Catégories:“2007年”

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皇帝一家がファルコへの大事な約束を反故にしたおかげで、ヘレナは激怒。皇帝の仕事は金輪際受けないようにと、ファルコに厳命。そんな時、密偵頭のアナクリテスが持ってきた仕事は、最近ローマ帝国によって鎮圧されたばかりのナバテアでの情報収集の仕事でした。そして丁度その頃、蛇使いのタレイアからも、男と一緒に中東に逃げた水圧オルガン弾きの娘をローマに連れ戻すようにとの依頼があり、ヘレナとファルコは、結局ナバテアへと向かうことに。しかしナバテアの拠点ペトラの町に到着した途端、2人は殺人事件の被害者を発見。監視人付きでペトラを追放されてしまい... という密偵ファルコシリーズ6作目「砂漠の守護神」と、7作目の「新たな旅立ち」。

「砂漠の守護神」は、全編通して旅先での話。ひょんなことから、被害者が旅芸人一座の台本作家だったのを知ったファルコは、その後釜として旅芸人一座に加わって、町から町へと回ることになります。ヘレナとファルコは旅芸人一座に加わった時から、時間は内部の人間の犯行だと見て犯人探しを始めるし、実際、事件は1つでは終わらないので、今回はミステリ風味が強いです。でもどこが面白かったといえば、ミステリ部分そのものよりも、旅芸人一座の生活ぶりとか、その旅の様子だなあ。主な舞台となるのはローマ領シリアの「十の町(デカポリス)」なんですが、それぞれの町の描写もすごく詳しいんですよね。...でもヘレナやファルコを見てると、中東に行くのもブリタニアやゲルマニアに行くのとそれほど変わらないように見えるんですが、この時代の旅って実際どうだったんだろう? 旅そのものは大変でも、中東って今の時代よりも近い存在だったのかしら。少なくとも今の時代だと、シリアなんて、おいそれと気軽に旅行に行けるような場所じゃないですよね。なので、そういう意味でも楽しかったです。
そして「新たな旅立ち」は、打って変わってローマでの話。題名からすると、まるでファルコとヘレナに新しい展開があったように思えてしまうんですけど、違いました。(笑) 旅立つのは、死罪を言い渡された大犯罪人。ローマ時代、死罪を宣告された犯罪者には、旅の用意をして家族に別れを告げ、逃げ出す権利が認められてたんですって。死罪を言い渡されるほどの犯罪者なのに?! とびっくりなんですが、その方が国家にとって安上がりで助かったらしく... そんなことでいいのかなあ。今回も、その大犯罪者が出国するところをファルコもその目でしっかり確かめるんですけど、案の定、それだけでは済みませんでしたよー。江戸時代の所払いの方が、しっかり追放されそうです。ローマには関所なんてないですしね。(笑)(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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北方の国に来ている「私」は、ここ数日間、家の中にあったアルコールとオイル・サーディンだけで生きのびている状態。そんなある日、窓のカーテンの隙間から外を見た「私」は、門柱のところに立ってじっと庭を見つめている女の子に気づきます。ふらふらと外に出る「私」。そんな「私」に、女の子は「この庭に、ミンクがいる気がしてしようがないの」と言うのですが... という「この庭に」と、その前日譚とも言える「ミケルの庭」。

大好きだったはずなのに、ちょっぴり気持ちが離れ気味? 去年の暮れに新刊が出てたのに、読むのが今頃になってしまいました。「この庭に」は、文庫版「りかさん」に収録されている「ミケルの庭」の続編とのことなので、せっかくだし、「ミケルの庭」も再読です。「ミケルの庭」のミケルとは、「からくりからくさ」に登場するマーガレットの産んだ赤ちゃん。ほとんど育児ノイローゼになりかけていたマーガレットが、ミケルが1歳になって乳離れしたのを機に、同居している3人にミケルを任せて中国に短期留学に行っている間の物語。
続編とはされていても、「この庭に」は「ミケルの庭」の数年後の物語だし、共通する登場人物がミケルだというだけで、物語としては特に繋がってないんですね。「この庭に」は、物語としての展開も特になくて、ほとんどアル中状態の「私」が見る妄想のような情景が移り変わっていくだけ。現実世界と異世界の境目がすっかり薄れてしまって、どこにあるのか分からなくなってしまったような感じです。それにしても精神的にかなり荒んで、殻に閉じこもってしまっているミケルの姿が痛々しい...。これはもしかして、胎内にいた時のマーガレットの不安定さを受け継いでしまったのかしら。なんて思うと、なんだか怖くなってくるし、これから本当に真っ当な人生が送れるのか、本当に心配になってしまいます。
挿絵が多いせいか、本は児童書のところに置かれてるんですけど、これは実は結構激しい作品ですね。須藤由希子さんのモノトーンの挿絵の中に、血の赤が鮮烈でどっきり。(理論社)


+既読の梨木香歩作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「ぐるりのこと」の感想)
「沼地のある森を抜けて」梨木香歩
「水辺にて」梨木香歩
「ミケルの庭」「この庭に 黒いミンクの話」梨木香歩
Livreに、これ以前の全作品の感想があります。

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戯曲「ロボット」によって一躍国際的名声を得たカレル・チャペックは、1924年にロンドンで開かれた国際ペンクラブ大会に招待され、その時ロンドン郊外のウェンブリーで開催中だった大英博覧会の取材も兼ねて、2ヶ月間かけてイギリス国内、スコットランドやアイルランドまでまわったのだそう。そしてスペイン旅行は、1929年の時。それぞれの旅行で見た多種多様な風物を、チャペック自身の絵入りで紹介した本です。

チャペックがこの旅行記を書いてから、1世紀弱が経とうとしてるんですけど、全然古さを感じさせないのがすごいです。特にイギリス。もしかしたら、当時から全然変わってないんじゃないかしら、なんて思ってしまうほど。
「あらゆる民族的慣習に特別な共感を持」ち、「あらゆる民族的特性を、この世界を極度に豊かにするものと考え」ているチャペックは、自国の習慣をしっかり維持しているイギリス人に、とても好感を持っていたみたい。イギリスの最大の長所は、その島国性にあるとして、イギリスの長所も短所も公平に書いています。この辺りを読んでると、同じ島国だけに、もしチャペックが日本を訪れていたらどうだったんだろう、なんて考えちゃいます。「腰をすえたところにはどこにでも、ブリテン島が生じる」とまで言われるイギリス人ほど、いい意味でも悪い意味でも頑固ではない日本人。きっと自国の伝統をあまり大切にしていない部分が目についてしまうでしょうけど、イギリス人の特性として書かれていることで日本人にも当てはまる部分は、結構あるんですよね。思わず、わが身を振り返りたくなってしまいます。
そして印象に残ったのは、まえがき。イギリスで沢山の観光名所や歴史的な記念碑を見て回っても、チャペックにとってのイギリスは、列車の中から一瞬見えた一軒の赤い小さな家の情景だったんですって。その家の片側では、老紳士が生垣を刈り込んで、反対側では、少女が自転車で走っていて...。同じように、チャペックにとってのドイツは、バイエルン州で見かけた、人気のない古い居酒屋の情景、フランスは、パリの外れの居酒屋で青いスモックを着た農夫がワインを飲んでる情景 ...ああ、なんだかとっても分かる気がします。

「スペイン旅行記」は光と影の国、情熱の国スペインの魅力がたっぷり詰まった1冊。スペインらしい闘牛とかフラメンコ、そしてスペイン絵画の巨匠についてもたっぷりと書かれているんですが、私が一番惹かれたのは、セビーリャの女性の美しさを褒め称えた章。ここで描かれてるセビーリャ女性たちの魅力的なことったら! 読んでいるとものすごく羨ましくなってしまうし、ものすごーくセビーリャに行ってみたくなります。王冠か光背のように髪を飾る螺鈿細工の竪櫛、その上からかぶる黒や白のレース製のマンティーリャ、重い房飾りのついた大きな薔薇の刺繍のあるショール、欲ーしーいー。(それがあったからって、セビーリャ女性になれるわけではないのだけど)

これともう1冊チェコスロヴァキアの本があって、こちらも合わせて読もうと思ったんですが、私、チェコスロヴァキアの地名を全然知らないんですよね。あまりに聞いたことのない地名ばかりなので、読んでてもアタマの上を素通りしてしまう... ので、もうしばらく置いておいて、ちょっと熟成させてみようと思います。(ちくま文庫)


+既読のカレル・チャペック作品の感想+
「ダーシェンカ」「チャペックの犬と猫のお話」「園芸家12ヶ月」カレル・チャペック
「イギリスだより」「スペイン旅行記」カレル・チャペック
「ロボット」チャペック
「チェコスロヴァキアめぐり」カレル・チャペック
「北欧の旅」カレル・チャペック

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オリュアルとレディヴァルとイストラは、シュニット川の左岸に都を持つグローム国の王の3人の王女。オリュアルは醜く、それとは対照的に、イストラは生まれた時からまるで女神のような美しさ。オリュアルはイストラをこよなく愛し、彼女の世話に心血を注ぎます。しかしそのあまりの美しさが災いして、イストラは灰色の山の神に献げられることになるのです。オリュアルはその晩年、灰色の山の神を糾弾するために、巻物にその時の出来事を逐一書き記し始めます。

アプレイウスの「黄金のろば」(感想)の中のキューピッドとプシュケーのエピソードを使って、C.S.ルイスが描き出した物語。このエピソードは、エロール・ル・カインの絵本「キューピッドとプシケー」(記事)でも独立して取り上げられていたし、ギリシャ神話の本には大抵入ってるのではないかと思います。プシュケーのあまりの美しさに人々がアフロディーテのことをないがしろにするようになって、女神を怒らせてしまうという物語。この物語の舞台となるグロームの国の人々はアフロディーテに当たるウンギットという神を信仰していて、その息子に当たる灰色の山の神がキューピッド。そして王家の末娘イストラの名をギリシャ語にするとプシュケーです。

「黄金のろば」の中で語られていたのは、妹プシュケーの良い暮らしぶりに嫉妬した姉たちが、プシュケーにランプで夫の顔を見るようにそそのかしたというもの。この物語でも、実際に途中でそういう神話が語られます。でもそれは、プシュケーの姉・オリュアルの目から見た真実とはまるで違うものなんですね。オリュアルが探し当てたプシュケーは壮麗な宮殿や贅沢な調度品、美しい衣装の話をするけれど、オリュアルにはも何も見えず、そこには露天で自分の手に湧き水を汲んでオリュアルに飲ませる、ボロを着たプシュケーがいるだけ。...でもオリュアルにも本当は分かっていたんですね、きっと。オリュアル自身が信じたくなかっただけ。結局のところ、オリュアルは嫉妬していただけなんでしょう。でもそれはアプレイウスの物語の中にあるような俗物的な嫉妬ではなく、愛するプシュケーを神に取られたくないという思い。
この作品ですごいと思ったのは、神の姿。今まで神話やその類の物語を沢山読んできましたけど、これほど神々しい神は初めてでした。本来、神々とはこうあるべきと思える姿がこの作品の中にはあります。素晴らしい! オリュアルはプシュケーを心の底から愛していたけれど、それは所詮人間的な愛情だったんですねえ。もうレベルが違いすぎるというか何というか。
そして、女性が深く描きこまれている作品でもありました。晩年には結婚したけど、ルイスはずっと女嫌いとして独身生活を送っていたと聞いた覚えがあるのだけど... そうではなかったのかしら? 先日「サルカンドラ」を読んだ時も感じたけど、この人、本当は女性をとてもよく知ってたんですね。

私が読んだのは、みすず書房から出ている「愛はあまりにも若く」なんですが、平凡社ライブラリーで改題改訳版が出てました。「愛はあまりにも若く」という題名、好きなんだけどな... でも新しい題の方が原題に忠実です。(みすず書房)


+既読のC.S.ルイス作品の感想+
「マラカンドラ」「ペレランドラ」C.S.ルイス
「サルカンドラ」C.S.ルイス
「顔を持つまで 王女プシケーと姉オリュアルの愛の神話」C.S.ルイス
「悪魔の手紙」C.S.ルイス
「喜びのおとずれ C.S.ルイス自叙伝」C.S.ルイス
「カスピアン王子のつのぶえ」他 C.S.ルイス

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やまんばの母と人間の父の間に生まれた由布も13歳。以前から山のふもとの風早の街に行きたくて堪らなかった由布は、母が7年に1度の山の神の寄り合いで富士山に行っている間に、姉を残して1人山を下りてしまいます。街には父がいるはずなのです。10年前に街に行ったきり戻らなかった父。母は、父が山の生活が嫌になってしまって自分たちを見捨てたのだと言うけれど、由布にはどうしてもそうは思えず、帰りたいのに何か理由があって帰れないのではないかと考えていました... という「やまんば娘、街へゆく」と、捨てられた猫の赤ちゃんを拾い、1人世話をしようとする少女の物語「七日間のスノウ」。

「七日間のスノウ」しか画像が出ないですね。これは、正真正銘の児童書。風早街の話だから読んだんですけど、字が大きくてちょっとしんどかったし、お話そのものも痛すぎました...。「百年めの秘密」に登場したのと多分同じお屋敷も出てくるので、そういう意味では読んで良かったんですけどね。
それよりも「やまんば娘、街へゆく」の方が、ずっと私好み。これは副題が「由布の海馬亭通信」。古い石畳の道に面して建っている灰色の煉瓦造りの海馬亭は、今でこそアパートとして使われてるんですけど、元々はホテルで、竜の落とし子の形の錆びた金の看板にはしゃれた文字で「海馬亭」とあるんです。それを、「ナルニアのあの街灯のように」1つぽつんと立った街灯が見守っていて...。風早の街に、また1つ素敵な場所が増えてしまいましたー。やまんば娘の由布は可愛いし、お姉さんやお母さんも見たくなってしまったわ。アパートの住人たちもそれぞれに個性的で暖かくて、海馬亭がとても素敵な空間になってます。(理論社・佼成出版社)


+シリーズ既刊の感想+
「ささやかな魔法の物語 カフェ・かもめ亭」村山早紀
「人魚亭夢物語」村山早紀
「コンビニたそがれ堂」村山早紀
「百年めの秘密」村山早紀
「やまんば娘、街へゆく」「七日間のスノウ」村山早紀

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虎猫のチビが生まれたのは、いい年して未だ独身のあくび先生の家の物置。あくび先生が子供の頃に飼っていた猫によく似ていたことから、チビはそのままあくび先生の家に居つくことになります。美味しいものとお酒に目がなく、食事の誘いを断ったことがないというあくび先生。連れて行ってもらえない時は、「猫爾薀(ねこにおん)」という技を使ってあくび先生を追いかけるチビの目を通してみた美食の人々の物語。

どうやら「食と酒」がライフワーク化している印象の南條竹則さん、この作品は「満漢全席」系の、作者の姿がそのまま出ているようなグルメ小説。実際に、登場人物が重なっているようですね。そんな物語が「我輩は猫である」的に猫のチビの視点から描かれています。
「満漢全席」は、食という意味ではものすごく美味しそう、でも読み物としての面白さは...(えへへ) だったんですよね。今回は、料理も話もそこそこ、だったかな。あ、でも1つものすごく美味しそうな料理がありました。それは「仙人雲遊」というお料理。名前からしてそそるんですが(笑)、これは「大皿の上に、雪のように白い粒々と、水飴みたいな色をした形さだかならぬものとが茫漠たる形姿を描いている。その上にすきとおったゼリー状の膜がかかって、あたかも雲の上から不思議な世界を見下ろしているみたい」な料理。透明な膜は熱いタピオカ、白い粒々は烏賊、飴色のものは白キクラゲなのだそうです。これは食べてみたーい。
基本的に食べたり飲んだりの話ばかりで、ストーリーの展開としては特にないし、せっかくの「猫爾薀」もイマヒトツ生かされてないし、小説としては「酒仙」や「遊仙譜」の方が断然好き!なんですが、あくび先生や同僚の大学の先生たち、出版関係者なんかが集まっての、友人知人の近況や旅行のエピソード、英国詩からいろは歌の解釈までの幅広い話題は結構楽しめました。「満漢全席」が実録小説だったことを考えると、こちらもきっとかなり実話に近いんでしょうね。あくび先生の同僚のオメガ先生がメザシ書房から本を1冊出すたびに豚の丸焼きパーティがあるというのも、果たして元になる実話があるのかな...? (文藝春秋)


+既読の南條竹則作品の感想+
「セレス」南條竹則
「りえちゃんとマーおじさん」南條竹則
「鬼仙」南條竹則
「あくび猫」南條竹則
「魔法探偵」南條竹則
Livreに「酒仙」「満漢全席」「遊仙譜」「ドリトル先生の英国」の感想があります)

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皇帝が次に自分を行かせたいと思っているのはゲルマニア... そう耳にしたファルコは、皇帝に近づくのをやめて、庶民相手の仕事探しに励むことに。しかしファルコの留守中に訪ねて来たティトゥス・カエサルがヘレナと楽しそうに話し込んでいたのがきっかけで、ファルコとヘレナは気まずい雰囲気になってしまい、ファルコが意地を張っているうちに、ヘレナは家を出てしまいます。ローマを出たというヘレナの行方は誰にも分からず、ヘレナがいないローマに未練はないファルコは皇帝のゲルマニア行きの仕事を受けることに... という密偵ファルコシリーズ4作目「鋼鉄の軍神」と、5作目「海神の黄金」。

いやあ、今回も面白かった。「鋼鉄の軍神」は、やっぱりゲルマニアに着いてからでしょうね。ここでファルコは、ヘレナの弟で、ローマ執政武官をしているカミルス・ユスティヌスに会うことになるんですが、この弟くんが良かった! 正統な貴族の子弟らしい優雅さと冷静沈着な態度を見せながら、意外と行動力もあったりして(もちろん、頭もいいのです)、これはぜひとも再登場して欲しい人物です。(その時は、女祭司もぜひご一緒に) ファルコがユスティヌスや百人隊長のヘルウェティウス(彼もいいです)と一緒に、使えない新兵を従えて辺境の地を行軍する辺りも面白かったなあ。
「海神の黄金」の方は、今は亡きファルコのお兄さんの尻拭い。ファルコが身に覚えのない殺人容疑で追われたりして、結構大変な事態になります。小さな不審と小さな心の傷、そして小さな謎が集まってできたような話なんですけど、それらの1つ1つが氷解していくたびに家族の絆が少しずつ強まっていくようで、なかなかいい話でした。シリーズの最初の方ではあまり分からなかったけど、ファルコのお父さんもお母さんもいい味出してます。(ヘレナのお父さんも好き~)

ここまで、題名に「白銀」「青銅」「錆色」「鋼鉄」「黄金」と金属が使われてたんですけど、それもこの5巻で終わり、物語もとりあえず一段落みたいです。第一部終了? でもまだまだ解決してない部分が残ってるし、手元にもあと9冊あるし! 続きを読むのが楽しみです。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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