2010年3月 Archive

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お久しぶりです。
先月、ブッツァーティ「神を見た犬」を読んだのに、数に入れるのを忘れてました。これ、ものすごく良かったのに! 仕方がないので、今月の分で勘定することにしますね。
ということで、2月に読んだ本は以下の通りです。


「神を見た犬」ブッツァーティ
「ラウィーニア」アーシュラ・K・ル=グウィン
「白い果実」ジェフリー・フォード
「お菓子と麦酒」サマセット・モーム
「フーガ」マルセル・ビッチ、ジャン・ボンフィス
「和声の歴史」オリヴィエ・アラン
「バイオリニストは目が赤い」鶴我裕子
「マーリン」2・3 サイモン・フォワード
「指揮のおけいこ」「オーケストラの職人たち」「音の影」岩城宏之
「J.S.バッハ」礒山雅
「ピアノQ&A 136」上下 横山幸雄
「初恋ソムリエ」初野晴
「バッハの音符たち―池辺晋一郎の「新バッハ考」」池辺晋一郎
「バッハからの贈りもの」鈴木雅明・加藤浩子
「バッハの風景」樋口隆一
「音楽の形式」アンドレ・オデール
「オーケストラが好きになる事典」緒方英子
「岩城音楽教室」「フィルハーモニーの風景」岩城宏之
「西洋音楽史-「クラシック」の黄昏」「CD&DVD51で語る西洋音楽史」岡田暁生
「反哲学的断章-文化と価値」ヴィトゲンシュタイン
「『アエネーイス』ローマ建国神話」プープリウス・ウェルギリウス・マロー
「音楽の歴史」ベルナール・シャンピニュール
「指先から感じるドビュッシー」青柳いづみこ(再読)
「ドビュッシー-想念のエクトプラズム」青柳いづみこ


特に面白かったのは、本当は1月に読んだ「神を見た犬」、そして「ラウィーニア」かな。
「神を見た犬」は短篇集。基本的に短篇が苦手な私なのに「神を見た犬」はものすごく良かったので、つまり相当いい作品だということです。(どんな論理だ) エドモンド・ハミルトンの「フェッセンデンの宇宙」が好きなのと丁度同じような感じで好き。(意味わからん) 光文社古典新訳文庫にはあまり手を出すつもりはないんですが、プリーモ・レーヴィの「天使の蝶」はものすごく気になってます。この「神を見た犬」、そしてロダーリの「猫とともに去りぬ」と同じ訳者さんだからハズレはないでしょう、きっと。
「ラウィーニア」は、ル=グウィンの作品だから読むという方が多いと思うんですが、私は「アエネーイス」の方向から。なかなか良かったですねえ。「アエネーイス」を全然知らなくても大丈夫だと思いますが、私は再読したくなったよ!(そして実際にした) でも「アエネーイス」のいい訳本ってほんとないのよね...。


軽くジャンル分けをしてみると、こんな感じです。

海外(一般)
      

「神を見た犬」「ラウィーニア」はすごく好き! でも「『アエネーイス』ローマ建国神話」は... うーん、私の好みの訳ではなかったな。今まで読んだ3冊のうちでは京大出版のが一番良かったかも。(岩波文庫版は私にとっては睡眠薬も同然) 「白い果実」は、独特の雰囲気がとても素敵。山尾悠子さんの文章で読めるというのが素晴らしい。金原瑞人さんの訳のままだったら、きっと読まなかったもの。そしてそういう配慮ができる金原瑞人さんも素晴らしい。これは3部作だそうなので、続きも読むつもり。「お菓子と麦酒」は、大学の時以来のサマセット・モーム。ロウジーという散々な言われようをする女性がいるんですけど、彼女が可愛くて~。最後は彼女の大逆転の一人勝ちなのが楽しかった。「マーリン」は、2はすごく面白かったんだけど、3はちょっと深みが足りないかな。でも1で単なるイヤなヤツだったアーサーのいいところがだんだん見えてきました。先も楽しみ。(いつ出るんだろう?)


海外(音楽関係)
   

バッハは聴くのも弾くのも好きなんですが、聞く人が聞いたら、私が曲の構造的なことをあまり分からないまま弾いてるのが一目瞭然なはず。千秋さまに「こいつ全然分かってない」って言われちゃう! ということで、ちょっぴりお勉強モードです。でも左の2冊は私にはちょっと難しすぎました...。実際に音を聴きながらだったら、もっと分かったのかもしれないですけど、たまに譜面が出てくる程度だと、かなりキビシイ。で、バッハだけに的を絞った本を読んでもいいのかもしれないなあ、と数冊読んでみたのは「国内(音楽系)」にて。


海外(その他)

なぜ哲学者の本を... というのは、先日Kotaniguchiさんとシューマンとブラームスについての話をしたから。(話をしたというより、教えて頂いたという方が正確)「反哲学的」だし「断章」なので、それほど難しくはないんですが、こういうのって読むのに時間がかかります。1つ読むごとに立ち止まって考えちゃうから、流れるようには読めない! でも面白かった。と思ったら、訳者あとがきに「文章は正しいテンポで読むときにだけ、理解することができる。そういう場合がときおりある。わたしの文章は、すべて、ゆっくりと読まれるべきだ」というヴィトゲンシュタインの言葉が紹介されていて、深く頷く。
でもその「正しいテンポ」は、人によって違うものだよね。そして他人と自分のテンポを比べてとやかく言うほど無駄で虚しいことはないと思う。


国内(一般)

「初恋ソムリエ」は「退出ゲーム」の続編。話としては面白かったんだけど、せっかくの吹奏楽部の話なのに演奏のシーンがまるでないのが残念。練習の場面は少しだけあるんだけどね。これだけですかーー。


国内(エッセイ)
      

鶴我裕子さんは、NHK交響楽団で第1ヴァイオリニストを長年努めてきた方。すごく親しみやすい文章で、内容も面白いです。音楽家の方のエッセイって面白いのが多いな。特に面白かったのは、同じくN響の茂木大輔さんと共通する部分でしょうか。同じ事柄を書いていても、受ける印象は随分違います。あと今月は岩城宏之さんの本を沢山読みました。この方は指揮者。名古屋フィルハーモニー交響楽団初代音楽総監督、NHK交響楽団正指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督、東京混声合唱団音楽監督、京都市交響楽団首席客演指揮者、札幌交響楽団桂冠指揮者、メルボルン交響楽団終身桂冠指揮者... とすごい肩書。日本とオーストラリア以外では、ウィーン・フィルやベルリン・フィルなどヨーロッパ中心に活躍されていたみたい。4年ほど前に亡くなってるので、既に指揮者姿を拝見できないのが残念ですが...。こんな著名な方の割に、結構ちょこちょこと行動していて、楽器運送業で1日アルバイトをしてみたり、日本全国のオーケストラに電話で取材していたりするのが楽しいです。「オーケストラが好きになる事典」は、サックスを吹かれるという緒方英子さんの本。これは... 目の付けどころは悪くないのに、今一つ整理しきれてないって感じでしょうか。もっと上手く構成・編集すれば、もっと面白くなったはず。丁寧に作ってるのは分かるんだけど。


国内(音楽系)
         

エッセイも音楽系ですが、こちらはもっとお勉強寄りの本です。バッハの本4冊は、それぞれに面白かった。「バッハの音符」の、作曲家の池辺晋一郎さんによるバッハの楽譜の分析もすごく興味深かったし... 「バッハからの贈りもの」の鈴木雅明さんは、チェンバロ・オルガン奏者。古楽演奏家として海外でも評価の高い方なのだそう。他の作曲家の作品をやってみても、やっぱり自分の家に戻るようにバッハに戻って来てしまうと仰ってる言葉がとても印象的でした。それにしても、本当に演奏するためにはこれだけ深く知ってないとダメなんですねえ。「ピアノQ&A 136」はピアニストの横山幸雄によるピアニズム。最初は初心者向けで始まってだんだんレベルアップ、最後の方は専門的にピアノを勉強してる人向けになります。(だから下巻の方が面白い) 次の2冊は西洋音楽史。2冊目は1冊目で書いた内容に即したCDやDVDを紹介していくものなので、ある意味セットですね。ここに紹介されてる51枚を順番に並べて、この本を読みながらかけたいぞ! 次は青柳いづみこさんの本2冊。ドビュッシーを練習しようと思って「指先から感じるドビュッシー」を再読、「ドビュッシー 想念のエクトプラズム」は今回初読み。ヴェルレーヌやランボーの話が出てくるとは思ってなかったのでびっくり。長かったけど、面白かった。


こんなところです。音楽関係の本が随分多くなっちゃいました。本当は塩野七生さんの「ローマ人の物語」の残り2冊を読んでしまおうと思ったんですけど、単行本は重くて持ち運びできないので、やっぱりやめました... 文庫になったら読むことにします!

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