Catégories:“2006年”

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昨日の「山海経」と同じく平凡社ライブラリーの1冊。もとは「山海経」「列仙伝」「神仙伝」「抱朴子」が1冊になってたのを分けたんだそうですが... 「抱朴子」だけは、平凡社ライブラリーから出てないんですよね。なぜかしら。これは「神仙伝」の葛洪の書いた、仙人になるためのハウツー本だそうです。

「列仙伝」では、伝説の黄帝から、漢時代に生きていた仙人まで70人が紹介されていて、太公望や老子、介子推など、歴史的な有名人も入ってます。「神仙伝」で紹介されてるのは92人で、「列仙伝」と重なっているのは老子や彭祖の2人だけ。重ならないようにしたんでしょうけど、太上老君として信仰される老子を外すわけにはいかなかったんでしょうね。それに彭祖もきっと有名人なんですよね。子供の頃に彭祖が出てくる話を読んだことがあるので、私も名前は知ってます。確か、800年も生きたのに、黄河が澄むのを結局1度も見れなかった... と嘆いている話でした。(黄河は1000年に1度澄むらしいです)

大体どの仙人も、基本はまず食事から。木の実や薬草だけで、五穀を絶つというごくごく質素な食生活。もっと霊芝辺りが使われているのかと思っていたんですが、あんまりなかったです。それより石を服用している人が多くて、水晶やら雲母やらを粉末にしたり、他の薬物と混ぜて液状にして服用したり。方解石と良く似た五石脂の場合は、青・赤・黄・白・黒色の石の粉末を酢で練ると粘り気がでるんだそうで、こういう描写も面白かったです。でもどうやって仙人になるかっていうのはほんと人それぞれですね。食事療法をしたり、呼吸法を利用したり、仙丹を作ったり、中には房中術を利用する人も...。他の仙人に見出されて仙人になる人も多いんですが、「素書」は40年に1人にしか渡せないともったいぶる仙人もいれば、子孫に気軽に色々と伝授する仙人もいて、そちらも人様々。そして、一度は漢の武帝に見出されて仕えるようになる人も多いんですが、見切りをつける人も多いんです。武帝って、そんなに人徳がなかったのかしら。(笑)(平凡社ライブラリー)

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山海経とは、作者不詳の中国古代の地理書。最も古い部分は戦国時代(紀元前5~3世紀)に作られ、その後秦・漢時代にかけて内容が付加され、現在の形になったようです。「五蔵山経」「海外経」「海内経」など全18巻。表紙によると、「想像上の世界を縦横に走る山脈、そこに息づく奇怪な姿の怪力乱神たち。原始山岳信仰に端を発し、無名のひとびとによって語り継がれてきた、中国古代人の壮大な世界観が蘇る」とのこと。

副題が「中国古代の神話世界」ということで、もっと神話の話なのかと思ったんですが、神話よりも、むしろ神話の存在した「世界」が中心でした。洛陽周辺の山々とそこから四方に伸びる山脈、さらにその周囲に存在するとされた国々のことが書かれている、いわば博物誌とでも言えそうなもの。どの山にどのような植物や鉱物が多く、どのような動物がいて、それらにはどのような効用があるかということがひたすら詳細に書かれていきます。

南山経の首(はじめ)は昔+隹(じゃく)山という。その首を招揺(しょうよう)の山といい、西海のほとりに臨む。桂が多く金・玉が多い。草がある、その状(かたち)は韮の如く、青い花、その名は祝餘。これを食(くら)うと飢えることがない。木がある、その形は穀(こうぞ)の如くで黒い理(きはだ)、その花は四方を照らす、その名は迷穀(めいこく)。これを佩びると(道に)迷わない。獣がいる、その状は禺(さる)の如くで白い耳、伏してあるき人のように走る、その名は??(しょうじょう)。これを食うとよく走る...

これは冒頭からの引用。こんな感じでずーっと続いていきます。ここでは、それほど妙な動物は出てきませんけど、この後登場するのは凄いです。まさにキメラ。ギリシャ神話のキメラは「ライオンの頭・ヤギの胴・ヘビの尾をもち火を吐」きますが、それが普通の動物に思えてしまいそうなほど奇妙奇天烈な動物たちが沢山。思いつく限りのありとあらゆる種類の動物を、解体して繋ぎ合わせたような感じ。九尾の狐も出てきますけど、この狐なんて可愛いものだったのね...。当然人面のものもあります。しかも挿絵付き。(これがまた味があるんです・笑)
読んでる時はあまり何も考えずにのほほんと読んじゃったんですが、こういう説明の裏側には、実は中国各地の伝承や神話などが存在してるんですね。中国の神話は既にそのほとんどが失われてると聞いていたんですが、こんなところにその片鱗が残っているとは、実は「山海経」ってものすごく貴重な資料なんじゃないですか! でも水木しげるさんの解説を読むまで、こういった動物が妖怪だったとは気づきませんでしたよ...。鳥山石燕の「画図百鬼夜行」にもこの中の動物が入ってるんだそうです。(鳥山石燕が見て気に入ったらしい) 妖怪ですか。うーん、私は一体何を読んでたのかしら...。(苦笑) (平凡社ライブラリー)

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「森の小道」「二人の姉妹」という中編が2編収められた本です。以前、「水晶他3篇 石さまざま」(感想)を読んだ時にも、その自然描写の美しさや作品自体の清々しさに驚かされたんですけど、今回も素晴らしかったです~。物語としてはどちらも、裕福だけど天涯孤独な男性が、素朴で暖かい人々との出会いを経て、愛や家族の素晴らしさを知るというもの。それほど起伏に富んでるとは言えないし、決して派手ではないんですが、これがとてもいいんです。
自然描写の荘厳さで言えば、「水晶他3篇」の方が上だったかなと思うんですけど、こちらの心が和むような情景も捨てがたい...。「森の小道」で描かれるのは、暗い樅の木や明るい撫の木の立ち並ぶ「黒い森」の、明るく澄んだ柔らかな空気や、まっすぐに降り注ぐ昼の光、心地よい香り... でも自然の厳しさを感じさせるような描写もシュティフターならではなんですよね。一旦主人公が森で迷ってしまうと、和やかだったはずの情景は一変。驚くほど青かった竜胆の花も、恐ろしいような青色へと変化します。この場面が本当に印象的でした。そして「二人の姉妹」は、珍しくウィーンという大都会も描かれているのですが、その美しい描写の真骨頂は南チロル地方の場面にあります。特に印象に残るのは、夜、主人公がヴァイオリンの音に気づく場面。銀色の空には細い月がかかり、聞こえてくるのはヴァイオリンの黄金の音色のみ。
読み終えた瞬間、何とも言えない満ち足りた気分になっちゃいました。やっぱりシュティフターはイイ! 未読の方、特に外国文学系がお好きな方には、ぜひともオススメしたい作品です。(「水晶他3篇」も!...そして私は「晩夏」を読まねばー) ちなみに表紙の風景画は、画家でもあったシュティフター自身の絵です。(岩波文庫)


+既読のシュティフター作品の感想+
「水晶 他三篇 石さまざま」シュティフター
「森の小道・二人の姉妹」シュティフター
「晩夏」上下 シュティフター
「ナレンブルク 運命に弄ばれた人々の城」A.シュティフター
「石さまざま」上下 アーダルベルト・シュティフター
「森ゆく人」アーダルベルト・シュティフター
「書き込みのある樅の木」アーダルベルト・シュティフター

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天才少女と言われながら、16歳の時から自殺未遂を繰り返し、とうとう21歳の時に「幾度目かの最期」を3日間で書き上げて鉄道に飛び込み自殺(それも阪急の六甲駅だなんて...!)をしてしまった久坂葉子さんの作品集。私はこの方の名前を全然知らなくて、初めて知ったのがLoveBooksのIzumiさんのところ。たらいまわし企画第7回「20代に読みたい本は?」で「ドミノのお告げ」を挙げてらしたので。(記事
この本には「ドミノのお告げ」自体は入っていませんが、その元となった「落ちてゆく世界」は収録されています。これは当時史上最年少の18歳で芥川賞の候補となったという作品。

どの作品も自伝的で、「死」が目を引きます。早熟で感受性の強い人ほど、死へ衝動を感じてしまうんでしょうね。「死に際」という小文では「生に執着がないことはない」と書いてるんですが...。中でも表題作「幾度目かの最期」での彼女は、もう本当に読んでいて痛々しくて堪らないほど。私はどちらかといえば、あまり不安定だったことがなくて、「早熟」とか「感受性の強さ」という言葉には縁がない方だったんですけど(ツマランヤツダ)、少しでも似たようなものを持っていたら、そして彼女と同じぐらいの年齢だったら、読むのが実につらいのではないかと思います。つらくてつらくて、でも目が離せないんじゃないかと。これは「久坂葉子」としての作品なのでしょうか。それとも本名「川崎澄子」としての叫びだったのでしょうか。

あと、それとは関係ないんですけど、「読書」という小文の中で、「書物には理性を持って読む本と感情を持って読む本とがある」という言葉がとても印象に残りました。今まで考えたことなかったけど、そう言われてみると確かにそう。私はちゃんと読み分けてるのかしら? それとも知らず知らずのうちにどちらかの傾向の本だけを読んでたりしないかしら? なんて、しばらく自分の読書を振り返ってしまいました。名作と言われているのにその良さが自分には分からない本の場合、そういう読み方が間違ってるの可能性もありますね... 気をつけよう。(講談社文芸文庫)

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アイルという国を舞台にした異世界ファンタジー「アイルの書」全5巻。「白い鹿」「銀の陽」「闇の月」「黒い獣」「金の鳥」です。ケルトの神話を下敷きにしてるとあって、以前からものすごーく読みたかったんですが、既に絶版。見つけるのに苦労しました...。でもその甲斐あって、とても良かったです~。

私のファンタジー好きは、ここを見て下さってる方はご存知だと思うんですけど、その根っこのところにあるのは、どうやら神話好きと叙事詩好きらしいんですよね。だからそういう世界を作家が作り出している異世界ファンタジーが大好き。そしてこの「アイルの書」は、まさしくその要素を備えた作品です。神話が存在する世界がしっかりと作られていて、しかもまるで吟遊詩人が本当に歌い語っているような物語なんです。
主な舞台はアイルという島。これはきっと「アイルランド」がモデル。5冊全部主人公が違っていて、最初の「白い鹿」が神話の時代が終わる頃の物語。「はるかな昔、まだ創世の魔法がこの世にとどまっていたころ、アイルとよばれる小島があった。」です。そして「銀の陽」から「金の鳥」までは、それから1千年ほどの時が流れた後の物語。一貫して書かれているのは友情。そして痛みとその癒し。って書くとなんだか陳腐になってしまうんですが...。特に良かったのは2巻。続いて3巻かな。4巻5巻も面白いんですけど、4巻で舞台が変わるので、読み終えてみると全3巻で終わらせても良かったような気もしますね。4巻5巻は番外編ということで。(笑)
「指輪物語」が好きな方は、気に入る可能性大です。実際、この作品にも「指輪物語」の影響が色濃く感じられます。でも「指輪物語」自体ケルトの神話との関連が深いはずなので、出処は一緒とも言えるのかなあ。

この作品に「ケア・エイシャ」と呼ばれる城砦が登場するんですけど、C.S.ルイスの「ナルニア」シリーズで、王や女王となったぺヴェンシーきょうだいが住んでいたのが「ケア・パラベル」。「ケア」って城のこと? 何語?...と思って検索したら、ウェールズ語だという記述が。そしてウェールズ語は、インド・ヨーロッパ語族ケルト語派なんだそうです。なるほどねえ。(ハヤカワ文庫FT)

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ちくま文庫20周年復刊フェアで再版された9冊のうちの1冊。(復刊されたのはコチラ) 西条八十や佐藤春夫、三好達治らが愛してやまなかったというデ・ラ・メアの詩集で、「妖精たち」「魔女と魔法」「夢の世界」の3章に分けられて、60編ほどの詩が収められています。出てくる妖精が、丁度イギリスやアイルランドの伝承に見られるような感じで、子供の頃読んだ童話を思い出すような懐かしい雰囲気。英国では「幼な心の詩人」と評されているというのも納得。でも正直なところ、私にはちょっと可愛らしすぎたかも...。それにこういうのは、やっぱり原書で読んでこそだなと思ってしまいました。荒俣宏氏の訳はとても読みやすいし、詩の1編1編にドロシー・P・ラスロップの挿絵がついていてとてもいい雰囲気なんですけど、でもやっぱり日本語に訳してしまうと、原文にあるはずの韻も失われてしまいますしね。
この中で気に入ったのは、「サムの三つの願い、あるいは生の小さな回転木馬」。妖精に3つの願いを叶えてもらうサムの物語。妖精や魔女に願い事を叶えてもらうという話は、大抵願う本人が自滅してしまうものですが、これは一味違います。そしてその願いがエンドレスで繰り返されていくというのも面白いんですよねえ。(ちくま文庫)


+既読のウォルター・デ・ラ・メア作品の感想+
「妖精詩集」W.デ・ラ・メア
「ムルガーのはるかな旅」ウォルター・デ・ラ・メア

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深い森の中の城に辿り着いた「私」は、同じように城に辿り着いた客たちと共に晩餐の席につくことに。居並ぶ人々は、それぞれに森をくぐり抜けてくるうちに声を出せなくなってしまったらしく、静かに食事が進みます。そして晩餐が終わった時、城主とおぼしき人物が食卓にタロットカードを置き、会食者の1人がそのカードで物語を語り始めるのです。

たらいまわし企画・第18回「心やすらぐ本」(記事)で、タロットカードの絵柄が美しい「ムットーニ おはなしの小部屋」を出した時に、LINさんに教えて頂いた本。カルヴィーノ作品は初挑戦です。

これは実際にタロットカードを並べながら読みたくなりますね。この1冊の中に「宿命の交わる城」と「宿命の交わる酒場」という2編が収められていて、タロットカードだけで語り手たちの人生が語られていくという形は同じなんですが、お城の大広間で使われてるのはヴィスコンティ家のカードで、酒場で使われてるのは、一般に流通してるマルセイユ版のカード。使い分けてるんですね。(笑)
本にも一応その図柄が載ってるんですけど、いかにも簡易版なので、雰囲気しか分からないのがちょっと残念。それでもそれぞれのページに挙げられている図柄とか、その並び方とか、読みながらまじまじと見入ってしまいましたー。これは実物が見てみたいなあ。特にヴィスコンティ家のカード! 美しいんでしょうね。ええと、私もタロットカードは1組持ってるんですが(占いはしないんですけど、絵柄が好きなので) 絵がまた少し違うので、並べてみるのはやめました... それをすると、なんだか物語が変質してしまいそう。
タロットカードは元々寓意性が強くて、占いでもその並び方によって様々な人生模様が表現されていくものですけど(そういう意味では、占い師も一種のストーリーテラーと言えるかもしれないですね)、こんな風に物語になっている作品は初めて。しかも1人1人の物語だけでなく、それぞれの語り手の物語(宿命)は縦横に交錯して、1つの大きな物語絵巻を織り上げていくんです。それがもう見事。緻密に計算されていて、その濃密さにはびっくりです。

物語には、「ファウスト」、「パルシファル」、「オイディプース」、シェイクスピアの3大悲劇、アリオストの「オルランド狂乱」といった物語も織り込まれていて、この中では「オルランド狂乱」だけ未読なんですよね。これはぜひ読んでみたいなあと思ったんですが... 調べてみたら、12,600円って...! マジですか!?(検索してヒットしたのは「狂えるオルランド」だったんですけど、一緒ですよね? 右の本です) 一体どんな本なんでしょう。市内の図書館にも置いてないみたい。この値段だったら、きっと函入りで美麗な装幀なんでしょうね... てか、そうじゃないとイヤだなあ。(笑)(河出文庫)


+既読のイタロ・カルヴィーノ作品の感想+
「宿命の交わる城」イタロ・カルヴィーノ
「不在の騎士」イタロ・カルヴィーノ
「レ・コスミコミケ」イタロ・カルヴィーノ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「まっぷたつの子爵」「木のぼり男爵」イタロ・カルヴィーノ
「イタリア民話集」上下 カルヴィーノ
「魔法の庭」イタロ・カルヴィーノ
「見えない都市」イタロ・カルヴィーノ
「マルコヴァルドさんの四季」カルヴィーノ
「冬の夜ひとりの旅人が」イタロ・カルヴィーノ
「柔かい月」イタロ・カルヴィーノ
「カルヴィーノの文学講義」イタロ・カルヴィーノ
「パロマー」カルヴィーノ
「くもの巣の小道」イタロ・カルヴィーノ
「むずかしい愛」カルヴィーノ

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