Catégories:“2006年”

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異世界を舞台に、痩せのニフトとチリテのバーナーという2人の盗賊たちが活躍する短編集。どちらかといえば、なるべく手に取りたくないタイプの表紙だったんですけど、想像してたよりは面白かったです。丁度、フリッツ・ライバーのファファード&グレイマウザーシリーズのような雰囲気でしょうかー。いかにもアメリカンヒロイックファンタジーという感じ。本当はそういうのはあまり得意ではないんですけどね。
主人公が盗賊という割に盗みの場面はそれほどなくて、それよりも不思議な冒険が中心。決して善人ではないながらも、悪人に一泡ふかせるニフトの冒険はなかなか痛快。物語自体も、最後のどんでん返しが楽しいです。4編収められてる中で私が一番気に入ったのは、代官にハメられて死刑にされそうになった2人が、魔海に囚われてる代官の息子ウィンフォートを探しにいくことになる「魔海の人釣り」。これは4編の中では一番長くて、200ページほどもある中編。ニフトとバーナーが旅に出てウィンフォートを見つけるまでがちょっと退屈だったんですけど、口ばかりが達者で実力が伴わないウィンフォートが一行に加わってからは、話がすっかりややこしくなって、俄然面白くなりました。おどろおどろした魔海の辺りの描写もいい感じです。(ハヤカワ文庫FT)

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地図屋のヤキン=ボアズは、何年もかけて息子にやる親地図を作り続けていました。そして息子のボアズ=ヤキンが16歳になった時、その地図を息子に見せることに。そこにはヤキン=ボアズが知っている全ての物事が書き込まれているのです。しかし息子が言ったのは、「ライオンは?」という言葉。ライオンは既に絶滅して久しいというのに...。そして数ヵ月後、ヤキン=ボアズは旅に出ます。1ヶ月経っても戻って来なかった時、ボアズ=ヤキンが親地図がしまってある引き出しをあけると、そこには地図はなく、「ライオンをさがしに行った」という書付が残されていました。

うーん、これは今ひとつ分からなかったです... とてもアレゴリカルな物語なのは分かるのですが...。荒俣宏さんの訳者あとがきに「ライオン」や、「ヤキン」と「ボアズ」という言葉について、色々と解説されていました。「ヤキン」と「ボアズ」はソロモンの神殿の2本の青銅の柱のことで、ユダヤ教とキリスト教にとってはとても重要なシンボル性を持つ言葉なのだそうです。...へええ。普通であれば、若い息子が冒険を求めて旅に出て、父親は家にいるものですが、この物語ではその逆。年老いた父親がまず家を出ています。探し求めるのは、既に失われてしまった「力」(ライオン)。父親は既に自分の妻の夜の相手ができなくなっているのですが、家を出てグレーテルに出会うことによって、そういった「力」の1つを取り戻しています。そして息子もまた父親を探す旅に出るのですが...。
帯にはピーター・S・ビーグルの「くやしい。ぼくは本書のような物語を書きたかったのだ!見事に先を越されてしまった」という言葉があったんですが、ピーター・S・ビーグルにそこまで思わせたものは何だったのか。うーん、私にはやっぱりよく分からない...。(ハヤカワ文庫FT)

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双眼鏡をのぞいた時に目に飛び込んできたのは、木立の間からのぞく、赤茶色の屋根の白い家。翌日、自転車でその家を見に行き、近くに素敵な文具屋まで見つけて浮き立つ爽子。しかしそんな時、父の突然の転勤の知らせが。爽子は中学2年生の2学期が終わるまでは今の学校に行きたいと、それまでの2ヶ月間をその白い家、十一月荘に下宿することになります。

これはまるでジブリの「耳をすませば」ですね! 丘の上の素敵な洋館に素敵な文房具屋、口は悪いけれどかっこいい少年、本が好きで、物語を書きたいと思っている少女、まさにあの映像を思い起こさせるような雰囲気です。でも、「耳をすませば」は好きなんだけど、こっちはイマイチだったかも... 最初はいい感じかと思ったんですけどねえ。
まず、爽子が中学2年生に見えないんですよね。嫌なことがあっても、冷静に自己分析をして理性的に乗り越えてしまう爽子は、どちらかといえば大人っぽい少女。それは全然構わないんですが、この言葉遣いって、一体いつの時代の中2? 高楼方子さん自身がこういう少女だったのかしら? 特に爽子の内面や心の声を描く文章に違和感です。言葉の選び方、間違ってませんか... それだけならまだしも、時々わざと子供っぽさを演出しようと、無理矢理はしゃがせているように感じられてしまったのが更にダメ。そして爽子が書く物語も同様。物語と爽子をめぐる現実が二重写しになっているところは、趣向として面白いと思うんですが、筆達者な中にわざと幼さや拙さを演出してるように見えてしまって、読むのがツラかった...。以前読んだ「時計坂の家」では、そんなこと感じなかったと思うんですけどねえ。いや、感じた部分もあったのかもしれないんですけど、それ以上にとても楽しめたのに。残念です。あ、こっちでも、十一月荘で爽子が出会う女性3人は素敵だったんですけどね。そして毎週英語を習いに来る耿介という少年が、すっかり天沢聖司に脳内変換されてて、気に入ってたんですけど...!(笑)
それにしても、この話はその後どうなるのかしら? 気になるなー。あ、物語の余韻に浸りたい方は、解説を読まない方がいいかもです...。(新潮文庫)


+既読の高楼方子作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「時計坂の家」の感想)
「十一月の扉」高楼方子

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「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」(感想)、「2 ヨウイ」(感想)に続く完結編、「3 ドン」を読みました!
いやあ、良かった。本当に良かった。1巻も良かったんですけど、2巻でややトーンダウンしたので、心配してたんですよね。あまり好きじゃない展開にもなってたし。でも杞憂でした! 前2巻に比べるととちょっと長めなんですけど、一度読み始めたらもうやめられなくて一気読み。そして読み終えた瞬間、また3巻の最初に戻ってもう一度読み終えてしまいましたー。

健ちゃんとの決着があまりにあっさりついてしまったのには驚いたんですけど、やっぱり主役は新二ですね。1年の時は、無我夢中でなかなか思うように走ることができず、2年になってようやく陸上というものが分かり始め、2年の冬の地道なトレーニングで、3年になってようやく連や仙波、高梨たちと同じスタートラインに立った新二。そんな新二のしなやかな強さ、身体だけでなく精神的な強さが、佐藤多佳子さんの真っ直ぐな視線で描き出されていきます。1年の時に比べて、新二も連も他の面々も、本当に大きく成長したなあ、なんてしみじみと感慨にふけってしまうほど。それに試合の場面がそれほどなかった2巻に比べて、3巻は試合が中心。100mの10秒、そして4継の40秒といった、あっという間とも言える時間の描写を積み重ねることによって、読んでいるこちらまで緊張が高まって、心臓バクバク。(笑)
新二や連が時々言う、「かけっこ」という言葉がまたいいんですよね。そうそう、陸上だの4継だのマイルだの何だの言って、最終的には「かけっこ」なんです。もう本当に純粋に「走る」ことを楽しませてくれたし、「かけっこ」という言葉が、自分の知らない陸上の世界をすっかり身近に引き寄せてくれたようでした。いやあ、本当に良かったです。やっぱり佐藤多佳子さん、大好き~。オススメです!(講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「一瞬の風になれ1 イチニツイテ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ2 ヨウイ」佐藤多佳子
「一瞬の風になれ3 ドン」佐藤多佳子

+既読の佐藤多佳子作品の感想+
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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リアムが即位して1年。リアムらと共に東方の諸侯と隣国を周り、ようやく首都に戻って来たアルサは、早速アニタに求婚し、2人は領地クロンドルで結婚式を挙げることに。しかしクロンドルに戻ったアルサを待ち構えていたのは、邪悪な魔道師マーマンダマスの放った刺客。アルサとは馴染みのスリ、ジミー・ザ・ハンドがそれに気付き注進、厳重な警戒態勢の中で挙式が行われます。しかし既に宮殿に入り込んでいた刺客は、挙式の最中にアルサに向かって毒矢を放ち、それは花嫁のアニタに命中してしまうのです。

「魔術師の帝国」(感想)に続く、リフトウォー・サーガシリーズの第2弾。
前作はパグの成長物語がメインでしたが、今回はクロンドル公となったアルサが中心。頭は切れるけれども、少し扱いにくいと考えられている王子なんですが、1作目で一番気に入っていた人物なので、私にとっては嬉しい展開。
でも、話としてはまあ面白かったんですけど、これはどうなんだろう...。今回アルサの命が狙われたのは、魔道師マーマンダマスが、西部の支配者が死ぬ時に自分の権力が蘇るという予言を信じて、アルサのことを「西部の支配者」とみなしたからなんですが... なんで「西部の支配者」がアルサなわけ? その辺りの根拠が薄いというか突拍子なく感じられてしまったし、そういう悪の存在にしても、不気味ではあるんですけど、存在感がどこか薄いんですよね。それに、登場人物たち自身もそうだったと思うんですけど、どうしてもアニタ姫のための毒消し探しの旅と、アルサの命を狙う動きが別々の出来事のような印象。あと、巻頭に相変わらずケレワン地図を載せてるのは、ネタバレのような気がする...。(でも魔術に関しては、相変わらず面白い♪)
この作品は1作目の「魔術師の帝国」みたいに一話完結ではなくて、3部作最終の「セサノンの暗黒」へと繋がっていくんですが、そちらは未入手。読むのはちょっと先のことになりそうです。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のレイモンド・E・フィースト作品の感想+
「魔術師の帝国」上下 レイモンド・E・フィースト
「シルバーソーン」上下 レイモンド・E・フィースト

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徹底した人間嫌いの主人、エムズ卿には身寄りがないことから、いつか自分たちが遺産を相続をする可能性があるのではないかと淡い期待を抱き始めたデーヴィス夫婦。しかしエムズ卿の動物への偏愛ぶりを見ているうちに、もしや動物に全財産を遺すつもりなのではないかと不安になり、デーヴィス夫婦は屋敷にいる動物を1匹ずつ始末し始めます。そしてエムズ卿の死後。エムズ卿は、動物たちが生きている限りデーヴィス夫婦が屋敷に住むことを認めると遺書に書き残していたことが明らかになり、デーヴィス夫婦は唯一残った半シェパード犬の世話中心の生活を送るようになるのですが...。

いやー、ハヤカワ文庫FTも結構読みましたが、その中でもダントツで妙な話でした...。ファンタジーらしくない話はこれ以外にも時々ありますけど、なぜこの話がこのラインナップに入ってるのか理解できないぐらい。
原題は「Chog」で、これは「child」と「dog」の造語、文字通り犬児のことなんです。それも普通の犬の子じゃなくて、人間と犬の間にできた子。でもだからといって、そういう場面が赤裸々に描かれてるわけではなくて、かなり後になってから、そうだったんだということが分かる程度の婉曲な表現。直接的に書かれるというのも考えてしまうけど、ここまで婉曲に書かれてるというのも、実際起きたこととのギャップが激しすぎて何とも言えません...。こういうのをブラックユーモアって言うんでしょうか。読んでるだけで気が滅入りそうです。でも決してつまらないわけではなくて、逆に一旦読み始めたら、その展開からは目が離せないんですよね。

クエンティン・クリスプって、私は全然知らなかったんですけど、同性愛カミングアウトの先駆者としても有名な人なんだそうです。バージニア・ウルフ原作の映画化作品「オルランド」とか、イーサン・ホーク監督の「チェルシー・ホテル」、スティングの「イングリッシュマン・イン・ザ・ニューヨーク」のビデオクリップにも出演してるとか。いや、そういった部分は特に関係ないんですが...^^;(ハヤカワ文庫FT)

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1年が終わり、新しい年が始まる夏至の日は、少年たちが1つ歳を取る日でもあり、14歳になった少年たちが大人への第一歩を踏み出す徒弟選びの日でもありました。クライディーのボリク公爵のお城に住む孤児・パグや、パグと兄弟のように育ったトマスも14歳。トマスは武術長官のファノンに指名され、パグは魔法使いのクルガンの弟子となり、それぞれに修行に励むことになります。そして、それから1年半余りがたったある日のこと、トマスとパグは難破船と異国人を見つけます。それは異次元世界・ケレワンのツラニ帝国から、この世界を侵略しようとやって来た人間だったのです。

リフトウォー・サーガシリーズの第1弾。物語は、2つの世界が舞台となっています。1つはパグやトマスが住んでいるミドケニア。そしてもう1つは、侵略者たちが住むツラニ帝国のあるケレワン。2つの世界の行き来は、空間に作られた「裂け目(リフト)」から。

まず感じたのは、「指輪物語」の影響の大きさ。森に住む妖精はエルフそっくりですし、小人もドワーフそのもの。ゴブリンやトロルや竜もいます。力の指輪的な物も存在しますし、その持ち主だった邪悪な存在や、いつから生き続けているのか分からない謎の多い魔法使いも登場。正直、あまりオリジナリティは感じられませんでした。
ただ、「指輪物語」と違うのは、舞台がミドケニアとケレワンという異次元同士の2つの世界ということ。そしていいなと思ったのは、ミドケニアとケレワンがそれぞれに独自の文明を持って発展していて、特に能力差があるわけではないということ。言ってみれば、ミドケニアが中世ヨーロッパ、ケレワンが中国みたいな感じですね。(実際にはちょっと違いますが) どちらが劣ってるとか野蛮人だとか、そういうのではないんです。しかもどちらも普通に人間。どちらにも悪人もいれば善人もいて、それぞれに事情もあって... と書いてると、本当に2つの異次元の世界という設定にする必要があったのか? なーんて思えてきたりもするんですけど(笑)、2つの世界の魔法のあり方なんかはまるで違うので、その辺りも面白かったです。というか、ミドケニアだけで話が進んでた時はそれほどでもなかったんですが、ケレワンの世界が描かれ始めてから俄然面白くなりました。やっぱり異世界ファンタジーは、その世界にどれだけ厚みと奥行きを持たせられるかというのが重要ポイントですね。(ハヤカワ文庫FT)


+既読のレイモンド・E・フィースト作品の感想+
「魔術師の帝国」上下 レイモンド・E・フィースト
「シルバーソーン」上下 レイモンド・E・フィースト

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