Catégories:“2005年”

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修道士カドフェルシリーズの16冊目。もう16冊も読んだのかー... と、なんだか感慨深いです。読んでいてとても心地良いシリーズなので、あと5冊しか残されてないのがちょっと寂しいのですが。
今回は中心となるのは、まず異端問題。この時代ならではですね。イレーヴ青年の持った「生まれたばかりの赤ん坊が、洗礼を受けていないという理由だけで地獄に落とされるというのか?」という疑問や、「人は、神の恩寵を受けるために日々努力するべきであり、ただ単に救いを待つべきものではない」という言葉は決して間違っていないはずだし、当然だとも思うのに、キリスト教の教義に対して疑問を持つこと自体が異端であり、断罪されかねないこの時代では、神を冒?する言葉としてしか受け止められないんですよね。そもそも「父と子と聖霊の御名によりてアーメン」という三位一体の言葉自体、突き詰めて考えるとすっごく難しい問題のはずなのに、それが上手く理解できないというだけで異端とされちゃうなんて。(私だって、何度唱えたか分からないけど、まだ理解しきれてないぞ!) その辺りのややこしい問題がエリス・ピーターズによってとても入りやすくまとめられているのが興味深かったし、ラドルファス院長やカドフェルの懐の深さが改めて感じられて、とても良かったです。
あと今回はヴェラム皮で作られた祈祷書が登場。これが見てみたい! 本文中の描写を読んでるだけでもとても美しいのです。かなり具体的な描写なので、きっとモデルがあるのだろうと検索してみたんですけど、作り手や持ち主の名前では何も出て来なくて残念。やっぱり、ずばりそのものがあるわけではないのね。... でもどんな本なのかぜひ見てみたいなー。(光文社文庫)


やっぱり本は私にとって一番の精神安定剤だな。と、ふと。
精神的にキツくなってくると読了数が増えるという、不健全な本読みですが(^^;。


+シリーズ既刊の感想+
「聖女の遺骨求む」「死体が多すぎる」「修道士の頭巾」...ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「聖ペテロ祭殺人事件」エリス・ピーターズ
「死を呼ぶ婚礼」エリス・ピーターズ
「氷のなかの処女」エリス・ピーターズ
「聖域の雀」「悪魔の見習い修道士」エリス・ピーターズ
「死者の身代金」「憎しみの巡礼」エリス・ピーターズ
「秘跡」「門前通りのカラス」エリス・ピーターズ
「代価はバラ一輪」エリス・ピーターズ
「アイトン・フォレストの隠者」エリス・ピーターズ
「ハルイン修道士の告白」エリス・ピーターズ
「異端の徒弟」エリス・ピーターズ
「陶工の畑」「デーン人の夏」エリス・ピーターズ
「聖なる泥棒」「背教者カドフェル」エリス・ピータース
「修道士カドフェルの出現」エリス・ピーターズ

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かつて天に2つの双生の月があった頃。炎月王と青月王という2人の王によって治められていた2つの月は、ある時些細なことから敵対することになり、炎月王は青月王に敗れて冥界へと墜とされてしまいます。そして200年後。炎月王に仕えていた月の吟遊族の生き残りの1人が立ち上がり...。

七生子さん@どこまで行ったらお茶の時間のオススメ。タニス・リーの影響を受けていると聞いて以来、すっごく気になっていた作品です。気になりながらも早数ヶ月... ようやく読めました!(私ってそんなのばっかりだわ)
夜の情景がとても美しくて、でもタニス・リーの闇の妖しさとはまた違って、こちらは冷たく冴え渡る月の光がとても美しいのですねー。月の場面も砂漠の場面も冥界の場面も、どれも素敵。今にも月琴の音が聞こえてきそう。そして作中で一番印象的だったのが天狼という人物なんですけど、この天狼がアズュラーン(タニス・リーの平たい地球シリーズに登場する妖魔の王)を彷彿とさせるんです! 夜の描写自体よりも、むしろこちらにその影響が感じられるように思いました。んんー、いいなあ。
そして月の光を感じる物語となると、思い出すのが神月摩由璃さんの「幾千の夜を超えて」(感想)。こちらもタニス・リーを彷彿させながら、月光の清冽さを感じさせるような作品だったんですよね。ああ、読み比べてみたくなっちゃう。今手元にないのがとっても残念。

小沢淳さんの作品は、4年ほど前にchicacoさん@CHICACOの部屋に薦められてムーン・ファイヤー・ストーンシリーズやムーン・ライト・ホーンシリーズを読んで以来。こちらもとても楽しんだのですが、その当時はもっとミステリ系のサイトだったので(笑)、ミステリ作品にしか感想を書いてなかったんですよねえ... 何も残ってなくて残念。やっぱり、簡単にでも何か書いておかなくちゃダメですねえ。(福武書店)

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ピンクのぶたのぬいぐるみ「山崎ぶたぶた」のシリーズ最新作。前回はエッセイ教室が舞台となっていましたが、今回のキーワードは、料理や食べ物。そしてそこには家族の絆という裏キーワードも隠されているようです。「食事」が生きていく上での基本であり、人が生まれ育つ上で、かなりの回数の食事を家族(もしくは家族代わりの人)と取ることになる以上、当然の帰結かもしれませんね。今回はぶたぶたの家族関係に関してもかなり判明します♪
この1冊に4つの短編が収められているのですが、今回特に気に入ったのは、「十三年目の再会」と「最後の夏休み」。記憶というものは、匂いでもかなり喚起されますが、味覚もそうですよね。ぶたぶたがきっかけで、懐かしい味に出会ってしまう登場人物たちの姿が嬉しくも切ないです。...でもね、毎回のように仕事を変えているぶたぶた、普段はそんなものかと読んでるんですけど、今回に限っては「嘘の効用」から「ここにいてくれる人」までの間に一体何があったのかしら? なんて気になっちゃいました。
ぶたぶたによって人々が癒されるのは、やはりぶたぶたが「痛み」を良く知っているからなのではないでしょうか。深く傷ついた経験がある人ほど、他人に優しくなれるものだし... って違うかな(^^;。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ぶたぶた」「刑事ぶたぶた」「ぶたぶたの休日」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「ぶたぶた日記」矢崎存美
「ぶたぶたの食卓」矢崎存美

+既読の矢崎存美作品の感想+
Livreに「幽霊は行方不明」「幽霊は身元不明」の感想があります)

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極度の飛行機恐怖から、それまで海外旅行処女だった恩田さん。しかし取材旅行のために、とうとうイギリスとアイルランドへと行くことに... というエッセイ。というか旅行記。飛行機を怖がる人は結構いますけど、恩田さんほど怖がる人は珍しいのでは? なんせ、何度乗っても慣れるどころか、相変わらずの顔面蒼白、空港に着いた辺りから記憶が曖昧になっちゃうほどなんですもん。「あんな鉄の塊が空に浮くなんて信じられない」と言う人はよくいるし、その気持ちは良く分かるんですけど... でも、ここまでって。(笑)
そんな「怖い」がひたすら前面に出てるんですが、その合間には小説や映画の話がいっぱい。そして新作にも繋がりそうなアイディアがいっぱい。今回は、そのアイディアの部分が特に面白かったです。

「歴史上の人物で誰が好きか」という話から、歴史上の人物が探偵役となるミステリの話になり、「比較的最近の有名人で探偵を押し付けられそうなのは誰?」という話に。そして実際に、マザー・テレサやガンジーが探偵をやってみた時のさわりが書かれてるんです。それがすっごく面白そう。読んでみたいー。そしてさらに、アイルランドのタラを訪れた時に、恩田さんが頭の中で見た情景... こちらはきっと本当に新作に繋がるのでしょうね。「小説以外」を読んだ時も感じたんですけど、恩田さんにとって作家という職業は本当に天職なんだなあと、またしても実感させられちゃいました。

あ、恩田さんはそれほどひどい食事には当たらなかったようですね。いいなあ。私がイギリスに行ってた時は大変でした...。特に寮の食事は最悪だったので、ひたすらパブで食事してました。(パブは結構美味しい)
今回のイギリス取材で、理瀬のイギリス留学時代の話もいよいよ具体化? ますます恩田さんの作品に注目なのでした。(講談社)

これで恩田さんの作品は再びコンプリートです♪


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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4年前に宝くじで3億円が当たったものの、特にやりたいことがなく、東京の勤めをやめて敦賀に移り住んだ河野勝男。釣りをしたり、釣った魚を料理したり、洗車したりという毎日を送っていた河野の目の前に現れたのは、白いローブを着た、金髪に灰色の目をした40がらみの男「ファンタジー」でした。その日からファンタジーは河野の家の居候となります。

初めての絲山秋子さんの作品。今読むなら、直木賞候補になった「逃亡くそたわけ」でしょ!と言われそうな気がするのですが(笑)、これも一昨年の芥川賞の候補作品だったそうですねー。それってもしかして、綿矢りささんと金原ひとみさんが受賞した時ですか? いやー、直木賞も芥川賞もちゃんとチェックしてないので良く分からなくて... というか、選ばれた時点で読む気をなくしてることが多いので...(^^;。あ、もちろん面白そうなら拘らずに読みますけどね。ちなみにこれは貸していただいた本です。
で、読んでみて。んんー、何だったんでしょう。自分のことを神だと言うファンタジーのことは、河野も含めて大半の人間がなぜか知っていて、会った瞬間名前が分かるんですよね。この中でファンタジーのことが分からないのは、河野のかつての同期の女性の片桐だけ。でも私には、その片桐だけが、この作品の中でリアルに感じられました。他の人たちは皆砂の色なのに、彼女と彼女にまつわるものだけが鮮やかに色づいていたような印象というか。片桐のアルファロメオは鮮やかな赤なのに、河野のオレンジ色のピックアップも、河野の恋人となるかりんのカーキ色のジープも、全部砂の色の濃淡の中に沈んじゃう。海も空もいっぱいあるのに、目に入ってくるのは片桐だけ。そして作中には結構重いテーマが投げ込まれてたりするんですけど、でもそれも砂色の濃淡に染まって、さらりと流れていってしまったんですよねえ。むむむ。
理屈ではなく、感覚で捉えるべき作品なんでしょうけど... 脇役の片桐にしか色彩を感じなかった私には、結局うまく捉えきれない作品だったのでした。うーむ、何をどう感じていいのかも良く分からない...。(新潮社)

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高校ボート部に女子部を作ろうと、先生に働きかけ、部員集めに走り回る悦子の3年間の物語。以前映画にもなっていますし、今も確かドラマ化されているんですよね? 宙の本棚の小葉さんが、たらいまわし企画の第12回「爽やかな春に読みたい青春小説」で挙げてらした作品でもあります。なんと作者の敷村良子さんは、小葉さんの高校時代のクラスメイトなんですって! 作品自体はフィクションでも、本の中にはその当時の雰囲気が詰まっているだなんて、いいですねえ。なんだか羨ましくなっちゃいます。
お世辞にも要領が良いとは言いがたい悦子たちなので、その活動を軌道に乗せるまでが大変なんですが、でも彼女たちの諦めの悪さのようなものが、読んでいる側にも達成感を与えてくれます。作中で家庭科教師が、「器用な人が楽々こなすより、不器用な人が苦労してなしとげるほうが、何倍も尊いのよ」と言ってますが、本当にその通りなのでしょうね。
ちなみに「がんばっていきまっしょい」は、松山東高校に伝わる気合を入れる時の掛け声とのこと。「がんばっていきまっしょい」「ショイ!」という掛け声の部分は、読んでるだけでも雰囲気が伝わってきて、読んでいると熱くなってしまいます。でも... 青春ってほんと恥ずかしいですね。悦子も「出来事を消せる消しゴムがあれば、あれもこれもごしごし消し去りたい恥ずかしい思い出ばかりだ」と言ってますが、私もほんとそうです。あの頃のことって、思い出すだけで身が竦みそうになります。(笑)(幻冬舎文庫)

そうそう、この作品も方言がいい味を出してる作品でした! 同じ四国でも、香川県が舞台の芦原すなお氏の「青春デンデケデケデケ」と、愛媛県が舞台のこの作品では言葉がまた全然違っているのですが、でも雰囲気はどこか似通っていて... いい感じです(^^)。

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舞台は福島県南部、阿武隈川沿いに広がる平野にある集落。語り手となる峰子は、その集落の名称にもなっている名家・槇村家の末娘・聡子の話し相手としてお屋敷に上がることになります。聡子は生まれつき心臓が弱くて学校にも行けずに家の中だけで暮らしているのです。そんなある夏のこと、屋敷に不思議な一家がやって来て...。

ようやく読みました、「蒲公英草紙」! いやあ、素敵でしたー。まるで語り部の語り継いでゆく物語のようです。峰子が語り手となり、柔らかで穏やかに物語は紡がれてゆきます。静かに淡々と進むんですけど、でもその中の情景は思いがけないほど鮮やかに浮かび上がってくるんですよね。そして淡々と静かに流れる幸せな日々の奥に潜む厳しさを、ふと感じさせられたり。私には、洋行帰りの西洋画家と、仏が見えなくなってしまった仏師の、絵を巡るエピソードが特に印象的で、はっとさせられました。そして最後はもう...(涙)血は異ならず 果しなき旅路

「蒲公英草紙」の余韻で、思わず「光の帝国」も再読。今日からまた祖母の家に行くんですけど(今度は8月12日まで)、自宅にいる間に「蒲公英草紙」を読んでおいて良かったです。でないともう一度「光の帝国」を買いに本屋に走りかねませんでしたもん。(笑)
ちなみに右の画像は、「光の帝国」に影響を与えたというゼナ・ヘンダースンの「果しなき旅路」と「血は異ならず」。どちらが好きかといえば、やはり恩田さんの作品の方なんですが、こちらも素晴らしいです。失ってしまった故郷への郷愁がとても切なく哀しい物語。(集英社)


+シリーズ既刊の感想+
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸

+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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