2008年3月 Archive

Catégories: / / /

 [amazon]
「あおいろの童話集」と「あおいろの童話集」に続く第3巻。
でも、うーん、今回は前2冊ほど楽しめなかったような... なんでかしら。北欧系の童話が入ってなかったから? フランス系(多分)の話が結構沢山収められていて、以前読んだ「おしろいとスカート」「十二人の踊る姫君」の雰囲気に近かったのに(感想)、そちらの2冊ほどにも楽しめなかったし... 物語のセレクトのせい? 訳のせい? それともカイ・ニールセンの挿絵じゃなかったから?(笑)
前2冊ではグリム童話が全然採用されていなくて、それがとても意外ながらも好ましかったんですが、今回は全21編のうち最後3作がグリムでした。でもやっぱりグリムはイマイチ。元々嫌いなわけではないんですけど(私が嫌いなのはイソップ)、今の年齢で読むならもっと地方色や民族色の豊かな作品が読みたいって思っちゃうせいなのかも。(東京創元社)


+シリーズ既刊の感想+(東京創元社版)
「あおいろの童話集」「あかいろの童話集」アンドルー・ラング編
「みどりいろの童話集」アンドルー・ラング編
「きいろの童話集」アンドルー・ラング編
「ももいろの童話集」アンドルー・ラング編
「はいいろの童話集」アンドルー・ラング編
「むらさきいろの童話集」アンドルー・ラング編
「べにいろの童話集」アンドルー・ラング編
「ちゃいろの童話集」アンドルー・ラング編
「だいだいいろの童話集」アンドルー・ラング編
「くさいろの童話集」アンドルー・ラング編

+シリーズ既刊の感想+(偕成社文庫版)
「みどりいろの童話集」「ばらいろの童話集」アンドルー・ラング

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
18歳のメリキャットは、姉のコンスタンスと、ジュリアンおじさんとの3人暮らし。両親や他の家族は6年前、砂糖壷の中に入っていた砒素のために死亡。当時コンスタンスがその事件の容疑者となったため、疑惑が晴れてもコンスタンスは自分の庭から先に出ようとしなくなり、ジュリアンおじさんも車椅子暮らしのため、メリキャットが毎週火曜日と金曜日に村に行って食料品を買い、図書館で本を借りてくる日々。しかしその事件が原因で、彼女たちのブラックウッド家は村一番の名家にも関わらず、村人たちの反感は強く、村に行くたびにメリキャットは村人たちに蔑まれたり、子供たちにからかわれたりするのです。

何も知らずに読み始めた時はミステリかと思ってたんですが、これが見事なホラーでした。それも、特に怖い描写とかスプラッタシーンがあるわけではないのに、じわじわと寒くなってくるようなホラー。話は終始メリキャット視点で描かれているので、最初はメリキャットに対する村人たちの悪意の強さが印象的です。彼女が、失礼な村人たちを見ながら「みんな死んじゃえばいいのに」と思っているのも、精一杯の強がりのように見えます。そしてここで村の子供たちの歌う

メリキャット お茶でもいかがと コニー姉さん
とんでもない 毒入りでしょうと メリキャット

という歌がまるでマザーグースの歌のようで、不気味な雰囲気を盛り上げてるんです。
でも読み進めるうちに、徐々にメリキャットの憎悪の方が遥かに強いことにだんだん気づいてきて... そうなると彼女の孕む狂気や世界の歪みが何とも言えないんですよねえ。正直、あんまり私の好みではないんですが、ホラー系の作品が好きな人には評価が高そうな作品。映画にするのも、なかなか不気味でいいかもしれないなあ。(創元推理文庫)

| | commentaire(4) | trackback(2)
Catégories:

tara41.gifたら本に参加します。今回のたらいまわしの主催は、おかぼれもん。のpicoさんで、お題は「音とリズムの文学散歩」。これはまた楽しそうなお題ですね! 音楽関係のお題って、そういえばまだ出てなかったんですねー。私も小学校から高校卒業の頃までずっとピアノを習ってたし、大学時代はロックバンドに参加していたし、今はアルト・サックスを練習中。これはぜひ参加させて頂かなくてはいけません~。
...が、実は私、今すごい風邪をひいていて...
いえ、咳以外の症状はほとんどないと言っていい程度なんですが、咳が酷すぎて夜も満足に寝られない状態なんです。連日の寝不足で頭が若干朦朧としてるので、とりあえず記事はアップしてTBもさせていただきますが、皆さんの所にきちんとお伺いするのは相当ゆるゆるペースになると思います。どうぞご了承くださいませ。

●小説に登場した心を捉えて離さない音楽
●または小説の世界に興味を抱き実際に聴いてみた音楽
●好みの音楽が登場して親近感が沸いた小説
●小説に登場する気になる音とリズム、オノマトペ
●文体のリズムが踊り小説自体がすでに音楽と化している
●小説に感化され楽器(音楽)をはじめたくなった

などなど、音楽を感じ音楽を抱きしめた文学を教えてください。春の足音とか、そのオノマトペはどうなのか等のつっこみも大歓迎! 皆さんが体感した『音とリズムの文学散歩』記事を書いて、こちらの記事にTBしてくださいませ。

この企画に興味をもたれた方は、左上の「たら本」アイコンをクリック!
初めての方も大歓迎です。どうぞお気軽に参加なさって下さいね。

| | commentaire(26) | trackback(12)
Catégories: / /

  [amazon] [amazon]
2001年夏。サンフランシスコに暮らすアミールは、パキスタンにいる古い友人のラヒム・ハーンからの電話を受けます。それは「もう一度やり直す道がある」から会いに来て欲しいという電話。その電話を受けながら、アミールの心は26年前の1975年、12歳の冬にとんでいました。アミールが今の自分となったのは、その12歳の冬の日のこと。事業家で、カブールでも屈指の金持ちだった父親のババ、ハザラ人の召使でありながら、ババの兄弟同然だったアリ、そしてアリの息子で当時アミールと兄弟同然に育っていたハッサンのこと...。

アフガニスタンが舞台という、なかなか珍しい作品。私自身はアフガニスタンについて何も知らなくて... そもそも国の場所自体ちょっと勘違いしてましたしね。もう少し東寄り、インドの隣辺りにあるのかと思い込んでたんですけど、イランとパキスタンの間だったんですね。で、読む前は、こんな状態で大丈夫かしらとちょっと心配だったんですが... そんな必要な知識すら持っていない私にとっても、すごく入りやすい作品でした。
物語自体は、まだまだ平和だった主人公の少年時代から始まっています。主人公が18歳ぐらいの時にクーデターが起きるまでは、アフガニスタンもとても長閑な場所。もちろん平和な中にも色々な問題はあるし、子供時代の主人公が直面しているのはハザラ人に対する民主差別。どの時代であっても、どこの国であっても、子供たちって本当に残酷...。ハザラ人のハッサンの、主人公アミールに対する真っ直ぐな思いが痛々しいです。そしてほんのちょっとの弱さが原因で、ハッサンに対して一生消えない負い目を感じることになってしまうアミールの純粋さも。本来ならハザラ人の召使をどのように扱おうが、誰にも何も言われないんですけどね。そこでこんな思いをしてしまうからこそのアミールとも言えるんですが。
クーデターが起きてからのアフガニスタンは、坂を転げ落ちるように酷い状態になっていきます。後半のタリバン政権下のアフガニスタンの状態には、色々考えさせられてしまうし、読んでいてとてもツライのだけど... やっぱりこれはアミールとハッサンの友情の物語なんですよね。良かったです。(ハヤカワepi文庫)

| | commentaire(2) | trackback(1)
Catégories: / /

 [amazon]
デヴィッド・ラウリーは、2度の離婚歴のある52歳の大学教授。性的欲望は人一倍強いものの、これまではかなり上手く処理してきたつもり。しかし週に1度会っていた娼婦と会えなくなったのがきっかけで、大学の20歳の教え子に強烈に惹かれ、半ば強引に肉体関係を持つことに。ところが彼女にはたちの悪いボーイフレンドがいたのです。デヴィッドはセクハラで告発されて、追われるように大学を去ることになります。そして、しばらく娘のルーシーが経営する農園に身を寄せるのですが...。

J.M.クッツェーという人は全然知らなかったんですが、ノーベル文学賞を受賞した作家だったんですね。そのクッツェーが2度目のブッカー賞を受賞したという作品。
大学での描写があんまり自然なので読み始めた時はうっかりしてたんですが、これはアパルトヘイト撤廃後の南アフリカが舞台の作品なんですよね。それがものすごく肝心要というか、それがなければ成り立たない作品。大学という、いわば白人社会の中でぬくぬくと過ごしてきた大学教授も、一歩外に出ればそこはアフリカ。大学では、ちょっとカッコをつけて、セクハラの査問会でも下手な言い訳なんて全然しないで自分の行動に自信を持ってるデヴィッドなんですが、その大学という砦から一歩外に出れば、そこは黒人社会なんです。娘のルーシーの農場に滞在している時に起きた事件や何かで、彼はそのことをイヤと言うほど思い知らされることになります。大学でのセクハラと農場での事件は一見違うものに見えるけれど、実は同じなんですね。強者と弱者の立場が入れ替わっただけ。結局、デヴィッドは徐々に黒人社会に隷属させられている自分に気づくことになるし、その結果、彼好みの「若くて美しい女との関係」とはまるで違う価値感の幸福を手に入れることになるし...
淡々と書いているようでいて、読後感は意外と濃厚な作品でした。そういえば、私が小学校の時の友達に、お父さんの仕事の関係で何年か南アにいたという子がいたんです。その頃のことだから、日本人は名誉白人という立場だったはずだし、彼女の家に遊びに行くと実際、欧米人の家みたいでカルチャーショックを受けたものですが(笑)、それでも色々なことがあったようです。その頃も色々な話を聞かせてくれたんですが... その後私も彼女も引越してしまって、今は音信不通になってしまってるんですよね。仲良かったのになあ。とても残念。(ハヤカワepi文庫)

| | commentaire(8) | trackback(1)
Catégories: / / /

    [amazon]
アダム・トラスクは、1862年、コネチカット州の農家の1人息子として生まれた少年。しかしコネチカット連隊に召集されていた父・サイラスが帰宅すると、トラスク夫人は夫から戦争から持ち帰った感染症にうつされ、それを苦に自殺。サイラスはすぐに近所に住む農夫の娘に目をとめて再婚し、アダムの1歳年下の弟となるチャールズが生まれます。軍隊を礼賛しているサイラスは、2人の息子に軍隊式の訓練を強要。弟のチャールズは力でも技でもアダムに勝り、軍隊式の訓練も受け入れていましたが、暴力や争いの嫌いなアダムにとって、それは苦痛でしかない習慣。しかし父は2人が成長した時、いかにも軍隊に向いていそうなチャールズではなく、アダムを騎兵隊に送り込んだのです。

ジェームス・ディーン主演で映画にもなってるこの作品なんですが、私は映画も観てなければストーリーも全然知らない状態。なんとこんな大河ドラマだったとはー。ええと、アダム・トラスクとその弟チャールズ、アダムの息子のキャルとアロンという、2世代の4人の男たちが中心となってる物語なんですけど、ジェームズ・ディーンがやってたのは、アダムの息子・キャル役だったみたいですね。話の最初から最後までちゃんと映画化してるかどうかは知りませんが。作中にはスタインベック自身もちらっと登場して、自伝的作品でもあったのか! と、またまたびっくり。

で、この作品で唯一事前の知識として知ってたのは、聖書の創世記のカインとアベルの話をなぞらえてるという部分だったんですが、アダムとアロンが「アベル」で、チャールズとキャルが「カイン」ということなんですね。ということはA(アベル...アダムとアロン)とC(カイン...チャールズとキャル)の対立ということなのか。羊飼いであるアベルの捧げ物は神に受け入れられたのに、農夫であるカインの捧げ物は受け入れられなかったのと同様に、アダムとアロンは父に愛され、チャールズとキャルは父の愛情を感じられなかったという図。
でもこの4人を見てて感じたのは、純粋すぎるアダムやアロンの弱さ。この世が既にエデンの園ではない以上、純粋すぎる人間は生き延びていくことができないってことなんですかねえ。アダムもアロンも万人に愛されるような人間だけど、悪に対する抵抗力が全然ないんです。だから悪そのもののキャシーという1人の女性に滅ぼされちゃう。それに比べて、キャルとチャールズは強いです。自分の中にある悪を持て余して苦しみながらも、生きぬく力は十分持っているんですよね。作中に効果的な嘘のつき方の話が出てきたけど、嘘の中に真実を少し混ぜるだけで、あるいは真実の中に嘘を少し混ぜるだけで、その嘘がすごく強くなるのと同じようなことなんだろうな。
読み始めた時はこんな大河小説とは知らなかったので、一体誰が主役なんだろう?って感じだったんですけど、いやあ、面白かったです。こんなに面白いとは思わなかった。随分前に読んだっきりなのですっかり記憶が薄れてるんだけど、パール・バックの「大地」を思い出しました。4人以外の登場人物もそれぞれ良かったですしね。私が断然気に入ったのは、アダムの家にコックとして雇われる中国人のリー。でも映画にはリーは登場しないんだそうです。勿体ないなー。(ハヤカワepi文庫)

| | commentaire(3) | trackback(0)
Catégories: /

  [amazon] [amazon]
「いろいろ月記」は、バッグアーティストの中林ういさんが、4月は「草のみどり」、5月は「空のあお」というように月ごとのテーマカラーを決めて、その時々の自然の情景や、それらの情景に触発されて作った手作りの物を紹介したりしていく本。見慣れた聞き慣れた行事でも、ちょっとした思い付きのイベントでも、ほんの少しの手作りで一層楽しく素敵になるんですよね。こういうのは、毎日をただ「忙しい~」と慌しく過ごしているとできないワザだな。(「忙しい」っていう言葉は、一回口にするごとにテキメンに心をなくしていくように思えてイヤ) しかも中林ういさんが、ごく自然体のままで色んなことを楽しんでるって感じなのが素敵。(何事においても、どこか気負ってるのを感じさせる人って見ていて痛々しくなっちゃう) その時々に披露される中林家にまつわるエピソードも楽しいものばかりだし、読んでいると自分もゆったりとした気分で日本の四季を楽しみたくなります。
そして「サルビア歳時記」は、木村衣有子さんの文章、セキユリヲさんのイラスト、徐美姫さんの写真で、こちらも素敵なんですよ~。その月ごとの花や行事、料理、季語、その月に相応しいかさね色などが紹介されていく本です。かさね色では、その季節の花の美しい色そのものだけでなく、色あわせも楽しめるところがポイントですね。おお、こういう色合わせができるんだ、綺麗! と新鮮な気持ちで眺めたりなんかして。その月に忘れないようにしたい三箇条が書かれているところも楽しいし。ただ、見た目にも色彩を楽しめるように作られている本なのに、最後の3月の章だけは白黒なんですよね。予算の関係なのかもしれませんが、せっかくなのに残念。

以前読んだおーなり由子さんの「ひらがな暦 三六六日の絵ことば歳時記」(感想)も可愛かったけど、私の好みとしてはこんな風に月ごとになってる方が、心地よく季節のうつろいが感じられて好きかも。そしてこの2冊、表紙の色のトーンがとてもよく似ていて、まるで双子本みたいなんです。この画像からは分かりにくいんですが、「いろいろ月記」の表紙の実の色が「サルビア歳時記」の地の色とほとんど同じだし。同じ日にこの2冊を手に取るというのもすごいなあ、なんて並べて眺めながらほけほけと感じていたり。(PHP研究所・ピエ・ブックス)

| | commentaire(0) | trackback(0)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.