Catégories:“2006年”

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まもなくメイダー・ヒルの聖リューク教会で結婚式を挙げ、ボーンマスへ新婚旅行に行く予定のバートラムとケアリー。しかしバートラムが会社の株主の1人で「御老体」と呼ばれている大金持ちの老人に会ったことから、予定が狂い始めます。御老体はモンテ・カルロで結婚するべきだと言い張り、秘書に段取りを組むように言いつけます。結婚式には御老体も来る予定。しかし当日、御老体は現れませんでした。バートラムとケアリーは、せっかくだからとカジノを覗いてみることに...。

お金はそれほどないけれど幸せな2人が、カジノを体験してしまったことから雲行きが怪しくなるという物語。でも雲行きが怪しくなるのは、負けがこんでしまったからではなくて、勝ってしまったから。多少お金があっても邪魔にはならないと思うんですけど、ケアリーは「ねえ、お願いだからお金持にはならないで」と頑固に言い続け、お金があるからという理由だけでバートラムと別れそうになるんですよね。お金よりも人間性が大切とは言っても、ここまでデフォルメしちゃうと、ちょっとスゴイ。
でも、気軽に読める小編なんですが... グレアム・グリーンだからきちんとした作品なのかといえば、謎です。(ハヤカワepi文庫)


+既読のグレアム・グリーン作品の感想+
「第三の男」グレアム・グリーン
「おとなしいアメリカ人」グレアム・グリーン
「負けた者がみな貰う」グレアム・グリーン
「権力と栄光」グレアム・グリーン
「事件の核心」「二十一の短篇」グレアム・グリーン
「ブライトン・ロック」グレアム・グリーン
「ヒューマン・ファクター」グレアム・グリーン

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自分の読む遅さを以前は結構悩んだという青山南さん。きちんと読んでいるから遅いのか、それとも集中力がないから遅いのか。しかし「きちんと読む」とはどういうことなのか。そんな話から始まる、青山南さんの読書にまつわるエッセイ。

奇妙な世界のまんなかでのkazuouさんに教えて頂いた本。面白かったです! やっぱり青山さんの本や読書に関する話は面白ーい。これってもしかしたら、本の読み方が全然違うせいもあるのかしら? これまで読んだエッセイでも感じていたのですが、私の本の読み方はどうやら青山さんとは正反対みたいなんですよね。私は、面白い本は一気に読んじゃうし、読んでいるうちに夢中になって気がついたら朝になってることもあるし、歩きながらでも本を読むし(人にも物にもぶつかったことないですよー)、面白くない本を途中でやめることもあるし。(なかなかその世界に入れない時は、とりあえず寝かせて熟成することが多いです ←次に読む時に、案外すんなりと入れたりする) もちろん拾い読みの楽しさや索引読みの便利さとか、頷きたくなる部分も多いんですけどね。
池澤直樹さんが言われていたという、「小説って、読むのにあるスピードがいるでしょう」という言葉には私も同感。「じっさい、かなりのスピードで読むなら、たいていの小説はそこそこおもしろい」という青山さんの言葉は、まさに私のことかもしれません。もちろん、じっくりゆっくり読むのに向いている本もあるし、私自身ゆっくり読むこともあるんですけど、基本的には、自分のペースで読めないと、本って全然面白くなくなっちゃうんですよね。「時間もかからなかったし、まあいいか、と評価が甘くなるのか?」というのとはちょっと違うんですが... それでも確かに「これだけ時間をかけたのに」とがっくりくる度合いは、私の場合は少ないかも。
様々なエピソードの中でとても印象的だったのが、アーウィン・ショーのインタビューの中にあった、ニューヨーカーの編集者が言っていたという、小説の最後のパラグラフをばっさり切る話。へええ、余韻が残る作品というのは、そうやって作られるのか! でも言われてみると本当にそうなのかも。なんだか分かる気がします。(早川書房)


+既読の青山南作品の感想+
「翻訳家という楽天家たち」青山南
「ピーターとペーターの狭間で」青山南
「眺めたり触ったり」青山南
「外人のTOKYO暮らし」青山南
「英語になったニッポン小説」青山南
「気になる言葉、気が散る日々」青山南
「小説はゴシップが楽しい」青山南
「大事なことは、ぜーんぶ娘たちに教わった」青山南

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猿若町捕物帳シリーズ第3弾。今回は、吉原の遊女が3人立て続けに亡くなった事件を調べることになる「吉原雀」、以前は相当の人気があったという女形・村山達之助の演技がめっきり冴えなくなってしまったという「にわか大根」、天水桶から見つかった死体は巴之丞の昔馴染みなのか...「片陰」という3編。

これまでも面白くはあったんですが、梨園シリーズや整体師シリーズなどの他のシリーズ物に比べるとどこか印象が薄かったこのシリーズ、これまでの3作品の中で一番面白かったです! もちろんこれまで通り、巴之丞や花魁の梅が枝の存在が物語に華を添えていますし、仏頂面の千蔭もいい味を出しています。そして今回はこれに加えて、前作で結婚した彼女の新婚生活ぶりが伺えるのが楽しいところ。冒頭のやりとりなんて、ほんと立場が逆転してるみたい。やはり拵えというものは人を変えてみせるものなんですねえ。(笑)
でもそれ以上に気になるのが、梅が枝! 美貌と気風の良さが売りの彼女の本心はどこにあるのでしょう。今後どんな風に展開するのか、目が離せません! 早く続きが読みたいなー。(光文社)


+シリーズ既刊の感想+
「巴之丞鹿の子」「ほおずき地獄」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「にわかだいこん」近藤史恵
「寒椿ゆれる」近藤史恵

+既読の近藤史恵作品の感想+
「モップの精は深夜現れる」近藤史恵
「賢者はベンチで思索する」近藤史恵
「南方署強行犯係 黄泉路の犬」近藤史恵
「ふたつめの月」近藤史恵
「モップの魔女は呪文を知ってる」近藤史恵
「サクリファイス」近藤史恵
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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表紙の写真は、緑色の硝子細工のようなオブツーサ。南アフリカの砂漠地帯が原産の多肉植物。それ以外にも、水も土もなしで、根も葉もないのに花の咲くコルチカム、砂漠の宝石のようなイシコロマツバギク、翡翠色のヒスイカズラなど、一風変わった植物が紹介されている本です。

これは、風待屋の sa-ki さんに教えて頂いた本。オブツーサがあんまり綺麗なので、思わず速攻で図書館で借りてきちゃいました。この緑の丸い葉っぱ、ゼリーみたいにぷよっとしてるのかと思ったら、案外硬くてしっかりしてるんだそうです。丸い葉っぱに光を取り入れる透明な窓がついてから、こんな風に透明感のある緑色に見えるんですって。不思議ですよねえ。それにとっても綺麗!
黄色いオシロイバナはうちにもあるし、幻の青いケシとか桃色タンポポとか、園芸店で見かけたことのある品種も結構あったので、題名ほど「ひみつの植物」という感じはしなかったんですが、知らなかったのも色々ありました。それにこのオブツーサが見られただけでも、満足満足。藤田さんが子供の頃に好きでよく眺めていたという学研の植物図鑑は私も大好きだったので、すごく気持ちが伝わってくるようで、その辺りもとても楽しかったです。そして本好きにとって嬉しいのは、植物にまつわる本の話題もあることですね。著者の藤田雅矢さんは、農学博士でありながら、同時に「糞袋」でファンタジーノベル大賞を受賞した作家さんでもあるんです。「文学のかをり」という章では、チューリップ、ハエトリグサ、薔薇、モートンベイ・チェスナッツといった植物と共にそれにまつわる文学作品が紹介されています。「植物SF文学」という題のコラムでは、藤田さんのお気に入りの本+αも。

こういった珍しい植物を楽しめる植物園のデータもあるし、育ててみたい人のために、お取り寄せできるお店のデータや育て方のポイントが付いているのが嬉しいところ。インターネットを通じて購入できるお店も多いようですね。インターネットって本当に便利だなあ。この本は、自分でも買ってしまいそうです。オブツーサ、触ってみたいなー。(WAVE出版)

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映画化もされてしまった「陽気なギャングが地球を回す」とその続編。
人間嘘発見器・成瀬、相変わらずの演説振りをみせる響野、天才的なスリ・久遠、体内時計の持ち主・雪子の4人が再登場。今回は4人がそれぞれに関わった事件が最終的に繋がりをみせるという作り。せっかくなので、「陽気なギャングが地球を回す」を再読してから、「陽気なギャングの日常と襲撃」を読んでみました。

前作では、響野の喫茶店は登場するものの、他の3人の日常の生活についてはほとんど書かれていなかったんですよね。それがいいところでもあったんですが、やっぱり4人が普段どうしているのかという部分にも興味があったので、今回4人の普段の仕事っぷりや日常生活が垣間見えるのが楽しかったです。題名にも「日常」という言葉がある通り。そして前作と同じく、章のタイトルとか、辞書の言葉の意味のもじりも楽しいです。
でも、相変わらずのテンポの良さで、全体的に楽しく読めたことは読めたんだけど...
私としては4人の颯爽とした強盗ぶりや、響野の演説を楽しみにしていたのに、それが物語の中心とはなっていなかったので、ちょっとがっかり。もっと強盗と本筋と密接に絡み合っていれば、もっと楽しめたんじゃないかと思うんだけどなー。これじゃあ、強盗がまるでオマケみたい。前回の方がオチも良かったし、伏線の回収具合も好きでした。もちろん、こちらもさくさく読めるんですけどね。ちょっとさくさくいきすぎちゃったのかもしれないです。(祥伝社文庫・祥伝社ノンノベル)


+既読の伊坂幸太郎作品の感想+
「死神の精度」伊坂幸太郎
「魔王」伊坂幸太郎
「砂漠」伊坂幸太郎
「終末のフール」伊坂幸太郎
「陽気なギャングが地球を回す」「陽気なギャングの日常と襲撃」伊坂幸太郎
「フィッシュストーリー」伊坂幸太郎
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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「言葉の標本函」という名の下に編集された3冊。それぞれ「夢」「オブジェ」「天使・怪物」というキーワードによって、100編以上の断章が紹介されていきます。

登場率の高いのは、プリニウス、ダンテ、ニーチェ、ユイスマンス辺り。最初に通して1回ずつ読んでから、3冊それぞれで気になった断章をチェックしながら読み返したんですけど、あっちで気になるのは、やっぱりこっちでも気になるらしいです。あまり深く考えずに適当に選んでるだけなのに、自分の好みの傾向がちゃんと現れてるのが可笑しい♪ 中でも「解放されたエルサレム」(タッソー)は、3冊それぞれでチェックしてしまいました。「さかしま」(ユイスマン)もそうだったかな? これはぜひとも読まなくちゃいけません。とはいっても、その作品が、ここで読んだ通りの雰囲気とは限らないんですけどね。たとえばダンテの「神曲」やミルトンの「失楽園」みたいな既に読んでいる作品も、ここで改めて読むとまた違った表情でしたし。

他の作家さんの作品の紹介ばかりなんですが、澁澤さんの好みが見えてくるし、何よりご自身が訳してらっしゃるものも多くて、何とも澁澤ワールド。そして3冊の中で澁澤龍彦的エッセンスが一番強く感じられたのは、「天使から怪物まで」でした。「編者による序」に、「『天使から怪物まで』と題して、私が本巻にあつめた百十八篇の断章は、いわば私の主宰する、サドのそれにも比すべき乱交パーティの円環だと思ってくだされば幸甚である」とある通り。私自身、元々天使と悪魔にすごく興味があるというのもあって、これが一番面白かったです。3冊の中では、「オブジェ」がちょっと落ちたかな... 物もいいんだけど、人の方が読んでて楽しかったですね。(河出文庫)


+既読の澁澤龍彦作品の感想+
「私のプリニウス」澁澤龍彦
「異端の肖像」澁澤龍彦
「夢のある部屋」澁澤龍彦
「澁澤龍彦初期小説集」澁澤龍彦
「夢のかたち」「オブジェを求めて」「天使から怪物まで」澁澤龍彦
「高丘親王航海記」澁澤龍彦
「東西不思議物語」澁澤龍彦
Livreに「世界悪女物語」「幻想博物誌」「夢の宇宙誌」「フローラ逍遥」の感想があります)

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「撲滅の賦」「エピクロスの肋骨」「錬金術的コント」「犬狼都市」「陽物神譚」「マドンナの真珠」「サド侯爵の幻想」「哲学小説・エロティック革命-二十一世紀の架空日記」「人形塚」といった、1955年から1962年までに発表された全9編が収められた短編集。

澁澤さんのエッセイとか訳本は読んでるんですが、小説を読むのはもしかしたら初めてかもしれません。「撲滅の賦」は、小説家としての澁澤さんの処女作とされている作品なのだそう。処女作にして、後の澁澤龍彦らしさを既に備えているんですね。

ここで書かれているのは異端の性愛の姿ばかりなんですけど、どこか爽やかなのが不思議。エロティックではあるんだけど、またちょっと違う気がする。なんだかあんまりいやらしくないんですよねえ。もしかしたら、そういうのが澁澤龍彦らしさ?
この中で一番印象に残ったのは「犬狼都市」。そして好きだったのは、「エピクロスの肋骨」。コマスケの詩を書いた紙を加えて山羊になった門衛、詩を書いた葡萄パンを食べて少女となった三毛猫。「線香花火のようにきらきら燃え」ながら、その「ふかい目の底には、実は一点毛のさきでついたほどに、半透明の真珠母いろが油の澱みのようによどんで」いるという目の描写も素敵でした。(河出文庫)


+既読の澁澤龍彦作品の感想+
「私のプリニウス」澁澤龍彦
「異端の肖像」澁澤龍彦
「夢のある部屋」澁澤龍彦
「澁澤龍彦初期小説集」澁澤龍彦
「夢のかたち」「オブジェを求めて」「天使から怪物まで」澁澤龍彦
「高丘親王航海記」澁澤龍彦
「東西不思議物語」澁澤龍彦
Livreに「世界悪女物語」「幻想博物誌」「夢の宇宙誌」「フローラ逍遥」の感想があります)

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