Catégories:“2005年”

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インドで生まれ育ったメアリは、いつも不機嫌そうな表情をした可愛くない少女。両親にまるで構ってもらえず、インド人の乳母に任されっ放しとなった結果、すっかり我儘娘に育っていました。しかし突然のコレラの流行によって両親は亡くなり、メアリはイギリスのヨークシャーに住む叔父に引き取られることに。叔父は最愛の妻を失って以来、何事にも無関心。広大な屋敷の部屋も、ほとんどが閉め切られ、かつて叔父の妻が丹精していた美しい庭も、10年間締め切られたままだったのです。

岩波少年文庫再読計画第12弾は、以前から再読したいなあと思っていた「秘密の花園」。この作品を書いたバーネット夫人は「小公子」「小公女」の方が有名で、「秘密の花園」は読んでないという方も多いようなんですが、でもこれもすっごくいい作品。この3作の中では、私はこの「秘密の花園」が一番好きかも。「小公子」も捨てがたいんだけど...(「小公女」だけは、私の中で少し落ちます(^^;)

主人公のメアリは、「小公子」のセドリックや「小公女」のセーラと違って、ものすごーくイヤな子。人に奉仕してもらうのが当然だと思い込んでるし、気に入らないことがあったらすぐ癇癪を起こすし... でもそれって、彼女の両親がまるで彼女に構ってあげなかったからなんですよね。父親は仕事が忙しく病気がちで、母親はパーティにしか興味がない人間。そんな人たちが子供なんて作るなッ...!と言いたくなっちゃいます。(大人になった今だからこその感想かしら) でもそんなメアリでも、ヨークシャーに来てからだんだんと変わり始めて、その成長物語が本当に清々しいんです。それにメアリが変わるにつれて、その影響が周囲にも出て、最終的には大人や屋敷全体も変えちゃう。実はとても大きな「生きる力」を描いた物語だったんですね。
子供の頃読んだ時は、広い屋敷の探検に憧れたし、ムーアや秘密の花園の情景にドキドキしたんですが、今回はむしろ人間の方に目がいきました。特に印象的だったのがディコン。ディコンのお姉さんでメイドのマーサの率直さも気持ちがいいし、マーサやディコンのお母さんの包み込むような愛情の暖かいこと... それほど出番は多くないのに、すっかり場を攫ってくれました。そして子供の頃に読んだ時ほどメアリが嫌な子に感じられなかったです。彼女なりにすごく必死なのが伝わってきて、読んでいて応援したくなっちゃいました。(岩波少年文庫)

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5年前に離婚した夫にしつこくつきまとわれ、思わず殺してしまった花岡靖子。その時靖子に声をかけたのは、アパートの隣室に住む高校の数学教師・石神でした。石神は自分に任せておけば全てが上手く行くというのですが...。

「探偵ガリレオ」「予知夢」に引き続き、湯川学と草薙刑事の登場する作品。でもこれって単純にシリーズ物と言ってしまっていいのでしょうか! これまでの2作品は湯川の物理の知識を生かした、いわば理科の実験を見てるような楽しさのある連作短編集だったんですけど、この作品は雰囲気がまた全然違うんです。本格ミステリでありながら、純愛小説。
アリバイは完璧なのに、靖子を疑い続ける警察。そして警察の先手を打って着実にコトを進める石神。実はこの石神、かつては50年か100年に1人の逸材とも言われた数学の天才で、湯川学とは、帝都大学の同期だったんですねー。まず、この2人の頭脳対決が見もの。コトの真相には、びっくり。でもそういうミステリ的部分よりも、石神の純愛の方が印象的でした。客観的に見て、靖子は石神がそこまで惚れこむほどの女性とは思えなかったんですが、でも石神にとって、そんなことはどうでも良かったんでしょうね。彼のダルマのような体つきと無表情な顔の奥に隠された深い感情... 最後の慟哭は切なかったです。(文藝春秋)


+シリーズ既刊の感想+
「探偵ガリレオ」「予知夢」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「容疑者Xの献身」東野圭吾

+既読の東野圭吾作品の感想+
「ちゃれんじ?」東野圭吾
「さまよう刃」東野圭吾
「黒笑小説」東野圭吾
「さいえんす?」東野圭吾
「夢はトリノをかけめぐる」東野圭吾
「赤い指」東野圭吾
「たぶん最後の御挨拶」東野圭吾
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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今回の「セ・シーマ」の「名探偵夢水清志郎の謎解き紀行」は、なんとオリエント急行が舞台。トルコのイスタンブールからフランスのパリまで列車の旅をするというのです。早速イスタンブールへと飛ぶ夢水清志郎。そして同じ列車に乗ることになったのは、怪盗クイーン、探偵卿、海賊、トルコの犯罪組織・黒猫の双子の兄妹... 残念ながら、今回岩崎三姉妹は留守番です。

今回は名探偵夢水清志郎(教授)と怪盗クイーンが共演なんですが、なんと挿絵も共演です。村田四郎さん描かれる教授と、K2商会さん描かれる怪盗クイーンが表紙に! ...なのですが、あまりの違和感のなさに、最初全然気付かなかった私... 私の目って変?!
可笑しかったのは、教授とクイーンが季節の贈り物をする間柄だったってこと。クイーンのカリブ海クルージングのお土産のお返しに教授が送ったのは、コタツやみかん、綿入れ半纏などが入った「日本の冬気分セット」ですって。半纏を着てコタツに入ったクイーン、機嫌よく手作りおでんなんかも用意しちゃいます。ま、それがまたジョーカーを怒らせることになるのですが...。
結果としては引き分けなんですけど、どうも印象としては教授の方がいいとこが多かったような気がします。クイーンはジョーカーにこっぴどく叱られるし、1人トルバドゥール号出て行っても誰にも心配してもらえないどころか... だし、変装をあっさり見抜かれてしまったりもするし... 逆に、いつもは暇さえあれば意地汚く食べている印象の教授(今回もかなり食べてますが!)、なかなかかっこ良かったです。でも岩崎三姉妹がお留守番で、出番がほとんどなかったのが残念。次回はぜひみんな一緒で! (講談社青い鳥文庫)


+シリーズ既刊の感想+
ブログにはこれ以前のシリーズ作品の感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「虹北恭助のハイスクール・アドベンチャー」「笛吹き男とサクセス塾の秘密」はやみねかおる
「オリエント急行とパンドラの匣」はやみねかおる
「卒業 開かずの教室を開けるとき」はやみねかおる

+既読のはやみねかおる作品の感想+
「都会のトム&ソーヤ2 乱!RUN!ラン!」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ3 いつになったら作戦(ミッション)終了?」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ4 四重奏(カルテット)」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ5 IN塀戸(VADE)」はやみねかおる
「都会のトム&ソーヤ6 ぼくの家へおいで」はやみねかおる
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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昨日に引き続き、ファンタジー系のブックガイドとなるような本です。今回は、臨床心理学者だった河合隼雄さんの著書。

「猫だましい」は、「トマシーナ」(感想)の解説が河合隼雄さんだったことから知った本。猫だましいとは、猫「たましい」と「だまし」を掛けたタイトルとのこと。本当はこの「猫だましい」の方が本命で、「長靴をはいた猫」、「空飛び猫」、「100万回生きたねこ」、「こねこのぴっち」、「トマシーナ」、「猫と庄造と二人のおんな」、その他モロモロ昔話に登場する猫の話から「綿の国星」まで、古今東西の猫の話が登場して、きっとすごく楽しめるだろうと思ってたんですけど... うーん、「ファンタジーを読む」を先に読んだせいか、少し霞んでしまいました。「ファンタジーを読む」の方が、1つ1つの作品に対する掘り下げが丁寧で、「そうだったのか!」が色々とあって面白かったです。

その「ファンタジーを読む」は、お馴染みのファンタジーの名作13冊に、心理療法家としての観点から新たな解釈が加えられたもの。13冊中、私の既読は9冊。あらすじが丁寧に紹介されているので、未読でも全く困らないんですが... やや丁寧すぎるきらいもあるので、やっぱり実際に自分で読んでからの方がいいかも。未読の4冊には、近々読もうと思っていた「七つの人形の恋物語」(ギャリコ)も入っていて、それを読んでからにすれば良かった... とちょっぴり後悔しました。
でも知ってる作品については、「そうか、そうだったのか」がいっぱい。特に「マリアンヌの夢」と「人形の家」、「ゲド戦記」には、納得できる部分が色々とあって良かったです。そして「北風のうしろの国」(マクドナルド)のところで出てきた、「ファンタジーが深くなる、あるいは、無意識界への下降が深くなると、それはきわめて死と近接したものとなる」という言葉にも、なるほど!でした。
でもリンドグレーンの「はるかな国の兄弟」については、もう少し書いて欲しかったかな...。これは私も子供の頃読んで、挿絵は綺麗だし物語は幻想的だし、大好きな作品だったんですが、子供心に色々な「不思議」が残ってしまっていたんですよね。この本では、その「不思議」は解消されず仕舞いのまま。(いつかこの「不思議」が解消される日は来るのかしら?)

そしてこの「ファンタジーを読む」と対になるような、「子どもの本を読む」という本もあったんですね。知らなかった。こちらもぜひ読んでみたいです。(新潮文庫・講談社プラスアルファ文庫)


+既読の河合隼雄作品の感想+
「猫だましい」「ファンタジーを読む」河合隼雄
「子どもの本を読む」河合隼雄

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ファンタGメン'05編集の「次の一冊が決まらない人のためのファンタジーブックガイド」と、石堂藍さんの「ファンタジー・ブックガイド」。次の1冊が決まらないなんてことないし、むしろなるべく次の1冊を増やさないようにしてるんですが(笑)、こういう本って好きなんですよね... で、「次の1冊」がどどんと増えました(^^;。

「次の一冊が決まらない人のための~」の方は、「ハリー・ポッター」でファンタジーにハマってはみたものの、作品数が多すぎてどれを次に読んだらいいのか分からない、という人のためのブックガイド。全部で40作品が紹介されてるんですけど、比較的最近の作品ばかりですね。古典的な名作っていうのは全然なくて、私が既読なのは5冊ぐらい。読んでても今ひとつそそられなかったです...。選ばれてる作品自体は悪くないんでしょうけど、どこか作為的に感じられてしまって。選考委員の人は50冊ぐらい渡されて、その中から40冊選んだんじゃないかしら、なんて思っちゃう。本当にファンタジーが好きで好きで、という姿勢があまり感じられなかったのも残念。でも、確かに「ハリー・ポッター」でファンタジーに出会って次の1冊、と思ってる人にはすごく役に立つ本なのではないかと思います。そういう意味では題名通りの本かと。(「次の一冊が決まらない人のためのファンタジーブックガイド」ファンタGメン'05編集・ブックマン社)

対する石堂藍さんの「ファンタジー・ブックガイド」の方は凄いです。こちらは読みたい本が後から後から出てきて、もう大変。実際、私が好きな作品も沢山紹介されてるし、読んでみたいと思ってる作品も多いし、とにかく沢山読んでらっしゃって詳しいんです。しかも「あまり好きではない」と書いてらっしゃる部分にも同感できたり... グ○ンサ○ガも、同じぐらいで挫折してらっしゃるし。(笑) やっぱり好みが合うって大切ですよね。ブックガイドでも書評サイトでも。それにブックガイドを作るなら、このぐらい造詣の深い人であって欲しいです~。
「遥かな異世界と神話的世界」「とびらの向こうは別世界」「日常の中の不思議」...などジャンルに分けられてるので、好みの作品が探しやすいですし、「異世界」「剣と魔法」「神話」「アーサー王」など、色んなファンタジー的キーワードで書かれたコラムでもかなり紹介されているのが嬉しいです。紹介されている本は、全部で400タイトルにも上るようですね。一体どうやったら、こんなに沢山読めるのかしら!
あまりに沢山紹介されているので、初心者向けではないかもしれないんですが(どれを選ぶか迷っちゃいそう)、ファンタジーのブックガイドとしてはすごくオススメ。本の装幀も素敵だし、この充実度で1800円なら安いです。(「ファンタジー・ブックガイド」石堂藍・国書刊行会)

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通いの女中をしている生粋のロンドンっ子、ハリスおばさんが主人公のシリーズ。長いこと絶版になっていて、つい最近復刊されました。表紙のイラストが可愛いです~。
最初の「ハリスおばさんパリへ行く」は、庶民中の庶民というおばさんが、お得意先のレディ・ダントの家で見たディオールのオートクチュールを見て、自分も最高級のドレスを手に入れたくなっちゃうというお話。今まで衣料品に5ポンド以上使ったこともないというおばさんが、なんと350ポンドとか450ポンドとかするドレスを買おうっていうんですから、もう大変。懸賞でちょっとお金を当てたんだけど、まだ全然足りなくて、2年間の爪に火をともす節約生活の末、無事パリへ! でもコクニー訛りで、見た目もまるっきり庶民のおばさんのこと、ディオールの店に辿り着いても門前払いされそうになるし、ようやくサロンに入れてもらっても、隣の席の夫人が騒ぎ出す始末。でも暖かい人柄と、明るく前向きな姿勢が魅力のハリスおばさん、知らず知らずのうちに、悩んでる人たちを笑顔にしてくれるし、ハリスおばさんと友達になった人たちには、それぞれに幸せが訪れるんですねー。そして、めでたしめでたし。
なあんて、まるでおとぎ話みたいなシリーズなんですが、毎回ほろ苦い出来事も織り交ぜられて、おとぎ話でも現実は結構厳しいのよ!と言われてるみたい。ギャリコの作品って、その辺りのバランスがやっぱり絶妙なんじゃないかなと思います。時にはくじけたりもするけれど、それでも可愛いハリスおばさんのシリーズ。楽しかったです。(fukkan.com)


+既読のポール・ギャリコ作品の感想+
「トマシーナ」ポール・ギャリコ
「セシルの魔法の友だち」ポール・ギャリコ
「マチルダ ボクシング・カンガルーの冒険」ポール・ギャリコ
「われらが英雄スクラッフィ」ポール・ギャリコ
「幽霊が多すぎる」ポール・ギャリコ
「猫語の教科書」ポール・ギャリコ
「ハリスおばさんパリへ行く」「ハリスおばさんニューヨークへ行く」他2冊 ポール・ギャリコ
「七つの人形の恋物語」「スノーグース」ポール・ギャリコ
「トンデモネズミ大活躍」「ほんものの魔法使」ポール・ギャリコ
「ポセイドン」上下 ポール・ギャリコ
「ザ・ロンリー」ポール・ギャリコ
「「きよしこの夜」が生まれた日」ポール・ギャリコ
Livreに「ジェニィ」の感想があります)

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加納朋子さんのデビュー作「ななつのこ」の作中作が、とうとう本物の絵本になりました~。挿画は、「ななつのこ」の文庫など、加納朋子さんの作品でお馴染みの菊池健さん。(そういえば「ななつのこ」のハードカバーの表紙って見たことがないんですが... こちらも菊池健さんなのでしょうか?)
「ななつのこ」を読んだ時に私が一番惹かれたのは、何といっても「あやめさん」だったので、この絵本が読めてほんと嬉しい! 読むにつれて、「ななつのこ」のそれぞれの物語が思い出されて懐かしかったです。あ、でも、おかあさんが小さな息子に語る物語という形式は、正直意外でした。びっくりびっくり。そして最後まで読んでみて... これってもしかして... いや、もしかしなくても... ネタバレ反転(このお母さんは未来の駒子)ってことでしょうか?!
挿画もほんわりと優しくて、物語の雰囲気にぴったり。それぞれの場面は「昭和」の懐かしい雰囲気を思い起こさせてくれますし、話を聞いている「はやて」の子供部屋も居心地が良さそう~。これは、この絵とこの物語、どちらが欠けても成り立たない絵本でしょうね。(東京創元社)


+既読の加納朋子作品の感想+
「てるてるあした」加納朋子
「ななつのこものがたり」加納朋子
「モノレールねこ」加納朋子
「ぐるぐる猿と歌う鳥」加納朋子
Livreに、これ以前の全作品の感想があります。

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