Catégories:“2007年”

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山の王女・ケトリッケンとヴェリティ王子の婚約の儀式も終わり、六公国の一行、そして王女とその随行は王都へと出発。衰弱しきっていたフィッツはなかなか回復せず、数ヶ月遅れて出発します。しかしようやく戻って来たフィッツを待ち構えていたのは、前と変わらず自分に敵意を燃やしているリーガル王子。そしてヴェリティ王子が時間をなかなかとれず、孤独なケトリッケン王女でした。

ということで、「騎士の息子」に続くファーシーアの一族のシリーズ第2弾。あれから買いに走ってしまいましたよー。続編は一気に分厚くなっていて、ちょっとびびったんですけど(「騎士の息子」は上下どちらも300ページ台だったのに、この2冊は600ページ弱、次の「真実の帰還」になるとさらに100ページずつ増えてます)、でも驚くほど読みやすいです。それにしても、「帝王(リーガル)」も「真実(ヴェリティ」)」も王子の名前なので、「帝王(リーガル)の陰謀」「真実(ヴェリティ)の帰還」という題名はちょっとネタばれなんじゃ?と思ったりもするんですけどね... まあそれ以外の展開はないでしょうし、きっとぴったりの題名なんでしょうね。
そしてこの邦題通り、リーガルの陰謀が張り巡らされていく展開でした。見かけだけはハンサムでお洒落、社交的なリーガル王子がじわじわと勢力を伸ばしていて、情報操作をしながら自分の足場を固めてるし、今や王の命もその手に握られているような状態。フィッツも相変わらずの薄幸ぶり。それなのにヴェリティ王子ったら、国を救うために探索の旅に出るとか言い出すし...。ま、悪いことばかりでもないんですけどね。

この巻で一番印象的だったのは、狼のナイトアイズとの心の交流。フィッツは「気」という力を持っていて、それは動物と思いを通じ合わせられる力なんです。でもあまりにも動物と深く関わりすぎると、そのうち人間の思考をなくしてしまう可能性が高いという、ちょっと危険な力。そのこともあって一般的には邪悪な力ともされてるし、フィッツも何度も警告されてます。それでもフィッツは、なかなか完全に遮断することができないんですけどね。それが逆にフィッツを救ったりもするのだけど。
前の巻でも、この「気」を使った犬との心の交流がとても印象的だったんですが、今回はそれ以上でした! ナイトアイズ、いいなあ。狼の思考回路もかなり好きでした。「群」の概念もとても面白かったし。狼の思考を読んでると、今は人間が色々いじくりまわして複雑怪奇にしてしまってることでも、本来はとても単純明快なことだったんだなあ、なんてしみじみしたりなんかします。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「騎士(シヴァルリ)の息子」上下 ロビン・ホブ
「帝王(リーガル)の陰謀」上下 ロビン・ホブ
「真実(ヴェリティ)の帰還」上下 ロビン・ホブ

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「技」とよばれる力を持った遠視者一族が治める六公国。地方の貧しい農夫の家で生まれ育った「わたし」は、実は六公国の跡継ぎ・シヴァルリ(騎士)王子の私生児。6歳の時に、その地を訪れたヴェリティ(真実)王子に託されて以来、「わたし」は王家の庇護の下で生きることになります。しかし「わたし」が王都に到着する前に、私生児のことを聞いたシヴァルリ王子は王位継承権を放棄し、子供のいない妻と共に宮廷を去っていたのです。そして、それまで名前のなかった「わたし」につけられた名前は、「フィッツ(私生児)」。祖父でもあるシュルード(賢明)王に対して絶対的な忠誠か死の二者択一を迫られたフィッツは忠誠を選び、昼は厩舎の仕事を手伝いながら読み書きや武術を教わり、夜は密かに暗殺者としての技を伝授されることに。

ファーシーア一族のシリーズ第1弾です。
この本を読みたくなったのは、積読山脈造山中のうさぎ屋さんのこの記事がきっかけ。「影のオンブリア」も「デイルマーク」も読んでるんですけど、「ファーシーアの一族」って、何? 初耳!状態だったんです。「影のオンブリア」(大好き~~)と一緒に挙げられてるなんて、それだけでも気になっちゃうじゃないですか。調べてみたら「騎士(シヴァルリ)の息子」「帝王(リーガル)の陰謀」「真実(ヴェリティ)の帰還」の3部作で全6巻が刊行済のようだったので、とりあえず「騎士の息子」2冊を購入。

いやー、面白い。こんな面白い作品があったのに、題名すら知らなかったとは迂闊。 ...や、言われてみれば、この本が出た時に書店で平積みになってるのを見たような気もするし、他のサイトさんで感想を読んだことがある気もするんだけど... ファンタジー好きとは言っても、また読み始めたのってここ2~3年のことだし、新刊はあまりチェックしてないんですよね^^;。
フィッツがいかにも薄幸な少年のせいか、それとも少年時代を思い起こしている今のフィッツが幸せそうじゃないせいか、全体的に雰囲気は暗いし重いし、「技」とか「気」といった力はあるんですけど、まあこれは基本的にテレパシーのようなものなので、それほど派手さもないんです。冷静に考えてみると、権謀術数渦巻く宮廷に投げ込まれた孤独な少年、なんてそれほど目新しい設定でもないんですけど、でもやっぱりこれはイイ! 面白い! でも、どこがいいか書こうとしても、もうほんとありきたりの言葉になっちゃうのがもどかしーい。重厚でリアルな世界観? 個性的な人物たち? 日々の生活の細やかな描写? そういうのももちろんあるんですけど、一番肝心のところを全然言い表せてないような...。
新年明けてから面白い本ばかりなんですが、没頭度ではこれが一番だったかも。続きも急いで買ってこなくっちゃ。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「騎士(シヴァルリ)の息子」上下 ロビン・ホブ
「帝王(リーガル)の陰謀」上下 ロビン・ホブ
「真実(ヴェリティ)の帰還」上下 ロビン・ホブ

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ロバート・バラシオンとエダード・スタークが、狂王・エリス・ターガリエン2世を討ち、ロバートが七王国の玉座について9年。エダードが領主として暮らす北の地・ウィンターフェルを、ロバートが訪れます。その目的は、エダードを「王の手」に任命すること。彼らの第2の父親であり、「王の手」でもあったジョン・アリンが急死し、その後任として選ばれたのです。気が進まないエダード。しかし丁度ジョン・アリンの死の疑惑に関する極秘文書が届いたこともあり、エダードは陰謀渦巻く王都・キングズランディングへと向かうことに。

以前からBOOKS AND DAYS のnine さんにオススメされていた本。「氷と炎の歌」の第1部です。ハヤカワ文庫SFに入ってるので、最初ちょっと躊躇ったんですけど、全然SFじゃありませんでした。これは完璧ファンタジーでしょ...! それがなんでSFの方に入ったかといえば、ジョージ・R・R・マーティンという人が元々SF作家さんで、これまでの作品がSF文庫の方に入ってるからなのかな? パトリシア・A・マキリップの「ムーンフラッシュ」「ムーンドリーム」が完璧にSF作品なのに、FT文庫の方に入ってるのと逆パターンで。

ということで、ジャンルとしては私の大好きな異世界ファンタジーなんですが、いやあ、これが凄かった。読み始めてまず驚いたのは、視点がどんどん移り変わっていくこと。8人の主要な人物の視点から描かれていくんです。でも、普段ならそれだけ視点がめまぐるしく変わってしまったら、なかなか感情移入できないところなのに、この作品は全然違うんです。語り手それぞれに引き込まれちゃう。しかも8人の視点から一体何人の人生が描き出されてるのかと思ってしまうほど、様々な人間の運命が複雑に絡み合っていくのが凄い。この作品はきっと、誰が主人公って決まってなくて、読み手が気に入った人物が主人公なんでしょうね。はっきり悪役の人もいるんですけど、敵なのか味方なのか分からない人も沢山いて、何が起きるか分からないし、舞台となる世界もとても魅力的。もう一気に読んでしまいました。
このシリーズは全部で7部作になるようで、日本では第2部「王狼たちの戦旗」と第3部「剣嵐の大地」がハードカバーで刊行されてるようです。文庫で全て読めるのはいつの日か... って感じですけど、続きがとっても楽しみ。この「七王国の玉座」は、きっとこの壮大な歴史絵巻のほんの序章なんでしょうね。

...でもハードカバーでは上下巻の作品を文庫では全5巻にしてしまうって、あまりに小分けしすぎなのでは。それぞれの巻の後ろに詳細な登場人物表と索引が載ってるんですけど、それに30ページ以上使ってるんですよ! まだページがあると思って読んでると、あれ、もう終わり? 状態。それがちょっと物足りなーい。せいぜい全3巻で十分だと思うけどなあ。(ハヤカワ文庫SF)


+シリーズ既刊の感想+
「七王国の玉座」全5巻 ジョージ・R・R・マーティン
「王狼たちの戦旗」全5巻 ジョージ・R・R・マーティン

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ダニエルは6歳の時に母を亡くし、バルセロナの旧市街に古書店を経営している父と2人暮らし。そんなダニエルが初めて父に連れられて「忘れられた本の墓場」を訪れたのは1945年、ダニエルが10歳の時のことでした。見捨てられた宮殿のような建物の中には無数の書棚が迷宮のように入り組んで並んでおり、この建物に初めて来た者は気に入った本を1冊選び、その本を一生守っていくのがきまり。そしてダニエルが選んだ本は、フリアン・カラックスという作家の「風の影」という本でした。家に帰って本を読み始めたダニエルは、その作品にすっかり魅了されます。しかし生粋の古書店主の父も、フリアン・カラックスという名を聞いたことがなかったのです。

12月の扉の檀さんのオススメ。この作品のあらすじを初めて読んだ時、一番惹かれたのは「忘れられた本の墓場」という場所だったんですけど、そして実際読んでみても、やっぱりそこがとても魅力的でした!

内部は蒼い闇につつまれている。大理石の階段と、天使の像や空想動物を描いたフレスコ画の廊下が、ぼんやりうかんで見えた。管理人らしき男のあとについて宮殿なみの長い廊下を進むうちに、父とぼくは、円形の大きなホールにたどりついた。円蓋(ドーム)のしたにひろがる、まさに闇の教会堂(バシリカ)だ。高みからさしこむ幾筋もの光線が、丸天井の闇を切り裂いている。書物で埋まった書棚と通廊が、蜂の巣状に床から最上部までつづき、広い階段、踊り場、渡り廊下やトンネルと交差しながら不思議な幾何学模様をなしていた。その迷宮は見る者に巨大な図書館の全貌を想像させた。(上巻P.14-15)

んんー、やっぱりこの部分かな。
青春・恋愛要素を含んだダニエルの成長物語でありながら、「風の影」とその作者・フリアン・カラックスを巡るミステリ・サスペンスも含んでいて、盛り沢山。でもドキドキわくわくでページをどんどんめくるタイプの作品ではなくて、むしろ静かに進行していく感じなので、詰め込みすぎの煩さはないですね。正直、このミステリ・サスペンス部分にはそれほど惹かれなかったんですけど(でも後半に向けて盛り上がってくると、やっぱり面白い)、ダニエルがフリアンの謎に迫ることによって、2人の人生が交錯し、ダニエルとベアトリスの恋が、謎の作家・フリアンとペネロペの恋との二重写しに見えてくるという構造が良かったです。そしてそんな物語の背景にあるのは、光と影の街・バルセロナ。まさに二重構造にぴったりの舞台ではないですか。物語の各所にこのスペイン内戦の傷跡が感じられるのも物語の深みを増しているようですし、ピカソも通いつめたというクアトロ・ガッツが登場するのも嬉しいところ。ダニエルの周囲の面々も魅力的でしたしね♪


生まれてはじめてほんとうに心にとどいた本ほど、深い痕跡を残すものはない。はじめて心にうかんだあの映像(イメージ)、忘れた過去においてきたと思っていたあの言葉の余韻は、永遠にぼくらのうちに生き、心の奥深くに「城」を彫りきざむ。そして--その先の人生で何冊本を読もうが、どれだけ広い世界を発見しようが、どれほど多くを学び、また、どれほど多くを忘れようが関係なく--ぼくたちは、かならずそこに帰っていくのだ。(上巻P.20)

この部分、グッときませんか~?(笑) (集英社文庫)

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今年の初読みは、「西方の大君主」「砂漠の狂王」「異形の道化師」「闇に選ばれし魔女」「宿命の子ら」の5冊。一昨年の夏に読んだ「ベルガリアード物語」全5巻の続編です。以前は全10巻で刊行されていたのが、去年復刊されるに当たって原書通りの全5巻になり、題名も変わりました。だから1冊ずつが結構分厚いんですよー。5巻全部で3182ページ、背表紙の厚みは14cm。本棚に揃えて置くと結構な存在感があります。...もちろん京極さんのあのシリーズの文庫(分冊されてない方ね)に比べると、まるで問題ない厚みとも言えるんですけど... あれは「本」という形態として如何なものかと思うので論外と言いたい。(笑)

前作を読んでから1年半経ってしまっているので、細かい部分はかなり忘れてしまってたんですが、1巻の最初は後日譚的な流れになっていたので助かりました。登場人物の会話が相変わらず楽しくて、これこれ、前もこれが良かったのよねえ、と思いながら、色々と思い出していける感じ。いやあ、やっぱり面白いなあ。
でも「ベルガリアード物語」の時も引っかかったんですけど、ファンタジー作品に予言書を登場させるのって難しいですね。そういう時に登場する予言書って大抵意味不明のことが書き連ねてあって、実際に物事が起きて初めて「そのことだったのか!」状態になることも多いですし、この作品でも解読するのが大変なんです。でもそんな予言書を行動の指針にする程度ならいいんですが、予言書が占める割合が大きくなればなるほど、結局運命からは逃れられないのかという疑問も大きくなることに...。最終的にどういう決着がつくのかはまだ決まってないと言われても、どうしても予定調和的な部分を感じてしまうし、やっぱり最初から決まってたんじゃないの?って疑っちゃう。これはエディングスのやり方がどうだというより、予言書という小道具の難しさのような気がするんですけどね。
それと今回、主人公一行の旅に1人の女予言者がかなり絡んでくるんですが、彼女のことがどうもすっきりしなかったです。彼女は私的な行動は厳しく制限されているようで、どちらかといえばレフェリーみたいな存在。「光」と「闇」の双方がきちんと予言を満たす行動をしているのを確認し、謎めいた言葉によって必要な情報を小出しにして助けていくんですが... それにしては主人公側に絡みすぎのような... まあ、それは理由がないわけではないのでいいとしても、どうやら太古から定められている出来事をものすごーく細かい部分まで正確に遂行しなければ、次のイベント(まるでRPG)が発生しないらしいんですよね。そういう部分もなんだかなあ...
...と、引っかかった部分もあったんですが、やっぱり面白かったのには変わりなく。今回一番印象に残ったのは、「ベルガリアード物語」での旅との類似点が指摘されていたこと。世界の運命が決するまで、一連の同じ出来事を何度も経験しなければならないという考え方が面白かったし、その行動の類似点を追うためにも、「ベルガリアード物語」を再読したくなってしまいました!

「女魔術師ポルガラ」「魔術師ベルガラス」という外伝(?)も手元に用意してあるので、近いうちに読むつもり。こちらは3冊ずつなんですが、やっぱり1冊ずつのボリュームが結構あるんです。続けて読むのはさすがにしんどいので、少し時間を置いてから。でもデイヴィッド・エディングスの作品はエレニア記全6巻が復刊されたところで、その続編のタムール記全6巻も続けて復刊するそうなんですよね。追いかけるつもりなら、とっとと読まないといけません。や、楽しいからいいんですけど。嬉しい悲鳴だな。(ハヤカワ文庫FT)


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留守中に読んだ本(18冊) (「ベルガリアード物語」全5巻の感想)
「マロリオン物語」全5巻 デイヴィッド・エディングス
「魔術師ベルガラス」全3巻 デイヴィッド&リー・エディングス
「女魔術師ポルガラ」全3巻 デヴィッド&リー・エディングス

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Note


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