Catégories:“2006年”

Catégories: /

[amazon]
エドモン・ロスタンはフランスの劇作家。文学系の感想も多い信兵衛さんのところで面白そうだなあと思ったら、先日のたらいまわし企画「教えてください!あなたのフランス本」でも、Izumiさんが挙げてらっしゃいました。(記事
シラノ・ド・ベルジュラックは、色んな作品に引き合いに出されてる人物なので、なんとなく知ったつもりになってたんですけど、そういえば読んだことないんですよねえ。ここで描かれているシラノは、一流の詩人でありながら、ガスコン青年隊一の剣客であり、理学者であり音楽家だという才能豊かな男。エドモン・ロスタンのこの戯曲によってフランス1の人気者になったのだそうです。17世紀の実在の人物なんですが、本物とここに描かれてる彼とは、またちょっと違うのでしょうか。本物のシラノは、「日月両世界旅行記」なんて本も出してます。

で、肝心のこの本なんですが、1640年のパリが舞台。従妹のロクサアヌに恋焦がれながらも、自分の容貌の醜さから打ち明ける勇気が出ないシラノ・ド・ベルジュラックが、他ならぬロクサアヌに、クリスチャン・ド・ヌーヴィレット男爵への橋渡しを頼まれて... という話。
いやー、面白かったです。シラノ、カッコいいですねえ。決闘をしながら八行詩三連の即興のバラッドを作って、それに合わせて剣を繰り出すところも良かったし!
でもびっくりしたのが、この時代の恋愛。クリスチャンは美青年なんだけど、弁才がなくて上手く恋を語れないと悩んでるので、シラノが代わりに口説き文句を考えたり手紙を書いたりするんですよね。で、ロクサアヌはすっかり夢中になっちゃう。でもクリスチャンが、いざ自分の言葉で語ろうとすると、ロクサアヌが実に冷たいんですよ。「愛してる」だけじゃ全然ダメ。あくまでも詩的な言葉を要求して、クリスチャンが言葉に詰まると「あなたが醜くおなりになったかと思われる程厭でございますわ」と突っぱねちゃう。ロクサアヌは「伊達好み」だそうなので、特にそうなのかもしれないけど、クリスチャンも気の毒に... 口さえ良ければ、誰でもいいのか!(笑)
結局自分自身じゃなくてシラノの代筆する手紙が愛されてると悟っちゃうクリスチャンも不幸だし、自分が本当に愛してるのは誰なのか分からないままのロクサアヌも不幸。で、シラノも片想いなんですけど... 実は自分の文章が愛されてると知ってるわけで、もしかしたら十分幸せだったのかな~?
当時の人物が色々と登場してるらしいんですけど、アレクサンドル・デュマの「三銃士」のダルタニァンも、「無双の剣客」としてこの作品の中に登場していました。「リシュリウ閣下」も、ルイ13世の時代のあの枢機卿なんでしょうねー。そういえば同じ時代が舞台だったんだ! ふふふ、ちょっと嬉しいです。(岩波文庫)

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: /

[amazon] [amazon]
フランソワーズ・サガン2冊。どちらも、先日のたらいまわし企画「教えてください!あなたのフランス本」で挙がっていた本です。サガンに関しては、友達が夢中になって読んでたので、私も大学に入った頃に何冊か読んだことがあるんですが、その時は今ひとつピンとこないままだったんですよね。ものすごーく久しぶり。

「ブラームスはお好き」は、きみ駒さんが挙げてらした本。(記事
ディスプレイ・デザイナーとして自立している39歳のポール(女性)が主人公。恋人は、少し年上で浮気性のロジェ。ポールはロジェの浮気が本気ではないことを知ってるし、2人の間では笑い話なんですが、そこに若くて美貌のシモンが登場して、ポールに一目惚れをした時... という物語。
まず、39歳というポールの年齢設定が絶妙。「若い女」から「いつまでも、お若い」と言われる段階に入りつつある彼女の気持ちがすごく伝わってきます。結局ポールがシモンの気持ちに応えられなかったのは、ロジェを愛してるからというより、ポールのこの微妙な年齢のせいなんでしょうね...。今からどんどん男盛りに向かうシモンと、女性としては老いていくばかりのポール。ポールの最後の台詞が痛いです。
でもね、ポールみたいな女性はまだまだ美しくあり続けると思うし、ますます魅力的になると思うんですよ! そりゃロジェを選べば、失うものは少ないでしょうけど、シモンの一途な愛情を信じてみて欲しかったなあ。...きみ駒さんが、ポールとシモンがもし再会したら、と書いてらしたんですが、ほんといつかまた再会して欲しい! シモンのあの一途で純粋な恋心は、もう少し落ち着きをみせるでしょうけど(あんな風に年下の美青年に口説かれてみたいものだ~)、逆に素敵な大人の恋愛になりそうです。

「愛は束縛」は、みらくるさんが挙げてらした本。(記事
美貌で資産家のローランスと結婚したヴァンサンの物語。結婚以来7年、芽の出ないピアニストとしてジゴロのような生活をしていたヴァンサン。しかし手掛けた映画音楽が大ヒットして大金が転がりこんだことから、2人の関係は少しずつ変質していき...。
...とは言っても、急にお金が入ってヴァンサンが嫌らしい成金ぶりを発揮するというんじゃなくて(笑)、むしろ自分を取り巻く環境が良く見えてきてしまったという感じなんですけどね。若い頃に読んでたら、ヴァンサンを束縛して、自分の傍に置いておこうとするローランスに嫌悪感を持っただけだったと思うんですけど、今の年齢で読むと、なんだかローランスが痛々しかったです。愛情表現の仕方を間違えてしまっただけで、彼女がヴァンサンのことを愛してたのは確かなんですもん。好きになったのも自分の方からだし、夫がいくら優しくても、いつ自分から離れていくか不安で仕方なかったんでしょうね。ヴァンサンはヴァンサンなりにローランスを愛していたというのに。という私にはローランス的なところは今も昔もないと思うんですが、少しは理解できるようになったのも年の功でしょうか。(笑)

今回読んでみて、こういう作品はやっぱりある程度年齢を重ねないとダメだと再認識。サガンに傾倒していた友達は、きっとこういう作品を深く味わってたんだと思うんですけど、ろくすっぽ恋愛経験もなかったオコサマな私には、ちょっと早すぎたようで...。やっぱりその本に読むのに適した時期ってありますよね。しかもフランス文学って、そういう作品が多そうです。(特に私の場合は、かしら) (新潮文庫)

| | commentaire(6) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
呂朱桃は、綏国の国王・燿桂お気に入りの舞姫。ある日、朱桃は燿桂に呼ばれて、綏国の重臣と共に閃国に赴くことに。任務は、じきに閃王の座につくはずの巴翔鳳の人物を見極めること。燿桂と仙華の1人息子・燿環は見るからに暗愚であり、燿桂は自分の死後、綏国を閃王に託すことを考えていたのです。

中華風ファンタジーのシリーズ物3作目。(いや、4作目? シリーズ名は何なんだろう? 花嫁シリーズ?)
前2作が不調だったので、もう読むのをやめようかなと思ってたんですが、これが面白かった! 1作目以来のヒットじゃないでしょうかー。話自体も「雄飛の花嫁」と前作「翔佯の花嫁」の間の歴史を埋めるようなものだし、「翔佯の花嫁」で説明されないまま残されてしまった部分(あの性格も含めて)も、ここで綺麗に解き明かされていて大満足。「雄飛の花嫁」では若かった国王も今や64歳だし、巴飛鷹はそれより年上なので、もうおじいさんになってというのがちょっと悲しかったんですけどね... 巴飛鷹の妃となった珠枝は、10数年前に既に亡くなっていますし。(でも閃にある廟のシーンが素敵)
森崎さんはあとがきで「ハッピーエンドとは言いにくい結末」と書いてらっしゃいましたが、これはある意味きちんとハッピーエンドになっているのでは? 「翔佯の花嫁」での展開も既に分ってるし、十分希望が持てるラストだし。でも、色々とすっきりしたのはいいんですけど、やっぱりこちらを先に出版した方が良かったんじゃ...?と思ってしまいます。そしたら「翔佯の花嫁」もきっともっと面白く読めたでしょうに... うーん、勿体ないですね。(講談社Xハート文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「雄飛の花嫁」「天の階」森崎朝香
「翔佯の花嫁 片月放浪」森崎朝香
「鳳挙の花嫁」森崎朝香

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
ほぼ日刊イトイ新聞に届いた「まつがいネタ」の投稿を厳選して1冊にまとめた本。その数、なんと700発だそうです。いやあ、面白かった。特に「時代物」~「電話」は、涙が出るほど笑いました。...でもそれ以降は、笑いの発作がすっかりおさまってしまったらしくて、ニヤリ程度。太字大文字で強調されてるところより、普通の字で書かれてるところの方が笑えるって、ちょっと笑いのツボがズレてるのかしら? 他の人はもっと全部爆笑できるのかな? でもおじーちゃんおばーちゃんが間違えるネタも可愛いけど、真面目に仕事してる人が予期していない時に放つ「言いまつがい」の方が絶対笑えるんだもん。

そして1つびっくりしたネタ。このネタ、私も体験してます。もしや同じ電車に乗っていたのでしょうか!

○十三
中学時代、大阪の電車に乗っていたときのこと、「次はぁ~、じゅうそう~、十三~」。着いてみたら十三の一つ手前の駅だった。電車が発車し、乗客の混乱がおさまった頃に「次もぉ~、じゅうそう~、十三~」。動揺のカケラもないアナウンスに、こっちが動揺した。

いやあ、あの時はびっくりしました。そして、「うわあ、やるなあ」でした。(新潮文庫)

| | commentaire(8) | trackback(1)
Catégories: / /

 [amazon]
アリステア・マクラウド自身が生まれ育ったというカナダのケープ・ブレトンが舞台となった短編集。このマクラウドは、初めての長編が発表されるまでの31年間、わずか16作の短編しか発表しなかったという寡作な作家なのだそうです。
ケープ・ブレトンは、「赤毛のアン」のプリンス・エドワード島の東隣にあるそうなので、自然環境という意味では「赤毛のアン」とそれほど変わらないんじゃないかと思うんですが、「赤毛のアン」からは想像がつかないほどの厳しい自然が描かれていてびっくり。人間を拒否しているとしか思えないほど厳しいです。これを読むと、「赤毛のアン」が夢物語のような気がしてきちゃうぐらい。そしてそんな土地に根ざして生きている祖父母や両親たちの逞しい生活力と、そんな彼らの姿を冷静に見つめる子供たちの目が対照的。親たちがどれだけ必死に生活していようとも、時代は確実に移り変わっていくんですねえ。今はまだ、かつて住んでいたスコットランドや、そこから追われるようにして出てきた記憶が色濃く残ってるけど、それもすぐに今の生々しさを失ってしまうんでしょうね。
炭坑夫の息子として育ち、子供の頃から勉強や読書が好きだったというマクラウドは、最初の作品「船」の「私」のような存在だったのかな? この8編の中で特に好きなのは、「ランキンズ岬への道」。表題作の「灰色の輝ける贈り物」も良かったです。(新潮クレストブックス)


+既読のアリステア・マクラウド作品の感想+
「灰色の輝ける贈り物」アリステア・マクラウド
「冬の犬」アリステア・マクラウド
「彼方なる歌に耳を澄ませよ」アリステア・マクラウド

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: /

  [amazon] [amazon]
明治17年、「おひいさま」の身代わりとしてアメリカに行く船に乗り込んだ少女。それは、本物の「おひいさま」である三佐緒が、愛し合っている男性と引き裂かれるのを見ていられなかった乳母・お勝によって作り出された影武者。新しいミサオはまだ12歳。船酔いに苦しまされながら、お勝からは「しつけ」という名の折檻を受ける日々が続きます。そして船はとうとうアメリカに到着し...。

CROSS-ROADの瑛里さんにオススメされた作品。いやあ、面白かった!
ほんと、帯にある通りの「大河恋愛小説」でした。自分自身の本当の名前を失い、「酒井三佐緒」として、そして後にはオーストリィの貴族・ヒンメルヴァンド子爵夫人として生き抜くことになったミサオの半生を描いた作品。乳母のお勝に苛め抜かれる船中のエピソードは、読んでいても息苦しいほどだったし、ようやくそれが終わっても、もうドキドキしたりヤキモキしたり。三佐緒の父親である酒井尊則の渡米に、どれだけ緊張したことか。桜賀光次郎やマックスへの想いにも、ありがちだと思いながらもドキドキ! 出会いと別れを繰り返しながらも、芯の強い、美しく聡明な女性に成長していくミサオの姿にすっかり感情移入してしまいました。脇役で特に印象に残ったのは、乳母のお勝ですね。ミサオにあれだけの仕打ちをしたというのも、実際には本物の「おひいさま」への愛情の裏返し。ミサオが立派に「三佐緒」を演じることができたのも、結局はお勝のおかげ。行き過ぎがあったのは事実ですけど、彼女の思いを考えると、憎めない人物でした。お勝と数馬とミサオが、お勝の料理を囲んで擬似家族をしている光景は微笑ましかったです。
下巻ではもっぱらミサオと光次郎の物語。桜賀光次郎のモデルは、川崎造船所(川崎重工業)の初代社長・松方幸次郎。彼の松方コレクションが形成されていく様子、ミサオを通じて見ることのできる美術品やドレス、ジュエリー、ヨーロッパの貴族の生活やその生活に戦火が及ぼした影響などもとても興味深いところ。そして彼女たちの想いは痛々しいほど純粋。この部分は、ある程度の人生経験を積んだ人の方が共感できる部分なのかもしれないですね。いやー、読み応えがある作品でした。(新潮文庫)

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / / / /

  [amazon] [amazon]
子供の頃大好きだった「クローディアの秘密」と、今回初読の「エリコの丘」。
「エリコの丘」は河合隼雄さんの「ファンタジーを読む」に紹介されていた作品。それで興味を持ったんですけど、以前一度読もうとした時は、どうも文章そのものが受け付けなくて挫折。でもその後調べてみると、どうやら小島希里さんの訳は相当評判が悪かったらしいですね。読者だけでなくカニグズバーグ本人からも色々と指摘が来て、岩波は小島希里訳作品の全面改訂に踏み切ったのだそう。ということで、今回読んだのは、以前の訳に金原瑞人さんが手を入れたという新訳です。やっぱり全然違う! あのまま我慢して読み続けなくて本当に良かった。

でも読みやすくなって、「エリコの丘」も素敵な話だったんですけど、やっぱり「クローディアの秘密」の方が上だったかな。
これは小学校6年生のクローディアと3年生のジェイミーという姉弟がある日家出をするという話。でも家出とは言ってもそんじょそこらの無計画な家出じゃなくて、クローディアが綿密な計画を立てた家出。宿泊予定は、ニューヨークのメトロポリタン美術館だし!...同じような趣向の作品はいくつか読んだことがありますが、多分この作品が一番最初。本国では1967年に発表された作品なので、もう40年近く経ってることになるんですけど、全然話が古くないどころか、今読んでもワクワクしちゃう。そして肝心のクローディアの「秘密」については、大人になった今読んだ方が理解できたかも。その辺りもじっくりと楽しめました。
「エリコの丘」は、女優志願のジーンマリーと科学者志望のマルコムが、ひょんなことから、もう亡くなってる女優のタルーラに出会って、彼女に頼まれた仕事をするという話。このタルーラが素敵なんです。成熟した大人の女性で、美人というより個性的なのに、その個性で自分を美しく見せちゃうような人。ジーンマリーとマルコムは不思議な機械を通って、誰からも見えない姿になって活躍するんですけど、この「見えない」ということから、色んなことを学ぶんですよね。考えてみれば、どちらの作品も目に見えない部分をとても大切にしている作品でした。

「エリコの丘」をこれから読まれる方は、2004年11月に改訂された新訳を選んで下さいね。「金原瑞人・小島希里訳」って感じになってますので。以前の版は絶版になったそうなんですが、図書館だと旧訳を置いてるところの方が多そうですし。
カニグズバーグの作品は、岩波少年文庫から何冊か出ていて、すごく読みたいんですけど、「ティーパーティーの謎」と「800番への旅」は小島希里訳なので、ちょっと読む気になれない... 早く新訳が出ればいいのですが。あ、「魔女ジェニファとわたし」は、「クローディアの秘密」と同じ松永ふみ子さんの訳ですね。こちらを先に読んでみようっ。(岩波少年文庫)


*既刊のE.L.カニグズバーグ作品の感想*
「クローディアの秘密」「エリコの丘から」E.L.カニグズバーグ
「魔女ジェニファとわたし」E.L.カニグズバーグ
「ティーパーティーの謎」「800番への旅」「ベーグル・チームの作戦」カニグズバーグ

| | commentaire(0) | trackback(0)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.