2008年2月 Archive

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両親が病で死に弟も恋人も去って以来、人と関わるのをやめ、北方の小さな村でひたすら植物相手に生きていた青年・ブレンダンの元を訪れたのは、不思議な女巨人・オド。オドはブレンダンに、王都・ケリオールにあるオドの学校で庭師として働いて欲しいと申し出ます。この魔法学校は、400年前国の危機を救って英雄となったオド自身によって作られた学校。魔法に使う植物を育てる庭師が1人やめてしまい、ブレンダンのような人間を必要としているというのです。魔法のことなど何ひとつ知らないブレンダン。しかしオドの申し出を受け、夏の終わりになると、収穫した種や珍しい植物などを詰めた荷物を持って魔法学校を訪れることに。

この題名を最初知った時はてっきり学園物なのかと思って、でもまさかパトリシア・A・マキリップが普通の学園物を書くなんて!?と戸惑ったんですが、やっぱりハリー・ポッターみたいな作品とは全然違いました。魔法学校は、たまたま舞台に選ばれたというだけ。...ほっ。なんて心臓に悪い題名なんだ。
ここにあるのは、パトリシア・A・マキリップ独特の静かで幻想的な雰囲気と、魔法に満ちた空気。その中で、この世界に太古の昔から存在する魔法の本質を捉えようとする物語、かな。(マキリップは、こういうのが多いですね)
オドが作った魔法学校は、その後徐々に雰囲気が変わってしまい、今は魔法使いの力を恐れる王によって厳しく管理されている状態。生徒たちは認められている魔法だけを学び、王の顧問官が先頭に立って、管理外の魔法に厳しく目を光らせています。そんな中に現れたブレンダンの無自覚ながらも生まれながらに持つ底知れぬ力が、魔法使いたちを混乱させることになります。さらに、その頃丁度現れた魔術師一座の操る幻影が果たして本当に魔法なのか、それとも手品なのかなんていう問題もあって。
話そのものはちょっと練りこみ不足なんじゃないかなあなんて思ったし、オドのことや魔法学校、そしてブレンダンのことをもっと掘り下げて欲しかったんですけど、多彩な登場人物がそれぞれに個性的で良かったし、それより何より、行間から立ち上ってくるようなマキリップならではの幻想的な雰囲気はさすが! やっぱりマキリップは大好き~。もっと色々と読みたい~。...とはいえ、この作品はマキリップの本領発揮というわけではないと思うので... 初めて読む人にはやっぱり「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」がオススメですね。(創元推理文庫)


+既読のパトリシア・A・マキリップ作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」の感想)
「星を帯びし者」「海と炎の娘」「風の竪琴弾き」パトリシア.A.マキリップ
「ムーンフラッシュ」「ムーンドリーム」パトリシア・A・マキリップ
「オドの魔法学校」パトリシア・A・マキリップ
「ホアズブレスの龍追い人」パトリシア・A・マキリップ
「チェンジリング・シー」パトリシア・A・マキリップ
「茨文字の魔法」パトリシア・A・マキリップ

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NHKのラジオ中国語講座に1年半に渡って連載したという「中国古今人物論」を加筆修正したもの。「劉備」「仙人」「関羽」「易的世界」「孫子」「李衛公問対」「中国拳法」「王向斎」の8章に分けて、「中国」というキーワードのみで興味に任せて綴っていった、中国に関する「雑多な読み物」。

最初は人物伝でいくつもりだったらしくて、三国志で有名な「劉備」に始まり、その後も「仙人」や「関羽」とくるんですが、ふと気がつけば、話は易や兵法、そして拳法へ... 一読した印象は雑多というよりも何というよりも「アンバランス」でした。でもね、人物伝で通してもおそらく面白い読み物になったとは思うし、実際、関羽が理想的な神さまになってしまう話なんかも面白かったんですけど、この辺りはどちらかといえば、不特定多数の読者のために広く浅く読みやすい物を書いたという感じ。それよりも本文の半分近くを占めている「中国拳法」と「王向斎」の章がやけにマニアックで面白かった! 中国拳法に特化してしまうと、ラジオ講座の連載にはあんまり相応しくないかもしれないですけど、これだけで1冊書いてしまっても良かったのでは? なんて思ってしまうほど。やっぱりこの方は、あんまり型にはめたようなことをしない方が力を発揮するタイプの作家さんなんでしょうねー。しかもこの「中国拳法」や「王向斎」の章は、そのまま小説のネタになりそうなエピソードがいっぱい。いつか本当に小説で読める日が来るのかも?(笑)
あと私が気になったのは、「李衛公問対」。これは唐の時代に李世民(太宗皇帝)とその重臣・李靖が対談したという体裁の兵法書なんですけど、実際には兵法オタクが書いた本らしいです。そういう存在って、いつの時代にでもあるものなんですねー。諸葛亮のあの計略は実際にはどんなものだったんだ...?みたいなやり取りもあったみたい。ちょっと読んでみたくなっちゃいました。(文春新書)


+既読の酒見賢一作品の感想+
「陋巷に在り」1・2 酒見賢一
「陋巷に在り」3・4 酒見賢一
「陋巷に在り」5・6 酒見賢一
「陋巷に在り」7・8 酒見賢一
「陋巷に在り」9・10 酒見賢一
「陋巷に在り」11・12 酒見賢一
「陋巷に在り」13 酒見賢一
「語り手の事情」酒見賢一
「聖母の部隊」酒見賢一
「ピュタゴラスの旅」酒見賢一
「泣き虫弱虫諸葛孔明」酒見賢一
「中国雑話 中国的思想」酒見賢一
Livreに「後宮小説」「墨攻」「童貞」「周公旦」の感想があります)

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カメラマンでありデザイナーでもあるベン・ジョンソンは、雑学コレクター。毎年クリスマスになると友人たちに贈っていたちょっとした冊子は、じきに1冊の本としてまとめられ、100万部を超えるベストセラーになることに... ということで、いまむるさんに教えて頂いた本でーす。全ページものすごい雑学のオンパレードなので「読んだ」とはちょっと言い難いんですが、一応最後まで目を通したので...(笑)
ええと、こういう本はどうやって紹介すればいいんでしょう? アマゾンのこの本のページを見ると、本の掲載項目の一部が紹介されていたので、それをそのままコピペしてしまうと

チャールズ皇太子の偽名、結婚記念日の贈り物、英国国歌、ノアの方舟の仕様、シャーロック・ホームズ・シリーズに登場するベーカー・ストリート・イレギュラーズとは?、英国流「天下分け目の戦い」とは?、ビートルズのアルバム『サージャント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』ジャケットに登場する人物リスト、英国のビッグマック仕様、ケンブリッジ対オクスフォードのボート・レース歴代戦績、歴代ボンド映画の敵・女・車、ボウタイの結びかた、コックニーのアルファベット、英国ブラのサイズ、チェス用語、コーヒー・ショップで使うスラング、サリーの巻き方、エモーティコン、英国硬貨仕様、複合語の複数形、矛盾する語句例、男女交際略号、占いの種類、人の名前を冠した食べ物、花ことばの歴史、英国サッカーチームのニックネーム、ワールドカップ優勝国と決勝戦のスコア、フリーメーソンの階級、英国競馬レース・グランドナショナル歴代優勝馬、ヘンリー8世の妻、英語の回文、有名な馬の名前、狩りのシーズン、アイルランドの決闘体系、円卓の騎士、編み物の略号、有名な臨終の言葉、有名な左利きの人、ロンドンの地下鉄、ミス・マープル・シリーズの殺人方法、マティーニの作り方、医学略語、英国諜報部について、英国軍の階級組織、よくスペルを間違える単語、英国歴代君主、ヴィクトリア時代の服喪、さまざまな殺人の呼び方、タイタニックの積荷詳細、英国パスポートの文言、英語の早口ことば、結婚にまつわる迷信、ワインボトル用語、外国語由来の英単語など

もちろん全部が全部興味のあることってわけじゃないんですけど、でも面白いです。いやあ、これはほんと凄いですよー。隅から隅まで雑学だらけ。「そんなこと知っててどうする?」って言いたくなるようなことから「へええ、そうなんだ!」まで、取り上げられている事柄も様々。それにやっぱり英国人向けですからね。そのまんま訳しても分からない部分が多いだろうと、訳注もさりげなく充実してます。でもこれを日本語に訳すのは本当に大変だったでしょうね。
一気に読むより、何かの折にふと手にとって開いたページを読むというのが正しい読み方かと。本国英国では、飲食物に関するトリビアの第2弾と、スポーツとゲームに関する第3弾が出て、そっちも人気だそうです。(日経BP社)

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美しい書物はどのようにしてつくられてきたか。中世イギリスの辺境の島で修道僧たちによってつくられた福音書。グーテンベルクやカクストンら初期印刷術者によってつくられた書物。そして、ウィリアム・モリスの理想の書物―。書物の美しさの精髄を豊富な図版を駆使して解き明かす。本を愛してきた人間の情熱とその運命を人間味あふれる数々のエピソードをまじえて物語る、たのしい書物の文明史。(「BOOK」データベースより)...ということで、「中世の彩飾写本」「初期印刷術」「彩色図版のあるイギリスの書物」「プライヴェート・プレスの時代」という4章に分けて、書物の歴史や変遷を見ていく本です。

ええと、これは結構楽しみにしてた本なんですけど、あんまり面白くなかったです... 著者はイギリスの古書業界では結構有名な方のようだし、図版がたくさん紹介されてるのは良かったんですが、なんといっても文章が。うーん、これはきっと翻訳の問題なんですね。文章中に注釈が入れ込まれているのが、なんとも邪魔で仕方ありませんでしたー。それにその時話題にしている図版が全然違うページに挟み込まれていたりするのも不便だったし。(時には何十ページも戻ることも!)
それと、これは著者がイギリス人だから仕方ないかなとも思うんですけど、3章の「彩色図版のあるイギリスの書物」はちょっと余計に感じられてしまいました。4章のモリス他のプライベートプレスに関しても、それほど目新しいことは書かれていなかったので、この辺りについてはウィリアム・モリス自身の「理想の書物」なんかを読む方がずっといいと思いますね。3・4章はあっさり省いてしまって、もっと1・2章を掘り下げて欲しかったかな。いや、むしろ「ケルズの書」辺りを直接眺める方が、余程楽しかったかも。なんて言ったら、この本の存在価値は...?(笑)(晶文社)

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修道院学校の寄宿舎に暮らすニコルは、寄宿舎と授業が行われる塔を往復する毎日。毎朝礼拝を受け朝食を食べると、自転車で霧の村を通り抜けて塔へと向かうのです。その日は、ニコルたち12人の生徒たちが初めて尖塔へと上がる日でした。最上階に住む院長先生に刺繍を教わるのです。修道院学校の主要教科は刺繍。生徒が刺繍針を持たない日は一日もなく、院長先生の授業を受けられるのは12人の選ばれた生徒だけ。初めて塔の最上階に上がったニコルたちは、早速院長先生の刺繍に驚かされることになります。そして「地球のマント」と呼ばれる黒い布に刺繍をすることに。

こみねゆらさんの「仏蘭西おもちゃ箱」を読んだ時にいまむるさんに教えて頂いた本です。
とてもミステリアスなファンタジー。ものすご~く不思議な雰囲気が漂っていて、こういった情景を日本人作家の作品に見るのは珍しいかも? 読んでいると情景が広がってくるし、自転車の音や小鳥の声が聞こえてくるような気がしてくるほど。うわあ、これ好き! こみねゆらさんの挿絵も素敵だったし、そもそもこの作品はレメディオス・バロというスペインの画家の3枚の作品が元になってできた物語のようなんですね。早速検索してみたら、そのレメディオス・バロの絵もすごく素敵で~。こみねゆらさんの挿絵とも調和してるし、その3枚の絵を見ることによって世界がさらに広がるような気がしました。肝心の物語の最後の最後で少し語り足りない感じもあって、もっと色々なことを明かして欲しかったというのもあったんですけどね。でもすごく好きな雰囲気だし、とても面白かったです。小森香折さんの作品、もっと読んでみたいなあ。と、小森香折さんの既刊を並べてみましたが...

    

「うしろの正面」の佐竹美保さんの表紙は素敵だし、「さくら、ひかる。」も気になりますが、「ニコルの塔」ほどの雰囲気の作品はなさそうかな?(BL出版)


+既読のこみねゆら関連作品の感想+
「妖精王の月」「歌う石」「ドルイドの歌」O.R.メリング
「夏の王」「光をはこぶ娘」O.R.メリング
「夢の書」上下 O.R.メリング
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「こもれび村のあんぺい先生」「にこりん村のふしぎな郵便 」「トチノキ村の雑貨屋さん」「ゆうすげ村の小さな旅館」茂市久美子
「風の誘い」茂市久美子
「仏蘭西おもちゃ箱」こみねゆら
「ニコルの塔」小森香折

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プリハドアシュヴァ仙が語り始めたのは、ナラ王とダマヤンティー姫の物語。ニシァダ国のナラ王子は眉目秀麗で逞しく、望ましい美質を全て具えている王子。ヴィダルバ国の珠玉のように麗しく光り輝くダマヤンティー姫のことを耳にするうちに、ダマヤンティー姫に恋をするようになり、金色のハンサ鳥の助けを得て、大インドラ神、アグニ神、ヴァルナ神、ヤマ神らを差し置いて、ダマヤンティー姫と結婚することに。しかしそれを快く思わなかったカリ魔王は、いまや王となったナラ王に取り憑き、賽子賭博によって王権も財産も全て失わせてしまうのです。ナラ王に残ったのは、何も言わずに付き従うダマヤンティー妃のみ。しかし未だカリ魔王に取り憑かれていたナラ王は、森の中でダマヤンティー妃を置き去りにして1人去って行ってしまい...。

古代インドの大叙事詩「マハーバーラタ」の中の一節。ナラ王と同じよう王国喪失を嘆く王子たちに向かって、ブリハドアシュヴァ仙が語ったという物語です。でも基本的に英雄詩である「マハーバーラタ」とは少し趣きが違うところ、ダマヤンティー姫の婿選びの式の場面の描写、シヴァ神、ヴィシュヌ神が登場していないところなどから、「マハーバーラタ」成立以前、紀元前6世紀頃から存在して、後に叙事詩に組み込まれた作品と考えられているようです。...「マハーバーラタ」も通して読みたいんですが、長いので本を揃えるのも大変でなかなか。こうやってちょっとずつ切り崩していこうとは思ってるんですが。(笑)
表向きの主人公はナラ王かもしれませんが、実質はダマヤンティー姫なんでしょうね。カリ魔王のせいで正気を失っているナラ王に捨てられて、身の危険をすんでのところでかわしながら、夫への愛を貫き通して、最後には夫を取り戻す物語。生き生きとしているダマヤンティー姫に比べると、ナラ王は正直あんまり生彩がないようです。いくらハンサムだとか何だとか言っても、ちゃんと行動で示してくれないと伝わってこないですよぅ。そうでなくても、美人だと噂に聞くだけで、まだ顔も見たことのないダマヤンティー姫に恋しちゃうような人なんですから。しかも、求婚するにも鳥に助けてもらってるし! ...でも、相手が美人だとかハンサムだとかいうだけで恋をしてしまうのは、この辺りでは当たり前のことみたいですね。中身はどうでもいいのか、中身は!(岩波文庫)


+インド神話関連作品の感想+
「屍鬼二十五話 インド伝奇集」ソーマデーヴァ
「ラーマーヤナ」上下 ヴァールミーキ
「インド神話 マハーバーラタの神々」上村勝彦
「ラーマーヤナ」ヴァールミーキ
「マハーバーラタ ナラ王物語 ダマヤンティー姫の数奇な生涯」
「バガヴァッド・ギーター」「バガヴァッド・ギーターの世界」上村勝彦

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1985年の春から秋にかけてトルコのカッパドキア地方に滞在していた新藤悦子さんは、目的の絨毯織りも完成し、滞在許可の期限も切れるため、一旦国を出ることに。再入国すればまた3ヶ月いられるのです。トルコの西隣のギリシャへはもう何度も行ったことがあるし、査証が必要なブルガリアやソ連、シリアは手続きをする時間がないこともあって却下。丁度絨毯に興味を覚えた時で、ペルシャ絨毯の産地も訪ねてみたいと、新藤さんは東側の国境を越えてイランに入国することに。

イランもトルコと同じように、国民の大多数がイスラム教徒。でも1979年のイスラム革命以来、イスラム法が国の法律となったイランで味わうことになる不自由さは、政教分離で自由な雰囲気のトルコとは大違い。イランでは旅行者でもお酒を飲むことは禁止されているし、女性はチャドル着用が義務。たとえばカメラのような高額品を売り払ったりしないようにパスポートにナンバーが控えられるし、音楽テープやファッション雑誌など反イスラム的なものは国境で没収されちゃう。新藤さんもバスの運転手の後ろの一番前の座席に座っていただけで、革命警備隊に言いがかりをつけられたり(女性が近くにいると、運転手の気が散るから!)、父親か夫の同伴なしではホテルにもなかなか泊まれないという現実に直面することになります。テヘランでは、チャドル代わりのイスラミックコートを着ていても、ボタンを外して羽織っているだけで革命警備隊が飛んでくる始末。いやー、イランって想像以上にすごい状態だったのね。と読んでる私まで圧倒されちゃう。
それでもそんな状態に徐々に慣れてくるにつれて、イランという国がだんだんとはっきりと見えてくることになります。イランでも色んな出会いがあって、それぞれがとても印象的だったんだけど、共通して考えさせられるのは祖国と自分との繋がりかな。イラン・イラク戦争の間に外国に出てしまった人は多いし、戦争が終わってからも出たがってる人は沢山いるんです。でも敢えて国から出ないで留まる人もいれば、戻ってくる人もいる。たとえば、芸術家たちのほとんどがイランを出ても、イランを出たら絵が描けなくなると留まり続けた画家のキャランタリー氏。彼の語る、イラン人の持つ「ヘリテージ」の話は色んなところに繋がってきます。あと、ドイツの大学の歯科医学部を卒業して、ドイツでも開業できるにも関わらず、イランに戻るつもりの青年。理由は、ドイツでは常に異邦人だけどイランではそうではないから。「ビコーズ、イッツ、マイン」という言葉がとても印象に残ります。(こんな風に書いてしまうと、本文の重みが伝わらないのだけど...)
チャドルさえ着ていれば、極端な話、下は裸でも構わないんですよね。ましてやこっそりカメラを持ち込んでもバレることなんてないんです。形さえ整えておけば、中身はどうでもいいの?なんて思ってしまうのだけど、新藤さんはそれをしっかり逆手に取ってます。ちゃっかりチャドルに隠れて人々の生活の中に入り込んで、見るべきものはしっかり見ているという感じ。いやあ、この本は良かったな。そういう風に人々の中に入り込んでるからこそ伝わってくるものが沢山あるし、相変わらずの新藤さんの行動力もすごいですしね。(笑)(新潮社)


+既読の新藤悦子作品の感想+
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」新藤悦子
「エツコとハリメ」新藤悦子
「トルコ 風の旅」「イスタンブールの目」新藤悦子
「時をわたるキャラバン」新藤悦子
「羊飼いの口笛が聴こえる」新藤悦子
「チャドルの下から見たホメイニの国」新藤悦子

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