じられてしまって、あまり楽しめなかったかも...。なんだかタチの悪い冗談みたいで。これが面白かったら、同じマキューアンの「愛の続き」も読もうと思ったんだけど、やっぱりしばらくやめておこう。(新潮文庫)


+既読のイアン・マキューアン作品の感想+
「アムステルダム」イアン・マキューアン
「愛の続き」イアン・マキューアン

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青森県の十和田を舞台にした爽やかな青春小説。雑食レビューのおおきさんにオススメされたんですけど、これは本当に良かったです! 竹内真さんの「自転車少年記」の話題から、青春小説といえば... といった感じでこの本の題名が出てきたんです。確かに「自転車少年記」と同質の青春小説。でも作品の雰囲気は、むしろ芦原すなおさんの「青春デンデケデケデケ」に近いかな? 時代も同じぐらいだし。「青春デンデケデケデケ」が大好きな人は必読でしょう。(逆もまた真なり)
スポーツ、友情、異性への興味、恋、親や教師への反感、出会いと別れといった、青春小説には王道のモチーフが、もう読んでいて気恥ずかしいほどの王道の展開で描かれていくんですけど、これが逆にストレートに響いてきて、もうキラキラ。登場人物も良かったし、印象的なシーンも色々あったし、読んでてうるうるしちゃいました。

実は「雨鱒の川」を読んだ時に、方言がほんと全然分からなくてかなり苦労したので、他の作品もそんな感じなんじゃ... とちょっと警戒してたんですけど、これはほぼ標準語でした。本当は方言で書かれていた方が雰囲気が出たんでしょうし、標準語を話す登場人物との対比も鮮やかになったんでしょうけど... 私にとっては、標準語で書かれていてとてもありがたかったです。(^^ゞ (集英社文庫)


+既読の川上健一作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「雨鱒の川」の感想)
「翼はいつまでも」川上健一

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完全な美の持ち主であるクルミと、そのクルミの美に取り付かれた人々の物語。今までにも西澤作品には、時々「フェチ」や「ジェンダー」といった要素がありましたけど、ここでとうとう1つの作品にまとまったという感じですね。「意匠」「異物」「献身」「聖餐」「殉教」という各章に分かれて、脚(タイツ)フェチや手フェチ、女装趣味など、怪しげな「フェチ」ぶりを見せる人々が登場します。
でも、もちろん知り合いの男性が女装趣味だと突然知らされたら、さすがの私もびっくりすると思うんですけど(笑)、そこまでいかなくても、人それぞれに何らかの嗜好ってあるものですよね。隠した方が無難なものも、隠す必要が全然ないものも。嗜好自体がどうこういうよりも、そういった嗜好がクルミという存在を通して、表面に露呈されてくるのが面白かったです。それまで影の存在でしか有り得なかったそれぞれの嗜好が、クルミによって解放されたというか。だからなのか、たとえそんな特殊な嗜好を持つ人間が殺されても、私にはあまり不幸には見えなかったんですが... そういう読み方って間違ってるかしら(^^;。
殺人はたびたび起きるんですが、ミステリというよりもむしろサイコホラー。クルミの「触れれば死ぬ」という特異体質についてもっと知りたかったんですけど、それに関してはあまりすっきりしないまま終わってしまったのがちょっと残念でした。あんまり突き詰めて考えないで、無条件に受け入れるべき部分だったんですね、きっと。(集英社)


+既読の西澤保彦作品の感想+
「方舟は冬の国へ」西澤保彦
「生贄を抱く夜」西澤保彦
「腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿」西澤保彦
「フェティッシュ」西澤保彦
「キス」西澤保彦
「春の魔法のおすそわけ」西澤保彦
「ソフトタッチ・オペレーション」西澤保彦
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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「ケルトの薄明」だけ、画像が出ないですが...。

アイルランド生まれの詩人・イエイツが、既存のアイルランドの民間伝承物語や妖精譚の中から話を抜粋し、分類・体系化した本が「FAIRY AND FOLK TALES OF THE IRISH PEASANTRY」と「IRISH FAIRY TALES」。そこから妖精譚だけを抜粋してまとめたのが「ケルト妖精物語」で、妖精譚以外を収めたのが「ケルト幻想物語」。そして他人が集めた物語を編集するのに物足りなくなったのか、イエイツ自身が自分の足でアイルランドを歩き回って話を集めたのが「ケルトの薄明」。
イギリスの妖精について書かれていた「妖精 Who's Who」と同じように、気まぐれで我儘で意地悪な妖精の話が多いです。そして、「ケルト妖精物語」や「ケルト幻想物語」も素朴な物語が多いんですが、「ケルトの薄明」はそれ以上に素朴な印象。物語になり切れないスケッチ的なものも多くて、炉辺などで語る人々の言葉がそのまま伝わってくるようでした。イエイツが、口の堅いおじいさんからなんとか話を引き出そうと苦労してるらしいところも、なんか可笑しくて。でも話によって、読みやすいのと読みにくいのと、ちょっと差が激しかったかなあ。これを読むと、グリム童話やペロー童話って洗練されてるんだなあって実感しちゃいます。

アイルランドにキリスト教を伝えた聖パトリックは、土着のドルイド教を良く理解していたので、そういった信仰を無闇に排除するようなことはなく、むしろそういった宗教を吸収するようにして、キリスト教を広めていったんですよね。それまでの土着の神々は、妖精として残っていったのだそう。そのせいか妖精譚もキリスト教の影響を受けながらも、ちょっと異教的な雰囲気を残してて、そういうところが結構好きです。(ちくま文庫)

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風待屋の sa-ki さんに教えて頂いた、イギリスの妖精をイラスト付きで紹介している本。本当はたらいまわしの第8回「あなたが贈られたい(贈りたい)本はなんですか?」で出してらしたピエール・デュボアの「妖精図鑑」も合わせて見たかったんですけど、そちらはまたいずれ...。

ブラウニーやドワーフ、エルフなんかの有名な妖精は知ってますけど、もう全然名前を聞いたことがない妖精もいっぱい。イギリスには、これほど沢山の妖精がいるんですか! しかも同じくブリッグズの、富山房から刊行された「妖精事典」には約400種類の妖精が紹介されていて、これはその中から101を選んで紹介したのだそう。まだまだこの4倍もいるんですね。
日本で妖精といえば、基本的に可愛らしくて良いイメージなんじゃないかと思うんですが、ここに登場する妖精は気まぐれだったり意地悪だったり、時には残酷だったり。人さらいの話も多いし、人間の日々の仕事を手伝ってくれてても、ある日突然ふいっと出て行ってしまったりするし、昨日までは機嫌が良くても今日はまた分からないし。実際、妖精を信じていた昔の農家の人々は、相手が良い妖精であっても決して怒らせないように気をつけていたようです。妖精とつきあうのは、相当しんどそう...。なんだか妖精というより、単なる駄々っ子の相手をしてるような感じもするなあ。というよりも、むしろ日本の妖怪のイメージ? まあ、妙な現象が起きたらそれを全部妖精のせいにしていたからこそ、こういった妖精が沢山生まれることになったんでしょうけどね。(きっと人為的な「妙な現象」も多かったんでしょうね)
ファンタジー作品を読んでいて聞き慣れない妖精が出てきた時などに、役立ちそうな1冊です。(ちくま文庫)


+既読のキャサリン・ブリッグズ作品の感想+
「妖精 Who's Who」キャサリン・ブリッグズ
「魔女とふたりのケイト」K.M.ブリッグズ

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Note


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