Catégories:“2005年”

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これだけ表紙を並べると、圧迫感がありますね...(^^;。
1巻2巻は、摂関藤原家に繋がる武門の出ながらも、父の代から奥六郡にほど近い亘理に退けられていた藤原経清が主人公。3巻4巻はその忘れ形見・清丸(藤原清衡)の、そして5巻は清衡の曾孫に当たる藤原秀衡の物語。私は見てないのですが、以前NHKの大河ドラマになってるので、ご存知の方も多いかもしれませんね。同じく高橋克彦氏の「火怨」(感想)「天を衝く」(感想)と並んで陸奥三部作と呼ばれる作品。どうやらこの「炎立つ」が一番最初に書かれたようです。
陸奥三部作の1つとして、これも面白かったです。でも、ちょっと長かったかな...。

この中で一番魅力的だったのは、1~2巻で主人公だった藤原経清。すごくかっこ良かったです。しかも彼と源義家の関係が、ちょっぴり「火怨」の阿弖流為と坂上田村麻呂みたいでもあるんですよ。(あそこまでではないですが) なので、経清の代の終わり頃は辛かった... 続く3巻4巻は、不遇の環境にあった清衡を義家が助けて家を再興させる話なので、これも普通に面白いです。でも、ここで話はすっかり終わったような気がしてしまうんですよね。
5巻では源義経や弁慶が活躍するのですごく楽しいんですが(頼朝はやっぱりヤなヤツだ!)、こんな風に繋げて書く必要はあったのでしょうかー。平泉の藤原三代の栄華の祖が藤原経清であったと、言いたいのは分かるんですけど、これは独立させても良かったような。 ...と思いながら読んでたんですが、最後まで読み終えてみると、これで良かったのかもしれないなあ、なんて思ったり...(^^ゞ

「天を衝く」の九戸政実みたいに、何をやらせても超人的にずば抜けてるということもなく... あれはあれで爽快で好きなんだけど...(笑) 強さも弱さもある蝦夷たちの存在がとても人間的でした。途中何度かダレたし、↑上にもなんか混乱したことを書いてますが(^^;、やっぱりこれも良かったです。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「火怨 北の燿星アテルイ」上下 高橋克彦
「天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男・九戸政実」1~3 高橋克彦
「炎立つ」1~5 高橋克彦
「風の陣」1~3 高橋克彦

+既読の高橋克彦作品の感想+
「白妖鬼」高橋克彦
「闇から招く声」高橋克彦
「鬼」高橋克彦
「空中鬼」高橋克彦
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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ある朝、とある編集者の家に届けられていたのは、"£YE SUK@NT MUWOQ"などという文字と記号が入り混じった文章の不思議な原稿。タイプされた分厚い原稿の束が、玄関の外に置かれていたのです。まるで読めない原稿に困った彼は、戦争中暗号解読をしていたこともある友人のポール・ギャリコのところに、その原稿を持っていくことに。

猫による猫のためのマニュアル本。「人間の家をのっとる方法」に始まり、人間について詳しく解説し、その家での居心地を良くするためには、どうやって人間を躾ければいいのか、人間を篭絡するために必要な行動や、魅力的な表情の作り方など、その猫が実際に家をのっとった時の経験を踏まえて細かく書かれています。
この猫の口調が冷静で、しかもすごく的確なんですよ。説得力たっぷり。私はまだ猫の飼い主初心者ですけど、それでも「うわー、分かる分かる」という部分が多くて可笑しかったです。これは長年猫を飼ってる方は、きっともっとそう感じるんでしょうね。
うちも「猫を飼ってる」という意識でいたんですけど、実は猫に躾けられているのかも...?(笑)

そしてこれほどの原稿を猫がどうやって書いたかといえば、軽く触れるだけで文字が打てるタイプライターによるものでは? とギャリコは考えてます。カメラマン夫婦に飼われているツィツァという猫が書いたのではないかというところまで推理。で、この本の表紙は、実際にツィツァがタイプライターを触ってる写真なんですよ。こんなのを見せられたら、本当にそうかも~って思ってしまいますよね。(笑)
巻末には、大島弓子さんのあとがき代わりの書き下ろし漫画もあります(^^)。(ちくま書房)


+既読のポール・ギャリコ作品の感想+
「トマシーナ」ポール・ギャリコ
「セシルの魔法の友だち」ポール・ギャリコ
「マチルダ ボクシング・カンガルーの冒険」ポール・ギャリコ
「われらが英雄スクラッフィ」ポール・ギャリコ
「幽霊が多すぎる」ポール・ギャリコ
「猫語の教科書」ポール・ギャリコ
「ハリスおばさんパリへ行く」「ハリスおばさんニューヨークへ行く」他2冊 ポール・ギャリコ
「七つの人形の恋物語」「スノーグース」ポール・ギャリコ
「トンデモネズミ大活躍」「ほんものの魔法使」ポール・ギャリコ
「ポセイドン」上下 ポール・ギャリコ
「ザ・ロンリー」ポール・ギャリコ
「「きよしこの夜」が生まれた日」ポール・ギャリコ
Livreに「ジェニィ」の感想があります)

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バレエで有名な「くるみ割り人形」の原作。子供の頃にも読んだことがあるはずなんですが、改めて読んでみるとバレエとはかなり雰囲気が違っていてびっくり。バレエでは、クリスマスプレゼントに貰ったくるみ割り人形がネズミを戦っているのを見たクララが、思わず加勢に入ってくるみ割り人形側が大勝利。人形の国に連れて行ってもらえる... というストーリーですよね。で、全てが終わってみると、クリスマスの夢だった... って感じだったかと。
原作も確かに大筋ではそうなんですが... でも終始「夢の世界~」なバレエとは違って、もっと生々しく現実が迫ってくる感じなんです。最初にネズミとくるみ割り人形が戦う場面なんて、マリー(原作ではクララじゃなくてマリー。クララはマリーの持ってる人形の名前)も実際に怪我をして血を流して倒れてたりするし、親はマリーの再三の話を聞いて、そのたびに「夢をみたのね」と言うんだけど、実は夢オチではなく... なんだか思ってた以上に不気味な話でした。えっ、こんな終わりでいいの?! 状態。
あ、でも人形の国の描写はとっても素敵です。氷砂糖の牧場、アーモンド・干しぶどうの門、麦芽糖の回廊、大理石のように見えるクッキーの敷き詰められた道、オレンジ川にレモネード川、ハチミツクッキーの村、キャンデーの町、コンポートの里、お菓子の都... もう読んでいるだけでも、いい香りが漂ってきそう。美味しそうです~。(岩波少年文庫)


+既読のホフマン作品の感想+
「クルミわりとネズミの王さま」ホフマン
「悪魔の霊酒」上下 ホフマン
「黄金の壷」「スキュデリー嬢」 ホフマン
「ホフマン短篇集」ホフマン
「黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ」ホフマン

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去年の復活祭の日、ホーゲルマン家に突然現れたのは、50cmぐらいの、きゅうりのようなかぼちゃのようなものに顔や手足がついて、金の冠をかぶっている王さま、トレッペリーデ2世。これまでずっと家の地下室に住んでいたのですが、反乱がおきて家来たちに見捨てられたため、台所に避難してきたというのです...

岩波少年文庫再読計画第10弾。現代ドイツのファンタジーです。
ドイツ児童文学賞を受賞したという作品なんですけど、肝心のきゅうりの王さまがあまりに可愛げがなくてどうにも...(^^;。
でもきゅうりの王さまなんて奇妙奇天烈な存在が登場するんで、一見ファンタジーっぽいんですけど、これはものすごーくリアリティのある話でした。いかにも家長っぽく、家族のことは全て仕切りたがる父親だけが、きゅうりの王さまの世話を甲斐甲斐しく焼くんですけど、他の面々はそういう父親をすごく冷めた目で見てて、むしろ追い出そうと頑張ってるんですよね。きゅうりの王さまというのが、父権を象徴しているんでしょう。なんだか、お父さんの姿が哀れでもあり可笑しくもあり... でした。
こういう作品は子供の頃に読んだ方がいいんだろうな。(岩波少年文庫)

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彩雲国物語8冊目。いやー、今回も色々ありました。前巻同様、読み終わった途端、また最初から読み直してしまったわ。
このシリーズは順番に読まないと意味がないし、ここであらすじを書いても仕方ないので割愛しますが... 「華娜」って、やっぱり「華佗」から来てるのね~(ニヤリ)とか、いつの間にかあんな交渉術を身につけちゃって秀麗すごいじゃんとか、王様も辛いところよね~とか、そういうのもあったんですが、今回の私的ポイントは以下3点。

 ・世界の中心で愛を叫びながらも、なかなか伝わらない紅黎深、やっぱりイイ!(笑)
 ・80歳を超えて未だ現役官吏として敏腕をふるい続けている黒州州牧・櫂瑜さま、素敵~。(はぁと)
 ・やっぱり影月には、なんとしてでも幸せになってもらいたい~。(切実)

さて、影月編は次で完結とのこと。...ということは、影月編以外は完結じゃないってことですか?でも表紙の「トリ」ってあるんですけど... 少なくとも、紅、黄、紫、茶、黒、白、藍ときて、次で8色が全て揃っちゃうんですよね。でもあと1冊じゃあ、到底全ての収拾をつけることは不可能かと思われ... とりあえず1部完ってとこでしょうか。(ドキドキ) 
何はともあれ、次巻も楽しみ! ああ、ほんとに大好きです、このシリーズ。(角川ビーンズ文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「彩雲国物語 はじまりの風は紅く」「彩雲国物語 黄金の約束」雪野紗衣
「彩雲国物語 花は紫宮に咲く」雪乃紗衣
「彩雲国物語 想いは遙かなる茶都へ」雪乃紗衣
「彩雲国物語 漆黒の月の宴」雪乃紗衣
「彩雲国物語 朱にまじわれば紅」雪乃紗衣
「彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計」雪乃紗衣
「彩雲国物語 心は藍よりも深く」雪乃彩衣
「彩雲国物語 光降る碧の大地」雪乃紗衣
「彩雲国物語 藍より出でて青」雪乃紗衣
「彩雲国物語 紅梅は夜に香る」雪乃紗衣

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「氷菓」「愚者のエンドロール」に続く、古典部シリーズ3作目。とうとう文化祭が始まり、古典部も文集「氷菓」を販売することに。しかし30部の予定だった発行部数は、何かの手違いで200部に...?!

今回は古典部の4人のメンバーの視点から順番に描かれていて、それぞれの個性が感じられて楽しいです。このシリーズは、毎回趣向が凝らされていて楽しいなあ。そして今回、200部もの文集を捌かなくちゃいけなくなった面々が大変なんですけど、そこにいい感じで文化祭が絡んでくるんですよね。わらしべプロトコル、最高! 千反田えるの意外な手際とそのオチ(笑)も楽しいです~。そして今回、自らデータベースと称する福部里志の「データベースは結論を出せないんだ」発言や、伊原摩耶花と漫研の河内先輩のやりとりが痛かったです...。「ピンポン」(映画)で、「なにしろ才能というものは、望んでいる人間にのみ与えられるものではないからな」という台詞があるんですよね。それを思い出しちゃいました。
「クドリャフカの犬」というタイトルがもっと中身に密接に繋がってくるのかと思ってたのに、期待したほどではなかったのがちょっぴり残念でしたが、今回も楽しかったです。(角川書店)


+シリーズ既刊の感想+
「氷菓」「愚者のエンドロール」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「クドリャフカの順番 『十文字』事件」米澤穂信
「遠まわりする雛」米澤穂信

+既読の米澤穂信作品の感想+
「春期限定いちごタルト事件」米澤穂信
「犬はどこだ」米澤穂信
「夏期限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信
「ボトルネック」米澤穂信
「インシテミル」米澤穂信
Livreに「さよなら妖精」の感想があります)

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幼い頃に母を亡くし、11歳で父も亡くしたポリアンナは、それまで全然付き合いのなかったポリーおばさんの家に引き取られることに。でもポリーおばさんがポリアンナを引き取ったのは、可愛い姪だからではなく、「義務をわきまえた人間でありたい」から。本当は今の静かで穏やかな生活を子供に壊されたくないのです。しかしポリアンナは、そんなポリーおばさんの頑なな心を徐々に溶かしていくことに。

先日のたらいまわし企画・第17回「子どもと本」で、くるくる日記のkyokyomさんが挙げてらした本。(その時の記事はコチラ) 以前は「少女パレアナ」という題名で出ていた作品です。(追記: 角川文庫では今でも「少女パレアナ」というタイトルで出ているとのこと)
読み始めてまず思ったのは、「赤毛のアン」みたい!ということ。ポリアンナもおしゃべりなんですよね。放っておくと、1人でずーっとしゃべり続けちゃう。空想という点ではアンの方が上かもしれないんですが、でもポリアンナも相当のもの。しかもポリアンナの「何でも嬉しがる」ゲームというのは、いかにもアンが好きそうだし。...このゲームは、どんなに嫌なことにも、その楽しい面を見つけて嬉しがるというゲーム。例えばポリーおばさんがポリアンナにと用意したのは、普通の綺麗な部屋ではなくて屋根裏部屋。他にも沢山部屋が余っているはずなのに、わざわざみすぼらしい部屋を与えられちゃうんです。でもポリアンナは、殺風景な屋根裏部屋を悲しむのではなく、鏡がないからそばかすを気にしなくてもいいと言い、窓から見える綺麗な景色を絵のようだと喜ぶんです。
でも、やっぱりポリアンナはアンとは違うんですよね。読むにつれて、そういう部分がどんどん見えてきました。何でも嬉しがるゲームも、アンがしたらわざとらしくなったんじゃないかと思うんですけど(アンも大好きですが!)、ポリアンナがするとすごく自然。というかポリアンナっていう女の子がどこまでも天然なんですよね。ポリアンナがあまりに純粋なので、周囲の人々も巻き込まれずにはいられないし... 一歩間違えると、逆に心を閉ざされてしまいそうだし、下手すると読者にも作為を感じさせてしまいそうなところなんですが、それが全然。その辺りがほんと絶妙です。それがポリアンナのいい所であり、この作品の命なんでしょうね。素直に「良かったな~」と思える作品でした。

途中で止まっていた岩波少年文庫再読計画ですが、これでようやく再開です。...とは言っても、この本は2冊とも初読ですが! やっぱり岩波少年文庫は素敵です♪ (岩波少年文庫)

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