Catégories:“2007年”

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つい先日、nineさんに「千野帽子さんと四季さんってもしかして似たタイプ?」と言われて気になっていた本です。どこが似てるって、「本に対する愛のそそぎかたとか」だとか。似てますか? いや、実はよく分からなかったんですが...(^^ゞ
そういえば、千野帽子さんって奥泉光さんの「モーダルな事象」の解説を書いてらっしゃる方でしたねー。あの解説はインパクトが強かったなあ。...なんてことを思いながら、書店で本を探していた私。本当はパラパラと見るだけのつもりだったのに、本のデザインがとーっても可愛かったので思わず買ってしまいましたよ! カバーの紙の質感もデザインにぴったりだし、本の天の部分のざくざくしたとこも、なんだか懐かしい雰囲気で素敵なんです。とは言っても、装幀だけで買ったのではないのですが。(笑)

批評家でもなんでもない、ただの本好きにすぎない私でも、もちろん知っています。ひとりでいる時間を大切にする、聡明で誇り高いお嬢さんは、いつも本を二冊以上--読みかけの本と、出先でそれを読み終わってしまったときのための本と--鞄に入れて持ち歩いてるんだってことを。
ベストセラーは、ふだん本を読まない人たちが買うからベストセラーになる。本好きのあなたのための本は、そんなところにはありません。一冊一冊のスヰートな書物が、喫茶店や地下鉄のなかでの、よいお友だちである以上、本との出会いは叮嚀なものでありたいと、あなたは思っているのですから。

だって「はじめに」のこの辺りが...! いや、私が「志は高く心は狭い文科系小娘」なのかどうかはともかくとして。(笑)

普通のブックガイド以上に未読本が多くて焦ったんですが、面白そうな本が並んでいて、ぜひ読んでみたくなりました。特に2章「だれもあの子を止められない」、それと11章「『トモダチ以上』な彼女とわたし。」(!) 今はあまり日本物の気分ではないので、実際にこの本に紹介されている本を手に取るのは少し先のことになりそうなんですけどね。
思わず手元に置いておきたくなるような、チャーミングなブックガイドでした♪(河出書房新社)


+既読の千野帽子作品の感想+
「文藝ガーリッシュ」千野帽子
「世界小娘文學全集 文藝ガーリッシュ舶来編」千野帽子

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ベルガラスに続けて語られたのは、ポルガラの物語。
ポルガラの言う通り、「そもそも、"本当に起きたこと"がひとりの人間によって説明されうると考えるほうが、ばかげている」わけで、同じ歴史が今度はポルガラの立場から語られることによって、細部まで明らかになっていきます。ポルガラが赤ん坊の頃からベルガラスに反抗的だった理由も、ポルガラと双子の妹・ベルダランとの絆も、ポルガラの飲み込みの良さも、ベルガラスに対するポルガラの態度の変化も、ベルガラスの話を聞いているだけでは分からなかった部分。今はもうない美しい都、ボー・ワキューンでのことについても、ポルガラでないと語れない部分。やっぱりこの2つの物語は合わせ鏡のように存在しているのですねー。
物事をその全体像から捉えているベルガラスの話が枠組みとすれば、濃やかに細部を捉えているポルガラの話はその肉付け。おのずと語る物語も変わってくるというもの。「世界」や「運命」との向き合い方が全然違う! そしてベルガラスは人間の寿命を運命だと割り切って考えて、予め慎重に距離を置いているように見えるんですが、ポルガラはリヴァの後継者たちを育てるという仕事の関係もあって、そうは簡単にいかないんですよね。それぞれの時代の人々との結び付きはポルガラの方が遥かに強くて、愛される喜びも深い代わりに失った時の悲しみも深い... 特に印象に残ったのは、初代ブランドとなったカミオン、ボー・ワキューンで知り合った大工のキレーン、そして名誉の騎士・オントローズ。
「魔術師ベルガラス」も「女魔術師ポルガラ」もファンサービス的な作品で、本編に比べるとやや落ちると思うんですけど、やっぱりファンにとっては一読の価値がありますね。面白かったです。(ハヤカワ文庫FT)


+シリーズ既刊の感想+
留守中に読んだ本(18冊) (「ベルガリアード物語」全5巻の感想)
「マロリオン物語」全5巻 デイヴィッド・エディングス
「魔術師ベルガラス」全3巻 デイヴィッド&リー・エディングス
「女魔術師ポルガラ」全3巻 デヴィッド&リー・エディングス

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魔術師ベルガラスが語る、「ベルガリアード物語」の前史。まだ神々が地上を歩いて人々と暮らしていた頃。ガラスという少年が、生まれ育った村を出て放浪の旅をしているうちに「谷」にたどり着いてアルダー神の弟子となり、神々の争いと「珠」に関わるようになっていった過程を語ります。ベルガラスの7千年にも及ぶ人生、そしてこの世界の歴史の物語です。

一昨年ハヤカワ文庫FTで「ベルガリアード物語」が復刊されて、続けてこれと「女魔術師ポルガラ」が刊行されたんですよね。本当はその時に読もうとしてたんですが、森山樹さんに「マロリオン物語」のネタばれがあるから、「マロリオン」を読んだ後にした方がいいと言われて、やっぱり読むのをやめたという経緯が。その時は「前史なのになんでネタばれが?」なんて思ってたんですが、読んでみて納得。確かに前史は前史なんですけど、語り始めるのが「マロリオン物語」が終わって間もない頃という設定なので、ほんと随所にネタばれがありました! 森山さん、その節は読むのを止めて下さってありがとうございました。あそこでこれを読んじゃってたら、「マロリオン」の面白さが半減するところでしたよ...。ハヤカワは、一体なんでこんな順番で刊行したのかしら?

物語はベルガラスの語り口で書かれていくので、今までに比べるとちょっと軽いです。私としてはもう少し落ち着いてる方が好みだし、慣れるのにちょっと時間がかかりましたが、一旦慣れてしまえばこれはこれで軽妙洒脱。今まで、旅の中で断片的に語られてきたことがここで1つの大きな流れとして分かるのが嬉しいですねえ。このまま「ベルガリアード」を再読したくなっちゃいます。既に定められている行動をなぞらなくちゃいけないところには、「ベルガリアード」や「マロリオン」の時同様、ちょっと解せないものを感じてしまったんですけど、いくつもの予言書が書かれていく過程なんかを見てると、なるほどなあって思いますし♪
そしてこの3冊でベルガラスの話が終わると、次はポルガラの話? もしかして、ベルガラスの話と合わせ鏡のような物語になるのでしょうか。ベルガラスの話ではポルガラの気持ちが今ひとつ掴めないところが多かったので、それが分かるのが楽しみ。それにポルガラの視点から見ると、同じことでも全然違った話になりそうで興味津々。ということで、続けて「女魔術師ポルガラ」に行きまーす。(ハヤカワ文庫FT)


+シリーズ既刊の感想+
留守中に読んだ本(18冊) (「ベルガリアード物語」全5巻の感想)
「マロリオン物語」全5巻 デイヴィッド・エディングス
「魔術師ベルガラス」全3巻 デイヴィッド&リー・エディングス
「女魔術師ポルガラ」全3巻 デヴィッド&リー・エディングス

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学生時代から夢だった絵本作家になり、「パパといっしょに」という作品で賞を取るものの、それから2年もの間絵本を描けないでいるまま、フリーライターの仕事がすっかり本業となってしまっている、40歳の新藤宏が主人公の連作短編集。
せっかくいい絵本を出した作家なのに、物語が始まった時は既に絵本を描く気もなく、自分のことを「絵本作家」ではなく「元絵本作家」だと自嘲的に考えている進藤。自分の作品を知ってる人間がいると、逆に尻込みしてしまうような覇気のなさ。最初はなんでそんなことになったのか分からないのですが、短編が進むに連れて徐々に分かってくるという構成。

昨日と同じくお初の作家さん。そして同じく頂き物です。ありがとうございます。
評判はとてもいいのに、なぜこれまで重松作品を読んでなかったかといえば、なぜか読むのがツラそうな感じをひしひしと感じていたから。要するに、読まず嫌いですね。でもこれは読みやすかった。「ツラそう」は単なる私の思い込みで、他の作品も同じように読みやすいのかな? いや、まだ油断はできないぞ、なんて思いつつ。(笑)

各章でそれぞれ新しい人物が出てきて、それは大抵進藤がフリーライターとして会う相手なんですけど、その人物がそれぞれに一癖も二癖もあって、しかも既に絶頂期は過ぎてしまったような人物ばかりなんですよね。特に「マジックミラーの国のアリス」の田上幸司や「鋼のように、ガラスの如く」のヒロミ、「虹の見つけ方」の新井裕介は、それぞれの世界でかつて頂点を極めた人々。いかにもモデルがいそうで、そういうのを考えるのも楽しいところ。...それにしても、絵本を作り出すというのは、他の物作りの作業以上に、周囲の物や人間に関心がないとできない作業なんじゃないかと思いますね。色んな出会いによって、進藤は少しずつ刺激を受け、同時にフリーライターとして流されている自分に向かい合うことになります。そして最後は絵本を描けそうな予感なんですが... あれがどんな絵本になるんだろう? 進藤はどんな風に仕上げるつもりなんだろう? すごく不思議。そこんとこがちょっと覗いてみたいなあ。(角川文庫)

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その日訪ねて来たのは、アメリカの出版代理人だと名乗る男。男が分厚い英語の原稿を取り出し、日本で出版したいと言い出したのを見て、柳広司は苦笑します。てっきり自作の小説を英語で出版する話を持ってきたのだと思い込んでいたのです。男の説明によると、その原稿は、「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーが、親しかった友人の眼を通して書いたという遺稿。1945年8月、終戦に沸くロスアラモスの町で開かれた戦勝記念パーティの後、1人の男が殺された事件について書かれたものだったのです。

お初の柳広司作品。頂き物です。ありがとうございます~。
原爆が生まれたという砂漠の町・ロスアラモスの名前は知ってましたが、名前を知ってる程度だったので、すごく興味深く読みました。へええ、こんな風にして原爆は作られたのですかー...。あ、もちろんこの作品は原爆や戦争を肯定するものではないですし、ナチスによる人体実験ももちろん認めてないんですけど、それでもやっぱり新しい知識や発明に対する科学者(医学者でも)の情熱(狂気)って、そこに通じるものがありますよね。怖い。人間として何が正しくて何が正しくないのかという命題は、やっぱり科学の進歩とは相容れないものなんだなあ、なんてしみじみ思ってしまいます。なので「面白かった」とは簡単に言いがたいんですけど...(気持ち的にね) 読み応えのある作品だったし、原爆を作り出した人々の中には、ナチスを逃れてアメリカに亡命せざるを得なかったヨーロッパ出身の物理学者たちも多く含まれていたということを認識しただけでも読んだ甲斐がありました。...あ、でも一応殺人事件は絡んでるんですけど、ミステリ部分は脇役ですね。主役はあくまでもあちらかと...(角川文庫)

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ケイティ・チャンドラーが地元テキサスからニューヨークに出てきて1年。今は2人のルームメイトとアパートをシェアしながら、マーケティングディレクターのアシスタントとして働く毎日。しかしニューヨークに1年暮らしても、ケイティは未だにニューヨークで出くわす不思議な人々やおかしな出来事に慣れてはいなかったのです。教会の屋根にはガーゴイルがいたりいなかったりするし、その朝見かけたのも、ハロウィンの季節でもないのに背中に妖精のような羽をつけた女の子。なのに周囲の人々はその女の子をちらりとも見ようともしません。きっとコスチュームデザインを専攻している大学生なんだろうと、ケイティは考えるのですが...

ごくごく普通の女の子のケイティが、その普通さゆえに魔法使いと関わりになってしまうというファンタジー。なぜそのようなことになってしまうかといえば、実はケイティは魔法界の人々の言う「免疫者(イミューン)」だから。
ニューヨークの街に存在する魔法的な人々は、自分たちが普通の人間に見えるように目眩ましの魔法をかけていて、普通の人はそれにだまされる程度の魔力は持ち合わせているので、彼らのことを見ても普通の人間だと思い込むんですが、ケイティにはそのほんのわずかの魔法の資質すら存在しないので、ありのままの姿が見えてしまうんですね。その魔法的な資質のなさが魔法使いにとって貴重な存在になるという、逆説的な部分がまず面白いです。さらに、ケイティが妖精やエルフを見て思い浮かべるのは、ハリー・ポッターや指輪物語なんですが、魔法使いからの接触がEメールで、しかもそのメールをケイティがよくあるスパムメールかと思って削除してしまうという現代的な部分もいいし、ケイティが新しく勤めることになる会社がまた楽しい。その会社は魔法使い向けの魔法の製品を作ってるんですが、魔法という部分を除けば普通の現代の製品と変わりません。何度も商品チェックを受け、きちんとした契約書のもとに公正な取引がされています。でもいくら見かけは現代的な会社のようでも、動かしているのは魔法使いたちなので魔法がいっぱい。それに魔法でかなりの部分が補えてしまうので、さすがにマーケティングとかの知識はあまりないんですよね。そこでケイティのちょっとした提案が次々に受け入れられることになります。現代的な会社と魔法が絶妙なコンビネーション。
残りページ数が少なくなるに連れて、これで本当に何もかも解決するのかしらと心配になったんですが、これはシリーズ物だったんですね! これはケイティの恋の行方も含めて、続きが楽しみです。(私の好みはオーウェンなんだけど、イーサンも捨てがたい) なにも異世界が舞台ではなくても、剣を振るう勇者がいなくても、実は自分のすぐ隣に魔法が存在するのかも、なんて感じさせてくれる、キュートで夢のある物語でした。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ニューヨークの魔法使い」シャンナ・スウェンドソン
「赤い靴の誘惑」シャンナ・スウェンドソン
「おせっかいなゴッドマザー」シャンナ・スウェンドソン
「Don't Hex with Texas」Shanna Swendson
「コブの怪しい魔法使い」シャンナ・スウェンドソン

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徐々に人間らしさを取り戻すフィッツ。しかしその頃、リーガルは王として即位、新たに王都となった内陸の町・トレイドフォードに君臨していたのです。ブリッチたちと別れたフィッツは、ナイトアイズと共にトレイドフォードを目指して旅を始めます。

ファーシーアの一族シリーズ第3弾。
いやー、面白かった。フィッツの薄幸ぶりはここに来てますます全開。フィッツが1人で背負わなければならなかったもの、そして諦めなければならなかったものが大きすぎて、もう痛々しいとしか言いようがないんですが、それでも引き込まれて読みました。雪だるま式の不幸な物語は好きじゃないんですけど、この作品の場合、どこか乾いているから読みやすいのかも。
これまで一番気になる人物は道化だったんですが、この道化のこともかなり分かってびっくり&面白かったし、ヴェリティ王子が探索に行った先、山の王国を越えた先の未踏の地の描写がまた幻想的で良かったです。技の道や黒い柱、夢の中の世界のような不思議な町の情景、そして石の像。うーん、いいなあ。そして最後はなんとか収まるべきところに収まってほっとしました。これはあんまりハッピーエンドとは言えないのかな? でも私としては、物語の雰囲気とも合っていたし、なかなか良かったのではないかと思っています。
「騎士の息子」「帝王の陰謀」「真実の帰還」の3部作で、とりあえずシリーズの第1部は終了。そして2部3部もあって、それぞれに3部構成になってるようです。今後のシリーズでも、まだまだフィッツと道化が登場し活躍するようなので楽しみ。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「騎士(シヴァルリ)の息子」上下 ロビン・ホブ
「帝王(リーガル)の陰謀」上下 ロビン・ホブ
「真実(ヴェリティ)の帰還」上下 ロビン・ホブ

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Note


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