Catégories:“2005年”

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急にアメリカに行くことになった叔母の代わりに、叔母のマンションに住みこんで2匹の猫の面倒をみることになった渉。しかしそのマンションには、実は雨の日にだけ現れる幽霊がいたのです...

幽霊との恋物語。そしてその幽霊の死の真相を探るミステリでもあります。松尾さんの作品に幽霊というのは今までにもあった組み合わせだし、特に珍しくもないんですが、今回驚いたのは、この作品の持つストレートさ。これほど素直な松尾作品なんて、これまでありました?! もちろん幽霊の描かれ方はとてもユニークで、そこは十分松尾さんらしいんですけど、でも恋愛物という点では、予想した通りの場所に直球ストレートでびっくり。毒もないことはないんだけど、本筋とはまた少し違う部分だし...。(それにつけても、守山という男の最低なことったら) さすがに相手が幽霊のせいか、純粋な恋愛物という意味では少し希薄な感じは否めないんですけど、淡々とした描写が優しい雨の情景と良く似合ってました。...でも正直言えば、ミステリ部分にはちょっと不満が。幽霊がなかなか語ろうとしない部分が結構あるんですけど、それが妙に意図的に感じられてしまって...。自慢して言いふらすような事柄じゃないだけに、当然なのかもしれませんが...。
でも... 帯の「ありえない恋 ラスト2ページの感動」はどうなんでしょ...??(新潮社)


+既読の松尾由美作品の感想+
「雨恋」松尾由美
「ハートブレイク・レストラン」松尾由美
「いつもの道、ちがう角」松尾由美
「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」松尾由美
「九月の恋と出会うまで」松尾由美
「人くい鬼モーリス」松尾由美
「フリッツと満月の夜」松尾由美
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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厳格すぎるほど厳格だった父に反抗して、20歳そこそこでで家を飛び出して以来、実家にはあまり寄り付かなかった野々。しかしその父も1年前に亡くなり、兄妹3人で一周忌の相談をすることになります。兄の春日も20歳になった時に家を飛び出しており、現在実家に残っているのは、母親と妹の花だけ。しかし以前はいつも身綺麗にしていた母が、最近身なりにも構わず、家事もせず、庭は荒れ放題、あれほど好きだったピアノにも鍵をかけているという状態。それには父が死んだ後で発覚した不倫事件が関係していたのです...。

児童書のイメージが定着していた森絵都さん。前作「永遠の出口」が初の大人向け作品として出版されていたものの、元々大人にも十分楽しめる児童書を書かれていた絵都さんのこと、実際にはそれほど雰囲気は変わらなかったんですよね。でも今回は本当に大人向きでした! 最初の場面がいきなり性描写でびっくり。しかもそこから話は、亡くなった父親の不倫話へと発展。これは確かに大人向きですね。...とは言っても決してどぎつくはないんですが。(そういえば「DIVE!!」の2巻も、かなり際どかったような覚えがあるんですけど... あれは設定がそうだっただけかな?)
夫婦の愛情、親子の愛情、兄妹の愛情、恋人同士の愛情と、色々な愛情がテーマとなっていたように思います。そして父からの卒業。なんだか大きく人生を感じることのできるような作品でした。もし身近にいたら、好きになれたかどうか分からないこの兄妹も他の人たちも、森絵都さんの濃やかな描写を通すと、なんだかみんな愛しく感じられちゃうような気がします。そしてそれが絵都さんの凄いところなんでしょうね。(角川書店)


+既読の森絵都作品の感想+
「いつかパラソルの下で」森絵都
「にんきもののひけつ」「にんきもののねがい」「にんきものをめざせ!」「にんきもののはつこい」森絵都
「あいうえおちゃん」「流れ星におねがい」森絵都
「ぼくだけのこと」森絵都
「いちばんめの願いごと」森絵都
「屋久島ジュウソウ」森絵都
「風に舞いあがるビニールシート」森絵都
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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なんだか怖い表紙ですねー。これは本のことどもの聖月さんのオススメの作品。聖月さんったら力を入れるあまり、まるでスパムのようなトラックバックまでばら撒いたんですよー。(笑) その聖月さんの書かれた書評はコチラ
で、そのトラックバックを頂いてから1ヶ月以上経ってしまったわけなんですが、読んでみました。(←これでも早い方なのだ) 
舞台は江戸末期から明治にかけての日本。表題作は、とある狂言作家が、若い頃に師匠に聞かされた話を物語るという形式。この表題作の中にも、顔は美しく化粧をしていても心の中は...という譬えが出てくるんですが、まさにそういう感覚の作品群です。核となる登場人物たちは、かつては華やかな暮らしをしていたり、幸せを掴んでいたりと一応恵まれた日の当たる場所にいたはずの人々。なのに物語の視点となる人物が見ている「今」は、既に凋落した生活ぶり。そこには一応、一般的な人々が納得できるような理由や解釈が存在するんですが、それだけではないんですよね。読んでいると、まるでたまねぎの薄皮を1枚ずつはがしていくような感覚です。1枚ずつはがしていって、その一番奥に潜むものは...? もうほんとゾクリとさせられます。5つの物語には特に繋がりも何もないのですが(日本の伝統的芸能が多く登場するけど)、でもやっぱりこれは連作短編集なんじゃなかろうかーって思います。全て読み終えてみると、どれも1人の狂言作家の目を通してみた物語という気がするし。本物の芝居を書くために、人々の生業やそこに潜む闇を覗きこむ目、ですね。
ええと、純粋に好きかどうかと聞かれると、実はあまり私の好みとは言えないのだけど...(聖月さん、ごめんなさいー)、でもオススメしたくなるのも良く分かる良質の短編集。翔田寛さんって、去年ミステリフロンティアに書かれるまでは、実は名前も良く知らなかったんですけど、こんな作品がデビュー作だなんて! しかも埋もれていたなんて!(あ、別に埋もれてない?) たとえば心の闇を描いた作品が好きな人なら、すごくハマると思います。一読の価値はあるかと♪(双葉文庫)

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彩雲国物語の新作、今回は外伝です。うわーい、面白かった! 今回は短編集で、本編「はじまりの風は紅く」のちょっと前の話とか、会試の直前の話とかが入ってます。これを読むと、1つ前の「漆黒の月の宴」はそれほどでもなかったなって改めて思っちゃう。私のお気に入りの王都大人2人組(?)も登場してくれて、何よりもそれが嬉しいです。でも外伝だし、本編を読んでない人にはさっぱり... ってヤツですね。読者サービスってところでしょう。それでも面白ければそれでいいのだ♪ あ、秀麗の母上もかーなり気になるキャラクターですね。
この「朱にまじわれば紅」を読み終わった途端、再読モードに入ってたんですけど(笑)、続けて思わず2巻の「黄金の約束」を読み返してしまったわ。んん~、やっぱり好きだなあ!


+シリーズ既刊の感想+
「彩雲国物語 はじまりの風は紅く」「彩雲国物語 黄金の約束」雪野紗衣
「彩雲国物語 花は紫宮に咲く」雪乃紗衣
「彩雲国物語 想いは遙かなる茶都へ」雪乃紗衣
「彩雲国物語 漆黒の月の宴」雪乃紗衣
「彩雲国物語 朱にまじわれば紅」雪乃紗衣
「彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計」雪乃紗衣
「彩雲国物語 心は藍よりも深く」雪乃彩衣
「彩雲国物語 光降る碧の大地」雪乃紗衣
「彩雲国物語 藍より出でて青」雪乃紗衣
「彩雲国物語 紅梅は夜に香る」雪乃紗衣

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以前黎明の月~Daybreak moon~の凛未明さんに教えて頂いていた中華風ファンタジー。イラストを描かれたのが由羅カイリさんということもあり、彩雲国物語を彷彿とさせる雰囲気があると聞いていたのですが、確かにそうかも! いやー、これもなかなかしっかりとした作品ですね。面白かったです。特に教えて頂いた「雄飛の花嫁」。

まずその「雄飛の花嫁」は、綏国の公主として生まれながらも、母の身分が低かったために父王の崩御は身の置き場を失ってしまった珠枝(しゅし)が主人公。寵妃であった母も既に亡く、母を憎んでいた父王の正妃には事あるごとに辛くあたられる毎日。現在王となっている異母兄や、もう1人の公主である異母妹は優しいものの、人々が暗黙のうちに公主と認めているのは、愛らしい異母妹だけ。そんなある日、北方の新興国が攻め込んできて、和議のために珠枝はその蛮族の王に嫁ぐことに... という物語。
展開はごくごくオーソドックスなんですよ。継母にいじめられる「シンデレラ」パターンと、野獣かと思っていた男が実は白馬に乗った王子様という「美女と野獣」パターン。(大嘘) でもこれが読ませてくれるんですねえ。珠枝が嫁ぐ飛鷹という若い王様がまたかっこ良くて~。

そして「天の階」では、生まれる子生まれる子が女の子で、少し焦っていた王様が登場。仙人に相談すると、11年前の仲秋の満月の晩、星が流れた頃に生まれた女の子が将来跡継ぎとなる男子を産むとのこと。早速高官たちが11年前の8月15日の夜に生まれた女の子を探しに全国に散ります。見つけた数は全部で9人。そして7年後、その9人が後宮に入るべく王宮へ... という物語。
酒見賢一さんの「後宮小説」を思い出す設定ですね。「雄飛の花嫁」とは同じ世界の物語なんですけど、時代は何百年も流れているみたいです。こっちも面白かったんだけど... でもちょっと人数が多すぎたかな。9人の候補の中には全く触れられていない人もいて、せっかく9人いるんだったら9人全部ちゃんと描いて欲しかったし、9人全部描いてるわけじゃないのに1人1人の掘り下げ方は浅いしで、ちょっぴり欲求不満。きっと「最後に選ばれるのは誰?!」を盛り上げるためだったんでしょうけど、もっと少なくても良かったのに。それに話の中に2つの流れがあるんですが、その2つがあまりしっくりと馴染んでなかったような気が... ラストの展開に関してもアレレ。面白かったことは面白かったんですけど、残念なところも色々と目についちゃいました。

2作を比べると、「雄飛の花嫁」の方が断然上。でも「天の階」も基本的にいい感じだったし、今後が楽しみな作家さんですね。次の作品も、出たら読む気満々です♪ (講談社X文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「雄飛の花嫁」「天の階」森崎朝香
「翔佯の花嫁 片月放浪」森崎朝香
「鳳挙の花嫁」森崎朝香

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この本の表紙が出てくることが驚き! だってこの本は1989年に出た本で、もう出版元の会社もないし、当然絶版になってる本なんですよー。以前読んだ「幾千の夜を超えて」がものすごーく良かった神月摩由璃さんのSF&ファンタジー読書案内です。BAROQUE MIDNIGHT / GOTHIC TWILIGHT の森山樹さんのオススメ。もう、かなり探しましたよ。ようやくみつかって嬉しい!! ...でもこれが意外と難関だったのでした...。ゲームの雑誌に掲載されていたブックレビューだけあって、文体が「幾千の夜を超えて」とはまるで違うのです。☆とか★といったマークもいっぱい。
>きゃっ、SFだわ、ケン・ソゴルだわ☆
なーんて感じなんですもん。イヤん、こういうのを本の活字で読むのって苦手なのにぃ☆★☆
(ネット上で読むんだったら、全く大丈夫なのになあ...)

でも紹介されているSF&ファンタジー作品は面白そうなのばかりです。...というか、ナルニアの紹介の中で、「次はいよいよ私の大好きな『馬と少年』です。」という言葉を読んで、もう私はすっかり親近感! 私も「馬と少年」大好きです! シリーズ7冊の中ではこれと「朝びらき丸 東の海へ」「カスピアン王子のつのぶえ」が特に好きなんですけど、その中でも「馬と少年」は別格。この作品を好きな人に悪い人はいない... じゃないですが(笑)、これはかなり趣味が合う人なんじゃ... なんてことを思っちゃうんですよねえ。(^^ゞ
月刊誌で3年と1ヶ月分、37章で紹介されている作家は40人以上。シリーズ物が多いので、かなりの作品数が紹介されています。私が読んでいない作品も沢山紹介されていて、色々と読んでみたくなっちゃいました。15年前に紹介されてるわけだし、既に絶版になっている作品も多そうですけどね。まずはフリッツ・ライバーの「ファファード&グレイ・マウザー・シリーズ」かな。これは現在復刊中で、着々と揃え中なので♪ (現代教養文庫)


+既読の神月摩由璃作品の感想+
「幾千の夜を超えて」神月摩由璃
「SF&ファンタジー・ガイド 摩由璃の本棚」神月摩由璃
「魔州奇譚」1・2 神月摩由璃
「花輪竜一郎さんの優雅な生活」「リュスリナの剣1」神月摩由璃

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普段は左から1巻→4巻と並べるんですけど、今回は4巻→1巻と並んでいます。こうすると絵柄が繋がるんですねえ。(←表紙を並べるのが好きな人)
この作品は以前おかぼれもん。のpicoさんに面白いと教えて頂いて以来(確かたらいまわし企画の「秋の夜長は長編小説!」の時)読みたくて、その後moji茶図書館のmoji茶さんが読んでらっしゃるのを見て、やっぱり面白そうだとますます気になっていた作品。自主的に図書館自粛期間をやってたこともあって随分遅くなってしまったんですけど、とうとう読めました...!
いや、ほんと面白かったです。遣唐使として唐に渡り長安に入った空海が、妖異だの何だのから思いがけない出来事に巻き込まれていくという伝奇小説。このタイトルがまたいいですよね! 「沙門空海」が、「唐の国にて鬼と宴」をしちゃうんですよー。(そんな風に書いたら、せっかくのタイトルも台無しかしら) 読み始めこそ、空海と橘逸勢(たちばなのはやなり)の会話がまるで「陰陽師」の安倍晴明と源博雅のようだなあ~という感じだったんですが、でもこっちの2人は「陰陽師」の2人とはまたちょっと違うんですよね。空海にしても野心家だし、意外と計算高かったりしするところが面白い♪ それに物語のスケールの大きさも全然違うんです。...とは言っても、私は「陰陽師」も大好きなので、スケールが大きいからこっちの方が上とかそういう話じゃなくて、「陰陽師」とはまた違う魅力があるという意味なのですが!
空海もいいし、橘逸勢もいいし(でもその後のことを知ってるとちょっと切ない)、中国側の人たちも、既に歴史上の人物となってしまっている人たちもみんな良かった。でも確かにこれは空海が主人公なんだけど、空海の話でありながら、白居易の世界でもあるんですね。二重写しというか、空海の物語の奥底に「長恨歌」が伴奏のように響いてる感じというか... 途中までは「ワクワク」がメインで読んでいたのですが、終盤は一気に切なくなりました。切ない切ない切ない哀しい切ない。 
連載開始から17年、4回も掲載誌を変えながらついに完結したという作品。あとがきの1行目に「ああ、なんというど傑作を書いてしまったのだろう。」という夢枕獏さんの言葉がありますが、これも素直に頷けちゃいます。ほんと凄いです。いい作品を読みました。そのうち空海の日本編も書くつもりがあるとのことで、楽しみ。いずれ役小角の話も書くつもりがあるとのことで、これも楽しみ。夢枕獏作品、今度は16世紀のオスマントルコ帝国を舞台にしてるという「シナン」が読みたいんですよね。あと、李白と白居易もちゃんと読みたいな。...ああ本当に、読んでも読んでも読みたい本は尽きないのですねえ。(徳間書店)


+既読の夢枕獏作品の感想+
「陰陽師 龍笛の巻」夢枕獏
「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」夢枕獏
「陰陽師 鳳凰ノ巻」夢枕獏
「『陰陽師』読本 平安の闇に、ようこそ」夢枕獏
「シナン」上下 夢枕獏
(Livreに「猫弾きのオルオラネ」「羊の宇宙」「大帝の剣」「陰陽師-付喪神ノ巻」「陰陽師-生成姫」「陰陽師-鳳凰の巻」の感想があります)

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