Catégories:“2006年”

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香恵は、天然ボケの大学2年生。学校ではマンドリンクラブに所属して、定期演奏会に向けて練習中。そして万年筆好きの香恵のバイト先は、万年筆に強い今井文具堂。しかしクラブで一番仲の良かった葉奈が1年間のアメリカ留学に行ってしまい、電話やメールでのやりとりもなかなかタイミングが合わず、クラブのメンバーとの付き合いにもどこか寂しさを感じ始めていた頃、香恵は部屋のクローゼットの中から見つけた、前の住人「伊吹先生」のノートを読み始めます。

雫井脩介さんの作品は実は初めてなんですが、もっとハードなサスペンスタッチの作品を書かれる方なんじゃないかと勝手に思い込んでいたので、この作品の柔らかい優しい雰囲気にはびっくり。こういう作品を書かれる方だったんですか!
香恵の現在の生活に、伊吹先生のノートがどのように絡んでくるのかは、少し読み進めると見当がついてしまうんですけど、暖かくて優しくて、素敵な物語でした。小学校の先生として毎日頑張っている伊吹先生のノートそのものも良かったし、天然ボケなだけでなく一見自分の主張が何もないように見える香恵が、その伊吹先生のノートに影響されて、徐々にしっかりと自分を持てるようになっていくところもいいんですよね。
香恵がバイトをしている文具店の万年筆売り場での薀蓄はとても楽しくて、思わず自分でも万年筆を持ちたくなってしまうほど。ここまで詳細に書き込む必要があったのかという気も少しあったんですが、やっぱりこの部分は、物語の中でもとても好きな部分でした。
でも、あの後はどうなるのかしら? これはもう読者のご想像にお任せします、なのかしら。となると、私には良い方向しか想像できないんですけど... いいのでしょうか。(笑) (角川書店)

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フロレンティア滞在中にエルディア国王の訃報を聞いたキャサリンは、父・エリオット卿と共にエルディアへ。しかしキャサリンは、初めて知ったエルディアの特殊なしきたりに驚かされます。必ず直系男子が王位を継がなければならないとされているこの国では、息子がいることが国王となる大きな条件。そのため皇太子が16歳になると、妃八家と呼ばれる8つの有力貴族の家から娘たちが側室に送り込まれ、現在まだ独身の20代の皇太子にも、12歳の息子が既に5人いました。先にできた5人の息子たちが次期皇太子となる権利を持ち、新国王が即位する時に次期皇太子が定められ、国王はその息子の母親と結婚するのです。一方、エルディア有数の漁港・エルラドの魚河岸の一角の食堂では、ケイティとダムー、ベラフォードの目の前でヴィンセントが攫われて...。

上下巻になる予定が上中下巻になって、結局完結まで2年も待たされてしまいましたー。上巻を買ったのは丁度2年も前ですよっ。前はあんなに好きだった茅田砂胡さんなんですけど、なんとか読み続けてるのはこのシリーズぐらいですね。それもここまで待たされると、もういいかなって気にもなってきますが...。そもそも「デルフィニア戦記」が大大大好きだったのに、「暁の天使たち」以降はどうもダメ。作者だったら何をやっても ok なのか的なキャラ遊びがイヤになってしまって、続く「クラッシュ・ブレイズ」のシリーズも全然読んでないし。それでも「デルフィニア戦記」の外伝「大鷲の誓い」は、つい買ってしまったんですが... 読みたいんだけど、読むのが怖い。(笑)
さて、このレディ・ガンナーのシリーズも4作目。今回も相変わらずのドタバタぶりが楽しかったです。キャサリンや異種人類の仲間たちの活躍が、最早無敵すぎる気はするんですけど、でもやっぱり読んでて爽快。そして今回は、初登場のギデオン伯爵や鷲のドーザがかっこよかったです。王家の奇妙なしきたりに関しても面白かったですし... 実の親に役立たずと判断されてしまった息子や娘たちが哀れではありましたが。(でもやっぱり女性は強いなー というか男性は脆いなー)
キャサリンの国バナディスのイメージはイギリス。次に行ったゲルスタンはドイツ、ローム王国はイタリア、そして今回のエルディアのイメージはスペイン。次々に違う国がモデルとなっているらしいところも、このシリーズのお楽しみの1つです。(角川スニーカー文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「レディ・ガンナーの冒険」「レディ・ガンナーの大追跡」「レディ・ガンナーと宝石泥棒」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「レディ・ガンナーと二人の皇子」上中下 茅田砂胡

+既読の茅田砂胡作品の感想+
「大鷲の誓い」茅田砂胡
Livreに「デルフィニア戦記」「桐原家の人々」「スカーレット・ウィザード」の感想があります)

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元大物国会議員・大堂剛の事務所に勤めている佐倉聖は、21歳の大学生。両親が早くに離婚し、中学の頃からぐれ始めた聖でしたが、高校卒業も間近に控えた頃に更生。今では、保護司に連れて来られたこの事務所で、真面目に働きながら大学にも通い、年の離れた腹違いの弟を養う生活。年は若いながらも経験は豊富に積んできた聖が、様々な日常の謎を解いていく連作短編集。

しゃばけシリーズの楽しさとは裏腹に、現代物では立て続けにがっかりさせられてきていた畠中さんの現代物の新作。「とっても不幸な幸運」を読んだ時に、もう二度と現代物は読むもんか!とまで思ってたんですが、今回はあまり評判が悪くないようだったので、恐る恐る読んでみました... 確かにそれほど悪くはなかったです。というか、まずまず面白かったです。
謎自体は小粒すぎる気がするし、政治家の先生方があまりに良い人に描かれすぎている気もかなりしたんですけど、この人間関係の楽しさと、雰囲気の良さは、やっぱり畠中さんならではでしょうね。元不良で腕っぷしが強く、機転も利く聖自身もなかなか良かったし、嫌味な二枚目議員・加納も、結構好きです。まあ、続編を読みたいかと聞かれると、これ1冊で十分と答えてしまいそうなのですが... 元々政治家絡みの話があまり好きじゃないというのもありますしね... 聖がその後どうなるのか、その辺りだけは知りたいんですが。
一時はもう、「しゃばけ」だけの作家さんになってしまうのかも、と危惧してた畠中さんなんですけど、それだけでは終わらなさそうな所を見せてくれてほっとしました。というか、「しゃばけ」シリーズであれだけ書ける方が、なんで、これまでの現代物であの出来だったのかが、私としてはすごく不思議なんですけどね。畠中さんなら、もっともっと書けるはず! これからも頑張って頂きたいな~。(実業之日本社)


+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「おまけのこ」
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
「いっちばん」畠中恵
Livreに「しゃばけ」「ぬしさまへ」「百万の手」「ねこのばば」の感想があります)

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オアシスが家に来たのは、丁度「ぼく」が生まれた日のこと。天気の良い日曜日、いつものように散歩に出かけていた「ばあちゃん」が公園のベンチに腰掛けて日向ぼっこと読書を楽しんでいると、か細く消え入りそうな声がミーミーと聞こえてきたのです。「ばあちゃん」があたりを見回してみると、ベンチの下にタオルの敷かれた木箱があり、その中にはまだ目も開いていないような子犬が震えていました。その犬にはオアシスという名前がつけられ、ぼくと一緒に育てられることに。

ボーダーコリーのオアシスと「ぼく」、そして「ばあちゃん」の物語。読み始めた時は、竹内さん自伝かと思ったぐらい、オアシスを中心とした家族への愛情がしみじみと伝わってくる作品。「ぼく」の両親も出てくるんですけど、こちらはあまり存在感がなくて、その分「ばあちゃん」の存在感がたっぷりです。年をとったらこうなりたいと憧れてしまうような、素敵な「ばあちゃん」。おばあちゃん子だったという友達がしてた色々な話を、ついつい思い出してしまいました。中には悲しい出来事もあるんですけど、でも最後の最後まで爽やかに読ませてくれるのが、また竹内真さんらしいところ。
この家の「じいさん」は、やっぱりあの「じーさん」なのかな? そういえば、「じーさん」が犬を散歩させてたこともありましたよね。この作品では、なかなかオアシスが懐かなくて困っていましたが。(笑) そしてはた万次郎さんの描かれているオアシスのイラストがまた可愛いのです~。もうこの雰囲気にぴったり。うちに以前いた犬が無性に懐かしくなっちゃう1冊でした。(うちの犬は、オアシスみたいに賢くはなかったですけどね...) (ヴィレッジブックスedge)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

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あまりの出来の良さから盗作が相次いだという「あなたの年齢当てます」に始まり、「わたしを見かけませんでしたか?」「話し手の言い分」「聞き手の言い分」「ヒモをためてますか?」などなど全19編のエッセイが収められた本。夜中に台所で僕は本を読みたかったのkeiさんが、先日のたらいまわし企画「"笑"の文学」で挙げてらした本です。(記事

なるほど、こういうユーモアだったんですね~。全部読み終えてみると、やっぱり「あなたの年齢当てます」が一番面白かったです。冒頭はこんな感じ。

このごろの建物の会談は、むかしより勾配がきつくなったように思う。けこみが高くなったのか、段数が多いのか、なにかそんなことにちがいない。たぶん一階から二階までの距離が年々伸びているせいだろう。そういえば、階段を二段ずつ登るのもめっきりむずかしくなった。いまでは一段ずつ登るのがせいいっぱいだ。

もうひとつ気になるのは、近ごろの活字のこまかさである。両手で新聞をひろげると新聞がぐんぐん遠くへ離れていくので、目をすがめて読まねばならない。
つい先日、公衆電話の料金箱の上に書いてある番号を読もうと後ずさりしているうちに、気がついたら、ボックスから体が半分外へはみだしていた。この年でめがねなんて考えるだけでもばかばかしいが、とにかく新聞のニュースを知りたくても、だれかに読んで聞かせてもらうしかなくて、それではどうも物たりない。最近の傾向なのか、みんながひどく小声でしゃべるので、よく聞き取れないのだ。

こんな調子でどんどん進みます。この「あなたの年齢を当てます」にだけ、味のある挿絵が入ってるのが、またいいんですよねえ。淡々とした語り口の中には、実に皮肉っぽいユーモアがたっぷり。やっぱりこの「淡々とした」というところがポイントでしょう。(笑)
他の章も悪くないんですけど、やっぱり「あなたの年齢当てます」がずば抜けてるかな。この場合、読み手である私が男性じゃないというのも関係ありそうですけどね。世の中の奥さん連中を題材に取っている、「全く女ってやつは」という文章が多いので。男性、それも既婚の中年男性が一番楽しめそうな気がします。(ハヤカワepi文庫)

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美和と絵梨が、創作ビジューのブランド「クレソプレーズ」を立ち上げて2年。「クレソプレーズ」は細々ながらも順調に業績を伸ばし、固定ファンもつき始めていました。もっぱら絵梨が創作し、美和は納品や事務作業全般の担当。奔放な絵梨と生真面目な美和は、対照的ながらも仲が良く、実は幼稚園以来30年弱の付き合いなのです。そして2人の間にいるのは、まだ少年のミチル。

「月の石」「アクアマリン」「赤瑪瑙」「クレソプレーズ」「真珠」という5つの章に分かれており、それぞれに美和、ミチル、絵梨、ミチル、美和と視点が入れ替わっていく連作短編集。
野中柊さんの本を読むのは初めてです。実は名前も知らなくて、前知識が全然ない状態で読んだんですけど、これがなかなか良かったですー。読み始めた時は、2人の女性が天然石のビーズのアクセサリーを作って販売しているという辺りで、安っぽく感じられてしまったんですが(そんなに書き散らされた設定というわけでもないのに、手垢がつきまくってるような気がしちゃって)、読んでるうちに印象が徐々に変化。例えば、作ったものを「商品」ではなく「作品」と呼ぶ2人に対して、冷ややかな笑みを浮かべる店主もいるというくだりもリアルだし、その双方の気持ちが実感として分るだけに、この作品のビーズやアクセサリーが単なる小道具ではなくなったという感じでしょうか。読み終えてみると、天然石のひんやりとした感触がぴったりくるような、静かな印象の素敵な作品でした。
沢山の死や別れの影がまとわりついていて、それも「静」のイメージを強くしていて、全体的にどこか物哀しい雰囲気なんですけど、その中で美和の存在がとてもふんわりと暖かく感じられて好きでした。彼女は、絵梨のわがままも、ミチルの若さも、難なく受け止めてしまえる包容力を持った存在。彼女自身にも、夫に恋人がいることが分かったり、実は色々とあるんですけどね... 読み終えた後も彼女の部分が読みたくて、なんとなくページを繰り続けてました。この心地よさは何なのかしら。

ただ、「クレソプレーズ」という言葉だけは、どうしても違和感。これは青林檎のような緑色をした天然石のことなんですが、私にとってその石は、あくまでも「クリソプレーズ」であって、「クレソプレーズ」ではあり得ないんですよね。まあ、野中柊さんにとっては、どうしても「クレソプレーズ」だという拘りがあるのかもしれないですが... 新井素子さんの「星に行く船」のシリーズの彼女が「レディ」ではなく「レイディ」であるように、ですね。(角川書店)

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彩雲国シリーズ10冊目! 読むのがすっかり遅くなっちゃいましたが、それはなんとサイン本を頂いていたため!
Uさん、いつも本当にありがとうございます。
この「藍より出でて青」は「朱にまじわれば紅」」以来の外伝で、「王都上陸! 龍蓮台風(タイフーン)」「初恋成就大奔走!」「心の友へ藍を込めて-龍蓮的州都の歩き方」「夢は現(うつつ)に降りつもり」の4編が収められています。「藍より~」という題名の通り、龍蓮がかなり前面に出てきていて嬉しい♪ そして今回も笑えるポイント満載でした。(これも笑いの文学ダ!)

そして龍蓮が前面に出てきてるのは、「王都上陸! 龍蓮台風」と「心の友へ藍を込めて-龍蓮的州都の歩き方」の2編。
「王都上陸! 龍蓮台風」は、国試最終筆記試験・会試を受けて、及第発表を待つ間のお話。当然といえば当然ですが、この時から龍蓮は龍蓮だったんですね。秀麗と影月はもちろん、同じ時に試験を受けた人たちも可哀想に... とは言っても、これだけの騒ぎになってもまだ黄奇人や紅黎深の時には及ばないというのが凄まじいです。
そしてここで改めて気付いたのは、楸瑛が龍蓮のお兄さんだということ! いや、一応そうだとは知ってたんですけど... 藍家のこと、龍蓮という存在のことなど、これまであまり語られていなかったこともふんだんに盛り込まれていて、本編を補う意味でも重要な1作かと。それに、龍蓮が横笛で日々の糧を稼いでいたというのは、ある意味予想通りなんですけど(笑)、まさかそれ以外にも驚くべき特技があったとは...。(胡蝶姐さん、相変わらず素敵♪)
一方、「心の友へ藍を込めて-龍蓮的州都の歩き方」は、秀麗が茶州を去ることが決まった後のお話。久しぶりの連休に、せっかくだから茶州の郷土料理を覚えようと考える秀麗。凛や香鈴らと共に沢山お料理をして知り合いをみんな招こうと考えるのですが、その材料買出しついでの景勝地観光を龍蓮に任せたばっかりに... というお話です。可笑しくて笑えるんですが、ようやく「黎深にとっての邵可」を手に入れた龍蓮の気持ちがとても良く伝わってくる作品でもあります。影月が龍蓮のことを指して言った言葉がすごく良かったな。ちなみに、この日の静蘭と燕青は背中に哀愁を漂わせてました。(笑)

そして「初恋成就大奔走!」は、春姫と茶克洵が中心となるお話で(春姫の受け応えが可笑しすぎる~)、柴凛たちカップルのエピソードも楽しめます。最後の「夢は現に降りつもり」は、王様の回想。ここに書かれた王様の想いもそうなんですけど、他の短編にも次回以降に繋がってきそうな伏線が色々と仕込まれていて、次の王都編が一体どんな展開になるのか楽しみです。(角川ルビー文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「彩雲国物語 はじまりの風は紅く」「彩雲国物語 黄金の約束」雪野紗衣
「彩雲国物語 花は紫宮に咲く」雪乃紗衣
「彩雲国物語 想いは遙かなる茶都へ」雪乃紗衣
「彩雲国物語 漆黒の月の宴」雪乃紗衣
「彩雲国物語 朱にまじわれば紅」雪乃紗衣
「彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計」雪乃紗衣
「彩雲国物語 心は藍よりも深く」雪乃彩衣
「彩雲国物語 光降る碧の大地」雪乃紗衣
「彩雲国物語 藍より出でて青」雪乃紗衣
「彩雲国物語 紅梅は夜に香る」雪乃紗衣

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