Catégories:“2007年”

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買ったばかりの椅子を壊したせいで、夏休みまでおこずかいナシとされてしまったジェスとフランク。どうしてもお金を稼がなければならない2人は「仕返し有限会社」を作ろうと考えます。最初の客となったのは、いつも手下を引き連れて暴れまわっている悪がきのバスター・ネル。ヴァーノン・ウィルキンズに歯を折られたことを根に持っており、ヴァーノンの歯を持ってきてくれたらフランクがバスターに借りている10ペンスをチャラにすると言うのですが... という「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」。
そしてもう1つはヴィクトリア女王の時代の物語。父親が小作農からすっかり金持ちになったせいで、村の子供たちとは縁を切って近くに住む名門コーシー家の子供たちとつきあうように言われて、すっかり不満のセシリアとアレックス。そんなある晩、霧の中から突然2人のいる台所に現れてたのは、1人の見知らぬ男。男は全身ずぶ濡れながらも、歴史の教科書から抜け出てきたような見事な中世の騎士姿。主君殺しの疑いをかけられて追放の身となった、元ゲルン伯爵、ロバート・ハウフォース卿と名乗るのですが... という「海駆ける騎士の伝説」。

日本で出版されたのは去年と最近なんですが、どちらもダイアナ・ウィン・ジョーンズの初期の作品。「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」は、児童書として初めて世に出た作品のようですし、「海駆ける騎士の伝説」はデビュー前に書かれたという作品。今のダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品の複雑さはあまり好きじゃないんですけど、比較的ストレートな初期の作品には結構好きなのがあったりするんですよね。
「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」は、構成こそ比較的あっさりながらも容赦ない悪意の話で、かなり最近の作風に近かったかな... まあ、こういうのもいいんですけど、私の好みとはちょっと違う感じ。でも「海駆ける騎士の伝説」は、好みのツボど真ん中でした! なんといっても、異世界の雰囲気が中世騎士伝説の世界だし(笑)、ロバートという騎士が最初に現れた時の挿絵が! まるで「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンなんですよぅ。(私の中では、本と映画でちょっぴりイメージが別物のアラゴルンなんですが、この場合は映画の方のイメージです) 干満の差がとても大きくて、干潮時には危険な流砂が現れるという湾は、異世界への入り口としてすごく相応しく感じられたし、河口近くにあるという城の廃墟が残っている岩だらけの島も物語の始まりに相応しい場所。まあ、言ってしまえば、ダイアナ・ウィン・ジョーンズが書く必要もない歴史ロマンスのような雰囲気なんですけど... でもすごく好き。この世界の話がもっともっと読みたいな。この作品、元々はこの場所を舞台にした6部作のうちの1つで、他の5作は「長ったらしくて、とりとめがなかったので」処分されてしまい、この「海駆ける騎士の伝説」だけが残ったようなんですね。やっぱりこれは、あとの5作の存在があるからこその世界観の深み。でも他の作品も読んでみたかった~。(早川書房・東京創元社)


+既読のダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品の感想+
「魔法使いハウルと火の悪魔」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「アブダラの空飛ぶ絨毯」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「デイルマーク王国史」1~4 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「わたしが幽霊だった時」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法使いはだれだ」「クリストファーの魔法の旅」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔女と暮らせば」「トニーノの歌う魔法」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法がいっぱい」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
留守中に読んだ本(18冊)(「マライアおばさん」「七人の魔法使い」「時の町の伝説」の感想)
「呪われた首環の物語」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「花の魔法、白のドラゴン」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「いたずらロバート」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バウンダーズ」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「星空から来た犬」「魔空の森ヘックスウッド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バビロンまでは何マイル」上下 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」「海駆ける騎士の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「うちの一階には鬼がいる!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法!魔法!魔法!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ぼくとルークの一週間と一日」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「牢の中の貴婦人」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法の館にやとわれて」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「キャットと魔法の卵」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
Livreに「ダークホルムの闇の君」「グリフィンの年」「九年目の魔法」の感想があります)

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ずっと旅から旅へという生活の中で絵を描いてきたのに、ある時、何のへんてつもない窓につかまってしまい、パリのアパルトマンにしばらく住むことになった「ぼく」。それはルリユールじいさんとの出会いでした... 「ぼく」から「Y」へのパリからの手紙。

以前、「ルリユールおじさん」「絵描き」(感想)を読んだ時に、これも読みたいと思っていたのです。でも題名と表紙から勝手にエッセイだと思い込んでいたら! これも物語だったんですねー。元は理論社のホームページに連載されていたエッセイを改稿、未公開スケッチを加えて構成し直したものだそうなので、もしかしたら元々の語り手は、「ぼく」ではなくて伊勢英子さんだったのかもしれないのだけど。

私が読んだ「ルリユールおじさん」と「絵描き」はそれぞれ独立したお話だったのだけど、これを読むと、1つに繋がった大きな物語だったんだなあって分かります。そしてやっぱり「絵描き」に登場しているのは、伊勢英子さんご本人だったのだなということも。前の2冊に比べると、もちろん絵は少ないのだけど、文字から伝わってくるものも大きいわけで。何度も読み返したくなってしまいます。

古いアパルトマンのルリユールおじさんの家の壁は、どれも天井まで本でいっぱいで!

何百冊あるかわからないけど、すべて革張りで深紅や紺や緑の表紙、金箔の背の文字 -- 気が遠くなりそうなほど美しい本棚だった。

やっぱり私は職人を目指すべきだったんだわ... 芸術家ではなくて、あくまでも職人。ああ、こんなところで何をやってるんだろう。(平凡社)


+既読の伊勢英子作品の感想+
「ルリユールおじさん」「絵描き」いせひでこ
「旅する絵描き パリからの手紙」伊勢英子
「グレイがまってるから」「気分はおすわりの日」伊勢英子
「マキちゃんの絵にっき」「ぶう」伊勢英子
「カザルスへの旅」伊勢英子
「はじまりの記憶」柳田邦男・伊勢英子
「1000の風 1000のチェロ」「雲のてんらん会」いせひでこ
「空のひきだし」いせひでこ
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ
「大きな木のような人」「ルリユールおじさん」いせひでこ
「にいさん」いせひでこ
「ざしき童子のはなし」「よだかの星」「風の又三郎」「水仙月の四日」宮沢賢治・伊勢英子

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オスマントルコ時代の著名な建築家・シナンは、1488年にトルコのカッパドキア地方の小さな村に生まれ、24歳の時にデヴシルメという少年徴集制度によってイスタンブールへ、オスマントルコを巨大な帝国としたスルタン、スレイマン大帝の下でなんと477もの建築作品を作ることになったという人物。キリスト教徒だったシナンが、信仰を変えてまでデヴシルメに志願したのは、イスタンブールに出て聖(アヤ)ソフィアをその眼で見てみたかったため。聖ソフィアはその当時でこそイスラムのジャーミー(モスク)となっていましたが、元は1千年前にキリスト教徒が建てた建物。村にいたキリスト教の神父から、聖ソフィアこそが人が造り出した最も神がよく見える場所だと聞いて以来、シナンはそれを自分の眼で確かめたいと思っていたのです。

トルコで最も偉大な建築家と呼ばれるシナンの一生を追った小説。元々トルコにはすごーく興味があるし、この小説もとても面白かったのだけれども... うーん、夢枕獏さんの小説を書くときの癖のようなものが気になった作品でもあったかな。それは小説を通して作者の存在が強く感じられてしまうということ。例えば「陰陽師」や「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」のような、日本もしくはそれに近い環境の小説の中では、それもまたいいと思うんですけど、こちらは舞台がオスマントルコですからねえ。なんだか舞台裏を見せられているようだったし、必要以上に作り物の部分を意識させられてしまって、いつもみたいにすんなり物語の中に入り込めなかったかな... それがちょっと残念でした。それに、歴史小説というのは作者がいかに人物を作り上げるかにかかっていると思っているんですけど、その辺りでも掘り下げ方が少し物足りなかったです。シナンとハサン、ザーティといった人物との友情はあるんですけど、例えばシナンの恋愛観なんかについては全く触れられていないですしね。スレイマンとロクセラーヌ、そしてイブラヒムやハサンの辺りは面白かっただけに、肝心のシナンについてももっと作りこんで欲しかったところ。...とは言っても、やっぱり読みやすかったし面白かったんですけどね。期待しすぎちゃったかな。あ、あとシナンの持ってる神の概念自体には私とかなり近いものを感じたんですが、聖ソフィアの不完全さとサン・マルコ寺院における神の不在についてはすごく意表を突かれて面白かったです。それに最後は感動的。そうそう、こういう物語の色気(?)みたいなのが欲しいんですよ~。(中公文庫)


+既読の夢枕獏作品の感想+
「陰陽師 龍笛の巻」夢枕獏
「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」夢枕獏
「陰陽師 鳳凰ノ巻」夢枕獏
「『陰陽師』読本 平安の闇に、ようこそ」夢枕獏
「シナン」上下 夢枕獏
(Livreに「猫弾きのオルオラネ」「羊の宇宙」「大帝の剣」「陰陽師-付喪神ノ巻」「陰陽師-生成姫」「陰陽師-鳳凰の巻」の感想があります)

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野外音楽堂で夜空のコンサートが大成功に終わった夜、トランペット吹きのドンさんが出会ったのは不思議な男性。落し物でも探しているように、身体をかがめて地面をきょろきょろ見回しながら歩いているのです。その男性が拾っていたのは、ぴかぴかと光る小さな物。それは素晴らしい音楽が空気をぴりぴり震わせると、ぱらぱらと落ちてくるという星くずでした... という表題作「星とトランペット」他、全11編の短編集。

竹下文子さんの初めての短編集。ほとんどの作品が10代の頃に書かれたのだそうです。トランペットを吹くとパラパラと星くずの降ってくる夜空、思わず寝転んでみたくなるような、木漏れ日が差し込む林の中の小さな空き地、おだやかに打ち寄せる波にすべるように進んでくる船、麦藁帽子をかぶった途端に見えてくる懐かしい景色、フルート吹きを探しながらるるこが歩き回る様々な場所。どれも目の前に情景が広がるようですし、匂いや感触、そして吹いてくる風も感じられるよう。牧野鈴子さんのイラストもとてもよく似合ってて素敵~。
私が特に好きなのは、なぜか動物ばかりが本を買いに来る「タンポポ書店のお客さま」、トラックの運転手らしいヤスさんとキャベツを手にしたルリコ、そして未亡人のアイダ夫人、店主の4つの話が1つに溶け合う「いつもの店」。あと、「野のピアノ」に出てくる自動車事故で小指をなくしたピアニストの言葉も素敵でした。

ぼくにはまだ九本の指がある。この指で、やさしいやさしい曲をひこう。十本の指先に心を集めるのはむずかしかった。だけど、九本なら、すこしやさしいかもしれない。一本ぶんだけ、やさしいかもしれない。

上の画像は復刊された単行本。私が読んだのはこれと同じく牧野鈴子さんの表紙なんですが、講談社文庫版です。(講談社文庫)


+既読の竹下文子作品の感想+
「風町通信」竹下文子
「木苺通信」竹下文子
「星とトランペット」竹下文子
「窓のそばで」「星占師のいた街」竹下文子
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ

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前身である探偵作家クラブの時代を含めて、60周年を迎えた日本推理作家協会の機関誌に残っている、かつて大作家たちが集まって行っていた様々な試みの記録。例えば江戸川乱歩と大下宇陀児の将棋対決や、甲賀流忍者を招いての忍術の講演並びに実演。北村薫氏がテーマを選んでそれらの試みを振り返りつつ、その件について詳しいゲストを呼んで鼎談を行うという企画の本です。

企画そのものも面白いし、その都度呼ばれるミステリ作家たちも豪華な顔ぶれ。しかも各界のプロと呼ばれる人間も招いての対談なので、素人だけでは分からない部分に触れられていたのが面白かったです~。例えば、将棋のプロが江戸川乱歩の棋譜を見れば、その性格がある程度想像できるといったような部分ですね。今の時代にも本物の忍者っているんだ!って、そんな初心者レベルでもびっくりさせられたし。(笑)
個人的にとても共感したのは、活字や朗読の「そのもののイメージを目の前に出されるのと違う」、受け取り手の想像力がつくり上げる部分が大きいという面こそが物語を豊かにしているという話。これは「声」の章での宮部さんとの対談の中で出てきた話なんですが、「落語」の章の、池波正太郎作品は一見するとスカスカなのに、会話と会話の間の情報を自分で補って刺激されるから、短編を読んでも長編を読んだような充実感がある、という話に繋がってきました。ほんと、そうなんですよね。
それから面白かったのは、落語とミステリは本来相反するものだという話。落語は観客が先に知っているからこそ笑えるものだから、観客が犯人を知らないと真剣に聞いてしまって笑える状態にはないわけで... だからミステリ的な新作は難しいのだそうです。全然考えたことなかったけど、そう言われてみると確かにそうだなあ。なるほどぉ。
作る側も楽しかっただろうな、なんて思っちゃう色々と凝った作りの本なんですけど、さらに付録としてCDが1枚ついてます。収められているのは、横溝正史原作の文士劇「びっくり箱殺人事件」のラジオ放送と、江戸川乱歩インタビュー、江戸川乱歩の歌う「城ヶ島の雨」、甲賀三郎自作朗読「荒野」の4つ。こんな貴重な音源が江戸川乱歩邸に残っていたとは! そして、こうしてCDで聞けるのがすごいです。(角川書店)


+既読の北村薫作品の感想+
「北村薫のミステリびっくり箱」北村薫
Livreに、これ以前のいくつかの作品の感想があります)

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蔵書票の本2冊。「蔵書票の美」の方は、蔵書票の由来に始まり、日本と西洋の違い、その歴史やデザインの変遷などを分かりやすく説明している本。実際の蔵書票の画像もたくさん収録されているし、巻末にはラテン語の金言・警句集なんかも入ってます。「書物愛 蔵書票の世界」の方にも、蔵書票の歴史なんかは書かれているのだけど、日本書評協会の本だけあって、日本人蔵書票作家の紹介にかなりのページが割かれていました。あと具体的な制作技法も。

蔵書票とは所蔵者を示す小票のこと。大抵は本の見返しなんかに貼って使います。日本でいえば、蔵書印みたいなものですね。日本のような和紙の柔らかい本には蔵書印を押すのが適していたんですけど、西洋の厚手の固い表紙をつけた本には蔵書票を貼る方が適していて、それで発展したのだそうです。本がとても高価だった時代には、必要に迫られて... だったんでしょうけど、この蔵書票のデザインが様々で、しかもとても素敵なので、今や本の所蔵を示すという本来の目的のためだけでなく、蔵書票を色々集めたいというコレクターを生んでるんですね~。あ、蔵書票に興味がある方には、長年仲良くして頂いてるいまむる嬢主催の蔵書票部というのもあります。→コチラ

子供の頃から蔵書印や蔵書票に憧れていた私。以前、高宮利行さんの「西洋書物学事始め」(感想)を読んだ時に蔵書票の章がとても面白くて、しばらく忘れていたその思いがふつふつと再燃してきてたんですよね。この本を読んでたらますますうずうずしてきて、画像ソフトでいくつか作ってみてしまいましたよー。本当は銅版画とか木版画とかで作った方が遥かに味が出るんでしょうけど、まあとりあえず。(右の画像です... クリックすると、ポップアップ画面で実物大となります)

そして今ものすごーく見て見たいのは、左の本。「黄金期の西洋蔵書票 Golden Age Exlibris ......Graphics of the Art Nouveau and Art Deco periods」です。アールヌーボーやアールデコは大好き。その時代の蔵書票をカラーで再現したという本は、いかにも素敵そうです。私好みかも。でもカラーだけあって、お値段は6300円! さすがに気楽にぽちっとしてしまうわけにはいきません~。(小学館ライブラリー・平凡社新書)

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ブリタニアのロンディウム(現ロンドン)にいたファルコたちが巻き込まれたのは、トギドゥプヌス王の元側近が、井戸の中に頭から突っ込まれて死んでいたという事件。ガリアに追放されたはずの彼が、なぜ今ロンディウムに... という「娘に語る神話」と、半年振りにローマに戻ってきたファルコがたまたま受けた仕事から、法廷での争いに巻き込まれていくことになる「一人きりの法廷」。

久しぶりの密偵ファルコシリーズ。今回読んだこの2冊はシリーズの14冊目と15冊目です。何かの事件にファルコが巻き込まれてそれを解決しなくちゃいけなくなるのと、そこにファルコ周辺の人間ドラマが絡んでくる、というパターンは変わらないんですが、やっぱりこのシリーズは面白いです~。特に15冊目の法廷劇! ローマ時代の法廷について分かるのも面白いし、法廷での証人や弁護人の陳述が普段とはまた違う文章で書かれているので、それがアクセントになって面白かったし。依頼人やその一族があんまり秘密だらけなので、読むのはちょっとしんどかったですけどね。事件が一件落着しそうになっていても、まだこれだけページ残ってるからもう一波乱あるんだろうなあ... なんて思ってしまうようなところもあったし。
今回面白かったのは、「娘に語る神話」で登場した拷問官と、「一人きりの法廷」ではヘレナの弟のアエリアヌス。これまで弟のユスティヌスに比べて、何かと分が悪い印象だったアエリアヌスなんですが、これでだんだん道が開けてきそうです。本当に法律の専門家になっちゃえばいいのになあ。向いてると思うなあ。(光文社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「密偵ファルコ 白銀の誓い」「密偵ファルコ 青銅の翳り」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 錆色の女神」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 鋼鉄の軍神」「密偵ファルコ 海神の黄金」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 砂漠の守護神」「密偵ファルコ 新たな旅立ち」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ オリーブの真実」「密偵ファルコ 水路の連続殺人」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 獅子の目覚め」「密偵ファルコ 聖なる灯を守れ」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩」「密偵ファルコ 疑惑の王宮建設」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 娘に語る神話」「密偵ファルコ 一人きりの法廷」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 地中海の海賊」リンゼイ・デイヴィス
「密偵ファルコ 最後の神託」リンゼイ・デイヴィス

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