Catégories:“2006年”

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ケント州にあるアーサー大佐の屋敷には、動物好きの夫人や13歳の娘・モリーのために常に沢山の動物が飼われていました。西アフリカ産の王様灰色オウム・ダッドリーもその一員。そしてこのダッドリーと一番仲が良いのは、つい最近屋敷に紛れ込んできたばかりの赤毛のネコ・ギルデロイ。本来天敵同士のオウムとネコにも関わらず、彼らはお互いに友情を感じていたのです。そしてある朝、ダッドリーとギルデロイは屋敷を出て冒険の旅に出ることに。行き先をロンドンに決めて、早速汽車に乗り込みます。

怪奇幻想文学の大家として知られるブラックウッドの異色作だそうなんですけど...
やっぱり動物物は苦手。どうしても話の中に入りこめないまま、読み終わってしまいました。ダッドリーとギルデロイにも何か寓話的な象徴があったのかもしれないんですけどね。そこまでは読み取れず仕舞いです...。(ハヤカワ文庫FT)

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19世紀末のニューヨーク。盗賊団・ショート・テイルズ団に追われていた泥棒のピーター・レイクは、絶体絶命のピンチに逃げ込んだ薪小屋の陰に、1頭の白馬がいるのに気づいて驚きます。この白馬はブルックリンの小さな厩から逃げ出して、マンハッタンへと駆けて来ていたのです。ピーターは白馬に飛び乗り、呆気に取られている追っ手たちを尻目に、猛烈な勢いで馬を走らせ逃げ去ります。

いやー、とても不思議な物語でした...。一言で言えば、時を超えた話なんですけど、とっても説明しづらいです。上に書いたあらすじなんかじゃあ、全然説明できてません。これはほんのさわり部分。19世紀末のニューヨークと20世紀末のニューヨークを背景に、様々な人々が描かれていきます。主人公は一応ピーター・レイクだと思うんですが、登場人物がとても多くて、ほんの端役と思われる人物にまで詳細な描写が付け加えられてるんですよね。だからピーター・レイク1人というより、ニューヨークに住む多くの人々の生活が浮かび上がってくる感じ。そういう意味では、人間よりもニューヨークという街自体が主人公なのかもしれません。
退屈に感じる部分もあったし、よく分からない部分もあったし、色んな疑問が残ったままになっちゃったんですけど、それでも読後残ったのは美しい情景。「ウィンターズ・テイル」という題名だけあって、やっぱり冬の情景が一番印象的でした。特に雪に覆われたニューヨークのマンハッタンと、凍りついたコヒーリズ湖。厳しい冬の寒さは、現実の厳しさ同様、人間にも辛く当たるんですが、それでもなにやらとてつもなく美しく印象に残ります。この「冬」は、やっぱり人生そのものを象徴しているのでしょうかー。そしてその冷たい空気の中、風のように舞い上がる白馬・アサンソー。
どんな話だったか説明するのがとても難しいし、自分でも理解しきれたとは思えないのですが、魅力的な物語ですね。いずれまた最初から読み返してみたいです。そうすれば、今よりももう少し理解できるかも。(ハヤカワ文庫FT)

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怪奇幻想文学からSF、純文学、児童文学、古典など幅広く網羅する「ファンタジー」。その捉え方は人によって様々です。分かるようで分からない、新しいようでいて実は古い「ファンタジー」を、19世紀のイギリスから現代の日本におけるファンタジーノベル大賞に至るまで、歴史的な流れに沿って概観する本。

ファンタジーというのは、基本的には現実ではない、空想の物語なんですが、やっぱりその時代からの影響を受けずにはいられないし、その時代の変革を色濃く反映するもの。小谷真理さんは、実際に一度、出版目録や専門事典に載っている全てのファンタジー作品を時系列上に並べて歴史の流れを見てみたことがあるのだそうです。これは、私もやってみたーい! 膨大な作業なので、実際にはなかなか無理だと思いますが、やっぱりファンタジー好きである以上、主な作品の流れぐらいは知っておきたいですし、やれば色々な発見がありそうです。そしてそんな歴史の流れが、この本の中ではとても分かりやすくまとめられていました。これはいいかもー。
ただ、ここに登場するファンタジーは、ハヤカワ文庫FTやハヤカワ文庫SF、創元推理文庫で出ているような大人向けのファンタジー作品が中心なんですよね。児童文学に含まれるファンタジーはほとんど出てきません。(未訳作品の紹介も多いので、実際にはなかなか読めない本も多いのが残念) だから、子供の頃にファンタジー好きだった、という程度ではとっつきにくいかも。紹介されてるような本をある程度読んでいないと、ちょっとキビシそうな気がします。入門編というよりも、ある程度ファンタジー作品を読んだ人間向け? 私は今年はかなりハヤカワ文庫FTを読んだので、既読作品が結構あったし、とても興味深く読めたんですが、去年のこの時期に読んでいたら、今の半分も面白くなかったでしょうね。でもだからといって、限られたページ数の中でそれほど深くつっこんでるわけでもないので、来年の今頃読んでたら、もしかしたら物足りなかったかもしれません... 分かりませんが。(丁度いい頃合に読めてラッキー♪)

ところで、この本を読んでいて一番驚いたのは、「指輪物語」についてのくだり。「指輪物語」が、「魔王サウロンと、妖精女王ガラドリエルの間で世界を分ける大戦争が起きる」物語だと説明されてるんですが... えっ、そうなの?! そういう読み方をするものなの?! だってガラドリエルって、ロスロリエンから応援してるだけの人じゃないですか! それにトールキンにとっては物語創作の始めから存在していた人物じゃないんですよー。後から出てきても、「シルマリル」を遡って書き換えさせたほどの人物ではありますけど、やっぱりそれはちょっと違うんじゃないかなあ。...と、それまで楽しく読んでいたのに、いきなり不安になった私です。^^; (ちくま新書)


+既読の小谷真理作品の感想+
「ファンタジーの冒険」小谷真理
「星のカギ、魔法の小箱」小谷真理

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息子のジェイスンの10歳の誕生日に、フローリン国の文豪・S・モーゲンスターンの「プリンセス・ブライド」を贈ったウィリアム・ゴールドマン。これはゴールドマンが10歳の頃、肺炎で寝込んでいる時に、父が少しずつ読み聞かせてくれた本。ゴールドマンが本好きとなったきっかけの本なのです。でも苦労して手に入れた本なのに、ジェイソンは1章だけで挫折。息子が本を気に入ってくれずがっかりするゴールドマンですが、自分で本を開いてみて、かつて知っていた物語とは違っていることに気づきます。父は退屈な歴史部分を飛ばして、面白いアクションの部分だけを読んでくれていたのです。ゴールドマンは「プリンセス・ブライド」の娯楽抜粋版を作り上げることを決意します。

「明日に向かって撃て!」や「大統領の陰謀」の脚本で、アカデミー脚本賞も受賞している作家・ウィリアム・ゴールドマンが、フローリン国の文豪S・モーゲンスターンの名前を借りて作り上げた「真実の恋と手に汗握る冒険物語の名作」。
いやー、ほんとユーモアたっぷりの作品でした。作中作(?)の「プリンセス・ブライド」自体も面白いんですけど、一番楽しかったのは、やっぱりゴールドマン自身による遊び心たっぷりの解説! 「プリンセス・ブライド」が始まる前の、娯楽抜粋版を作るきっかけとなった話も面白いですし、本編が始まってからは、ゴールドマン自身による解説が随時織り込まれていて、これがまた楽しいのです。ハヤカワ文庫版では、この解説部分を分かりやすくするために赤字で印刷していますが、原書もそうなのかしら? 何度も解説が入るので、物語はそのたびに分断されることになるんですけど、勢いを殺いでしまったりはしないですね。むしろ、漫才のツッコミのような感じかも。(笑)
退屈な歴史部分を全部カットするのって、もしかして某大作ファンタジーに対する皮肉?なんて思いながら、楽しく読みました。もちろんフローリン国などという国はありませんし、文豪S・モーゲンスターンも存在しません。全てがゴールドマンによる一人芝居。上手いです~。
この作品は、「プリンセス・ブライド・ストーリー」という邦題で映画化もされているのだそう。これはちょっと観てみたいかも。(ハヤカワ文庫FT)

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狩りから帰ると妻と子供が無残な姿で殺されていて、大きなショックを受けたヒュー。3人を埋葬すると、残っていた足跡をつけ始めます。そして数日後、森の中で妻を殺した野獣に遭遇。野獣は2人の小人と痩せた若者に襲い掛かっていました。若者が絶体絶命の状態にあるのを見て、ヒューは思わず助けに入ります。そして若者が命を取り止め、野獣をけしかけたのが魔女ゴルタの仕業と知ったヒューは、若者たちの一行に加わって、魔女を討ちに行くことに。襲われていた若者は、白妖精族の王子。死の帝王トルゴンを倒せるただ1人の者だと予言に謳われているエイルワンだったのです。

トールキンのカレンダーやスターウォーズ1作目のポスターなどで爆発的な人気を博したという、アメリカの双子のイラストレーターの小説作品。作品自体はデイヴィッド・エディングスのベルガリアード物語のような雰囲気ですね。でも登場人物の区別がつきにくくて、個性が掴みきれないまま終わってしまいったし、話もイマイチ...。魔女ゴルタの最期があっけなかったし、味方を無造作に殺しすぎるし、予言が今ひとつ上手く機能していなかったし。2人はこの物語を書くために、ラフ・スケッチを千枚以上描いたそうなんですけど、その割に文章を読んでいても全然情景が思い浮かばなくて... そういうのって私にとっては致命的なんですよね。同じイラストレーターでも、ハネス・ボクの「金色の階段の彼方」(感想)や、マーヴィン・ピークのゴーメンガーストシリーズ(感想)は、すごく情景が思い浮かぶような作品だったのになあ。(ハヤカワ文庫FT)

下はヒルデブラント兄弟のイラストのトールキンカレンダー。左の絵がいい感じ? この大きさじゃ、ちょっと分かりにくいですが。
 

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神(アラー)の御心によって、イスラム教の第三天国にいる生と死を司る天使・イズライールの前に立っていたのは、妖霊(ジン)・ハーリド。ナジド王国の世にも美しいジフワー姫が結婚することになった時、その王子が嘘つきで偽善者と知り、殺してしまったハーリド。最初はアラーによる死を免れないと思われるのですが、王子がイスラム教を信じる気がないどころか、ジフワー姫や人々を異教に改宗させようとする不信心者だったと分かったため、ハーリドは命を救われ、購いとして人間としての生を与えられることに。そしてジフワー姫と結婚し、もし姫がハーリドへの愛に目覚めればハーリドには不死の魂を授けられ、愛に目覚めなければ地獄で焼かれることになったのです。

思いがけず、同じような場所が舞台の作品が続きました。でもダマール王国物語が昼の砂漠のイメージなら、こちらは夜です。華麗なアラビアンナイトの世界~。作品自体は100年以上前に書かれたものだし、言ってみればよくあるパターンではあるんですが、でもすごく素敵でした。ダマール王国物語も面白かったけど、比べてしまうと深みが全然違うなあ。
感情よりも理性が遥かに勝っているジフワー姫に自分を愛させることは、ハーリドにとって予想外の難問。ハーリドはまず戦争で勇敢に戦って勝利を収め、その勇気と強さを見せつけ、次に敵の城を落として夥しい戦利品を手に入れ、その後は美しい女性絡みでジフワー姫の嫉妬心を煽ろうとします。そしてその合間にも、愛について語ろうとするのですが... これがなかなかうまくいきません。もちろん、最後にはハーリドが姫の愛情を得るのだろうというのが予測できるんですけど、それまでの過程にイスラム教徒とその風俗や文化、世界観などが現れていてとても面白かったです。欲を言えば、ハーリドが妖霊だった時の場面を最初に少し見てみたかったかなあ。あとイスラム教の天国の描写をもっと読みたかったですね。でもきっと今の形の方が全体的なまとまりとしては良いのでしょう。子供の頃からアラビアンナイトは大好きだったし、やっぱりこの雰囲気には憧れます。(ハヤカワ文庫FT)

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両親が亡くなり、兄に呼ばれるがまま本国を船で発って、砂漠の町・イースタンにやって来た少女・ハリー。そしてある日イースタンに現れたのは、古くからある砂漠の王国、ダマール王国の王・コールラスでした。コールラスは、北方族の侵略に対して、イースタンの人々と共同戦線を張りたいと申し入れに来たのです。しかしイースタンの人々はその申し出を断り、数日後、コールラスは部屋で眠っていたハリーを人質としてひそかにダマール王国へと連れ出すことに... という「青い剣」と、「青い剣」では既に伝説となっているいにしえのイーリン姫の物語「英雄と王冠」。

ダマール王国シリーズ2冊。
ハリーの本国は、はっきりとは書かれてないのですが、19世紀~20世紀の華やかなりし頃の大英帝国という感じ。「青い剣」は、砂漠の国の王に攫われた背高のっぽの少女・ハリーが、伝説のイーリン姫の力も借りて成長し、いつの間にか英雄になっていくという物語です。攫われたハリーがやけに落ち着きすぎてるし(もちろん泣き寝入りぐらいはするんですが)、攫ったコールラスに対してまるで敵意を持たないし(丁重すぎるほど丁重に扱われるとは言っても、ねえ)、ダマールの人々とすっかり仲良くなってしまって、言われるがまま行動するのにはちょっと引っかかるんですが...(ストックホルム症候群?) でも、まあ、それに対する理由もないわけではないんですよね。その辺りを気にしすぎなければ、結構面白かったです。砂漠の民であるダマール王国の人々の旅の情景も鮮やかだし、脇役たちもとても魅力的。そしてダマール王国でも限られた人々の持つケラーという力が謎めいていて、興味をそそります。
「英雄と王冠」の方も面白かったのだけど、こちらは「青い剣」ほどではなかったかな。「青い剣」で語られるイーリン姫は、颯爽とした気の強いお姫さまのイメージなのに、本物は結構情けないし、それ以前に、構成がちょっと分かりづらくって。あと、イーリンと仲良しのトー王子が気に入ってたので、余計な男がしゃしゃり出て来てイヤだったというのもありました。(笑)
訳者あとがきによると、ダマール王国シリーズ第3作が予定されていたようなんですが、どうなってるのかな? もう書かれてないのかしら? まあ、この2冊で完結してる方がすっきりしてるかもしれませんが...。(ハヤカワ文庫FT)

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