2006年1月 Archive

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「剣客商売」、途中経過報告第3弾。(笑)
ほのぼのとしていた前回に比べて、今回は厳しい世情の変化がそこここに... 特に10巻。
このシリーズって、1冊ごとにそれぞれ7編ほどの短編が入っていて、1話ごとに一応話が完結しているんですが、10巻だけは短編同士の繋がりがとても強くて、むしろ長編と言った方がいいほどなんですよね。秋山大治郎の名前を騙って人殺しを繰り返す剣客が登場し、秋山父子、ひいては田沼意次を陥れようとする陰湿な陰謀が?! という話です。これまでにない緊迫感たっぷりでびっくりしたんですが、でもそろそろ田沼政権も終わりを告げる頃なのかあ、と時の移り変わりを感じてしまいました。秋山父子は別に田沼意次の権勢を笠に着てるわけじゃないし、何が起きようと大丈夫だと思うんですけど、でもやっぱり風当たりは強くなるんでしょうね...。うーん、その日が来るのがなるべく遅ければいいなあ。...そしてドキドキしながら11巻12巻を読んだんですが、まだこの2冊では特に風雲急を告げることもなく、ほっと一息。
以前ワルツさんが、この作品の男尊女卑に触れてらして、ああ、確かにそういう面があるよなあと思ってたんですが、この4冊では今まで以上に感じられたかも。1つずつは小さいんですけどね。どうせ女性は無駄口が多いですよー! なんて思いつつ... 小兵衛の奥さんの「おはる」もちょこちょこやられてます。でも彼女の料理はほんと美味しそう。いい奥さんなんですよね。今で言う癒し系? 「...ですよう」の口調も和みます。(笑)(新潮文庫)


+シリーズ既刊の感想+
お正月休みの間に読んだ本(7冊) (「剣客商売」1~4)
「剣客商売」5~8 池波正太郎
「剣客商売」9~12 池波正太郎
「剣客商売」13~16+α 池波正太郎

+既読の池波正太郎作品の感想+
「殺しの四人」「梅安蟻地獄」池波正太郎
「梅安最合傘」「梅安針供養」池波正太郎
「梅安乱れ雲」「梅安影法師」池波正太郎
「梅安冬時雨」「梅安料理ごよみ」池波正太郎

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第二次世界大戦が勃発。頭に爆弾の破片を受けたアメリカ人外交官・バーバーは、イギリスの田舎町で養生中。しかし世話になっている家の奥さんが妖精のために裏口に置いておいた牛乳をこっそり飲んでしまったことから、取り替え子として妖精の国へ連れ去られ...。

行った先の妖精の王国にいるのが、オベロンやタイタニア。シェイクスピアの「夏の夜の夢」を下敷きにしたファンタジー作品です。根っからの合理主義者だったはずのバーバーも、実際にその状況に身を置いてしまえば信じるより他はありません。妖精のために牛乳を置いておく風習からも分かるように、その妖精の王国での出来事にはイギリスやアイルランド辺りに伝わる伝説が色々取り入れられてて、時々ニヤリとできます。とは言っても、私には分かってないネタもいっぱいありそう。きっと詳しい人ほど楽しめるんでしょうね。
それにしてもこの話は一体何だったんでしょう... 夢物語? まるで「不思議の国のアリス」みたいな不条理な世界。終わりも呆気なくて、まさに一夜の夢というのにぴったりだったんですが...? シェイクスピアの作品の中で「夏の夜の夢」は好きな方なんですが、この作品はどうもまとまりが付かないまま終わってしまったという印象。ほんと舞台を借りただけって感じでした。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のディ・キャンプ&プラット作品の感想+
「妖精の王国」ディ・キャンプ&プラット
「神々の角笛」「妖精郷の騎士」「鋼鉄城の勇士」「英雄たちの帰還」ディ・キャンプ&プラット

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ダミアーノは、父親譲りの魔力で錬金術を行う21歳の青年。リュートと、言葉を話す小さな牝犬・マチアータをこよなく愛し、平和な生活を送っているダミアーノなのですが、パルテストラーダの町を支配下に置いていたサヴォイ公国の軍が撤退し、代わりにパルド軍が入ったことによって、ダミアーノの平和な世界は一変してしまうことに。

先日読んだ「黒龍とお茶を」がとても面白かったR.A.マカヴォイの、「魔法の歌」シリーズ全3巻。「ダミアーノ」「サーラ」「ラファエル」です。現代のサンフランシスコが舞台で、日常生活にほんのりと異質なものが入り込んだ程度のファンタジーだった「黒龍とお茶を」とはがらりと変わり、こちらは中世イタリアを舞台にした荘厳な作品。まるでラファエロの絵画がそのまま動き出したような印象。
とは言っても、ものすごーく感想が書きにくい作品だったんですけど... 天使や悪魔の扱いが独特で、その辺りがすごく面白かったです。冒頭から大天使ラファエルが登場して、ダミアーノにリュートを教えていたのには驚かされたんですが、そもそも、ダミアーノが魔道士でありながら敬虔なキリスト教徒という、この設定も珍しいと思うんですよねえ。
途中、サタンの姦計によってラファエルが大天使らしからぬ扱いを受けることになり、それがラファエルに大きな変化をもたらすんですけど、それ以前のラファエルって、ダミアーノ以外の人間には基本的に無関心だったし、多分ダミアーノに呼び出される前は、もっと人間に無関心だったんじゃないかと思うんですよね。ラファエルがこの状態なら、多分ウリエルやガブリエルやミカエルも似たようなものでしょうし、神その人はそれ以上に無関心なのかも、なんて思ったり。となると、神にとっては、ラファエルとサタンの諍いも特に関心を引くものではなかったんだろうなあ、なんて思いながら読んでいたら、なんだかサタンの方がずっと人間的に見えてきて、ルシファーがサタンになってしまった根本的な原因が見えたような気がしてきちゃいました... とは言っても、それはあくまでもこの作品の中でのことなんですが、マカヴォイ自身が、どんなことを考えて書いていたのか知りたい!(もしやこの作品の真の主役はラファエル?)
そしてサタンが住んでいるのが、常若の島ティル・ナ・ヌォーグ。なぜここにティル・ナ・ヌォーグが? これってケルトの神話に登場するティル・ナ・ノグと同じですよね? 私はケルト近辺でしか読んだことがないんですが、イタリアにもそういうのがあるのでしょうかー。妖精や死んだ英雄なんかが住んでる楽園だとばかり思ってたんですけど、なぜそこにサタンが住む?...マカヴォイがその名前を出してきた意図も知りたくなってしまいます。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のR.A.マカヴォイ作品の感想+
「黒龍とお茶を」R.A.マカヴォイ
「ダミアーノ」「サーラ」「ラファエル」R.A.マカヴォイ

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ペギー・スーシリーズの3作目。今回は、会ったこともない「ケイティーおばあちゃん」の家で夏休みを過ごすことになったペギー・スーの冒険物語。
この作品、これまでもファンタジーではあったんですが、3冊目になって、ずいぶん子供向けになっちゃったなあというのが正直なところ。今までにも魔法は登場してたんですが、それらはあくまでも非日常だったんですよね。今回、登場するケイティーおばあちゃんの村は、そのまんま魔女の村のような場所。雷が並外れて多いため、避雷針代わりのリンゴの木がいくつか植えてあって、そのリンゴの木に雷が落ちるたびに、その雷が実に蓄積されていたり(このリンゴの実は食べられないどころか、傷つけると爆発するのです)、村人たちは常に白い猫を撫でていて、それでストレスを吸い取ってもらっていたり。(ストレスを吸い取った猫は白からピンクへ、そして赤に変化、赤になったら溜め込んだストレスを発散させるために放すことになります ...白い猫をひたすら撫でてる村人たちは、まるで麻薬中毒患者みたい)
雲の上の場面や地底に降りていく場面は、それぞれ面白かったんですけど、もっと日常的な環境を中心の舞台に据えてこそ、という気もします。
お化けとの決着もついて、話は一段落。でもペギー・スーの冒険は、まだまだ続きそうです。(角川文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ペギー・スーi  魔法の瞳をもつ少女」セルジュ・ブリュソロ
「ペギー・スーii  蜃気楼の国へ飛ぶ」セルジュ・ブリュソロ
「ペギー・スーiii 幸福を運ぶ魔法の蝶」セルジュ・ブリュソロ
「ペギー・スーiv 魔法にかけられた動物園」「ペギー・スーv 黒い城の恐ろしい謎」セルジュ・ブリュソロ

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万引き癖がある戸倉美加子、寄り道のための金を得るために級友の体操服を盗んだ辻岡良枝、ボーイフレンドと2人乗りをしていたバイクで事故を起こした西園寺楓。3人とも歴史のある私立の名門高校・明友学園の生徒であり、家庭教師として家に来ていた教師Xに弱みを握られて、学校を退学していました。明友学園に新任教師として赴任した坪井笑子は、おちこぼれ同然の男子クラスの担任として第二職員室に配置されるのですが、女子生徒に声をかけられて同好会の顧問となることに。そしてその面々と共に、第二職員室にいるらしい教師Xを探ることになるのですが...。

青井夏海さんの作品では、「スタジアム虹の事件簿」や助産婦シリーズの、ほのぼの~とした明るい雰囲気の日常ミステリが大好きなんですが、これはサスペンス調のミステリ。随分雰囲気が変わるんですね...。最初に3人の女子高校生の弱みを握る教師Xの場面があるんですけど、この教師Xがあまりに陰湿で、思わず読むのをやめようかと思ったほどでした。あくまでも悪人という犯人像というもいいんですけど、これまでの青井さんの作風を考えると、悪いことはしても憎めないとか、もう少し救いのあるタイプの犯人像だったら良かったのになあ、なんて思ってしまいます。それに主人公の坪井笑子の造形もあまり好みではなく...。特に、高校時代の同級生の男の子(しかも就職で世話になってる人の息子)に対する態度には、うんざり。付き合う気がないんだったら、はっきり意思表示するのが親切ってものでしょうに。なんだか利用できる時だけ利用しててイヤだなあ。
青井夏海さんの作品なら、もっとほのぼの路線のが読みたかったです。(双葉社)


+既読の青井夏海作品の感想+
「そして、今はだれも」青井夏海
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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「光の帝国」の、全体的に穏やかな雰囲気の漂う常野一族の物語の中でも、異色の緊迫感を持っていた「オセロ・ゲーム」の続編。常野一族のダークサイド。うららかな日差しが感じられるような春田一族の物語も好きなんですが、このダークサイドにもすごく惹かれていたので、楽しみにしていた作品です。「オセロ・ゲーム」では、夫が「裏返され」て失踪し、自分も戦い続けてきた拝島暎子が主人公でしたが、今回は娘の時子が主役。

途中まではすごくスリリングなんです。時子の父に本当は何が起きていたのか、そして今回瑛子に何が起きたのか、電話をかけた先の女性たちや「洗濯屋」の火浦という青年の真意も分からないまま緊迫感たっぷりに進みます。「洗って、叩いて、白くする」という「洗濯屋」もいいですねえ。でも終盤... うーん、どうなんでしょう。確かにどんな物事でも、その一面だけではかることはできないし、当事者にはなかなか見えてこない面というのはあります。その人間にとっての真実が他の人間にとっても真実だとは限らないし、いくら真実だと信じていたことでも、簡単に崩壊してしまう可能性が十分あるのは分かるんですが... なんだか、決定的な部分をはぐらかされたままで終わってしまったような。途中までは確かに面白く読んでたはずなのに、「あれ、それで結局何だったんだ?」という感じで読み終えてしまいました。...このもやもや感は一体どうすれば... うーん...?(集英社)


+シリーズ既刊の感想+
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸

+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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娘のエリザベスに急に呼び出され、ニューヨークからサンフランシスコへとやって来たマーサは、エリザベスが予約した高級ホテルに泊まりながらも、娘となかなか連絡がつかずに困惑していました。そして話し相手もいないマーサに、ホテルのバーテンダーが紹介したのは、メイランド・ロングという初老の紳士。ロング氏はこのジェイムズ・ヘラルド・ホテルに住んでおり、古いバラッドに詳しく、自分の耳でいにしえの吟遊詩人から直接聞いてきたような話し振りをする不思議な男性。2人は早速意気投合して、住所も職場も分からないエリザベスの行方を一緒に探すことになるのですが...。

ハヤカワ文庫FTなので、一応ジャンルとしてはファンタジーなんでしょうけど... 確かに「龍」という存在があるから、ジャンル分けをすればファンタジーになるんでしょうけど、話の展開としては、むしろサスペンスもしくはミステリ。現代のサンフランシスコを舞台にした、コンピューター犯罪小説でもあります。そしてほんのりとラブ・ロマンス。すごく可愛くて素敵な話でした!
時々普通の人間とはちょーっと違う雰囲気も醸し出してるロング氏も素敵だし、このロング氏とマーサの会話も、とっても小粋でお洒落。そのままヨーロッパ映画にしてしまいたくなるぐらい。若い2人が頑張るという話もいいけど、こんな風に、いい具合に肩から力が抜けた大人の年代の話も楽しいです~。大人のためのファンタジーといった感じですね。ゆっくりお茶でも楽しみながら読みたい1冊。本国では続編もあるようなんですが、訳されないのでしょうか。こちらもぜひ読んでみたいです。(ハヤカワタジー文庫FT)


+既読のR.A.マカヴォイ作品の感想+
「黒龍とお茶を」R.A.マカヴォイ
「ダミアーノ」「サーラ」「ラファエル」R.A.マカヴォイ

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Note


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