Catégories:“2005年”

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A女学院の英語教諭・ニシ・アズマ女史は、学院の屋根裏部屋が大のお気に入り。時間が空くとその部屋で絵を描いたり、運び込んだ古ベッドで午睡をしたりしています。しかしそんな彼女も赤縁のロイド眼鏡をかけると名探偵に変身。学院の内外で起きた出来事を解き明かしていきます。...ということで、昭和32年から33年にかけて雑誌に連載されていたという連作短編集。北村薫さんが「謎のギャラリー 謎の部屋」で取り上げて絶賛、文庫化の運びになったようです。さすがに時代を感じさせる文字遣いや文章なんですけど、でもそれがまた逆に雰囲気を出してました。
時には殺人も起きてるのに、むしろ「日常の謎」に近い雰囲気。意外と観察眼の鋭いニシ・アズマ女史が偶然何かを目にして、「おや」と思ったところから事件が始まります。ほんの小さな出来事から、事件の全体像を描き出してしまう鮮やかさ。でも普段のニシ・アズマ女史は、あくまでものんびり午睡を楽しむ可愛らしい女性なんですよね。この彼女の雰囲気が作品全体の雰囲気になっていて、とても優しい読後感。ミステリ部分以上に、この雰囲気をのんびりと楽しみたい作品かも。飄々とした味わいのある1冊でした。 (創元推理文庫)

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久々の御手洗シリーズの長編。 レオナに届いたファンレターから、大正8年に箱根の芦ノ湖にロシアの軍艦がいたという写真の謎、そしてさらに大きな歴史的な謎へと物語は発展していきます。
御手洗が北欧に行ってしまってから、このシリーズへの興味もすっかり薄れてしまってたんですけど(子供の頃の御手洗には興味ないし、海外で活躍するのもあんまり好きじゃない ←ワガママ)、これは北欧に発つ前年の話だったんですね。いや、面白かった。読み始めた時は、こんな壮大な話になるとはつゆ知らず。なんだかまるで全盛期の御手洗物を読んでるような雰囲気もあって、懐かしかったなあ。これこそが真実に違いない!って迫力もありました。...でもねー、パソコン通信全盛の1993年に、インターネットで簡単に検索しちゃってるのが驚き!しかも出先で!?とか、彼女は話せないの、話したくないの、どっち?!とか、つい気になってしまった部分もいくつか。ああ、些細なことなのに! 普段は細かいことなんてほとんど気にせず読んでるのに(面白ければオッケー)、一旦気になりだすと止まらないのはなぜぇ。そんなことに気付いてしまった自分がカナシイ。や、面白かったんですよー。
これは元々「季刊島田荘司2000Autumn」に発表された作品で、その時は、文庫にして80ページほどのエピローグはなかったのだそう。御手洗物としては本編だけでも十分だと思うけど、もしかして本当はエピローグの方が書きたかったのかな? これがあるのとないのとでは、かなり印象が変わりそうです。(角川文庫)


+既読の島田荘司作品の感想+
「ロシア幽霊軍艦事件」島田荘司
「UFO大通り」島田荘司
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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かつて大阪で人気のあった劇団の花形だった花菱清太郎。しかし結婚を機に自分の劇団を立ち上げるものの失敗。それ以来何度も仕事を変わり、会社を作っては倒産する生活。今は家族6人で、レンタル家族派遣業の真っ最中。

荻原さんらしいデフォルメされた物語にデフォルメされた登場人物。まるで大衆演劇そのもののようなドタバタコメディだなーと思っていたら、後半は本当に大衆演劇の世界となっちゃいました。(笑) 元々はあまり仲良くなくて、すれ違ってばかりいる家族が、レンタル家族派遣なんていう仕事を通して仲の良い親子を装っている辺りは、なんだか痛々しくて読んでるのがツラかったんですけど、でも6人家族の1人が去り2人が去りと、どんどん人数が減ってくるに従って、なぜだか読むのは楽になりました。言ってしまえば家族崩壊なんですけど、でも全然悲惨な感じはしないんですよねー。ちょっぴり切ないんだけど、明るくて。これはやっぱりただの家族崩壊じゃなくて、1人ずつがそれぞれ自分の足で立てるようになったからなんだろうな。去る者を思いながらも、それぞれに自分の進む道をみつけて邁進。しんみりしながらもユーモアたっぷり。もう一捻り欲しかった気もするんですけど、荻原さんらしい作品でした。(双葉文庫)


+既読の荻原浩作品の感想+
「誘拐ラプソディー」荻原浩
「母恋旅烏」荻原浩
「神様からのひと言」荻原浩
Livreに「オロロ畑でつかまえて」「なかよし小鳩組」「ハードボイルド・エッグ」の感想があります)

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「邪馬台国はどこですか?」の姉妹編とも続編とも言える作品。美貌の歴史学者・早乙女静香とフリーライターの宮田、バーテンの松代はそのままなんですが、今回は三谷教授の代わりにペンシルベニア大学教授のハートマン氏が加わります。彼は古代史の世界的権威。でもほとんど物語の視点提供だけといった感じですね。今回も静香のツッコミに、宮田の一見突拍子もない推論が繰り広げられるのが楽しい連作短編集。でも「邪馬台国」ほどの説得力は感じられなかったかな...。今回は、前回みたいな「わー、本当にそうなのかも!」じゃなくて、「ほおー、そう来るのか」という感じだったし。とはいえ、やっぱり楽しかったです。この軽快さは鯨さんならではですね。しかも今回バーテンの松代さんもかなり頑張ってましたよ。小林ケンタロウさんの「ドカンと、うまいつまみ」が参考文献に入ってるって聞いてたんですけど、それも納得。本当に参考文献に載ってるところを見た時は笑っちゃった。あ、そういうつまみとかカクテルの参考文献もそうなんですけど(笑)、こういう作品の参考文献って、タイトルを見てるだけでも面白そうで読みたくなっちゃいますね。そして、ここで活躍する早乙女静香は、「すべての美人は名探偵である」で、「九つの殺人メルヘン」の主人公の桜川東子と共演してたんですね。これも読んでみたいなあ。(創元推理文庫)

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左がロアルド・ダールの原作で、右はその映画。ロアルド・ダールといえば、同じく児童書の「チョコレート工場の秘密」や、大人向けの「あなたに似た人」なんかがありますね。「あなたに似た人」のあまりに強烈な毒に、大人向けの作品はもういいや... と思ってしまった私ですが、児童書の毒は比較的柔らかくって、まだ楽しく読めます。(^^ゞ
この「おばけ桃の冒険」は、ダールが4人の子供さんに毎晩お話を聞かせてるうちに、自然に出来上がったお話なんだそう。ダールらしい毒もそれほどじゃありません。事故で両親を亡くして2人の意地悪なおばさんに引き取られた主人公の状況は、ハリー・ポッターも真っ青なんですけどね。で、最初は原作を読むだけのつもりだったんですが、映画は「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」と同じ監督で、同じようにティム・バートンの名前があったので、急遽こちらも。...といいつつ、映画を先に観たんですが(笑)、でも「ナイトメア」に比べるとかなり子供向けって感じで、私にはちょっとツラいものもありました... 主人公のジェームズと一緒に旅するミミズやムカデやクモといった虫たちが人形で登場してるんですけど、私、人形物って苦手なんですよね。だからって、リアルな虫も絶対ダメなんですが...(^^;。でも映画には、「ナイトメア」のジャックもちらっと登場してたのにはニヤリ。(「ナイトメア」は、人形物がダメな私には珍しく全面的にオッケーな映画) 映画の方がストーリー展開に蓋然性があったような気もしますが(本当か?)、でもなんでそういう虫たちと旅をすることになったのかは、本の方が分かりやすいかな。映画にしても原作にしても、大きな桃で海を渡る場面はとても綺麗。(特に夜) 姉御肌のクモも良かったし、意地悪おばさんの突き抜けた意地悪ぶりもなかなかいい感じでした。(評論社)

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4巻は「シルクロード」、5巻は「トルコ・ギリシャ・地中海」、6巻は「南ヨーロッパ・ロンドン」編。
ということで、いよいよインドからロンドンへのバス旅行が始まります。まずはインドを出発して、パキスタンからアフガニスタンへ。パキスタンでの乗り合いバスのチキン・レースはほんと怖そう! でもなんだかすごく分かるっ。イギリスに行ってた時のことを思い出しちゃいましたよー。私はあっちの大学の先生の車に乗せてもらってたんですけど、イギリス人は車の運転をすると人格変わっちゃうのか何なのか、普段は知的で落ち着いたロマンスグレーなおじさまがとにかく飛ばす! 他の車も飛ばす! 何もない田舎なので他の車とはそれほど出会わないし、普段なら問題ないんですけど、でも一回、三叉路の交差地点に猛スピードで走ってきた3台の車が危うく正面衝突?!ってことが...。いやー、あれは怖かった。...って、全然関係ない話ですね、すみません。ええと旅の方は、アフガニスタンからイランに入り、そしてトルコ、ギリシャ。ギリシャからはヨーロッパ圏ということで、やっぱり雰囲気がちょっと変わりますね。そして旅の最終地点へ。
1~3巻ではそれほど「行きたい」にならなかったんですが、4巻からは「行きたい」ですっかりうずうずしちゃいました。そしてイスタンブールのハナモチ氏(笑)が言ってた「チャイの国」の話には納得。確かに日本は「茶」だし、そこからトルコに至るまでの他の国でも、「チャ」とか「チャイ」ですものね。そしてこの「C」の茶の国が、私が行きたくてうずうずする国の共通項なのかも。もちろん「ティー」とか「テ」の「T」の茶の国も好きだし、きっと私にはそちらの方が遥かにすんなり楽しめるだろうとは思うんですが、「C」の国の方が細かい所でいっぱい苦労しそうな分、憧れが強まるのかもしれない... なーんて思いながら4巻5巻を読んでたんですが、ギリシャからのヨーロッパ編を読んでると、やっぱりこっちも行きたくてうずうず!(笑) イタリアもフランスもまだまだ見てない所がいっぱいだし、それにスペイン!行ってないんですよねえ。私の第二外国語も、沢木さん同様スペイン語だったのに! そして、「T」の茶の国を通り抜けてたどり着いた、ユーラシアの西端で再び「C」の茶の国となるというのが、なんだか感動でした。ああ、ポルトガルにも行ってみたい... って、結局「行きたい」ばっかりですが...(^^;。
いやー、本当に楽しい旅でした。読んでる間、すっかり自分も一緒に旅してる気になってました。沢木さんは、この1年間でどれだけの人と出会い、別れていったんでしょうね...。やっぱり旅の醍醐味は、新しい土地とそこにいる人々との出会いですよね。楽しかったり切なかったり不安になったり、もちろんいいことばかりではないし、私にできる旅はこれに比べると遥かにスケールが小さいんだけど、でもまたあの感覚を味わいたくなってきちゃいます。それにこういう本を読んでいると、今の自分の殻を打ち破りたくなってきちゃう。本当は色々とやりたいことがあるし、自分のやれる範囲では頑張ってるつもりなんだけど、でも無意識のうちに諦めてるものがどれだけあるか...。なんだか沢木さんの旅行を通して、そんな自分ときちんと向き合っているような気分になりました。...や、だからといって、実際には荷物片手に飛び出したりはできないんですけどね...!(笑)(新潮文庫)


+既読の沢木耕太郎作品の感想+
「深夜特急」1~3 沢木耕太郎
「深夜特急」4~6 沢木耕太郎

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インドのデリーからロンドンまで乗り合いバスで行くことはできるか?という友人との賭けがきっかけで、26歳の沢木耕太郎さんは仕事も何もかも投げ捨てて、机の引き出しの一円硬貨までかき集めて日本を脱出。結果的に1年以上に及ぶ旅に出ることに。1巻は「香港・マカオ」、2巻は「マレー半島・シンガポール」、3巻は「インド・ネパール」編です。
1巻がいきなりインドの安宿で始まったのには驚いたんですけど、1章の途中でようやく、なぜそこから始まってがのかが分かります。なんとデリーが出発地点だったんですか! でもこれからバスに乗るよってところで、旅の始めの香港・マカオへと戻ることに。マカオのカジノのシーンが特に面白かったなあ。それに対して、2巻はやや低調かも。きっと書いてる本人があんまり楽しんでいないのが伝わってきちゃうからなんでしょうね。読みながら、「なんでもっと楽しまない?!」って何度も思っちゃいました。私だって香港に行った時は凄く楽しかったし、気持ちは良く分かるんですけど、でもタイもマレーシアもそれぞれに楽しい所なのに! なんでこんな風に頑ななのかしら...。もちろん、それだけ香港のインパクトが強かったんでしょうけど、でも本だって読むからには楽しまなくちゃ損だし、映画だって観るからには楽しまなくちゃ。旅行だって他のことだって同じはず。勿体ないナリよ。そして3巻になると、インドのカルカッタとネパールのカトマンズ。ということで、また面白くなります。インドの話ってやっぱり面白いなあ。妹尾河童さんの「河童が覗いたインド」も、椎名誠さんの「インドでわしも考えた」も面白かったし、他の国の話以上に書いてる人間が出てくるような気がしますね。
ということで、次はいよいよ乗り合いバスかな? 楽しみです。(新潮文庫)


+既読の沢木耕太郎作品の感想+
「深夜特急」1~3 沢木耕太郎
「深夜特急」4~6 沢木耕太郎

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