Catégories:“2005年”

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「死神」は情報部に指示された人間に近づき、7日間のうちにその人間が死んでもいいかどうかを判断、「可」なら8日目にその死を見届けるのが役目。仕事がくるたびに、対象となる人間に近づきやすい年齢や外見となって近づき、淡々と仕事をこなします。特に問題がない限り「可」を出すことになっているため、ろくな調査をせずに「可」としても構わないのですが、「ミュージック」をこよなく愛する死神たちはギリギリまで判断を保留し、CDショップに入り浸るのです...。

ということで、先月出た伊坂幸太郎さんの新作。死神の「千葉」を主人公にした連作短編集です。そのうちの1作「恋愛と死神」は、以前雑誌で読んでるんですが、やっぱりこうしてまとめて読むとずっと面白い! 死神だなんていう突拍子もないはずの設定なのに、すんなりと作品の世界に入れちゃうし、しかも6つの短編はそれぞれに恋愛物だったり雪の山荘を舞台にしたミステリだったり、ハードボイルドだったりとバラエティ豊かで、それもとても面白いんです。特に雪の山荘なんて、死神ならではの真相が!(笑) そして最後の「老婆対死神」がまたいいんですよー。読んでいるとどの人間も死なせたくないって思っちゃうし、それでも千葉は感傷に流されることなく「可」の判定を下してしまったりするのだけど、でも最後まで読むと「それで良かったのね」という気になりました。飄々としていてちょっぴりズレた発言をする千葉の造形もすごく楽しいし、雨男の千葉なので雨の情景ばかりなのに、読後感はとっても爽やかです。
淡々とそつなくまとまっているようでいて、そこにはしっかり伊坂さん流の笑いの感覚が潜んでいるんですねー。大満足。これは続編もぜひとも書いて頂きたいのだけど、ここまで綺麗にまとまっちゃったら無理かしら?(文藝春秋)


+既読の伊坂幸太郎作品の感想+
「死神の精度」伊坂幸太郎
「魔王」伊坂幸太郎
「砂漠」伊坂幸太郎
「終末のフール」伊坂幸太郎
「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」伊坂幸太郎
「フィッシュストーリー」伊坂幸太郎
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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横須賀基地の一般開放日・春の桜祭りの日に、巨大ザリガニが基地を襲撃して、...?!という怪獣映画さながらの設定なんですが(笑)、中身はまるで福井晴敏さんのよう。読んだ後で電撃文庫出身の作家さんだと知ってびっくりでした。これは3作目で、2作目の「空の中」もハードカバーなんですってね。確かにこの作風ならハードカバーの方が相応しいでしょうねえ。
外見は怪獣映画でも、そこに潜んでいるはなかなかの人間ドラマ。潜水艦の中と外からの視点で交互に描かれていくんですが、特に潜水艦内部が良かったです。(潜水艦の外は、なんとなく踊る大捜査線のイメージ... というか筧利夫さんのイメージか? 笑) 海上自衛隊員の2人がかっこいいし! 大人社会を反映した子供たちの確執も読みどころでした。面白かったなー。(メディアワークス)


+既読の有川浩作品の感想+
「海の底」有川浩
「図書館戦争」「図書館内乱」有川浩
「阪急電車」有川浩

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痛快無比という表現がぴったりの作品と聞いてたんですけど、ほんとその通り! 面白かったです。かつて学生運動の伝説の闘士だった(?)というとんでもないオヤジが出てきて、子供の側からしたらもうほんと迷惑な存在なんですよね。口先ばっかり達者で、でも実際には何もしないオヤジにはムカつく! 子供の社会もなかなか大変なのに、それをさらにややこしくしてくれちゃって、もう大変。でもそんなオヤジが後半、びっくりするほどかっこよく見えてきちゃうんですよねえ。やっぱりやる時にやってくれる人はいいですね。「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」の伊良部に負けないような濃いキャラでした。
後半は沖縄が舞台なので、夏に読むのにぴったりです。という私も沖縄ではないけど、昨日は炎天下のプールに行ってきたので雰囲気満点... 日焼け跡がヒリヒリ。(角川書店)

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■「雨鱒の川」川上健一 [amazon]
本が好き!お気軽読書日記のもろりんさんのオススメ。美しい自然を舞台にしたなんとも美しい純愛物語。中心となっている2人が10年経ってもまるで変わらないのは、変わりゆく自然との対比? 評判通り、方言がいい味を出していました。東北の言葉ってほとんど馴染みがないし、最初は全然意味が分からなくて、読みづらかったんですけどね。(集英社文庫)


■「時計坂の家」高楼方子 [amazon]
Cross-Roadの瑛里さんが、先日BookBatonで思い入れのある作品として挙げてらしたので興味を持っていたところ、たらいまわし企画でも妖精と黒薔薇の書架のつばきさんが挙げてらっしゃいました。これは児童書ですが、とても奥が深いファンタジー。読み返すたびに新たな発見がありそうな作品です。作中ではC.S.ルイスのナルニアが引き合いに出されていたんですが、この独特の雰囲気は、フィリッパ・ピアスの「トムは真夜中の庭で」に近いような気がします。高楼方子さん、いいですねえ。他の作品も読んでみたいな。(リブリオ出版)


■「ぐるりのこと」梨木香歩 [amazon]
これはエッセイ。境界線とそのこちら側、向こう側の話が多かったです。で、改めて考えてみると梨木さんの書かれる物語もそういう話が多いような。(新潮社)


■「プールに住む河童の謎」緑川聖司 [amazon]
児童書です。「晴れた日は図書館へいこう」が面白かったので、期待していた緑川聖司さんの新作。こちらもなかなか可愛らしい作品でした。森友典子さんのイラストも作品のイメージにぴったり。大人のミステリ読みはすぐにピンと来るでしょうけど、この謎がまた児童書にぴったりだし~。相馬くん、可愛かったなあ。でも宝石店に関する記述には納得できないものがいくつか。こんなことを子供が本当に信じ込んだらイヤだわあ。(小峰書店)


■「ベルガリアード物語」全5巻 デイヴィッド・エディングス [amazon]
Baroque Midnight Gothic Twilightの森山樹さんに教えて頂いたシリーズ。異世界ファンタジー好きには堪らない本格的なエピック・ファンタジー。「指輪物語」の本流を汲む作品だと解説にはあったけど、読み始めはむしろロイド・アリグザンダーのプリデイン物語のシリーズみたいでしたね。面白かったです。かなりボリュームのある作品なのですぐには無理だけど、これは絶対また再読したくなるだろうな。この物語の前日譚(?)「魔術師ベルガラス」全3冊が今月から出始めてるそうなので、そちらも買ってこなくっちゃ。(ハヤカワ文庫FT)


■「マライアおばさん」「七人の魔法使い」「時の町の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ [amazon]
どれもものすごーくダイアナ・ウィンジョーンズらしい作品で、続けて読むとちょっと胸焼けがしそう... とは言っても、どれも作風は違っていて、DWJの引き出しの多さにびっくりなんですけどね。「マライアおばさん」は、ほんとヤなヤツだらけで、誰が味方なのかも分からないほど。毒気がいっぱい。「七人の魔法使い」の方が明るくて楽しかった。本当にこの終わりでほんとにいいの?って感じでしたが...。「時の町の伝説」はタイムトラベル物。ちょっとややこしかったけど、歴史の捉え方が面白かったです。(徳間書店)


■「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」パトリシア・A・マキリップ [amazon] [amazon]
どこまで行ったらお茶の時間の七生子さんのオススメ。どちらも重厚で寡黙な独特のな雰囲気がすごく素敵な作品でした。まるで神話みたい。少しでも飛ばすとすぐ分からなくなってしまいそうで、そういう緊張感も久しぶりでした。マキリップも色々と読んでみたい! 「影のオンブリア」の「オンブリア(Ombria)」は、舞台となる都の名前。それ自体が影を連想させる言葉なので(仏語の「影」はombre、伊語だとombraだし)重箱読みしてるような妙な気分だったんですけど、読んでみるとなんともぴったりな名前でした。KinukoY.Craftさんのイラストの表紙も、ほんとぴったりで素敵。この「影のオンブリア」を原作として、岡野玲子さんが「コーリング」を描かれてるのだそうです。→間違いでした。「妖女サイベルの呼び声」が原作なんですって。maki さん、ありがとうございます!(ハヤカワ文庫FT)


■「ウルフタワー」全4冊 タニス・リー [amazon]
訳のせいもあるんでしょうけど、これじゃあまるでライトノベル。コバルトに入っててもおかしくないぐらい。原文がどうなってるのかは知らないですけど、なにもこんなに軽く訳さなくても...。たまに惹かれる部分はあるものの(主人公の相手役がかっこよかった)、全体にタニス・リーらしさがあまり感じられなくて残念。(産業編集センター)

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今回は再読したわけじゃないんですけど、Livreに載せている感想をこちらにエントリしておきます。読んだのは2004年6月なので、丁度1年前ですね。この作品を読んだ時点では、「妖都」「蘆屋家の崩壊」だけが既読だったはず。そちらの2作との雰囲気の違いにすっごく驚いた覚えがあるんですけど... そんなこと一言も書いてないや(^^;。
以下Livreからの転載です。

ミッション系のルピナス学園の女子高校生・吾魚彩子が級友の桐江泉と京野摩耶、そして憧れの祀島龍彦と一緒に、刑事をしている姉・不二子とその相棒・庚午宗一郎から持ち込まれた事件を推理するという連作短編集。
最初の2編は、10年ほど前に「津原やすみ」名義で講談社X文庫から出版された、「うふふルピナス探偵団」「ようこそ雪の館ヘ」を全面改稿したもの。そしてこれに「大女優の右手」が新たに書かれたのだそうです。X文庫の時とは、おそらく文体がかなり違うのではないかと思いますが、さすがに元は少女小説らしく、テンポが良くてさくさくと読める楽しい作品となっています。そしてやはり少女小説ならではといったところで、キャラクターが魅力的。特に彩子の憧れの祀島くんが何ともいい味を出しています。収められているのは、「冷えたピザはいかが」「ようこそ雪の館へ」「大女優の右手」の3作。

「冷えたピザはいかが」倒叙式のミステリ。犯人がなぜピザを食べなければならなかったのかというのは今ひとつ納得できなかったのですが、エアコンのタイマーの説明には非常に納得。「ようこそ雪の館へ」奇妙奇天烈な推理も披露されるのですが、しかしその着眼点が面白いですね。「大女優の右手」ここで演じられている尾崎翠の「瑠璃玉の耳輪」は、実在する作品。その舞台の艶やかさが伝わってくるような作品です。プラチナの腕輪という小道具の使い方も鮮やかで、しかも切なさを孕んでいていいですね。この作品の中では、右手が切断されたというのも、まるで1つの儀式のように見えてくるのが不思議。遺体の移動トリックが面白く、3作の中ではこれが一番好きです。

彩子と祀島くんの恋の行方も気になりますし、続編もぜひ書いて頂きたい楽しいシリーズです。(原書房)

とのことデシタ!


+既読の津原泰水作品の感想+
「ペニス」津原泰水
「少年トレチア」津原泰水
「綺譚集」津原泰水
「妖都」津原泰水
「蘆屋家の崩壊」津原泰水
「赤い竪琴」津原泰水
「ルピナス探偵団の当惑」津原泰水

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作家としてデビューしながらも行き詰っている孝夫と、第一線の医師として国際的に活躍しながらも心のバランスを崩してしまった美智子の2人は東京を引き払い、孝夫が子供の頃を過ごした信州の田舎へ。そこで2人が出会ったのは、96歳のおうめ婆さんと、難病を抱えながらもおうめ婆さんにインタビューしながら「阿弥陀堂だより」という広報誌にコラムを書く24歳の小百合でした。

本が好き!お気軽読書日記のもろりんさんにオススメして頂いた本。豊かな自然に囲まれてゆったりとした空気が流れ、物語は淡々と進んでいきます。孝夫と美智子という夫婦には、実際に医者さんであり作家でもあるという南木佳士さんご自身が投影されているのでしょうね。そしてその2人に、自分自身を改めて見直すきっかけをくれるのが、おうめ婆さんと小百合の2人。小百合も可愛いんですけど、このおうめ婆さんがとにかく素敵なんですよー。何気ない一言に人生の重みがあってじわりとくるし、その自然体な生き方といったら、生半可な親切心が虚しくなっちゃうほど。もちろん自然というのは厳しいものだし、その中で自然体で暮らすことの大変さは半端ではないのですが...。この作品は映画化されてて、おうめ婆さんを演じたのが北林谷栄さんなのだそう。きっと絶品なんだろうなあ。観てみたくなっちゃいました。(文春文庫)

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悲しみの時計少女 [amazon]
時計を忘れてきて落ち着かない「浩子」に喫茶店で親しげに話しかけてきたのは、見知らぬ男性。その男性は自分が浩子の別れた恋人であり、浩子の頼みで、彼の今の彼女と3人で会う約束になったと言います。確かに話の辻褄は合っているものの、前の恋人とはまるで違う顔。しかもそこに現れたのは、時計の文字盤の中に顔を嵌め込んだような奇妙な少女だったのです...。

谷山浩子さんといえば歌手、という認識だったのですが、本も沢山書いてらしたんですね。これは雨柳堂さんと鴻唯さんにオススメされた作品。ごく普通の喫茶店のシーンから始まったのに、気付けばいきなり異世界に入り込んでしまっていてびっくり。まるで「不思議の国のアリス」みたい。ものすごく変なことが次々と起きるのに(時計の文字盤に顔を嵌め込んだ少女だなんて!)、でも全然違和感がないのが、また不思議なんですよねえ。どことなく城戸光子さんの「青猫屋」みたいな雰囲気と鴻唯さんが仰っていたのも納得。うわー、こういうの大好きです! ファンタジーかと思えばホラー。ホラーなのかと思えばミステリ... そして最後は、そうくるかっでした。うひゃっ、部外者にとってはそれだけのことと言えばそれだけのことなんだけど... 切ないなあ。

amazonにもbk1にも画像がなくて、でも独特の雰囲気が素敵だったので、自分で写真を撮ってしまいました。ちょっと歪んでるけど、案外それなりに見えるものですね。(笑)(サンリオ出版)

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