Catégories:“2005年”

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2001年9月11日に起きた同時多発テロの後のニューヨークを描いたノン・シリーズ作品。とは言っても、それはあくまでも背景であって、そのこと自体にはそれほど触れてませんが...。
主人公は特にいなくて、敢えていえばテロを体験したニューヨーカー全員、もしくはニューヨークという街自体、でしょうか。書いてるのがブロックなので、どの人物もそれぞれに存在感たっぷり。ニューヨークという街もリアル。でもねー、長いんですよ。いつかは全作品を読みたいと思ってるほど好きなブロックだけど、これはどうなんだろう...? この半分の量でぴりっと引き締めて欲しかったー。読んでいて、ちょっとつらかったです。本筋とは直接関係ないエピソードも多かったですしね。しかも性的倒錯場面の多いこと。確かに訳者あとがきで田口俊樹さんが書いてらっしゃるように、9.11テロが「死」だとしたら、ここに描かれている性は「生の謳歌」だというのは納得がいくんですが...。きっと自分が生きている証のようなものを求めて、ひたすらそちらに突き進んでしまってるんでしょうけれど。
途中私立探偵が登場して、その男が警察に20年勤めた後に私立探偵となった飲んだくれ、とあったので「もしや...?」期待したんですが、マット・スカダーではなかったようでちょっと残念。まあ、ローレンス・ブロックはそういうことをするタイプじゃないですね(^^;。(二見文庫)


+既読のローレンス・ブロック作品の感想+
「死者の長い列」ローレンス・ブロック
「殺しのリスト」ローレンス・ブロック
「処刑宣告」ローレンス・ブロック
「砕かれた街」上下 ローレンス・ブロック
Livreにマット・スカダーシリーズ、「泥棒は野球カードを集める」「殺し屋」の感想があります)

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リンダ・ハワード作品を読むのは初めてです。全然知らなかったんですが(この本もいきなり貸してもらったので)、「ロマンス小説の女王」と呼ばれる方らしいですね。
これは、CIAの契約エージェントという女性が、親友夫婦(2人とも引退したCIAの契約エージェント)とその養女を殺された恨みから、常に厳戒警備のマフィアのボスを殺し、引退していたはずの親友夫婦が、なぜまた危ない仕事を始めたのかを探っていくという話。マフィアの一家は当然血眼になって彼女を探すし、勝手な行動をしたことからCIAからも追われることになるし、CIAから派遣された男とは恋仲になるしで、サスペンスとミステリとラブロマンスの三本立て。
彼女がマフィアのボスを暗殺するシーンはかなりの緊迫感だし、その後その一家の手下に追われながらも鮮やかに撒いてしまうところなんて結構面白いんだけど... 全体的に見ると、なんだか無難にまとまり過ぎてたような気も。最初の方で「なんでそんな行動をする?」と思ったのが尾を引いたのか... それとも肝心のラブロマンス部分がいかにもアメリカ的でイマイチだったのか...(多分どっちも) 相手の男性は面白いキャラなんですけどね。でもすんなり上手く行き過ぎというか... ハリウッド映画的というか... ああ、映画にするといいかもしれないですね。そんな感じの作品でした。(二見文庫)

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掲示板で「紅はこべ」(大好き!)の話が出てた時に、信兵衛の読書手帖の信兵衛さんに教えて頂いた本。
時代はフランス革命直前。親友を貴族に殺されたアンドレ・ルイが、その貴族を訴えようとするんだけど、大衆を扇動して逆に官憲に追われる身になり、身を潜めたり旅の役者一座に加わってみたり、剣の教室の助手になったりしながら、その貴族に復讐を誓うという話。恋愛あり復讐ありの、波乱万丈な冒険活劇。いやー、面白かったです。結構長い話なんですけど、読み始めたら一気に読んでしまいました。こういうの好き~。主人公のアンドレ・ルイが、何をやらせても上手くこなしちゃうようなところはちょっと出来すぎなんですけど(笑)、でもだからこそテンポがいいし、読んでて気持ちがいいんですよね。それに特に何もできなかった青年が、持ち前の熱意で努力していくうちに、だんだんと仇の貴族に対抗できるまでに成長していくという成長物語でもあったし。決して美男ではないけど、でもかっこいいんです。(表紙のアレは違いますよー)
スカラムーシュとは、「イタリア古典喜劇の中の人物で、根は臆病のくせに、つねに大ぼらをふき、大言壮語していて、何か事件が起こると、たちまち逃げ腰になるという道化役」とのこと。アンドレ・ルイが旅の一座に加わった後、大当たりをするのがこのスカラムーシュの役なんです。でもそれだけじゃないんですよね。アンドレ・ルイは全然臆病でもないし、大ぼらもふいてないんだけど、でも頭の回転がすごく速いし、皮肉たっぷりだし... 大衆を扇動した最初の大演説以来、常に何かを演じ続けているようなところも、スカラムーシュという題名にぴったりでした。(創元推理文庫)

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中国歴史小説の情報がたっぷり詰まったサイト小芙蓉城の冰児さんが、「風の王国」シリーズの地図を作ってらっしゃいました!(コチラ
「風の王国」は、唐の時代に李世民(太宗皇帝)の娘として吐蕃(チベット)へと嫁ぐことになった文成公主を描いた作品。(私の感想はココココ) コバルト文庫なんですが、しっかりと史実を捉えつつ、毛利志生き子さんなりの解釈で作り上げられた物語はなかなか読み応えがありますし、チベットといえばバター茶とヤクとダライ・ラマ... ぐらいの知識しかない私にとっては、風俗描写もとても興味深いんですよね。でも、大好きな中国物ですら大体の場所しか把握してないのに、チベットなんて...! 挿絵入りの人物紹介なんていらないから、地図が載ってたらいいのになあって思ってたんです。
当然、7~8世紀当時の資料なんていうのもなかなか残ってないわけで、作者の毛利さんはもちろんのこと、地図を作られた冰児さんも大変だったと思うのですが、ほんと嬉しい! 今後このシリーズを読む時は、この冰児さんの地図を参考にさせてもらおうと思ってます。今までも、特に最初の文成公主お輿入れの旅、吐谷渾の辺りがイマイチ掴みづらかったんですよー。地図があると、ほんと助かります。嬉しいなあ。


+シリーズ既刊の感想+
「風の王国」1~4 毛利志生子
「風の王国5 月神の爪」毛利志生子
「風の王国6 河辺情話」毛利志生子
「風の王国7 朱玉翠華伝」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国8 目容の毒」毛利志生子
「風の王国9 臥虎の森」毛利志生子
「風の王国 花陰の鳥」毛利志生子
「風の王国 波斯の姫君」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国 初冬の宴・金の鈴」毛利志生子
「風の王国 嵐の夜」上下 毛利志生子
「風の王国 星の宿る湖」毛利志生子

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本が好き!お気軽読書日記のもろりんさんに教えて頂いた本。本当はもっと早く読むつもりだったのですが、最初に読もうとした時はあまり話に乗れなかったので、一旦やめてそのまま熟成させてたんですよね。で、15回目のたらいまわし「私の夏の1冊!!」で、sein の nyu さんが同じくシュティフターの「晩夏」を挙げてらして(記事はコチラ)、そろそろまた読んでみようと思ったのでした... ってそれから既に1ヶ月は経ってるんですが(^^;。
なんとなく、身辺を綺麗に片付けてから、手を洗って正座をして取り掛かりたくなるようなイメージ... と思っていたら、nyuさんも「気分的精神的に落ち着いたときでないと入り込めません」と仰ってて、ああやっぱりそういう本なんだと納得。今回はちゃんと1人静かに読める環境を整えて臨んでみました。(笑) まあ、元々本を読むなら静かなところがいいんですけどね。以前は音楽をかけながら本読むこともあったはずなんですが、今はそういうのは全然ダメ。音がしても、例えば電車の中なら全部いっしょくたの「ざわめき」になっちゃうので大丈夫なんですが、今度は集中しすぎて乗り過ごしてしまったり... というのはともかく。

ここには「水晶」「みかげ石」「石灰石」「石乳」の4編が収められているんですが、どれも田舎の小さな村の人々のごく日常的な話を丁寧に掬い取って物語にしたという感じの物語。シュティフターは19世紀の作家なんですが、元々は画家なのだそうで、自然の描写が本当に美しくて驚きました。特に表題作の水晶。

しかしほら穴の内側は、一面に青かった。この世のどこにもないほどに。それは青空よりもはるかにふかく、はるかに美しい青さであった。いわば紺青の空色に染めたガラスを透してそとの光がさしこんでくるような青さであった。

これは幼い兄妹が雪山で道に迷って入り込んだ洞窟の描写。2人は結局、あまりの青さに恐ろしくなって逃げ出してしまうのですが、これこそが「水晶」なんですね。あと、岩屋の中から見上げる夜空も綺麗だったなあ。「石灰石」の、雨上がりの石灰の微妙な色合いもとても綺麗だったし... とは言え、もちろん綺麗なだけじゃなくて、芯の強さのようなものも感じられました。恐ろしい疫病も激しい嵐も厳しい雪山も自然の一部で、人間はそんな自然と共存しているんですね。シュティフター、他の作品もぜひ読んでみたくなりました。「晩夏」にも惹かれるんだけど、「これを読み通した者にはポーランドの王冠を与えよう」とも言われた作品だとか... (それだけ盛り上がりに欠けるという意味みたいです) nyuさんは、全く単調に感じなかったと仰ってますが。まずは「森の小道・二人の姉妹」にしてみようかな。(岩波文庫)


+既読のシュティフター作品の感想+
「水晶 他三篇 石さまざま」シュティフター
「森の小道・二人の姉妹」シュティフター
「晩夏」上下 シュティフター
「ナレンブルク 運命に弄ばれた人々の城」A.シュティフター
「石さまざま」上下 アーダルベルト・シュティフター
「森ゆく人」アーダルベルト・シュティフター
「書き込みのある樅の木」アーダルベルト・シュティフター

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「トマシーナ」で、あんまりひどい獣医が出てきたもので、ほのぼのする獣医さんの話が読みたくなりました。ドクター・ヘリオットはヨークシャーの小さな町で50年間も獣医をしてきた人なんですけど、グラスゴー出身なんだそうなんです。「トマシーナ」のマクデューイもグラスゴーにいたという設定。なんか似通ってる?! これは続けて読めという意味?!(笑)

「ドクター・ヘリオットの犬物語」は、文字通り犬のエピソードばかり集めた本。前に「ドクター・ヘリオットの猫物語」(感想)を読んだんですが、丁度それの犬版ですね。読んでると一昨年死んだうちの犬のことを思い出しちゃって途中ちょっと辛くなったんですが... でもこちらも良かったです。美食家のでぶ犬だったのに、すっかりスポーツマンとなってしまったトリッキー・ウーのエピソードが良かったなあ。でも、こっちも良かったんだけど、それ以上に良かったのが「Dr.ヘリオットのおかしな体験」。これは第二次世界大戦中に英国空軍に入隊したドクター・ヘリオットが、厳しい訓練の合間に今まで診てきた動物たちのことや、出産を控えている妻のヘレンのことなどを思い出すという形式。背景に戦争があるのに、ドクター・ヘリオットのほのぼのとした味わいは変わらなくて、妻に会いたくて何度か抜け出した話なんかが面白おかしく綴られていきます。「犬物語」「猫物語」と違って、牛や馬、豚の話が多いんですけど、犬や猫みたいな小動物だけじゃなくて、家畜たちもしっかり飼い主たちの家族の仲間入りをしてるんですね。飼い主たちの一喜一憂が伝わってきて、なんだか読んでいるだけでもドキドキ...
「Dr.ヘリオットのおかしな体験」は、結構分厚い本なのにするすると読めちゃいます。もちろん1つずつのエピソードが短くて読みやすいというのもあると思うんですけど、池澤夏樹さんの訳文の読みやすさも大きいかと。(集英社文庫)


+既読のジェイムズ・ヘリオット作品の感想+
「ドクター・ヘリオットの猫物語」ジェイムズ・ヘリオット
「ドクター・ヘリオットの犬物語」「Dr.ヘリオットのおかしな体験」ジェイムズ・ヘリオット

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以前「ジェニィ」を読んで以来、読もう読もうと思っていて、鴻唯さんにもいいと言われていた「トマシーナ」、ようやく読めました。
この物語に登場するのは、獣医のマクデューイと、その娘のメアリ・ルー、そして猫のトマシーナ。本当は人間の医者になりたかったのに、父親に無理矢理獣医にさせられてしまったマクデューイは、腕はいいけど動物にはまるで愛情がないんですよね。もう先が長くはないと見れば、すぐに安楽死を勧めるような医者。飼い主の「1日でも長く一緒にいたい」なんて気持ちはまるで理解できないんです。だからトマシーナの具合が悪くなった時も、あっさりと安楽死させちゃう。で、娘との間に深い亀裂が入ってしまいます。

いや、ほんと良かったです。外側は「トマシーナ可愛い~」って読めるようなお話なんですが、その奥にはすごく厳しい現実があるんですね。色んなことが、この1冊の中にぎゅっと濃縮されてるような感じ。娘を溺愛してるようで、結局自分のことしか考えてなかったマクデューイも、そんな父親に気付いてしまうメアリ・ルーも、もうほんと痛々しくて見てられないほどだし、そんな2人を助けることになる赤毛の魔女・ローリやペディ牧師、ストロージ老医師という人々もそれぞれに良くって、特にメアリ・ルーとペディ牧師が話す場面が凄いんです。お葬式やジプシーの場面などもそれぞれにとても印象的。しかもトマシーナの語りは可愛らしいし、古代エジプトに君臨していた猫の女神、バスト・ラーの語りも面白かったし... もう硬くも柔らかくも自由自在って感じ。正直、ここまで読み応えのある作品とは思いませんでした。ポール・ギャリコ、凄い!
ジェニィはトマシーナの大叔母さんなんですって。血縁関係だけで、物語同士に直接の繋がりはないようですね。(笑) (創元推理文庫)


+既読のポール・ギャリコ作品の感想+
「トマシーナ」ポール・ギャリコ
「セシルの魔法の友だち」ポール・ギャリコ
「マチルダ ボクシング・カンガルーの冒険」ポール・ギャリコ
「われらが英雄スクラッフィ」ポール・ギャリコ
「幽霊が多すぎる」ポール・ギャリコ
「猫語の教科書」ポール・ギャリコ
「ハリスおばさんパリへ行く」「ハリスおばさんニューヨークへ行く」他2冊 ポール・ギャリコ
「七つの人形の恋物語」「スノーグース」ポール・ギャリコ
「トンデモネズミ大活躍」「ほんものの魔法使」ポール・ギャリコ
「ポセイドン」上下 ポール・ギャリコ
「ザ・ロンリー」ポール・ギャリコ
「「きよしこの夜」が生まれた日」ポール・ギャリコ
Livreに「ジェニィ」の感想があります)

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