Catégories:“2005年”

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鎌倉幕府が倒れ、後醍醐天皇による建武の新政が始まって間もない頃。都で不世出の麒麟児と言われた北畠顕家は、わずか16歳の若さで陸奥守に任じられ奥州へと下向。多賀国府に入った顕家は、北条家の残党との戦を繰り返しながらも、山の民である安家一族の協力も得て、わずか2年間で見事に奥州を制定します。しかしその後、後醍醐帝と足利尊氏の争いが表面化して...。

久々の日本史物。もしかし火怨(感想)以来かも。なかなか日本史物の気分にならなかったんですよね。
いやー、久しぶりなのでペースを掴むのにちょっと時間がかかっちゃいましたが、面白かったです。北方さんだから男の人たちがみんなカッコいいんですよ。(笑) わずか16歳で、北畠顕家のこの落ち着きぶりってナニモノ?!なんて思ったりもしたんですが(笑)、でも武家と公家の間で揺れ動く顕家の心情(顕家は公家)がしっかり描かれていたし... 味方はもちろんのこと、敵方の尊氏・直義兄弟、斯波家長といった武将も魅力的で、あと奥州藤原氏の末裔という設定の山の民や、忍びの如月という存在が物語に奥行きを出してました。そして特に良かったのが合戦のシーン。奥州から京都までひた走りに走って尊氏を敗走させてしまうシーンが最高! 最後の戦と、「七ヶ条の諌奏」をしたためるシーンも良かったなあ。
でもね、この南北朝時代って、私のピンポイントな日本史の知識からはすっぽりと落ちている部分なんです... だって「イイクニツクロウ鎌倉幕府」の次は「足利尊氏の室町幕府」、程度の知識しか残ってないんですもん... これで事前の知識があればもっと面白かっただろうにと思うと勿体ない... もっと勉強しないとダメですね。(涙)(集英社文庫)


+既読の北方謙三作品の感想+
「破軍の星」北方謙三
「楊家将」上下 北方謙三
「水滸伝」1~3 北方謙三
「水滸伝」4~6 北方謙三
「水滸伝」7~9 北方謙三
「水滸伝」10~12 北方謙三
「水滸伝」13~15 北方謙三
「水滸伝」16~18 北方謙三
「水滸伝」19 北方謙三
Livreにブラディ・ドールシリーズと「三国志」の感想があります)

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「風の王国」シリーズ5冊目。唐の国から吐蕃(チベット)の王に嫁いだ公主が主人公の、史実に基づいた歴史物。(1~4巻の感想はコチラ
今回、とうとう翠蘭がソンツェン・ガムポ大王に会って、自分が世民の娘ではなく姪だと告白することになります。でもそこがクライマックスになるのかと思ったら違ったのでほっ... このシリーズを読み始めた時から、世民の実の娘じゃないっていうのがそんなに大問題なのか?とずっと思い続けてたんですよね。「偽公主」だなんて言うほどの問題じゃないでしょ。だってある意味、世民の実の娘っていうより凄いのに!(謎)
初登場のソンツェン・ガムポは、かなりの狸親父。でも決めるところは決めてくれました。なかなかいいですねえ。さすが大王の風格。この父親と一緒にいると、リジムが妙に子供っぽく見えてくるのが可笑しい♪ でもそれに引き換え、リジムの幼馴染の底の浅いこと... 仮にも王様の親友扱いなんだから、もうちょっと何とかしてもらえないですかねえ。なんでこんなヤツと仲が良かったんだ? 人を見る目がないとしか思えないぞ...っ。とはいえ、今回がシリーズで一番緊迫感があって面白かったです。
しかしこれで偽公主問題は一応解決してしまいました。これからどうするんでしょ。史実の通り突き進む? 単純に史実通りにはして欲しくないなあ。さて、どんな風に料理してくれるのやら楽しみです。(コバルト文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「風の王国」1~4 毛利志生子
「風の王国 月神の爪」毛利志生子
「風の王国 河辺情話」毛利志生子
「風の王国 朱玉翠華伝」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国 目容の毒」毛利志生子
「風の王国 臥虎の森」毛利志生子
「風の王国 花陰の鳥」毛利志生子
「風の王国 波斯の姫君」毛利志生子・増田メグミ
「風の王国 初冬の宴・金の鈴」毛利志生子
「風の王国 嵐の夜」上下 毛利志生子
「風の王国 星の宿る湖」毛利志生子

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「猫背の王子」は中山可穂さんのデビュー作。5年前に自分の劇団を立ち上げ、座長として脚本家として演出家として、そして役者としてやってきた王寺ミチルが、自分の劇団、そして大切な人々を失う物語。そして「天使の骨」はその続編。劇団を失って失意のどん底にいたミチルが、海外へと旅立つ物語。いわば喪失と再生への序曲、でしょうか。
「猫背の王子」で、自分の命を削るように輝いていたミチルは良かったんだけど、でも破滅に向かって突き進んでいく様子が痛々しくて見てられなかったんですよね。「天使の骨」では、既にどん底にまで落ちてしまってるわけだから、もちろんそれはそれで大変なんですけど、でもこっちの方が好き。何よりずっと読みやすかったし、ぼろぼろの天使というのがいいんですよねえ。そしてすっかり輝きを失っていたミチルが、その光を再び取り戻していこうとするのも。
でもまだ決着がついてないんです。あともう1作、続編希望。恋人同士の愛情を超えた、もっと大きな愛が見たいところです。

それにしても、恋愛小説は苦手なはずだったのに、最近増えてきてるような...。しかも結構ディープだったり。(笑)
でも、中山可穂さんの作品は女性同士ということに注目が集まりがちなんでしょうけど、きっとそれは瑣末なことなんですよね。同性でも異性でも、人を好きになったり大切に思う気持ちは一緒ですものね。(集英社文庫)


+既読の中山可穂作品の感想+
「白い薔薇の淵まで」中山可穂
「猫背の王子」「天使の骨」中山可穂
「感情教育」「深爪」中山可穂
Livreに「サグラダ・ファミリア-聖家族」の感想があります)

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「影に歌えば」は、タニス・リー版「ロミオとジュリエット」。ヴェローナがヴェレンサ、ロミオがロミュラーン、モンテギューがモンターゴー、マーキュシオがマーキューリオと多少変えてある程度なので、誰が誰なのかすぐ分かります。ハッピーエンド好きの私にしては珍しく、シェイクスピアは悲劇の方が断然好きなんですが、それでも「ロミオとジュリエット」は、私の苦手なすれ違い物。あまり好きじゃないんですよね... でもタニス・リーの手にかかると一味違いました。相変わらずの華麗な描写だし、ところどころで異教の神々の名前が登場して、本家とはまた違う艶やかさ。脇役までしっかり描かれていて、人物造形は本家よりも遥かに深みがあるんじゃないかと。ラストもこっちの方が好き! これを読んでしまったら、もう本家の方は読めなくなっちゃうなあ。...歴史小説を読んでる時なんかによく思うんですが、同じ過程を辿って同じ結末に至るにしても(変えるにしても)、どう話を膨らませるか、どう読ませてくれるかという部分が、作家さんの腕が問われるところですよね。もちろん本歌取りも。
そしてもう一方の「死霊の都」の方は、ええと、あんまり印象に残らなかったです...。タニス・リーらしく夜の闇の世界が舞台の作品なんですが、なんだか書き込み不足で勿体無い感じでした。(ハヤカワ文庫FT)


そしてこの2冊で、タニス・リー単独作品はコンプリート! 絶版本も全部手元に揃えられました。わーい! いやー、長い道のりでしたー。もちろん、全部が全部大好きというわけにはいかないんですけど、でも全部読めてほんと嬉しい。
ちなみに私的タニス・リー作品ベスト3は、1位「闇の公子」、2位「惑乱の公子」、3位「銀色の恋人」。あ、でも「幻魔の虜囚」も捨てがたい...。タニス・リー版「王子と乞食」の「月と太陽の魔道師」とか、おちょくられてるような「白馬の王子」も結構好きだし。って初期の作品ばっかりだ!

タニス・リーの作品で装幀が好きなのはこの2つ。どちらも加藤俊章さんのイラスト。この方、タニス・リーの本ではかなり挿絵も描いてらっしゃいます。クリムトを思わせる絢爛豪華なカラー絵も素敵だし、ビアズリーを思わせる白黒の絵が、またとてもいいのです。
 


+既読のタニス・リー作品の感想+
「闇の公子」タニス・リー
「死の王」タニス・リー
「タマスターラー」タニス・リー
「ドラゴン探索号の冒険」タニス・リー
「白馬の王子」タニス・リー
「惑乱の公子」タニス・リー
「熱夢の女王」上下 タニス・リー
「ゴルゴン 幻獣夜話」タニス・リー
「血のごとく赤く」タニス・リー
「バイティング・ザ・サン」タニス・リー
「鏡の森」タニス・リー
「黄金の魔獣」タニス・リー
「幻魔の虜囚」タニス・リー
「幻獣の書」「堕ちたる者の書」タニス・リー
「月と太陽の魔道師」タニス・リー
「冬物語」「闇の城」タニス・リー
「銀色の恋人」タニス・リー
「妖魔の戯れ」タニス・リー
留守中に読んだ本(18冊)(「ウルフタワー」の感想)
「影に歌えば」「死霊の都」タニス・リー
「パイレーティカ 女海賊アートの冒険」タニス・リー
「銀色の愛ふたたび」タニス・リー
「水底の仮面」「炎の聖少女」タニス・リー
「土の褥に眠る者」「復活のヴェヌス」タニス・リー
「悪魔の薔薇」タニス・リー

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鬱病のペンギン・ミーシャと一緒に暮らしている、売れない作家の物語。
ソ連の崩壊後に独立したウクライナの首都・キエフが舞台で、まだかなりきな臭い状態なんですけど、そんな状況の中に、このペンギンがすごく効いてるんですねー。もうほんと、とにかく可愛い。主人公が座っているとその膝に身体を押し付けてみたり、バスタブに冷たい水を入れてる音を聞きつけてペタペタとやって来て、水がたまるのを待ちきれずにバスタブに飛び込んだり。主人公をじーっと見つめてみたり、どことなく嬉しそうだったり。勿論何もしゃべらないんですが、なんだかとっても雄弁なんです。やっぱりペンギンと聞くと、あのペタペタ歩くユーモラスな姿が浮かんでくるのがポイントなんでしょうね。他の動物じゃあ、ちょっと出せない味だ~。
でもそのペンギンは憂鬱症。訳者あとがきにあるクルコフのインタビューによると、ペンギンは集団で行動する動物なので、1羽だけにされると途方に暮れてしまうんだそうです。そしてその姿は、ソ連時代を生きてきた人間にそっくりとのこと。ミーシャは動物園から解放され、人々はソ連から解放されても、最早「自由」に順応できなくなっているんですね。そしてそれは作中でペンギン学者の老人が言う、「一番いい時はもう経験してしまった」という言葉に繋がります。動物園での生活、ソ連にとらわれていた時が「一番いい時」というのが何ともいえない...。
主人公も孤独でペンギンも孤独、一緒にいるからって孤独じゃなくなるわけじゃなくて、孤独が寄り添っているという辺り、分かるなあ。

読みながら、どこか村上春樹作品の雰囲気があるなあと思ってたら、訳者あとがきにクルコフは「羊をめぐる冒険」が好きだと書かれててびっくり! 文章だけの問題じゃないのは分かってますが、それでも日本語をロシア語に変換して(「羊をめぐる冒険」)、ロシア語を日本語に変換しても(「ペンギンの憂鬱」)、やっぱり雰囲気が似てるってなんだかとっても不思議です。(笑)

これは新潮クレストブックスの1冊。やっぱりこのシリーズ、もっともっと読みたいな。(新潮社)

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新宿に古くからある「酒場」は、クセモノ揃いの常連客たちが集まってくる場所。そこに店長の義理の娘・のり子が100円ショップで売っていた缶詰を持ち込んだことから物語は始まります。

「百万の手」に続く現代物。「百万の手」みたいに不満がいっぱい残ることはないし、まあまあ可愛らしい連作短編集なんですけど... でもやっぱりなんだか物足りない...。「いつでも帰れる場所」としての「酒場」の存在は魅力的だったんですが、いくら美味しそうな食べ物が出ても、北森鴻さんの香菜里屋みたいな存在にはならないし、それより何より、100円ショップの缶詰という小道具がちょっとチープ過ぎじゃないですかね? 13歳ののり子にはともかく、いい年した常連さんたちにはちょっと合わないですよー。
やっぱりファンタジックな畠中さんの作風には、現代という舞台はあまり合わないんでしょうかねえ。同じような物語でも時代物なら、もっとすんなりとその世界に入り込めたのかも。...それでも詰めの甘さは変わらないか... 「しゃばけ」のシリーズは大好きだし、もっと面白い作品が書ける人だと思うのに残念だなあ。(双葉社)


+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「おまけのこ」
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
「いっちばん」畠中恵
Livreに「しゃばけ」「ぬしさまへ」「百万の手」「ねこのばば」の感想があります)

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1ヶ月前に全焼したアパートの跡地を訪れ、被害者の1人だった少女に向けた言葉を呟く男。そしてその男に反応した2人の少年。北畠藍子に一体何があったのか...?

うわー、感想を書くのが難しいです...。
「バッテリー」での少年たちの葛藤は、言わばスポーツマンならではの真っ直ぐで、比較的単純なものだったと思うんですけど、こっちの少年の葛藤は、頭が良い少年たちならではの複雑で繊細で尖ったもの。自分がどこか周囲に馴染めていない、周囲から浮き上がっているような気がするという違和感。そんな少年たちの「揺れ」が繊細に描かれていくのですが... うーん、あと一歩踏み込みが足りなかったような...。途中、少年たちの思いや言動にほとんど説明がないので、最後まで核となる部分がぼやけていたような気がするんですよね。ラストも不完全燃焼だし...。(でもここで終わりたいっていうのは分かる気がする)
帯によると「本当に書きたかった作品です」とのこと。一体、あさのさんが本当に書きたかったのって、どんな作品だったんだろう? って読み終わった後で改めて考えてしまいました。「No.6」の2巻のあとがきで、安易に希望を語るのはもうヤメだ、みたいなことが書かれているのを読んだ時は、ああー、この人はもう「バッテリー」を書くのが嫌になってしまったんだろうなって思ってしまったんだけど...。
amazonの書評を見ると、3人中2人が5つ星で、残り1人が4つ星なんですよね。高評価。どうやら私、何か肝心なものを掴み損ねてしまったみたいです(^^;。(角川書店)


+既読のあさのあつこ作品の感想+
「バッテリー6」あさのあつこ
「福音の少年」あさのあつこ
Livreに「バッテリー」1~5、「No.6」1・2の感想があります)

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Note


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