2007年5月 Archive

Catégories:

tarahon34.jpg全国のたらいまわしファンの皆さま、こんにちは。第34回たらいまわしの開催です。今回は、読書記録の檀さんからたらいを受け取ったワタクシ四季が、僭越ながら主催者を務めさせていただきます。私が主催させて頂くのは、第13回「美しく妖しく... 夜の文学」、第24回「五感で感じる文学」に続いて3度目... す、すみませんっ。でもって、その2回とも5月後半にスタートだったので、今回も5月に滑り込んでみました。(^^ゞ

今回のお題は、「行ってみたいあの場所へ~魅惑の舞台」です。
本を読んでいる時に、「ああ、この場所に行ってみたい」と思うことってありませんか? それはどこかの街角かもしれないですし、雄大な自然の中かもしれません。過去の歴史の中の場所かもしれないし、架空の世界かもしれません。紀行文を読んでいて、思わず旅に出たくなってしまうこともあるでしょう。フィクション、ノンフィクション問いません。本を読んでいて行ってみたくてたまらなくなった場所があれば、ぜひ教えて下さい。もちろん、その本がきっかけで思わず本当に行ってしまった...!というのもアリです。^^
さて、あなたが行ってみたいと思われるのは、どこでしょう?

この企画に興味をもたれた方は、ブログに記事を書いて、この記事にトラックバックするだけです♪ 初めての方も大歓迎。どうぞお気軽に参加なさって下さいね。^^
そしてこの「たらい」は、ほんの保管所の高さんにお渡ししたいと思います。高さん、よろしくお願いします~。

| | commentaire(38) | trackback(17)
Catégories: / / /

  [amazon] [amazon]
アーサー王伝説で有名な魔法使い・マーリンの少年時代の物語。作者のT.A.バロンは、アメリカ生まれのアメリカ育ちながらもオックスフォード大学に留学し、ケルトの伝説やアーサー王文学に惹きつけられたのだそう。そしてどの伝説にも書かれていないマーリンの少年時代、魔法使いになるまでの物語を書いたのだそうです。
第1巻は記憶を失った少年・エムリス(マーリン)が幻の島・フィンカイラに辿り着いて、悪神・リタガウルに操られるスタングマー王を倒す物語、第2巻は荒れ果てたフィンカイラの大地を蘇らせる役目を担ったエムリスがその役目を途中で放り出した結果、母親がリタガウルの策略にひっかかってしまい、母親を助けるために7つの歌の極意を探る旅に出る物語。

アーサー王伝説をモチーフにしてるとくれば、しかも主人公がマーリンとくれば、読まずにはいられないんですけど... うーん、これはどうなんでしょう。アーサー王伝説に繋がる世界を作り上げようと色々頑張ってるのは分かるんだけど、どれもこれも小ワザに見えてしまうー。いくらギリシャ神話やケルトの伝承を持ち出してきても、それだけではアーサー王伝説の重厚さは描けないと思うんですよねえ。そしてそれ以上に、主人公に感情移入できないのがツラいところ。もうほんと、鼻持ちならない少年なんです。しかも作者が物語に波風を立てるために、マーリンをなかなか成長させないでおこうとしているように感じられてしまったのが...。主人公が失敗を通して成長していくのはいいんですけど、そこに説得力を出すかどうかは、作者の腕の見せ所のはず。それに、2巻の7つの歌の極意を知る旅という展開は、すごく面白いものになりそうだったのに、それぞれの極意があっさりと分かってしまったのが残念。この辺りがもう少しじっくりと書き込んであれば良かったのに。きっと7つというのが多すぎたんでしょうね。それなら5つとか3つでは? ケルト的には、どっちの数字でも良かったでしょうに。
これがどんな風にアーサー王伝説に繋がっていくのか見届けたいので、こうなったら全5巻読むつもりですが、次こそちょっとは成長しておいてよ、マーリン!と言いたい気分です。(主婦の友社)

これを読んでいたら、無性にロイド・アリグザンダーのプリデイン物語シリーズが読みたくなってきました。プリデイン物語シリーズ、子供の頃に好きだったんですよね。子供心にも深みが少し足りないような気はしたんですが(笑)、マビノギオン(感想)がベースになってるそうなので、今読んだらその頃とはまた違う意味でも色々と面白いのではないかと。私にとっては、初ケルトの作品だったのではないかと思います。


+シリーズ既刊の感想+
「マーリン」1・2 T.A.バロン
「マーリン」3~5 T.A.バロン

| | commentaire(4) | trackback(0)
Catégories: /

[amazon]
悪の女王バヴモルダが恐れているのは、身体に特別な「しるし」を持つ赤ん坊の誕生。バヴモルダの仇敵、フィン・ラジエルが、その子供によってバヴモルダが破滅すると予言をしていたのです。バヴモルダは辺り一帯の妊娠6ヶ月以上の女を全てとらえて城で出産させ、娘のソーシャにしるしがついた赤ん坊がいないかどうか調べさせていました。そしてとうとう、しるしがついた赤ん坊が生まれたのです。助産婦は赤ん坊を連れて逃げ、追っ手につかまる前に川まで辿り着き、赤ん坊を小舟に乗せて逃がします。赤ん坊を乗せた舟は川を下っていき、その舟を見つけたのはネルウィン族のウィローの2人の子でした。

ジョージ・ルーカス原案、ボブ・ドルマン脚本の映画「ウィロー」のノベライゼーションだそうなんですが、映画は観てません。ノベライゼーションは好きじゃないんですけど(どうもすかすかしてるイメージが...)、脚本にはないけれどジョージ・ルーカスの頭の中にあったという物語の背景や、ウェイランド・ドルーのオリジナル部分が色々と書き込まれているそうで、そういう意味では割とまともな小説になってました。
でも話自体が善と悪の対決という単純なものだし、光の女王が生まれたとは言ってもまだ赤ん坊なので、本当にその資質があるのかどうか、今ひとつ説得力がない状態。皆に愛されて、人間だけでなく動物たちにも助けられるというのも1つの資質なんでしょうけどね。そして主人公のウィローは、「指輪物語」のホビットみたいな小さな種族の生まれなんですが、小さな人を登場させる意味も全然ないのでは? うーん、何なんでしょうねえ...。(ハヤカワ文庫FT)

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: / / /

  [amazon] [amazon]
小国・アプミーズを治めるピーター王には、ブレイズ、ヒュー、グレゴリー、ラルフという4人の息子がいました。穏やかではあっても、小さく地味なアプミーズを徐々に狭苦しく感じるようになった4人は、他国の人々の暮らしぶりを見たくてたまらくなり、とうとうピーター王は4つのくじと財宝の入った3つの合切袋を用意します。4人のうち3人は北、東、西へ旅立ち、一番短いくじを引いた者は館に戻り王国を継ぐことになったのです。くじの結果、ブレイズとヒュー、グレゴリーはそれぞれ従者と共に旅立ち、末子のラルフはお館に残ることに。しかしラルフは翌朝未明に起きると密かに旅立ちの準備を整え、南へと旅立ちます。

工芸家、装飾デザイナーとして有名なウィリアム・モリスの書いた散文ロマンス。アーサー王伝説の中にあってもおかしくないような、中世の世界を舞台にした騎士や貴婦人と探求の物語。J.R.R.トールキンやC.S.ルイスは、モリスをファンタジー作家として高く評価していて、大きな影響を受けたのだそうです。
永遠の命を得られるという「世界のはての泉」を求めるラルフ王子。最初は無邪気な若者だったラルフが、雄々しく気高い騎士へと変わっていくという寓話的な成長物語なんですけど、それがゆったりと優美に描かれているという感じで、すごく素敵でした。現代の小説が持つジェットコースター的躍動感はまるでなくて、どちらかといえば淡々と進んでいくんですけど、それが静かな深みを感じさせるというか... 読んでいると清々しい気持ちになります。そしてラルフの帰りの旅も丁寧に描かれているのが、またいいんですよねえ。行きの旅で通った町を通ることによって、ラルフの成長ぶりが再確認されているみたい。それに最後まで描かれることによって、物語が綺麗に閉じたなあと感じられました。ただ、あのグロリアという名前は何だったんだろう? それだけは気になります。やがて得る栄光(glory)のこと?
本の表紙の模様は、モリスのウォール・ペーパー"Hammersmith"と"Grafton"。初版のケルムスコット・プレス版の時のバーン=ジョーンズの木版画が挿絵として使われていて、とても素敵です~。こういう絵って大好きなんですよね。(晶文社)


+既読のウィリアム・モリス作品の感想+
「世界のはての泉」上下 ウィリアム・モリス
「理想の書物」ウィリアム・モリス
「輝く平原の物語」ウィリアム・モリス
「ジョン・ボールの夢」ウィリアム・モリス
「ユートピアだより」ウィリアム・モリス
「不思議なみずうみの島々」上下 ウィリアム・モリス
「世界のかなたの森」ウィリアム・モリス
「サンダリング・フラッド」ウィリアム・モリス

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / /

[amazon]
「フェヴァルの息子ブランの航海」、「百戦の王コンの息子、美貌のコンラの冒険」、「メルドゥーンの航海」など、「イムラヴァ」と総称される航海譚に見るケルトの「他界」。それらの物語に描かれる「他界」は、なぜ海の彼方にあるのか、そしてなぜ、いずれも女人国なのか。「常若の国(ティル・ナ・ノグ)「歓びの野(マグ・メル)」といったケルトの「他界」を現存する古伝承を通して探り、それらがキリスト教の中にどのように取り入れられていったのか、そしてどのようにアーサー王伝説に残っているのかを考察する本です。

まず、なぜ「他界」がいずれも女人国であるのかというのは、大地母神信仰から来ているもののようです。古代宗教には大地母神信仰が多いし、ケルトも例外ではなかったということですね。その大地母神は、ゴイデル族に破れて地下に去ったトゥアハ・デ・ダナン族(この人たちが妖精になったと言われる)の女神・ダナ。なので女人国にいるのは、ダナとその分身、もしくは臣下である女神たち。大地の母神には「豊穣と多産」「土地の主権者」「戦いと殺戮」「死者をあの世へ運ぶ」という顔があり、どうやらそれが何人もの女性に分かれているということのようです。生命を生み出す大地はまた、死者たちの帰っていくところ。それは「他界」そのもの。
そしてアイルランドの「他界」が海の彼方にあるのかというのは、ケルトでも独特の概念のようです。ウェールズやブルターニュの「他界」はこの世と地続きで、ドルメンや墳丘の下にあったり、泉や湖の底。大地母神が「他界」を支配しているのなら、地下世界にあるのが自然ですよね。でも田中氏は、「海の彼方」とは言っても一概にこの地上の海とは限らないと指摘していました。地下世界にあるあの世の海だなんて、考えたこともなかったなあ。

これらの「他界」を描く物語は徐々にキリスト教色を強めて、最終的にはすっかりキリスト教に染められてしまった「聖ブランダンの航海」「聖パトリックの煉獄」なんて物語が登場することになります。「聖ブランダンの航海」の「他界」は「天国」と「地上の楽園」と「地獄」に分化してるし、「聖パトリックの煉獄」ではさらに「煉獄」も。(そしてダンテの「神曲」となるんですね) でもここに描かれているのは、やっぱりケルトの「他界」だし、そこに行こうとする人たちも、イムラヴァの英雄たちの後継者。外側がどれだけ変化しても、中身はやっぱりケルト的世界なのだという指摘がとても興味深かったです。換骨奪胎して上手くキリスト教に取り入れたように見えて、実はキリスト教の方がケルトに取り入れられてたのか。(笑)

純粋な資料としてはなかなか読むことのできない伝承群が、ほとんどあらすじだけとはいえ、紹介されているのが嬉しいところ。航海譚に関しては、先日読んだ「ケルトの古歌『ブランの航海』序説」(松村賢一)にもあったし、そちらの方が詳しかったんですけど(感想)、こちらの方が読んでて面白かったし、こちらではアイルランド神話の創世記と言える「マー・トゥーラの合戦」や海に沈んでしまった「イスの都」の伝説についても触れられています。(中公新書)

| | commentaire(7) | trackback(1)
Catégories: / /

 [amazon]
木の写真集。取り上げられているのは、シラカバ、ナナカマド、トネリコ、ハリエニシダ、ハンノキ、ヤナギ、サンザシ、ロイヤル・オーク、ヒース、ヒイラギ、ハシバミ、リンゴ、ポプラ、キヅタ、エニシダ、リンボク、ニワトコ、イチイ、マツ、ブナの20種類。生育場所や性質など木そのものの説明はもちろんのこと、オガム・アルファベットでの表記方法とその意味、神話や伝説での姿、その象徴性、伝統的な利用方法、現代の利用方法、薬効などが、美しい写真と共に説明されています。

北欧神話の世界樹ユグドラシルはトネリコだけど、ケルトのシャーマニズムではシラカバが宇宙樹だとか、でもケルト人にとってトネリコはは宇宙の真理の守護者で、ドルイドの杖に使われていたとか、全ての木の中で最も神聖なのはオークであり、アーサー王の円卓やマーリンの杖はオークだったとか、オークにヤドリギが宿るといよいよ神聖になるとか、ギリシャ・ケルト・北欧神話でリンゴは不死の象徴で、永遠の命を約束するものだとか、世界で最初の本は薄く切ったブナの木に文字を書いて束ねたもので、アングロ=サクソン語のブナ"boc"が"book"の語源だとか、そんなエピソードがいっぱい。植物図鑑のような説明だけではなく、様々な面からそれらの木々のことを紹介しているのが面白いです。
本の中に木の名前が出てくる時って、もちろん特に何の意味もない時もあるでしょうけど、何らかの意味が篭められてることが多いと思うんですよね。でも名前は知っててもどんな木か分からなかったり、普段身の回りではなかなか見られない木も結構あります。そんな木の写真集なので、写真を見てるだけでも楽しいです。(東京書籍)

| | commentaire(0) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
ジャーナリストであり、ケルトの足跡を辿るBBCのドキュメンタリー番組(DVDが出てました)では案内役を務めたこともあるというフランク・ディレイニーによる、ケルト神話と伝説の再話。冒頭の「ケルト伝説への誘い」ではケルト文化に関する歴史的概観、ケルトの装飾品や武器、食べ物、饗宴、詩人、ケルト神話と他の地方の神話との比較が語られ、その後に19編の伝承が収められています。「アイルランドの伝説」「<牛捕り伝説>の白眉」「ウェールズの伝説」「<アーサー王伝説>の系譜」という4章構成。

第1章の「アイルランドの伝説」は、トゥアハ・デ・ダナン神話、アルスター伝説、フィアナ伝説など、いわゆるアイルランドの神話の物語で、2章「<牛捕り伝説>の白眉」は、アルスター伝説の中からクーフリンの牛捕り伝説だけを取り上げたもの。第3章の「ウェールズの伝説」はマビノギオンの物語群、第4章「<アーサー王伝説>の系譜」で取り上げられているのは、トリスタンとイズーの物語。
なんで牛捕り伝説だけが独立した1章になってるのか不明だし(本来なら第1章のアルスター伝説に含まれるはず)、11編あるマビノギオンの物語のうち2編はフランク・ディレイニーの好みに合わないからと外されていたり、アーサー王伝説の中で取り上げられているのはトリスタンとイズーの物語だけだったり、しかも話の展開・結末が違う部分もあったりして(訳者の鶴岡真弓さんの言う「違うバージョン」なんでしょうけど)、全体的に著者のフランク・ディレイニーの趣味に左右されてるなあという感じがしましたが、読みやすくて面白かったです。以前、井村君江さんの「ケルトの神話 女神と英雄と妖精と」を読んだ時は、どうも文章との相性が良くなくて、全部読み通すのに苦労した覚えがあるんですよね。(井村さんの他の本はそんなことないので、多分その本が元々は子供用の神話全集の中の1冊として書かれたからなのではないかと思います...) でも、こちらの方は全然そんなこともなくて、段違いに面白かったです! もちろん、その頃に比べると知識が増えているというのもあるとは思いますけどね。丁度ケルト神話を改めて読み返したいと思っていたところなので、いい本に当たって良かったです。読み物として面白いので、入門編としてオススメの本かと♪(創元社)

| | commentaire(0) | trackback(0)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.