Catégories:“2006年”

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伝説のチャンス姉妹、ドーラとノーラは、認知こそされていないものの、著名なシェイクスピア俳優サー・メルキオール・ハザードの娘。ハザード家は演劇一家であり、彼らとは離れて育ったドーラとノーラもまた、10代そこそこから舞台に立ち、ショービジネスの世界で生きてきていました。そして今日はドーラとノーラの75歳の誕生日。父親のメルキオールも同じ日が誕生日で、こちらは100歳の誕生日。当日になってドーラとノーラにパーティへの招待状が届きます。

わー、面白かったです! 物語は、ドーラが自叙伝を書くために誰かに話を聞かせているという形式。とにかく終始テンションが高くて猥雑な雰囲気だし、「この男のことはお忘れなく」「○○については適当なところで説明するつもり」「もうすぐわかります」とか言って、ドーラの気分次第で話がどんどん飛ぶし、双子が5組(!)も登場するせいで、ただでさえ多い登場人物はさらにややこしくなってるし、その上演劇一家らしくそれぞれの愛憎関係が複雑かつ華やかなので、読み始めは、もう大変。
でも一旦ペースを掴んでしまいさえすれば大丈夫。ショービジネスの世界らしい華やかさが満載で、楽しかったです。かなり長い作品なのに、一気に読んでしまいました。フレッド・アステアやジンジャー・ロジャースといった実在したスターたちが話の中に登場するのも楽しいし、ドーラの語りにシェイクスピアからたっぷりと引用されてるのも、雰囲気満点。当時のファッションについても、ばっちり分かります。そしてロンドンの演劇界の中心であるハザード一家の歴史を紐解けば、それはそのままロンドン演劇界の歴史なんですねえ。この人たち、誰かモデルがいるのかしら? 到底架空の人物とは思えない存在感なんですけど!
浮き沈みの激しいショービジネスの中で、決して良いことばかりだったとは言えないはずのドーラとノーラなんですが、終始パワフルに人生を生きていて、苦労も苦労と思わずに笑い飛ばす力強さがいいんですよねえ。もちろん75歳になる今もお洒落心は忘れず、「今でも年のわりにはちょいと悪くない脚だと思うわ」と脚を引き立てる服装を選ぶところも可愛いところ。でも、ドーラとノーラが望んでいることは、本当はただ1つ、実のお父さんであるメルキオールに娘だと認めてもらって、お互いに抱きしめあうことだけなんですよね。お父さんの前に出ると、いつもの毒舌ぶりから一転して、10代始めの少女に戻ったようになってしまう2人も可愛いかったな。最後の最後まで、いや、ちょっととんでもないんですけど... お見事でした。(ハヤカワepi文庫)


+既読のアンジェラ・カーター作品の感想+
「ワイズ・チルドレン」アンジェラ・カーター
「魔法の玩具店」アンジェラ・カーター
「夜ごとのサーカス」アンジェラ・カーター
「血染めの部屋 大人のための幻想童話」アンジェラ・カーター

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昨日に引き続きの森絵都さん。こちらも児童書です。
まず「あいうえおちゃん」の方は、森絵都さんの文章と荒井良二さんの絵によるあいうえお絵本。
きすに ったら きらめな」「んどに ったら んどかれー」みたいな、リズムのある文章がたっぷり。やっぱりこれは小さな子供が楽しむ本なのね、なんて思いながら見てたんですけど...
途中で「しごとに しっぱい しゃっきんく」「そうり(総理)も そろそろ そだいごみ」「りんぐで りゅうけつ りきどうざん」「りょうしん りょうほう りすとらちゅう」なーんていうのも出てきてびっくり。これってあまり子供向けとは言えないのでは... むしろ大人向けの絵本なのでしょうか? うーん、対象年齢がどっちつかずでで、ちょっと収まりが悪い気もするのですが... 大人向けなら大人向けで、思い切りブラックにしても面白かったかもしれないですね。でもこういうのを読んでいると、思わず自分でも1つ2つひねり出してくなってきます。

そして「流れ星におねがい」は、運動音痴なのに、運動会のクラス対抗リレーに選ばれてしまった桃子のお話。学年ごとに4クラスで競い合うリレーは学校の名物。各学年の優勝したクラスは、校長先生にプレゼントをリクエストできるのです。桃子のいる4年3組は、優勝したらサッカーボールをリクエストすると決めていました。そしてまずリレーの選手となったのは、男子で一番足の速いウルフと、女子で一番足の速い西川さん。でもあとの2人が決まりません。もし負けたら、しばらく肩身の狭い思いをすることになるのは確実。それが嫌で、みんな他人に押し付けあっていたのです。結局、選手を押し付けられたのは、体育係の桃子と圭太郎。でも桃子の50メートル走のタイムは11秒台。落ち込んだ桃子は、用務員の仙さんのところへ。

まあ、言ってみればありがちな話なんで、最初は一歩引いて読んでたんですけど... 知らないうちに感情移入してたらしくて、最後にはじわーり。我ながらびっくりです。このお話は、何といっても用務員の仙さんがいいんですよね。仙さんの流れ星の話を聞いた桃子は、その流れ星に桃子のクラスが優勝するようにお願いして欲しいと頼みこむんですが、仙さんの答えは、「桃ちゃんのクラスが優勝したら、ほかのクラスが負けることになる。勝ちたい気持ちはみんなおなじじゃないのかな?」。ここで「じゃあ、お願いしておいてあげようね」と答えるのは簡単だし、たとえそれで優勝できなかったとしても桃子は納得したはずなのに、そこで敢えて「桃子のクラスが勝つ=他のクラスが負ける」と教えてくれる仙さんが素敵。そしてこういう前提があるからこそ、一念発起した桃子が頑張る場面が効いてくるんじゃないかと♪ (童心社フォア文庫・理論社)


+既読の森絵都作品の感想+
「いつかパラソルの下で」森絵都
「にんきもののひけつ」「にんきもののねがい」「にんきものをめざせ!」「にんきもののはつこい」森絵都
「あいうえおちゃん」「流れ星におねがい」森絵都
「ぼくだけのこと」森絵都
「いちばんめの願いごと」森絵都
「屋久島ジュウソウ」森絵都
「風に舞いあがるビニールシート」森絵都
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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先日のたらいまわし企画「笑う門には福来たる! "笑"の文学」で出した「にんきものののねがい」ですが(記事)、4冊全部読んでみましたー。いやあ、面白かった! やっぱりこのシリーズはイイ!です。

「にんきもののひけつ」 ... 「こまつくん」の人気の秘密を探ろうとする「けいたくん」の話。
「にんきもののねがい」 ... 実は誰にもあだ名で呼んでもらったことがない「こまつくん」の密かな悩みの話。
「にんきもののはつこい」 ... クラスの男子のアイドル、だけど女子には嫌われ者「きさらぎまいこ」の話。
「にんきものをめざせ!」 ... 「けいたくん」が好きで、バレンタインのチョコをあげた「かなえ」の話。

それぞれ主人公は違いますが、お話も登場人物も繋がってます。どこから読んでも大丈夫。

そして私は先日、「にんきもののねがい」を笑える本として出したんですが...
いえ、これも笑える本なんですけど、これは「くすくすっ」レベルなんですよね。これよりも「にんきものののひけつ」ですよ! これがオモシロイ!! いやー、こう来るとはねー。ヤラレタ!! 途中で思わず爆笑してしまいましたよ。ええと詳しく紹介すると...

同じクラスの「こまつくん」はバレンタインの日に27個もチョコレートを貰ったのに、「ぼく」が貰ったのは、コンビニの値札のついた義理チョコ1個だけ。どうやら「こまつくん」の方が人気者だからみたいなんだけど、「こまつくん」とほとんど話したことのない「ぼく」には、どこがそんなに人気なのかよく分からない。確かに「こまつくん」は、顔も頭も運動神経がいいけれど... きっともっと何か違うものがあるはず!
...そして「けいた」は「こまつくん」の人気の秘訣を探ることに、というお話。

読んでると、「こまつくん」の人気の秘訣がよーくよーく分かります。いやー、いいわー。
それにしても、今回は図書館で読んでなくて良かったです。危うく思いっきり注目を集めてしまうところでした。(笑)

もちろん、「にんきものをめざせ!」「にんきもののはつこい」の2冊も面白いです!
でも最初の2冊に比べると、ややパワーダウンかな。もしかしたら、最初の2冊に比べて、少し対象年齢が上がってるような気がするせいかもしれないです。最初の2冊が幼稚園の時から楽しめる本だとすれば、「にんきものをめざせ!」は小学校2年生以上、「にんきもののはつこい」は3・4年生以上というイメージ。(個人差もあるし、単なるイメージですが)
特に「にんきもののはつこい」では、いや~な女「きさらぎまいこ」がいい味出してるんですけど、こういうのを理解するには、やっぱりそのぐらいの年齢の方がいいような気がしますね。「ましょうのおんな」なんていうのも出てくるし。(笑)
そして大人になってから読むと、こういう子いたよねえ、なんて懐かしく読めるかと♪(童心社)


追記: 読む前にパラパラ~とめくってしまうと、爆笑ポイントを見てしまう恐れがありますので、ご注意を♪


+既読の森絵都作品の感想+
「いつかパラソルの下で」森絵都
「にんきもののひけつ」「にんきもののねがい」「にんきものをめざせ!」「にんきもののはつこい」森絵都
「あいうえおちゃん」「流れ星におねがい」森絵都
「ぼくだけのこと」森絵都
「いちばんめの願いごと」森絵都
「屋久島ジュウソウ」森絵都
「風に舞いあがるビニールシート」森絵都
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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メロンマンションと呼ばれるマンションに住む人々と、それらの住人たちにかかってくる無機質な話し方をする男からの電話の物語。12の連作短編集です。

御緩愚霊堂の蛙小僧さんのオススメ。星新一さんの本は中学の頃に結構読んだんですが、この作品は未読。
この作品が書かれたのは1973年なんだそうですが、それが信じられないほど、今読んでも全然古くなくて、もうびっくり。ここに描かれてる人々の生活は、完全にコンピューターに管理されてるんですよね。マンションの部屋には常に清浄な適温の空気が流れ、ドアにはインターフォンとテレビカメラが設置されており、窓には、内側から外は眺められるけれど、外からは薄く曇ったように見える特殊ガラスが嵌め込まれ、キッチンに設置された機械によって、カクテルも料理もワンタッチ。新聞はページ数が増え、雑誌は種類が増え、テレビはチャンネルが増えて、電話線利用のジュークボックスからは好みのBGMが流れます。それだけならまだしも、電話1本で病院も、銀行も、身上相談センターも、情報銀行も、利用可能。例えばお店を経営していたら、電話一本で売れ筋商品やそれらに適したレイアウトもアドバイスしてもらえるんです。
1973年といえば、コンピューターという言葉自体、それほど普及してなかったのでは? 自分とは関係ない世界だと思っていた人も多いはず。「2001年宇宙の旅」だって、公開されたのはこの作品よりも20年も後なんですよー。今のようなネットワーク社会になるなんて、その頃、誰が想像していたんでしょう。しかもこの作品の「声の網」という題名が、また凄いなって思っちゃう。網なんですよ、網。
今読んで違和感を感じたのって、「電話線利用のジュークボックス」という言葉ぐらい。でもこれだって、有線放送を思えば全然おかしくないわけで... 現在あまりに普通に存在してるので、先見の明だとは気づかないまま読み過ごしちゃう部分も多そうです。未来の世界を描いたSFはいくつもあるけれど、ここまで現実に即した未来を描けてる作品ってどれだけあるのでしょう?...と、作品の外側の設定だけでも十分驚かされちゃうんですが、もちろんそれが本題なわけではありません。それ以上のことを、既に星さんは30年以上前に見抜いてらしたんですね。ほんとすごいなあ。

無機質な話し方をする男性の正体は物語が進むにつれて徐々に分ってくることになるんですが、正体が分かる前も、分ってからも、この物語の根底に流れているのは、そこはかとない不安。ホラーというほどではないんですが、これって結構怖いんじゃ... 結構ドキドキしちゃいました。(角川文庫)

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1905年。26歳のアインシュタインは、特許庁に勤めながら、博士論文の他に光量子に関する論文やブラウン運動に関する論文など、次々に論文を発表していました。まさに相対性理論を確立しようとしていたアインシュタインが、夜毎にみた不思議な夢の物語。

プロローグとエピローグ、そしてインタールードという章でアインシュタインと友人のベッソーのやり取りが描かれている他は、アインシュタインのみた夢が次々に物語となって展開していきます。それは30編の、様々な時間に関する夢。時間に始めも終わりもない円環の世界、突然時間の流れが変わってしまう世界、時間が空間と同じく3つの次元を持っている世界、機械時間と肉体時間を持つ世界、時間の流れが地球の中心から遠く隔たるほど遅くなる世界、時間が規則正しく着実に流れていく世界、原因と結果が不安定な世界、平穏無事な1日、1ヶ月、1年がひたすら通り過ぎていく世界...。時間の持つ様々なバリエーションの描かれ方は、まるでヨーロッパ映画の一場面のよう。ベルンを舞台にした様々な物語は、1905年という時代を感じさせて、とても優雅で情景的です。そこに展開される様々な人間模様が、短いながらもなかなか良かったんですが... 問題は、私が相対性理論を全然知らないこと! 様々な世界の情景が興味深くはあるものの、結局それらを淡々と目で追うだけになってしまいました。実際の理論と照らし合わせて読めれば、もっと面白かったんでしょうにねえ...。この作品には、ちょっと予習が必要かも。
作者のアラン・ライトマンは、現役の物理学者なんだそうです。訳者あとがきに「現代物理学の仮説を踏まえた時間の性質も巧みにイメージ化されている」とあるので、詳しい人なら楽しめると思うんですが... 私にはその辺りはさっぱり... ふはー。(ハヤカワepi文庫)

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奇妙な世界の片隅でのkazuouさんの所で見て興味を持った絵本です。(記事
これは、カナダの画家・ロブ・ゴンサルヴェスの絵に触発されたセーラ・L・トムソンが文章を書いて、それを絵本にしたものなのだそう。ゴンサルヴェスの絵は、一言で言えば、エッシャーの騙し絵のような絵。でも雰囲気は、むしろルネ・マグリットかな。
たとえばここに出ている本の表紙の絵のタイトルは、「月の乙女」。川に映るもみの木の影と影の間が、いつの間にか白い服を着た女性になって、川から岸に上がって来る絵です。そして右に出したのは、本の裏表紙にも使われている絵で、タイトルは「白い毛布」。(クリックすると、ポップアップで大きくなります) 一面の雪野原が、実は真っ白い布団を敷き詰めた状態になってるんです。そしてその中に1人寝ているんですが、本当は雪景色が寒そうなはずなのに、なぜかぬくぬくとしているように感じられるのが不思議。
その2つの絵の他にも、パッチワークキルトのベッドカバーがそのまま上空から眺めた森や畑の風景になっている「夜の飛行」や、切り落としたカーテンがいつの間にか夜景に変わっている「変わる風景」「天体のカーテン」など色々あって、絵を眺めてるだけでも楽しいし、特に夜の蒼がとっても綺麗。この2枚の絵の色も素敵ですよね。

ちなみにゴンサルヴェスの絵を見てみたい方は、こちらへどうぞ。絵本に収録されている絵も載ってます♪(ほるぷ出版)

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1949年。祖父が亡くなり、牧場が人手に渡ってしまうことを知った16歳のジョン・グレイディ・コールは、親友のロリンズと共に牧場のある町を出ることに。2人は馬でメキシコへと向かいます。途中で彼らが出会ったのは、一見してすごい馬だと分かるような馬を連れたジミー・ブレヴィンズ。ジョン・グレイディはジミーを突き放すこともできず、3人は一緒にメキシコを目指すことに。

しばらく国内作家さんの作品が続いてたんですけど、図書館の予約が回ってきた本も一段落。またepi文庫を仕入れて来たので、海外作家さんの作品に戻ります。
ということで、これは全米図書賞、全米書評協会賞などを受賞し、愛好者の熱狂的な支持を受けた作品とのことなんですが...
うーん、ものすごく読みにくかったです。英語の文体が特殊だそうで、それをそのまま日本語で表すためにと、ろくすっぽ句読点のない長い文章が延々と続くんです。句読点がなくても舞城王太郎作品みたいなパワーがあれば面白い味が出るんでしょうけど、これは読みにくかったですー。会話文には「」がないし、メキシコ人との会話にスペイン語が沢山登場して気が散っちゃう。(ついつい単語の意味を頭の中で確認したり、発音したくなっちゃうので) その上、読んでいても、なかなか状況が見えてこないんです。特に冒頭はもうほんとワケが分かんなくて、読み始めてすぐに、こっくりこっくりしてしまいました...(^^;。
この作品が発表されたのは1992年。確かに、たかだか15年ほど前の作品とは信じられないほど、「カウボーイ」がまだ生き残っていた当時の雰囲気を伝えてくれる骨太な作品だし、ハイウェイを車が疾走する横を2人の青年が馬で旅をする図も面白いんですけど... 読んでいても一向に絵が浮かんでこなかったです。うーん、残念。(ハヤカワepi文庫)

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Note


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