2009年11月 Archive

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大学3年の由布は、伯母が営む小さな飲み屋・雁木亭でアルバイト中。そんなある日、由布が開店前の掃除をしていた時にやって来たのは、雁木亭の常連の1人、浜中。浜中は息子のいる茨城に引っ越すことになり、挨拶にやって来たのです。伯母は店の奥にある井戸の水を由布に汲ませ、その水を浜中に飲ませます。その井戸の水には不思議な言い伝えがあり、潮ノ道を出る時にこの水を飲んでおけば、必ずまたこの地に戻って来られるというのです... という「帰去来の井戸」他、全7編の連作短篇集。

お久しぶりの更新です... が、すみません、まだ復活したというわけではないのです。まだまだ充電中なのですが~。
光原百合さんの本が出たので! 出たら感想を書くとお約束してたので! それと1つ下の記事は、いただいた本のお礼がてらの感想です。

このシリーズは「オール讀物」に不定期に掲載されていて、その時にほとんどの作品を読んでいるのですが、通して読むのは今回が初めて。光原百合さんの潮ノ道を舞台にしたファンタジーのシリーズです。もうほんと大好きで、本になるのが待ち遠しかったんですよー。通して読めて嬉しい! あ、でも、表題作の「扉守」以降はブログに感想を書いてるんですが、1作目の「帰去来の井戸」は、どうやら今回初めてだったみたいです。それに「桜絵師」も読んでない... これは「小説現代」に掲載だったんですね。いやん、知らなかった!(というより、教えて頂いたのに頭からすっぽり抜けてしまっていたのかも...)

今回、本のタイトルが「扉守」となっているのが、実は少し意外だったのです。てっきり「潮ノ道幻想譚」とかその手のタイトルになるかと思いこんでいて、作品の1つのタイトルが本全体のタイトルになるとは思ってなくて。でも改めて通して読んでみて、なんとなく分かったような気がしました。1作ずつ読んでいた時は気がついてなかったんですけど、「扉守」はシリーズの方向性を決定づけた作品というか... それまでの「帰去来の井戸」も「天の音、地の声」も、言ってしまえば十分そういう作品だったんですけど、ここまではっきりとは定まってなかったような気がしますね。なんというか、ここでしっかりと楔を打ち込まれた... というのは言葉の使い方を間違えてるような気もしますが(汗)、そんな印象がありました。
どの話もそれぞれに良かったし、すごく好きな場面が色々と。例えば「帰去来の井戸」の小舟の場面とか... 冴え冴えとした満月の光が水に映るのが感じられてとても素敵。あと「天の音、地の声」の、夕暮れの中の宵闇色の猫とか、「ピアニシモより小さな祈り」の終盤の和音が響く場面とか。...あ、夜の場面ばかりだ。そうか、だからこの本の表紙絵は夜のイメージだったのか。(と、今頃納得してみたり) あ、でも「桜絵師」の満開の桜の場面もとても素敵だったなあ。満開の桜って、とても美しいんだけど美しいだけじゃない何かがありますよね。そんなイメージにぴったりで。そして話としては、最後の「ピアニシモより小さな祈り」が一番好きかな。私自身がピアノに思い入れがあるせいが大きいかもしれませんが、読んでいるとじんわりと胸が熱くなります。でもどの話もそれぞれに大好き。零さんのピアノも実際に聴いてみたいし、サクヤさんたちの芝居も観たいし、行雲さんの絵も見てみたい。満月の夜の小舟も見てみたくてたまらない... どの話を読んでも、潮ノ道に行ってみたくて堪らなくなります。まだまだ続いて欲しいシリーズです。(文藝春秋)


+既読の光原百合作品の感想+
「ありがと。 あのころの宝もの十二話」ダ・ヴィンチ編集部編(「届いた絵本」)
オール讀物11月号(文藝春秋)(「扉守」)
小説NON 11月号(祥伝社)(「希望の形」)
小説推理・オール讀物・星星峡(「1-1=1」「クリスマスの夜に」「オー・シャンゼリゼ」)
「最後の願い」光原百合
光原百合ベスト3@My Best Books!
「尾道草紙」尾道大学 創作民話の会
「銀の犬」「親切な海賊」光原百合
オール讀物 2007年10月号(「写想家」)
「嘘つき。 やさしい嘘十話」ダ・ヴィンチ編集部編(「木漏れ陽色の酒」)
オール讀物 2008年11月号(「旅の編み人」)
「新・本格推理 不可能犯罪の饗宴」二階堂黎人編・オール讀物 2009年8月号(「ピアニシモより小さな祈り」「花散る夜に」)
「イオニアの風」光原百合
「扉守 潮ノ道の旅人」光原百合
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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高校1年の秋。文化祭を前に化学部の硫酸銅の結晶がなくなり、文化祭の実行委員をしている穂村チカは、同じ吹奏楽部所属で幼馴染の上条ハルタに助けを求めます。硫酸銅の結晶は透明で美しい青色が人気の結晶なのですが、実は劇薬。警察に届けるべきなのは分かっていても、一旦届けてしまえば文化祭は間違いなく中止になってしまうのです... という「結晶泥棒」 他、全4編の連作短篇集。

先日サイン本を送って頂いたんですけど! お礼のメールをしようとしたのに、本に挟まっていた名刺をなくしてしまって、連絡先が分からなくなってしまいました...。ということで、本の感想を書いてお礼に代えさせていただきます。Uさん、ごめんなさいーーー。そして、いつもありがとうございますーーー。

この本を読んだのは先日の三連休の時。久々に「のだめカンタービレ」のDVDを観はじめたらすっかりハマってしまって、読書がすっかりお留守になってしまったんですけど、この作品は高校の吹奏楽部の生徒が中心になってるので、微妙にリンクしててすごく楽しめました。ああ、オーボエってそういう楽器だったのか、とか。そう知ってみると、のだめの黒木くんは、どんな風にオーボエを選んだのかなーとか考えてしまいます。(もちろんその音色が一番の理由でしょうけど) 吹奏楽部の割に、肝心の楽器演奏の場面がほとんどなかったのが、少し残念だったんですけどね。

初めての作家さんの作品なので、読む前にどんな雰囲気なんだろう?とドキドキしたし、最初にハルタが引きこもりっぽかったので、ちょっとキケン...? と思ったんですが、読み進めてみれば全然大丈夫でした。音楽とミステリ。そして青春。雰囲気はちょっと軽めだけど、なかなかいいですねえ。これは米澤穂信さんの古典部シリーズを思い出すわーー。と思いつつ読み進めてみれば、やっぱりそう感じてらっしゃる方が多いようで!
白いルービックキューブの話も良かったし、表題作「退出ゲーム」での即興劇も面白かった。「エレファンツ・ブレス」 の意外な方向への展開も楽しめたし。みんなの憧れの草壁先生の魅力は今一つ伝わってこなかったのが残念だったんですが、演劇部の名越や看板女優のマヤ(笑)、生徒会長の日野原や発明家の萩本兄弟、ミステリアスななサックス吹きのセイ・マレンなど脇役にも楽しい面々が揃ってるし、これはぜひ続編に期待したいと思います... と思ったら、既に出てるんですね。「初恋ソムリエ」、今度はこちらも読んでみます。(角川書店)

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本を読んでは感想をアップし続けているこのブログですが、思うところあって、しばらくの間更新をストップしようと思います。
復帰予定は未定ですが、とりあえず年内いっぱいはお休みするかと。とは言っても、別に体調が悪くて入院!とか、そういうのではないですので、心配なさらないでくださいね。まあ、サイトももう丸10年休まず続けてきてるので、ここらで一休みしてみるのもいいかなあ、という感じでしょうか。
ネットから消えてしまうわけではないので、その辺りにちょこちょこいると思います。見かけたら声をかけてくださいね。そしてまたここに戻ってきた時は、温かく迎えてやって頂けると嬉しいです~。ということで、どうぞよろしくお願いします。^^

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14歳のカッレは名探偵に憧れ、ロンドンの貧民窟やシカゴの暗黒街に生まれたかったと思っている少年。日々怪しい人物をチェックし、町の治安を守るために見回りを欠かさず、空想の中で「探偵ブルムクヴィスト」になっては、いっぱしの名探偵ぶって「架空の聞き手」相手に捜査や推理の基本を語ってきかせています。しかし実際には、カッレは小さな町の食料品店の1人息子。カッレが住む平和な町では事件など望むべくもないのです。そして夏休み。遊び仲間の靴屋の息子のアンデスと、パン屋の娘のエーヴァ・ロッタと一緒に毎日のように遊びまわっているカッレの前に現れたのは、エーヴァ・ロッタのお母さんの弟だというエイナルおじさん。エイナルおじさんはエーヴァ・ロッタの家にしばらく滞在することになり、何かといえばカッレたち3人につきまとうのですが...。

子供の頃の私にとってリンドグレーンといえば、まずこのカッレくんのシリーズ。もう何度読んだか分からないぐらい大好きでした。ピッピもいいんですけどね、破天荒で突拍子のないことをしてばかりのピッピよりも、この3人の方が好き。現実味があって、身近な存在に感じられたからかも。このシリーズを最初に読んだのは、多分小学校3年生の頃だから、9歳のピッピよりも14歳のカッレたち3人の方が大人っぽく感じられて良かったというのもあったのかも。
ケストナーの「エーミールと探偵たち」はもう読んでたかもしれないけど、ホームズやルパンを読むようになる前で、「探偵」という存在にもあまり馴染んでなかった頃。カッレくんが憧れるエルキュール・ポワロやピーター・ウィムジィ卿の存在も知らなかったし(アスビョーン・クラーグは未だに知らない)、歴史上のバラ戦争なんていうのも、もちろん初耳。でもカッレたち3人の「白バラ軍」と、それに敵対する「赤バラ軍」のバラ戦争にも「いく千いく万の人命は、死と死の暗夜に落ちてゆくであろう」という言葉にもワクワクしたし(この言葉は、今読んでも本当にかっこいい)、夜中にこっそり家を抜け出しての冒険ときたら! そしてエーヴァ・ロッタのパパがくれる甘パンの美味しそうなことったら!

で、今回久しぶりに本を手に取ったんですけど、やっぱりすっごく面白かった~。これは本当に大好きです。展開も全て覚えてるというのに、すっかり童心に戻ってワクワク。でもそんな風にワクワクしつつも、早く名探偵になりたくて背伸びしてるカッレくんが、たまらなく可愛かったりなんかもして~。この辺りは自分が年を重ねた分、受ける印象がちょっぴり変わりますね。そういう描写がその時よりも目につくというか。一緒に白バラ軍に入って活躍したい(というかエーヴァ・ロッタになりたかった)と思ってた子供の頃とは違って、温かい目で見守る側になってる自分を再認識してしまう...。そして空想の中の事件だけでなく現実の事件に触れることによって、3人が大人の世界を垣間見る部分なんかでは、ああ、まだまだ大人になってしまうのは早いよ、1日でも長くこの幸せな時間を過ごさせてあげたいな、なんて思ってしまう...。
と言いつつ、入れるものなら今でもやっぱり私も白バラ軍に入りたいですけどね。で、赤バラ軍と戦争をしたい! 聖像の争奪戦を繰り広げたい! 白バラ軍はもちろんだけど、赤バラ軍のシックステンとベンカとユンカだって、とっても気持ちいい男の子たち。赤バラも白バラも、読んでる私まで気持ちよくなってしまうほど素敵な子供たちです。やっぱりいいな、このシリーズは。いくつになっても、子供の頃、最初にこのシリーズを読んだ頃の自分を思い出させてくれるみたい。うふふ、大好き。(岩波少年文庫)


+既読のリンドグレーン作品の感想+
「長くつ下のピッピ」「ピッピ船にのる」「ピッピ南の島へ」リンドグレーン
「やかまし村の子どもたち」「やかまし村の春・夏・秋・冬」「やかまし村はいつもにぎやか」リンドグレーン
「名探偵カッレくん」「カッレくんの冒険」「名探偵カッレとスパイ団」リンドグレーン

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