Catégories:“2005年”

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短編3編が収められています。他の金城作品と比べるととても静かな印象を受ける1冊。他の作品の特徴だった躍動感はすっかり影を潜めていて、物語は淡々と進んでいきます。ここに収められた3編のモチーフは「死」や「別れ」。しかもここで「死」の対象となるのは、まだまだ若い人間たち。自分の死を悟った彼らは、そのことに関して「対話」をすることになるのですが... これほど周囲に人間が沢山いても、何かがあった時にそれを聞いてくれる人間とか、言って欲しい言葉を言ってくれる人間はほとんどいないんだなあ...。
3編の中で私が特に気に入ったのは3作目の「花」。切なくて温かくて爽やか。そして1作目の「恋愛小説」の「彼女」の、たとえ生きていても会わなければ、それは死んでいるのと同じだという言葉はインパクトが強かった! でもほんとその通りなんでしょうね。
3編の舞台となる時代はそれぞれ違うんですが、共通する人物が登場。「SPEED」にも繋がっています。

金城一紀さんの作品も、これで全部読んじゃった。早く新作が出ないかな。(この間出たばかりですってば) でもこれも良かったんだけど、最後に読んだのがこれって、なんだか寂しい気分になっちゃう。普段の元気な作品が無性に再読したくなっちゃいました。(講談社)


+既読の金城一紀作品の感想+
「GO」金城一紀
「レヴォリューションNo.3」「フライ、ダディ、フライ」金城一紀
「SPEED」金城一紀
「対話篇」金城一紀
「映画篇」金城一紀

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宗の 素晴らしきかな、人生の宗さんに教えて頂いた本。1月から12月までの章に分かれていて、日常の家事を中心に四季折々の暮らしのこと、海外での思い出が綴られていきます。初版は昭和51年なんですが、それから30年ほどでどれだけ日本の主婦の「家事」が変わってしまったのかと考えるとびっくりです。確実に便利になってはいるけれど、日本古来の伝統とか優雅さは確実に失われているような... 昔ながらの生活の、なんと贅沢なことか。...物質的な贅沢じゃなくて、心の豊かさなんですよね。こんな風に日々の生活に気を配って過ごせたらいいなあ。
特に印象的だったのは、その月の月給袋の中身がだんだん軽くなってくると作るというオニオンスープ。材料はたまねぎだけでも、こっくりした美しい色や味を出すために飴色になるまで中火で気長に炒めて、熱々のスープのためにスープ皿はもちろん温めておいて、手間暇は十分かかってるんですよね。時にはこくをつけるために、炒める時に小麦粉を入れたり、水の代わりに牛乳を入れたり。でもそんな余分の買い置きもない時は、せめて仕上げにチーズをたっぷりとすりおろしてかけて。こんな贅沢なスープが「月末スープ」だなんて素敵~。

そういえば、今年のお盆は祖母の家にいたので、色々と手伝うことになったんですけど... というか私が最初から最後まで1人で全部しなくちゃいけなくなったのって初めてだったんですけど、祖母が「もう面倒だから○○はしなくてもいい」「略式にしてしまいましょう」と言うたびに、なんだかちょっぴり悲しかったんですよね。やるやらないはともかくとして、せっかくの機会だしと一通りのことは教わっておきたいなと思ったし、まあ実際には出来なかった部分もあるんですけど、私としてはとても良い経験になりました。これまで祖母や母がやってるのを手伝ってはいても、自分で全部やるとなるとまた別ですしね。(でも以前は形式ばったことがすごく嫌いで、そういうのに反発してたのに、私も変わったものだわー 笑)

そして読んでいると、突然彫金のページが出てきたのでびっくり。ここ数年はやってないんですけど、私もずっとやっていたのでなんか嬉しーい。(彫金と言うと分かりづらいですが、要は普通のジュエリー作りです) この方、木彫りも物凄くお上手なようなのに(木じゃくしに付けられた彫りが素敵)、彫金もされるとは。写真にうつっている道具類を見てると、なんか懐かしい...。 

少し時代がかった優しい語り口といい、毎日の暮らしをとても大切にしているようすから、暮しの手帖社から出ている「すてきなあなたに」を思い出しました。こちらも大好きなんです。あと、和の暮らしを教えてくれる本といえば、やっぱり「しばわんこ」シリーズでしょう。こちらもオススメです~。(文化出版局)

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生まれて初めて自転車に乗った4歳の時に、坂道を勢い良く降りて坂の下の家の庭に突っ込んだ昇平。その家にいたのは、昇平と同じ年の草太と、1つ年上の女の子・奏(かなで)。その時から友達となった昇平と草太の25年の物語。

大好きな竹内真さんの作品。ずーっと読みたかったんですが、ようやく読めました! 12回目のたらいまわしの「爽やかな春に読みたい青春小説」の時も、宙の本棚の小葉さんと(コチラ空猫の読書の空猫さんが挙げてらして(コチラ)、その時も読みたくてたまらなかったんですよね。実際読んでみると、ほんとそのお題にぴったりの、何とも爽やかな青春小説でした♪
小学校1年生の時の秘密の特訓に始まり、自転車で海を目指したり、友達が出来たり、自転車部を作ったりと、25年間の物語の主軸は自転車。かなり競技的な、専門的な方向まで突っ込んでます。でもそれが取っ付きにくくなったりしてなくて、すごく自然なんです。自転車が好きで好きで堪らないというのがすごく伝わってきます。きっと竹内さんご自身がお好きなんでしょうねー。しかもその自転車が登場人物たち自身の人生にも重なっていて... 途中で道が分かれることもあり、上り坂になったり下り坂になったりすることもあり、時には立ち止まることもあるんですけど、でもみんな自転車を通して繋がっています。見てるとすごく応援したくなっちゃう。こういう作品を読めると、ほんと幸せ! やっぱり竹内真さんの作品は大好きです~。(でもって、あの犬を連れた老人は... ですよね!?) (新潮社)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

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「市民サーヴィス課臨時出張所」の貼り紙と折り畳み式らしい机と共に、市内のそこここに現れる「腕貫探偵」の連作短編集。
「日頃のご意見、ご要望、なんでもお聞かせください。個人的なお悩みもお気軽にどうぞ」なんて貼り紙と一緒に座ってる「腕貫探偵」を見た人たちは、ついふらふら~と寄って行って、話すつもりがなかったことまでどんどん話しちゃう。で、それを聞いた腕貫探偵が一言二言アドバイスして、あっという間に解決しちゃうという、そんな話です。どことなく、同じく西澤さんの「完全無欠の名探偵」みたい。腕貫探偵のアドバイスは確かに的確だけど、最後の部分は結局相談者が自分で推理してたりしますしね。もしやあの「みはる」が、神通力(?)が弱まって、ここの市役所に就職したのか...? なんて思っちゃいました。(笑)(腕貫探偵は、一応市役所の市民サーヴィス課一般苦情係... 本当なのかな?)
ものすごーくテンションが低い探偵なんで(笑)、緊迫感はほとんどないし、謎も小粒。でも登場人物がいいのです。本の後味を爽やかにしてくれた蘇甲純也と筑摩地葉子も良かったし(相変わらず素直に読めない名前...)、7編の中で特に気に入ったのは、「スクランブル・カンパニィ」で、玄葉淳子と秋賀エミリという2人の存在がとても強烈! 事件の内容や解決そのものよりも、 4課には他にどんな面々がいるんだろう、なんてそんなことが気になっちゃいました。その辺りの話も今度読んでみたいなあ。(実業之日本社)


+既読の西澤保彦作品の感想+
「方舟は冬の国へ」西澤保彦
「生贄を抱く夜」西澤保彦
「腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿」西澤保彦
「フェティッシュ」西澤保彦
「キス」西澤保彦
「春の魔法のおすそわけ」西澤保彦
「ソフトタッチ・オペレーション」西澤保彦
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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酒見賢一さんによる三国志。とは言っても決して真面目な「酒見三国志」ではなくて、私見入りまくり砕けまくりの読本と言った方が相応しいかも。でも酒見さん、「正史三国志」も「三国志演義」も漢字が難しくて読めなくて、適当に和訳された「三国志」をつらつらと眺めただけなんだそうですが... 本当に? その言葉が信じられないほど詳しいし、斬新な解釈や絶妙な突っ込みが満載です。
例えば、劉備の息子の劉禅が生まれる時に、母親の甘夫人が北斗を呑み込む夢をみたとか、白鶴が役所に来て40数回鳴いたとか、産屋に妙なる香りが満ちたとか結構な神秘現象が起きてるそうなんですけど、「凄まじい神秘現象のもとに生まれても駄目なヤツは駄目だという歴史的教訓を示すために書かれているのだとしか思われない」とか...(笑) もっと面白い部分もいっぱいあって、真面目な部分は真面目なんだけど、やっぱり可笑しい。後ろの方で紹介される英語版「三国志」なんて、もう! 全編通して三国志の舞台裏を覗いているような気分でした。考えてみれば、「陋巷に在り」でも、時々挟まれる薀蓄部分が凄く面白かったんですよね。
その酒見さんが「三国志」を初めて読んだのは、デビュー作の「後宮小説」が「シンデレラ+三国志+金瓶梅+ラスト・エンペラーの面白さ」と評されてたからなんですって。なんなんだ、その評価は。(笑)

でもこの1冊でまだあんまり進んでません。この本は500ページ弱なんですが、最後100ページぐらいでようやく三顧の礼が始まるし... しかも劉備ってば嫌々やってるもんだから、違う人をナンパ(?)したり、妙なのど自慢に参加(!)してしまったりとまあ... 別冊文藝春秋での連載が再開してるようなので、きっといずれは五丈原までいくんでしょうけど、「陋巷に在り」と同じように完結まで何年もかかっちゃうのかもしれないですね。分かりやすいから三国志入門編にも良さそうなんですが、でもやっぱりある程度知ってる方が面白いでしょうね。ただ、別に作中の孔明は「泣き虫弱虫」ではなかったです。子供の頃はともかく、大人になってからはむしろ宇宙的に変なヤツでした... 何でこんな題名にしたんだろう?
これで酒見作品はコンプリート。酒見作品はこれからも追いかけていきます~。(文藝春秋)


本当はものすごく海外物の気分なんですけど、先日図書館でいーっぱい予約を入れちゃったので、しばらく国内物が続きます。(せっかくの海外物の気分なのに勿体ない、もっと海外物中心に借りれば良かった) 図書館、行きたかったんですよー。もうほんと、すっかり禁断症状が出てました。(^^ゞ


+既読の酒見賢一作品の感想+
「陋巷に在り」1・2 酒見賢一
「陋巷に在り」3・4 酒見賢一
「陋巷に在り」5・6 酒見賢一
「陋巷に在り」7・8 酒見賢一
「陋巷に在り」9・10 酒見賢一
「陋巷に在り」11・12 酒見賢一
「陋巷に在り」13 酒見賢一
「語り手の事情」酒見賢一
「聖母の部隊」酒見賢一
「ピュタゴラスの旅」酒見賢一
「泣き虫弱虫諸葛孔明」酒見賢一
「中国雑話 中国的思想」酒見賢一
Livreに「後宮小説」「墨攻」「童貞」「周公旦」の感想があります)

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ローマにやって来た売れないミステリ作家の「わたし」は、ブルネッティという名の市立探偵が活躍する物語を書くために、ある料理店(トラットリア)にかけあって、その店を舞台にする代わりに無料で食事をさせてもらう約束を取り付けます。極上のイタリア料理を堪能しながら、「わたし」の執筆は順調に進むのですが...。

これは本のことどもの聖月さんのオススメ。(聖月さんの感想はコチラ
売れないミステリ作家の「わたし」が小説として書いているブルネッティの物語と、「わたし」が実際にローマで過ごしている物語の2つの流れがあって、その2つの流れが交錯していくという展開。どちらにも同じ名前の人物が登場してちょっぴりヤヤコシイし、そもそも2つの流れの境目が2~3行の改行だけなので分かりづらいのが難点なんですよね。(伊坂幸太郎さんの作品みたいに、間に小さいマークが入ってたらいいのに) でも2つの流れの双方で毒殺事件が起きる辺りからぐんぐんと面白くなります。ブルネッティを主人公にした小説部分には、最初は出来の悪い小説を読んでいるような感じだったのに、それもいつの間にか作品全体にしっくりと馴染んでるし、人は良いけれどかなり抜けているブルネッティに、どちらかといえば抜け目のない「わたし」がだんだん引っ張られてくようなところも面白かったです。
それに料理店が舞台だけあって、美味しそうな料理が満載! いいなあ、美味しいイタリア料理食べたいなあ。(という私はペンネアラビアータが一番好きなんだけど、これは登場しなくて残念(^^;) しかも、家に居ながらにしてローマの市内観光まで出来ちゃいます。(北イタリアには行ったことがあるんだけど、ローマには行ったことないのよね。行ってみたいー。)
ちなみに作中に登場する「わたし」の作品は、本当にベルンハルト・ヤウマン自身の作品だったのでびっくり。それが分かって読んでたら、一層面白かっただろうな。それ以前の4作品が全然日本語に訳されてないようなのが残念です。(扶桑文庫)

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スター紙の記者ウェルズに情報屋が持ち込んだネタは、上院議員選に立候補中の下院議員が女優の卵相手にSM行為をしている写真。ウェルズは、スター紙はファミリーペーパーであり、議員の私生活は議員自身のものだと、そのネタを断ります。しかし翌日情報屋の死体が見つかり、ウェルズが見た写真のことがマスコミに漏れたことから、ウェルズの新聞記者生命は危うくなることに。

新聞記者・ジョン・ウェルズのシリーズ3作目。1作目の「幻の終わり」の時は、正直あまり面白いと思わなかったんですけど、「暗闇の終わり」そしてこの「夏の稲妻」とどんどん面白くなってるような... シンプルで渋いハードボイルドです。(伊坂幸太郎さんがお好きだそうな)
これが日本での話なら、どんな新聞や雑誌でも議員のSMネタなんて放っておかないんじゃないかとも思うんですが、アメリカでは違うんでしょうか。もちろん1人の人間である以上、プライバシーは絶対に必要だし、自分が記者だったとしてもそんな記事でスクープをものにしたいと思わないだろうと思うんだけど... どうなんだろう? ウェルズみたいに、そういう時でも自分の価値基準を忘れずに突っ張れるのってカッコいい。逆に頑固すぎて、自分で自分の首を絞めるような真似もしちゃうわけですが...。(創元推理文庫)

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