Catégories:“2006年”

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「金の鍵」(岩波少年文庫) ... 「魔法の酒」「妖精の国」「金の鍵」の3編収録
「黄金の鍵」(ちくま文庫) ... 「巨人の心臓」「かるい姫」「黄金の鍵」「招幸酒」の4編収録
ジョージ・マクドナルドの作品は、様々な邦題で訳されているので分かりにくいのですが、「金の鍵」と「黄金の鍵」、「魔法の酒」と「招幸酒」はそれぞれ同じ物語です。

ジョージ・マクドナルドはルイス・キャロルと同時代に活躍し、トールキンやルイスに大きな影響を与えたという作家。スコットランド色の濃い「魔法の酒」(「招幸酒」)もとても面白くて好みなんですが、やっぱりこの中で一番素敵なのは、表題作の「金の鍵」(「黄金の鍵」)でした。
これは、虹のたもとで金の鍵を見つけた少年と、2人の召使にいじめられていた少女が、「おばあさま」の家で出会い、金の鍵の合う鍵穴を探しに行く旅に出る物語です。マクドナルドらしく、とても美しくて幻想的。そしてとても象徴的なのです。「おばあさま」や魚には、どのような意味が隠されているのか、2人が旅の途中で出会う、「海の老人」「大地の老人」「火の老人」とは。「老人」と言いつつ、その見かけは老人ではなかったりするし、特に「火の老人」の1人遊びが気になります。そして2人が最終的にたどり着く、「影たちがやってくる源の国」とは。どれもはっきりとは書かれていなくて、読者が想像するしかないのですが...。井辻朱美さんの「ヘルメ・ハイネの水晶の塔」の下巻の情景は、もしかしたらこの旅の情景に影響を受けているのかも。なんて思ったりしました。そしてここに登場する「おばあさま」は、「お姫さまとゴブリンの物語」や「お姫さまとカーディの物語」(感想)に登場する「おばあさま」と同じ人物なのかしら? マクドナルドの作品全体を通して、「おばあさま」がとても重要な役割を担っているようです。(岩波少年文庫・ちくま文庫)


+既読のジョージ・マクドナルド作品の感想+
「お姫さまとゴブリンの物語」「カーディとお姫さまの物語」マクドナルド
「北風のうしろの国」ジョージ・マクドナルド
「かるいお姫さま」マクドナルド
「ファンタステス」ジョージ・マクドナルド
「金の鍵」「黄金の鍵」ジョージ・マクドナルド
「きえてしまった王女」「かげの国」ジョージ・マクドナルド

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小学校3年生のりえちゃんは、一番仲良しの正ちゃんと喧嘩をした日、いつもと違う道を通って帰ります。いつもの道だと、途中で正ちゃんの家の前を通らなければならないのです。でも途中、空き地だったはずの場所に御殿のような建物が建っているのを見てびっくり。そこには赤い門がそびえ立ち、食べ物屋が並んでいました。そして、その中でも立派な店の前を通りがかった時に急に大粒の雨が降り出し、りえちゃんは慌ててお店に飛び込みます。

後に有名な中華料理人になったりえちゃんが、子供の頃の体験をファンタジー仕立ての童話にした、という設定。帯にある「おいしくかわいいお料理ファンタジー」という言葉そのまんまの作品。いやー、美味しそうでしたー。そして可愛かったですー。
りえちゃんがマーおじさんのお店のある中華横丁に入り込む辺りは、はっきり言って「千と千尋の神隠し」の場面にそっくり。でも、ここで出会うのはハクじゃなくて名コックのマーおじさん。美味しい中華小説といえば南條竹則さん、と私の中ではすっかりイメージが定着してるんですが、これも本当に美味しそう。ごく普通のはずの卵チャーハンの美味しそうなこと! しかも「八仙過海」だの「菊花乳鴿」だの「千紫万紅」だの「百鳥朝陽」だの「宝塔暁風」だの「蓬莱晩霞」だの、どんどん登場する中華料理の名前だけでもそそるんですよねえ。(もちろんそのそれぞれに、美味しそう~な説明がついてます) さすが満漢全席を食べたことがあるという南條竹則さんならでは。小学生が主人公なので、「酒仙」や「遊仙譜」に比べると、さすがにお酒度は低かったですが...(笑)
猪八戒のパロディの「ブタンバラン」とか、「美食礼讃」のサバラン、洞庭湖の竜王・洞庭君、中国四大美女の1人・王昭君、「神曲」のダンテ・カジキエビ(笑)、清朝の詩人・袁枚、中国の仙人・呂洞賓など古今東西の様々な人物が登場して、しかもダンテとは一緒に煉獄をめぐっちゃうし、公主の御殿では「トロイの悲劇」なんて劇まであって、かなりのドタバタ。でも、ただ美食を追い求めるだけでなく、さりげなく美食に対する教訓も籠められています。(ヴィレッジブックス)


+既読の南條竹則作品の感想+
「セレス」南條竹則
「りえちゃんとマーおじさん」南條竹則
「鬼仙」南條竹則
「あくび猫」南條竹則
「魔法探偵」南條竹則
Livreに「酒仙」「満漢全席」「遊仙譜」「ドリトル先生の英国」の感想があります)

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2歳年上の兄は天才的なMF。父も高校時代にDFとして国体に出場した経験があり、両親共にコアなマリノス・サポーター。そんな家に育った新二は、自分も地元のサッカーチームのFWでサッカーづけの毎日を送っていました。でも試合の前になると、いつも下腹がゴロゴロと鳴り、試合では実力が発揮しきれないタイプ。まるで才能のない自分に、いつしかサッカーを楽しめなくなっていたのです。そんな時、子供の頃からよく一緒にいた連が地元に戻ってくることを知ります。連は小学校の頃通っていた体操クラブでも将来の五輪金メダリストの卵と脚光を浴びながらもあっさりやめてしまい、今もまた全国大会の100mで7位という成績を残した、中学の陸上部を辞めようとしていました。新二と連は同じ高校に入り、一緒に陸上部に入部することに。

8月から3ヶ月連続で刊行中の佐藤多佳子さんの4年ぶりの新作。いやー、イイ!! やっぱり佐藤多佳子さん、好き!!
もう、読んでるうちに、こっちまで熱くなってきちゃう。陸上部とかその競技に関しては何も知らない私ですが、でも全然大丈夫。まだ1巻しか読んでないですけど、これは森絵都さんの「DIVE!!」と、あさのあつこさんの「バッテリー」と並ぶ作品になりそうな予感~。この2作にハマった人なら、きっとハマると思います。早く2巻3巻も読みたいなあ。(講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ2 ヨウイ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ3 ドン」佐藤多佳子

+既読の佐藤多佳子作品の感想+
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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ある朝、ビルボ・バギンズが朝食を終えて、自分の素敵な穴のドアの前でゆっくり一服楽しんでいた時、そこに現れたのは魔法使いのガンダルフ。ガンダルフはビルボを冒険に連れ出そうと思ってやって来たのです。しかしビルボは冒険なんぞ真っ平。翌日のお茶に招待すると言って、体よくガンダルフ追い払います。ところが翌日のお茶の時間に玄関の呼び鈴が鳴った時、ドアの前に立っていたのは1人のドワーフでした。次にまた1人。今度は2人。ひっきりなしにドワーフたちが現れ、結局ドワーフが13人とガンダルフが、ビルボを囲んでお茶をすることになり、ビルボはなぜか、昔ドワーフたちが竜のスマウグに奪われた宝を取り戻す旅に同行することに。

「指輪物語」を再読したいと思ってたら、ついついこちらから読み始めてしまいました。大人向けの「指輪物語」とは対照的に、こちらは子供向けの作品なので、読むのはそれほど大変じゃないんですけどね。いや、相変わらず楽しいなあ。でも、「指輪物語」もそうなんですが、最初はやけにのんびりした空気が流れているのに、だんだんシリアスな雰囲気になるんですよね。最後は「五軍の戦い」なんてものもあって、冒頭のいかにも「ホビットの冒険」という雰囲気からは離れてしまうのが、ちょっぴり残念。...と言いつつ、やっぱり面白かったんですけどね。「指輪物語」に登場するエルフのレゴラスの父、闇の森の王スランドゥイルや、ドワーフのギムリの父・グローインが登場するのも嬉しいところ。さ、これで「指輪物語」再読への準備は万全です。(岩波少年文庫)


+既読のJ.R.R.トールキン作品の感想+
「農夫ジャイルズの冒険 トールキン小品集」J.R.R.トールキン
「妖精物語の国へ」「妖精物語について」J.R.R.トールキン
「シルマリルの物語」上下 J.R.R.トールキン
「ビルボの別れの歌」「指輪物語『中つ国』のうた」J.R.R.トールキン
「ブリスさん」「サンタ・クロースからの手紙」J.R.R.トールキン
「仔犬のローヴァーの冒険」J.R.R.トールキン
「ホビットの冒険」上下 J.R.R.トールキン
「指輪物語」J.R.R.トールキン
「サー・ガウェインと緑の騎士」J.R.R.トールキン
「終わらざりし物語」上下 J.R.R.トールキン

+既読の指輪物語関連作品の感想+
「トールキン神話の世界」赤井敏夫
「トールキンによる『指輪物語』の図像世界」W.G.ハモンド/C.スカル
「トールキン指輪物語事典」デヴィッド・デイ
「図説 トールキンの指輪物語世界 神話からファンタジーへ」デイヴィッド・デイ

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小さな仔犬のローヴァーが、ある日庭院で黄色いボールを転がして遊んでいる時に出会ったのは、意地悪な魔法使いのアルタクセルクセス。ボールを取り上げた魔法使いに怒ったローヴァーは噛み付き、魔法使いはローヴァーをおもちゃの犬に変えてしまいます。そしておもちゃ屋のウィンドウに並べられたローヴァーを買ったのは、3人の息子のいるお母さん。その中の1人が大の犬好きで、とりわけ小さな白と黒のぶちの犬には目がないのです。しかし大喜びしていた少年は、海岸でローヴァーをポケットから落としてしまい...。浜辺でローヴァーが出会ったのは、プサマソスという名の魔法使いでした。

仔犬のローヴァーが、月世界に海底にと大冒険する物語。トールキンが「ホビットの冒険」よりも以前に作ったという作品です。この作品に登場する少年はトールキンの次男のマイケル。お気に入りの犬のおもちゃをなくしてしまった時に、マイケルを慰めるために作った話のようですね。
アーサー王伝説やギリシャ神話、北欧神話のモチーフが沢山取り入れられて、まだまだトールキン独自の世界とは言えないんですが、十分にその原型は感じられます。アルタクセルクセスの帽子はトム・ボンバディルのと同じみたいですし、月の男はまるでガンダルフのよう。(月の男ではなく、プサマソスなのかもしれませんが) 海の底に行ったローヴァーが鯨や海犬のローヴァーと西の果てに見た風景は、まるでヴァラールやエルフたちの住むアマンのよう。ここに登場するドラゴンも、ホビットの冒険に出てくるスマウグの原型と言えそう。...もちろん、そういったことを抜きに、1匹の仔犬の冒険物語としても十分楽しめますけどねっ。ローヴァー、すごく可愛いです。月の世界や海の底の世界の描写も素敵。(原書房)


+既読のJ.R.R.トールキン作品の感想+
「農夫ジャイルズの冒険 トールキン小品集」J.R.R.トールキン
「妖精物語の国へ」「妖精物語について」J.R.R.トールキン
「シルマリルの物語」上下 J.R.R.トールキン
「ビルボの別れの歌」「指輪物語『中つ国』のうた」J.R.R.トールキン
「ブリスさん」「サンタ・クロースからの手紙」J.R.R.トールキン
「仔犬のローヴァーの冒険」J.R.R.トールキン
「ホビットの冒険」上下 J.R.R.トールキン
「指輪物語」J.R.R.トールキン
「サー・ガウェインと緑の騎士」J.R.R.トールキン
「終わらざりし物語」上下 J.R.R.トールキン

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チポリーノは貧しいタマネギの少年。ある時、国の総督であるレモン大公がチポリーノたちの住む木造バラックの辺りを通ることになり、沿道に出ていたチポリーノの父・チポローネは、後ろの群集たちに押されてレモン大公の足をひどく踏みつけてしまいます。チポローネは即刻ちびレモン兵たちに逮捕され、終身刑を言い渡されることに。父親に面会に行ったチポリーノは、世間に出て勉強しろという父親の言葉に、チポッラおじさんに母と弟たちのことを頼むと、1人旅に出ることに。

チポリーノはたまねぎですし、ブドウ親方、レモン大公、トマト騎士、エンドウ豆弁護士、イチ子やサクラン坊やなど、野菜や果物が中心となった物語。児童書ですが、実は政治色が強いんですよね。「冒険」という名目で、レモン大公の独裁政治に革命を起こし、共和制の世の中に変わる様子を描いてるんですから。でも、子供の頃もそういうことは薄々感じていましたが、楽しく読んでましたし、大人になった今読み返しても、やっぱり楽しかったです。ロシア語の訳書からとったというB・スチェエーヴァの挿絵も、相変わらず可愛い~。
それにしても、ロシアでチポリーノの歌が作られたというのは覚えていましたが、それを作ったのが「森は生きている」のマルシャークだったとは...! びっくり。そうだったのか。いや、色々ありそうですね。(岩波少年文庫)


+既読のジャンニ・ロダーリ作品の感想+
「猫とともに去りぬ」ロダーリ
「チポリーノの冒険」ジャンニ・ロダーリ
「うそつき国のジェルソミーノ」ジャンニ・ロダーリ
「パパの電話を待ちながら」ジャンニ・ロダーリ

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先日「トールキンによる『指輪物語』の図像世界」を読んだ時に(感想)、読みたいなあと思った本。早速図書館で借りてきました。私が読んだ版の書影がなくて残念! と思っていたら洋書の方にあって嬉しい~。ほとんど一緒なので、ここに載せちゃいますね。リンク先は日本語版のページですが。

ということで、J.R.R.トールキンが子供たちのために作ったお話からできたという絵本2冊。「ブリスさん」の方も、トールキンの直筆の原稿(挿絵入り)が見られて楽しいんですけど(左ページに日本語訳、右ページに直筆原稿となっているのです)、絵本にしてはちょっと長くて飽きてしまいまったりなんかして...(^^;。
気に入ったのは、断然「サンタ・クロースからの手紙」の方でした! この本は、トールキンが自分の4人の子供たちのために20年以上書き続けた絵と手紙を絵本にしたもの。手紙の差出人は、サンタ・クロース自身だったり、助手の北極熊だったり、秘書のエルフだったりで、いつもプレゼントと一緒に暖炉の前に置いてあったのだそうです、時には降ったばかりの雪にまみれて...!
この本の翻訳には2種類あって、私が読んだ評論社の「しかけ絵本の本棚」版では、実際に手紙が封筒に入れられているという、とても凝った素敵な本となっています。(きちんとオリジナル通りの色合いの英語の手紙が入っていて、その裏には日本語訳が) サンタ・クロースから直筆の手紙が来るというだけでも楽しいのに、サンタ・クロースとドジな北極熊の大騒動がイラスト入りで読めるなんて素敵すぎる~。北極熊が、北極柱(北極は英語で「NorthPole」)にひっかかったサンタ・クロースのフードを取ろうとすると、柱が真ん中で折れて倒れてきて、サンタ・クロースの家の屋根に大きな穴をあけてしまい、クリスマス間際に引越しをしなければならなくなったとか、翌年は、北極熊が2年分のオーロラ花火を打ち上げてしまい「世にたぐいなく大きなドカーン」となってしまったり、その翌年は、またまた北極熊が両手にかかえきれないほど荷物を持って階段から転げ落ちてプレゼントをばら撒いてしまったり... 北極での楽しく賑やかな様子が伝わってきます。封筒についている絵や北極マークの切手も素敵ですし、サンタ・クロースの震える文字、北極熊のかっちりとした文字、エルフの流れるような筆記体と文字が使い分けられているのも楽しいです。これ、しかけ絵本じゃない方だとどんな感じになってるのかしら。もっと物語になってるのかな? でもそれはそれとして、しかけ絵本、可愛すぎ。原書版が欲しいかもー。(評論社)


+既読のJ.R.R.トールキン作品の感想+
「農夫ジャイルズの冒険 トールキン小品集」J.R.R.トールキン
「妖精物語の国へ」「妖精物語について」J.R.R.トールキン
「シルマリルの物語」上下 J.R.R.トールキン
「ビルボの別れの歌」「指輪物語『中つ国』のうた」J.R.R.トールキン
「ブリスさん」「サンタ・クロースからの手紙」J.R.R.トールキン
「仔犬のローヴァーの冒険」J.R.R.トールキン
「ホビットの冒険」上下 J.R.R.トールキン
「指輪物語」J.R.R.トールキン
「サー・ガウェインと緑の騎士」J.R.R.トールキン
「終わらざりし物語」上下 J.R.R.トールキン

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