Catégories:“2006年”

Catégories: / / / /

[amazon]
イギリスの作家さんで、元祖ジェイムズ・ボンドシリーズ作家のイアン・フレミングから引き継いで、2代目のボンド作家となったジョン・ガードナーという方もいるんですが(ちなみに3代目はレイモンド・ベンスン)、このジョン・ガードナーは別人。アメリカの作家さんです。この「光のかけら」は、そのアメリカのジョン・ガードナーが書いた3冊の絵本を1冊にまとめて全訳したもの。つまり童話ですね。
(関係ないですが、「チキ・チキ・バン・バン」ってイアン・フレミングの作品だったんですね! ちょっとびっくり)

訳者あとがきに、大人が読んでも充分楽しめる作品だとありましたが、確かにそうかもしれないですね。一見「むかしむかしあるところに~」で始まる昔ながらの童話に見えるし、実際どこかで目にしたようなモチーフが多いんですけど、実は一捻り加えられている作品ばかりで、ナンセンスとユーモアたっぷり。私が気に入ったのは、いやらしい年より魔女が教会の礼拝で改心してしまう「魔女の願いごと」や、2人組の悪者が世界中の光を盗んでしまう表題作「光のかけら」、「イワンのばか」のような「ハチドリの王さま」かな。あんまり親切に説明してくれないので、「え?え?」となっちゃう部分もあったんですけど(たとえば「ナシの木」という作品では、エルフがいきなりナシの木を露に変えて薔薇の花の中に隠すんですけど、なんでそんなことをするのかよく分からないまま、半分ぐらいいっちゃう)、全体的に面白かったです。ただ、ずっと童話が続くとさすがにツラい... 終盤はちょっと飽きてしまいました。(^^ゞ(ハヤカワ文庫FT)

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / /

 [amazon]
閉鎖されたとある古い庭に入り込んだ幼い兄妹は、1日中その庭の中を歩き回り、ひどい悪戯で庭を滅茶苦茶にして、動物や昆虫たちを傷つけてしまいます。そして夕方。気がつくと2人は、沢山の動物や精霊たちに取り囲まれていました。彼らは美しいブナの木の婦人を呼び出し、こんなひどいことをした兄妹は処罰されるべきだと言い始めます。「死刑だ!」という声に少女は泣き出し、ブナの木の婦人は、2人に太陽が昇るまでに「地の母」を見つけ、「海の父」のもとに行き着き、太陽の歌を聞き、「風の塔」でお客になることを言い渡すことに。

私が読んだのはハヤカワ文庫FT版なんですが、そちらは絶版で、しかもアマゾンにはデータすらない状態。雰囲気は多少違うかもしれませんが、訳者さんが違う同じ作品を見つけたので、そちらにリンクをはっておきますね。こちらのタイトルは「古い庭園」(同学社)です。

少年の征服欲のために破壊された庭や罪のない動物たちに償うために、旅へと出ることになってしまった兄妹の物語。どこかメーテルリンクの「青い鳥」の雰囲気。とにかく情景描写が綺麗な物語でした! これを読むと、道端の雑草に向ける目も変わってしまいそうなほど。と思っていたら、どうやらカシュニッツは詩人だったようですね。道理で詩的なわけです。
でも表向きはそんな風に美しくて、子供にも楽しめるような童話なんですが、そこには、飛ぶことのできないワシの話とか孤独に死んでいこうとする男の話とか、自然界に存在する様々な生と死の物語が挿入されていて、決して楽しいだけの物語ではありませんでした。子供たちは生と死を真っ向から突きつけられ、様々な生と死がそれぞれに連鎖していくことを実感として教えられることになります。たった一晩の旅なんですけど、2人は旅を通して春夏秋冬を体験することにもなりますし。実はなかなか厳しい物語。
ユニークだと思ったのは、兄妹を処罰して欲しいという動物や精霊たちに対して、ブナの木の婦人が弁護人を見つけようとすること。結局弁護人は見つからなかったのですが、ブナの木の婦人が裁判長で、動物や精霊たちは原告なんです。そしてブナの木の婦人が言い渡す2人の旅は、執行猶予なんですよー。生と死をきっちりと体験させることと合わせて、作者のドイツ人らしさを表しているように思えました。それともう1つ面白いのが、物語の中にギリシャ神話のエピソードが色々と引用されていること。ドイツとギリシャ神話って、なんだか不思議な組み合わせなんですが、カシュニッツ自身ローマに住んでいたこともあるようなので、その影響なんでしょうね。(ハヤカワ文庫FT)

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: /

[amazon]
船員たちが全て陸に上がっている間、船室に1人残っていたのは、16歳の水夫・サンディ。そこに現れたのは、すぐに出帆して欲しいというドュロクとエスタンプと名乗る男たちでした。金貨35枚を提示され、かねてから冒険に憧れていたサンディは出帆することを了承します。行き先は、ガーデン岬にあるハヌーヴァーの屋敷。屋敷には当主のハヌーヴァーの他に、美女のジゲ、その兄のハルウェイ、友人のトムソンという客たちが滞在中でした。しかしその晩、部屋をあてがわれたサンディは、ふと入り込んだ図書室で、ハルウェイとジゲが秘密の話をしているのを盗み聞きしてしまいます。そして2人から隠れようとして、偶然隠し通路に入り込むことに。

ハヤカワ文庫FTなんですが、全然ファンタジーっぽくなかったです。4年前は貧乏だったハヌーヴァーが、偶然黄金の鎖を見つけてからは裕福になったという部分に、まるで鎖が幸運を運んできたような感じはあるんですけど、基本的にはとても現実的な冒険物語。
全体的には、それほど悪くないんですけど... なんでサンディがここまでドゥロクやエスタンプにここまで信頼されるようになったのか、ハヌーヴァーにそれほど気に入られたのか、あまり説明がないんですよね。もしこれが映画だったら、視線のやり方1つでも表現できそうなところなんですが、小説なんだから、その辺りはもう少し文章で説明して欲しいところ。屋敷の使用人にもあっさり受け入れられすぎなのでは? てっきり途中でサンディが、人を見る目のなさから痛い目に遭う場面があるかと思いましたよー。まあ、そういう部分にひっかからなければ、少年のロマンティックな成長物語、冒険物語として楽しめるのではないかと思うのですが。...でも、せっかくハヌーヴァーの屋敷には隠し部屋や隠し通路、自由自在に対話する自動人形といった美味しそうなモチーフが色々とあるのに、あまり効果的に使われているとは思えないんですよね。せっかくなのに、勿体ないなー。(ハヤカワ文庫FT)

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: /

[amazon]
今年は今までにない厳しい冬、「竜の冬」が来そうだと、森の住民たちは長い冬に備えて忙しく働いていました。「竜の吹雪 」が襲うという噂さえあったのです。しかしカワウソのブランブルだけは、誰も知らない「竜の冬」について、噂以上のことを知りたいと思っていました。ブランブルが考えていたのは、同じ森に住む一番の年寄り・アナグマばあさんよりもさらに長く生きているという、クマのバーク老を探すこと。しかしそう思ってる矢先に、殺し屋オオカミたちの群れが襲ってきて...。

カワウソやアナグマ、モグラといった動物たちが主人公の冒険物語。以前読んだ「光の輪」(感想)でもカワウソが活躍していたし、どこか繋がった世界のようでもありました。それに「光の輪」同様、とても「指輪物語」的な物語。
「光の輪」は正直あまり面白いと思わなかったし、動物物は基本的に好きじゃないんですけど、こちらはそう悪くなかったです。主人公と言えるカワウソのブランブルやアナグマばあさんはいい味を出してたし、動物の子供たちも可愛いかったし。対立役の若いアナグマに関しては、ちょっと底が浅すぎるかなとも思ったんですが、読み終えてしまうとこれで良かったような気もしてきたし。でも様々な出来事が、それぞれに何かの隠喩となってるんだろうと思いながら読んでいたんですけど、訳者あとがきを見ると、「むずかしい理屈があるわけではないたのしい小動物たちの冒険物語」ですって。「光の輪」に関しては、「戦争の無益さや、やりきれなさに対する彼の気持ちが強くうかがわれる」とか書いているのに。本当にそんな無邪気な話だったのかしら? 本当にそんな読み方でいいんですか...?(ハヤカワ文庫FT)


+既読のニール・ハンコック作品の感想+
「二人の魔法使い」「光の女王ロリーニ」「終わりなき道標」「聖域の死闘」ニール・ハンコック
「竜の冬」ニール・ハンコック

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: /

  [amazon] [amazon]
10世紀末の中国。中原に拠った宋が呉越を下し、乱立していた小国のうち残っているのは北漢、そして北漢の北の強国・遼のみ。そして北漢随一の兵力となっていたのが、楊業率いる楊家軍。当主である楊業は音に聞こえた名将であり、7人の息子たちもそれぞれに一流の武将。しかしその力がこれ以上大きくなることを恐れた北漢の廷臣たちが帝にあらぬ事を吹き込んだため、楊家からの援軍の要請も無視され、宋軍との戦いのさなかには兵糧の輸送が滞る始末。楊業はついに北漢に見切りをつけて、北宋への帰順を決意します。

北宋初期に実在した武門一族・楊家の物語。当時北宋では、遼軍の度重なる侵攻に苦しめられていて、宋軍の中で遼軍に対抗できたのは楊家軍のみだったのだそうです。民衆には「楊無敵」と呼ばれ、楊業の死後まもなく「楊家将」の伝説が民間で伝えられるようになったとか。現在の中国では「三国志」「水滸伝」と並ぶ作品と言われ、京劇でも人気の演目だそうなのですが、そんな「楊家将演義」も本としての出来があまり良くないらしく(あらら)、まだ日本語には訳されていないとのこと。

本当は北方水滸伝を読みたいんですが、単行本で全19巻はツラいので、先に文庫になったこちらを。これはほんの日記のブラッドさんのお母さまのお勧めの1冊。ブラッドさんのところは、母娘で本の情報交換が活発で素敵です~。
北方三国志もそうでしたが、とにかく男たちがかっこいい! まず宋側では、楊業と7人の息子たち。私が結構気に入ってたのは、先帝の息子で明るく聡明な八王。上巻では帝もいいです。下巻になると、寄る年波を感じさせられてしまうのが寂しいんですけどね。そして敵の遼では、実権を握っている蕭太后(女性ですが、度胸と智謀が凄い!)、「白き狼」と恐れられる耶律休哥。やっぱりこういう作品では、敵の魅力も重要ポイントですね♪
遼と戦うことに集中できるならまだしも、開封の平和に慣れ切ってしまった文官たちや、宋の内部から混乱させようとする遼の間者、楊家の活躍を妬む武官たちに足を引っ張られることになって大変な楊家なんですが、それでも武人はただ戦っていれば良いと割り切る楊業を中心にした男たちの生き様は熱く、爽やか。普通の場面はもちろんですが、戦闘シーンもスピード感があってすごく面白いんです~。
本来の「楊家将演義」は、楊家5代を描いているのだそう。そこまでは求めませんけど、この後の物語もぜひ読みたいものです。特に四郎のその後が気になります。...と思ったら、PHP研究所の月刊誌「文蔵」で、続編「血涙」を執筆中とのこと。9月号が最終回ということは、遠くない将来、単行本になりますねっ。それは嬉しい。続編が読める日が楽しみです! (八王が死ぬのは見たくないけど...)(PHP文庫)


+既読の北方謙三作品の感想+
「破軍の星」北方謙三
「楊家将」上下 北方謙三
「水滸伝」1~3 北方謙三
「水滸伝」4~6 北方謙三
「水滸伝」7~9 北方謙三
「水滸伝」10~12 北方謙三
「水滸伝」13~15 北方謙三
「水滸伝」16~18 北方謙三
「水滸伝」19 北方謙三
Livreにブラディ・ドールシリーズと「三国志」の感想があります)

| | commentaire(4) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
den_en relaxのuotaさんが読んでらして、読みたくなった本。(記事) 5人の女性と1人の男性が「ジェイン・オースティンの読書会」を結成して、月に一度読書会を開き、「エマ」「分別と多感」「マンスフィールド・パーク」「ノーサンガー・アビー」「自負と偏見」「説得」という6作品を読んでいくという物語。図書館でも人気らしくて結構待たされちゃいましたが、確かに面白かったです! 読書会とは言っても、それほど作品そのものには触れてなくて、あんまり突っ込んだ議論もしてないんですが、その読書会でのやり取りやその合間に見えてくる6人の人間模様が、ものすごくオースティン的で面白いんですよね。ああ、この人たちがオースティンを愛読してるのもよく分かるなあ、という感じ。みんなそれぞれに、オースティンの作品の中の人物たちと同じように、恋をしたり傷ついたり、幸せになったり落ち込んだりしていて... アメリカが舞台だけあって、こちらはとてもアメリカ的なんですが。ラストもオースティン的なハッピーエンドと言えそうです。

プロローグの1行目、「私たちはそれぞれ、自分だけのオースティンをもっている」という書き出しが素敵です。

・ジョスリンのオースティンは、結婚と求婚についてすばらしい小説を書いたのに、生涯結婚しなかった
・バーナデットのオースティンは喜劇の天才だ
・シルヴィアのオースティンは人の出入りの多い居間で小説を書いては家族に読んできかせ、いっぽうで辛辣で偏りのない人間観察を続けた人だ
・アレグラのオースティンは、経済的窮状が女性の性生活にどのような影響が与えるかをテーマに小説を書いた
・プルーディのオースティンが書いた本は、読むたびに変化する
・私たちの誰も、グリッグのオースティンがどんな人か知らない

これだけでも、どんな人物なのか想像が膨らむし、唯一の男性メンバーのグリッグは一体どんな人なんだろうと興味津々になっちゃう。語り手として「私たち」という言葉がたびたび登場するのも面白くて、読んでいると自分もまるで読書会に女性会員の1人として参加しているような気分になってしまいます。(てっきり最後に「私たち」の「私」が誰なのか分かるのかと思ったんですが、そういうミステリ的趣向はありませんでした・笑)

もちろん、ジェイン・オースティンの愛読者の方が楽しめるのではないかと思いますけど、巻末には「読者のためのガイド」として、ジェイン・オースティンの6作品の紹介もあるから大丈夫。私はこの作品を読んだら、オースティンの未読作品を全部読みたくなっちゃいましたが! なんと「読書会の討論のための質問」まで用意されてるという親切な作りです。面白いなあ。アメリカではこういう読書会が盛んで、初対面の人物が面白そうだったりすると、「読書会をやってみない?」と誘うこともあるんですって。そうやって開いた読書会を通して、また積極的に友達を増やすんでしょうね。あんまり突っ込んだ議論をするとなると、緊張して発言できなくなっちゃいそうなんですが、こういう気軽な読書会ってとっても楽しそうです。(白水社)


+既読のジェイン・オースティン作品の感想+
「自負と偏見」オースチン
「エマ」上下 ジェイン・オースティン
「分別と多感」ジェイン・オースティン
「マンスフィールド・パーク」ジェイン・オースティン
「ジェイン・オースティンの手紙」ジェイン・オースティン
「説きふせられて」ジェーン・オースティン
「ノーサンガー・アベイ」ジェーン・オースティン

| | commentaire(0) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
6作が収められた、森絵都さんには珍しい短編集。6つの作品はそれぞれに趣向が違うものの、何か大切なものを持ち続けている主人公たちが、現在の迷いや悩みを振り切って、未来に向かおうとする姿を描いているのが共通点。
うーん、悪くないし、むしろ粒揃いの短編集なんだろうなとは思うものの... 私にとっては、何かが決定的に足りなかったです。
1作目の「器を探して」では、読み初めから引き込まれて、かなり期待がふくらんだんです。でも途中まではとても面白く読めたのに、最後の詰めが... ええっ、これで終わりですか? 3作目の「守護神」は、思いがけない方向への展開が楽しいんだけど、国文学のレポートがそれほど簡単に代筆できるなんてあり得ないーって思ってしまうし、表題作「風に舞いあがるビニールシート」は、この6作の中で一番ストレートに響いてくる作品だとは思うんですが、それにしても、読み始めた時から予想できていた展開と結末。(予想通りなのは構わないんですけど、「それでも良かった」という何かが欲しいところ)
結果的に一番楽しめたのは、一番肩の力の抜けたような「ジェネレーションX」だったかも。比較的小粒な作品だとは思うんですけど、軽快でまとまりが良くて楽しかったです。主人公にとって、最初は単なる「新人類」だった新入社員の「石津」なんですが、傍迷惑な私用電話から聞こえてくる会話から、だんだんその事情や人となりが見えてきて、印象が変化していくのが楽しかったし、ラストも爽やか。
...でも、そういえばこれって直木賞受賞作品なんですねー。
元々直木賞には関心がないんですけど、ここ数年の受賞作と候補作のリストを改めて眺めてみて、やっぱり自分にはあんまり関係ない賞だなあと思ってしまいます。直木賞って、なんでこんなに反応が鈍いんだろう... 人目を気にしすぎなのよね、きっと。(文藝春秋)


+既読の森絵都作品の感想+
「いつかパラソルの下で」森絵都
「にんきもののひけつ」「にんきもののねがい」「にんきものをめざせ!」「にんきもののはつこい」森絵都
「あいうえおちゃん」「流れ星におねがい」森絵都
「ぼくだけのこと」森絵都
「いちばんめの願いごと」森絵都
「屋久島ジュウソウ」森絵都
「風に舞いあがるビニールシート」森絵都
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(4) | trackback(3)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.