Catégories:“2007年”

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シャーマン・ポッツは、カスピドールのドラゴンたちと1ヶ月ぶっつづけの戦いを終えて、今はマクガルヴィーランドで休息中。普段のシャーマンは吃音と赤面症に悩む思春期真っ只中の16歳の少年なのですが、カスピドールでのシャーマンはサー・シャーム、ハイテク軽量タイプの鎧姿でドラゴンと戦う戦士。しかしこれはミスター・マクガルヴィーの図書室の本の中の出来事。1年以上前に、ヒステリーの母親と手のかかる妹のことを考えて重いため息を23回ついた時、転相(フェイジング)を発見し、それ以来ため息1つで転相し様々な世界で冒険を続けているのです。

シャーマン・ポッツとしての現実の世界と同時進行で 、いくつもの世界の物語が繰り広げられていきます。まず図書室のあるマクガルヴィー・ランド、ここには魔法の図書室があり、様々な冒険の元となっています。そして冒険をする場となるのは、ドラゴンの脅威にさらされ続けているカスピドール(サー・シャーム)、超能力悪鬼と戦う近未来のニューヨーク(シャーム巡査部長)、SFのスペースコロニーの世界(シャーム司令官)など、様々な世界。その都度、シャーマンの一人称も「ぼく」「わたし」「おれ」などに変わります。シャーマンはそれぞれの世界で尊敬されるヒーローを演じてるんですが、ある日「情欲の子猫たち」というエロ本を図書室に持ち込んでから、その世界がゆがみ始めるんですね。
でも、これだけなら楽しそうに思えるかもしれないんですけど... これがなかなかの難物でした。設定の説明がないまま世界が次から次へと変わって分かりにくかったし、根本にあるのがシャーマンの青臭~い青春物語。吃音と赤面に悩みながらも、徐々に成長していく主人公... と言えば聞こえがいいんですけど、この部分があまり面白くなくて、ただの現実逃避にしか思えませんでした。 (ハヤカワ文庫FT)

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5歳の一太郎は、身体が弱くて熱を出してばかり。両親は店の切り盛りで忙しく、お店にいる小僧さんたちも働くのに忙しく、毎日一太郎は離れの部屋で一人ぼっちで寝ています。そんなある日、ふと天井を見た一太郎が見つけたのは、天井の隅にいる小鬼たち。小鬼たちは、じきに沢山出てきて、楽しそうにぎゅいぎゅいと騒ぎ始めます。思わず一緒に遊ぼうと話しかける一太郎。そして一太郎は小鬼たちと鬼ごっこを始めることに。

若だんなのシリーズの絵本。一太郎と鳴家の出会いの物語。
本編と同じく柴田ゆうさんの絵なのでイメージもぴったりだし、もうそのまんま楽しむことができます。手代の佐助や仁吉の少年姿が見られるのも嬉しいし、一人ぼっちで寂しい一太郎が、鳴家の可愛らしさや楽しい雰囲気に和んでいく様子が、とてもほのぼのとしていて暖かいのです~。あんなに楽しそうに遊んじゃって、後で大丈夫なのかしら... なんてちょっとハラハラしながら読んでましたが、それだけのことはある出会いですね。こうやってあやかしに慰められていたからこそ、一太郎はそのまままっすぐ育って、今の若だんなになれたんじゃないかな、なんて思っちゃうほどの素敵な出会い。で、やっぱり鳴家って猫みたい。ものすごーく可愛かったです。この本は図書館で借りて読んだんですけど、やっぱり自分でも買っちゃおうかな♪(新潮社)


+シリーズ既読の感想+
「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「おまけのこ」
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「いっちばん」畠中恵

+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
Livreに「百万の手」の感想があります)

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ノノコが住んでいるのは、とっても古い家。床に丸い物を置くと転がるし、雨の日は天井から水が落ちてくるし、風が吹くと家がゆさゆさと揺れます。近所の子供たちからは「おばけやしき」と呼ばれていて、ノノコはおばけやしきに住んでいる「おばけ」だからって、誰もノノコと遊んでくれないのです。そんなある日、おじいちゃんが倒れ、ノノコはおじいちゃんの部屋にもぐりこむことに。

若竹七海さんの文章と杉田比呂美さんの絵による絵本。
おばけはおばけでも、親切なおばけになってみたら、というおじいさんの言葉を聞いて、親切なおばけになろうと頑張ったノノコの巻き起こす騒動をユーモラスに描いた物語。家が変わるだけでそんなに状況も変わるのかなあ、なんて思ったりもするんですけど... ノノコを見守るおじいさんの暖かいまなざしがいいですね。おじいさんの部屋が楽しそうで、私ものぞいてみたーい! それと、杉田比呂美さんの絵はやっぱり可愛いです。(光文社)


+既読の若竹七海作品の感想+
「猫島ハウスの騒動」若竹七海
「親切なおばけ」若竹七海・杉田比呂美
「バベル島」若竹七海
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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神話とは本来、国家を持たない人々の間で生まれて発達してきたもの。そこでは人間と動物とのどちらか一方が優位な立場に立つこともなく、人間は「文化」を持ち、動物たちは「自然」状態を生きていると考えられていました。動物たちは「自然」状態を生きることによって「自然の力」の秘密を握り、人間は神話や儀礼を通して、動物との間に失われた絆を取り戻し、その「自然の力」の秘密に触れようとしていたのです。しかし国家ができ、「文化」が「文明」になると、人間と動物との「対象性」のバランスは失われ、「文明」と「野蛮」の違いが意識されるようになります。...この巻では、自然権力がの象徴が「熊」であった時代から、人間の「王」が発生するまで。そして現代国家に対抗し得る「仏教」について。

カイエ・ソバージュ2巻目。今回はいきなりアメリカの同時多発テロと狂牛病の話が登場して、しかもそこに神話の思考の不在が深く関わっているあったので驚いたんですが、宮沢賢治の「氷河鼠の毛皮」や、トンプソン・インディアンなど狩猟民族の神話が読み解かれるうちに納得。神話時代の人々の間には、動物がその毛皮を脱げば人間となると考えられていたし、普通の人間との間に子供が生まれるような伝承も沢山あったし、生活のために動物を殺す時も殺した後も、相手の尊厳を傷つけないように丁重に扱っていたのに、そういった倫理や哲学は、現代の人々には全く残っていないということなのですねー。
動物と人間が交流する「対象性社会」では、「王」や「国家」はあり得なかったはずなのに、新石器社会のどこかの時点で異変が生じたようです。本来なら人間の集団のリーダーである「首長」は、権力ではなく、理性のみで部族を率いていたもの。ここにあるのは「文化」。しかし冬の祭りの期間限定のはずだった権力が、祭りが終わっても残り、あるいは戦争など特別な場合限定で権力を与えられていたはずの戦士やシャーマンが、それまでの首長の地位を奪い、その結果王が生まれ、「文明」が生み出されることになったよう。それまでの首長の権威は理性によって支えられていたのに対して、王の権力は盛大な宗教的儀式によって演出され、人々は国の下す命令や決定が理不尽なものでも従わねばならなくなります。自然や人々を一方的に支配しようとする国家は、本質的に野蛮。...なんて私が書いても分かりづらいですが、本を読んでる分にはとても分かりやすいです。
こういった「国家」に対抗する思想として、仏教を考察しているのも面白いなあ。(講談社選書メチエ)


+シリーズ既刊の感想+
「人類最古の哲学 カイエ・ソバージュI」中沢新一
「熊から王へ カイエ・ソバージュII」中沢新一
「愛と経済のロゴス カイエ・ソバージュIII」中沢新一
「神の発明」「対称性人類学」中沢新一

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先日「アーサー王の剣」を読んだ時に、日常&読んだ本logのつなさんに教えて頂いた本。エロール・ル・カインの画集とされていますが、むしろムックと言った方が相応しいと思います。エロール・ル・カインの紹介と共に絵が沢山収録されていて、未訳の絵本の絵も見られるのが嬉しいところ。時には純粋に西洋風だったり、時には東洋風のエキゾチシズムたっぷりだったり、その絵柄は自由自在。日本的な絵も描いてるんですよー。日本では出されてないんですが、「竹取物語」にはもうびっくり。まさに日本で描かれた絵本に見えます。まるで弁慶みたいな男性が欄干を上ろうとしている絵なんかもありました。(笑) 中国のお話の絵本は、もう中国の絵としか言いようがないし...。タッチも色使いもまさに、です。シンガポールで生まれ、インドに育ち、その後英国に渡ることになったというエロール・ル・カインの中には、あまり芸術的な国境は存在しなかったのかもしれないですね。
ヨーロッパ的色調の濃いハリウッド映画を見て育ち、そこから様々な影響を受けたというエロール・ル・カイン。「ニールセンやデュラック、ピアズリーの作品を初めて見たとき、それに影響されるというより僕はこう感じました。これは僕の世界だ。前から知っていた世界だと。」「僕はいいところだけをかすめとるカササギみたいなものです」という言葉が印象的でした。その構図の上手さも映画仕込みなのでしょうか。どの作品にも濃やかな気配りがされていて、文章以上に絵の方が雄弁だと言えそうなほどなのがすごいです。しかもこのユーモアセンス、好き♪

折りたたみ部分に並べたのは、今回一緒に読んだ絵本。これだけ画像を並べると壮観~。「サー・オルフェオ」と「キューピッドとプシケー」だけは神話絡みなので独立した記事にしましたが、この辺りも民間伝承がメインですね。「キャベツ姫」だけは、文章も絵もエロール・ル・カイン。
今まで読んだ絵本の中で、私が一番好きなのは「おどる12人のおひめさま」! これはグリム童話です。この話は子供の頃から好きだったんですけど、エロール・ル・カインの絵がまたとても素敵なんです。どれか1冊だけ手元に置いておく絵本を選ぶとしたら、私はこの本を選ぶなあ。あ、でも「キューピッドとプシケー」も素敵だし... どれも捨てがたいですけどね。(ほるぷ出版)


+エロール・ル・カイン作品の感想+
「アーサー王の剣」エロール・ル・カイン
「サー・オルフェオ」アンシア・デイビス再話 エロール・ル・カイン絵
「キューピッドとプシケー」エロール・ル・カイン
「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン」
 

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あまりのプシケーの美しさに、人々はプシケーに祈りを捧げるようになり、ヴィーナスの神殿はないがしろにされてしまいます。怒ったヴィーナスは息子のキューピッドに、プシケーをその身分に相応しくない恋の奴隷にするように言いつけるのですが...。

エロール・ル・カインの絵本が続きますが、これは打って変わって違うタッチ。全て白黒のモノトーンで、まるでピアズリーの絵を見ているようです。カラーの絵も綺麗ですけど、これも美しい...。モノトーンにはやっぱり独特の美しさがありますね。白黒写真には独特のニュアンスを感じるし、映画なんかでも、古い白黒の映画の女優さんの美しさには何とも言えないものがありますものね。
ギリシャ神話のエピソードとして有名ですが、出所は多分アプレイウスの「黄金のろば」のはず。(感想) 「プシュケー」は、大学の頃、古代ギリシャ語の授業で一番最初に覚えた単語でした... 「魂」という意味。姉の言いなりで大切な夫の言いつけにそむいたり、自分の美しさを呪っていたはずのプシケーが小箱を覗いてしまうところなど、いかにも浅はかであまり賢くない娘なんですけど、それでもプシケーはなんか可愛くて憎めないんですよね。(ほるぷ出版)


+エロール・ル・カイン作品の感想+
「アーサー王の剣」エロール・ル・カイン
「サー・オルフェオ」アンシア・デイビス再話 エロール・ル・カイン絵
「キューピッドとプシケー」エロール・ル・カイン
「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン」

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ある日、りんごの木の下で昼寝をしていたオルフェオ王の王妃・ヒュロディスは、突然悲鳴を上げて目を覚まします。夢の中に不気味な大王が出てきて、明日王妃を大王の世界へと連れて行くと宣言したというのです。オルフェオ王は早速選りすぐりの騎士たちに王妃を守らせることに。しかし騎士たちに囲まれ、オルフェオ王に手を握られていても、王妃は結局忽然と姿を消してしまうのです。最愛の王妃を奪われたオルフェオ王は、家老に国を任せると、竪琴だけを持って城を後にすることに...。勇敢で慈悲深く、竪琴のたいそう上手だった古のサー・オルフェオの物語。

ケルトの伝承の中に伝えられるサー・オルフェオの物語を絵本にしたもの。ケルトとは言っても、元はどうやらギリシャ神話のオルフェウスのエピソードのようなんですけどね... そういえば、オルフェオとオルフェウス、名前も一緒ですね。2人とも竪琴だけを持って、異界にまで妻を捜しに行きます。違うのは、こちらの王妃は本当に死んだわけではないということ(一応)、そしてハッピーエンドで終わること。(だから私はこちらの方が好き) サー・オルフェオの物語は、色んなところに載ってると思いますが... 例えばJ.R.R.トールキンの「サー・ガウェインと緑の騎士」の中でも読むことができます。
絵柄に特有の縄目模様などが使われて、そこここにケルトの香りがすると思えば、エロール・ル・カインは、アイルランドに伝わるケルトの文様で装飾された古い手書きの聖書「ケルズの書」から、模様や構図を借りているのだそう。道理で、クラシックな雰囲気が素敵なはずです。(ほるぷ出版)


+エロール・ル・カイン作品の感想+
「アーサー王の剣」エロール・ル・カイン
「サー・オルフェオ」アンシア・デイビス再話 エロール・ル・カイン絵
「キューピッドとプシケー」エロール・ル・カイン
「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン」

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