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「東京や大阪が基本的にそこで生まれ育った者たちによって紹介されるのに対し、京都は、なぜか京都人以外に語られることが多い」という京都について、京都人として語ってしまった、京都出身でロンドン在住のエッセイスト・入江敦彦さんの本。

先日読んだ吉野朔実さんの「犬は本よりも電信柱が好き」の「京都マニア」の章に紹介されていた本をくまなく読もう企画(なんやそれ)第1弾。入江さんの本、京都でバカ売れしてるらしいですねーと言う吉野朔実さんに対して、入江さんの答は「京都人は京都マニアですからね」というもの。これには思わずニヤリとしました。確かにその通りかもー。
京都人が書いた京都の本、確かに面白いです。「よそさん対策」のことを始めとして、京都人特有の論理にはなんとなく聞き知ってた部分も多いのだけど、愛憎相半ばするって感じながらも、そこここに京都人としてのプライドが見え隠れしてるのが面白かったし、もちろん知らなかった話もちょこちょこと。例えば、入江敦彦さんはお母さんに「平野さんに産んでしもうて私が悪かった」なんて言われたそうなんですが、その表現は全くの初耳! 平野さんというのは平野神社のことで、北野天満宮の先にあることから、「北野を越えて」=「汚のう肥えて」を掛けて不細工な人を意味する京言葉なんですって。これにはびっくり。
ただ、京都に関しての「憎」には屈折した(笑)愛情が感じられたからいいんですけど、その他の場所に対して、はっきり見下してるのが感じられてしまうのがちょっと... だったかな。別に私だって生粋の大阪人じゃないけど、その辺りには少々不愉快になりました。そんなこと今更強調されなくても、大阪が京都からも神戸からも「一緒にせんといて!」って思われてるっていうのは、前々から言われてることだし!
でもまあ、大阪と京都の仲の悪さについては、この本に書かれてる通りみたいですね。丁度近くにいた生粋の大阪人に、大阪人が京都人を嫌いって本当なのかと聞いてみたら、本当だと言ってました。「おー、ほんまやで。あいつら常識が通用せえへん。異国や異国。」ですって。えええ、そうなんだー。長年大阪に住んでるのに、全然知らなかった。まあ、全員が全員そう思ってるってわけでもないでしょうけど。まだまだ私も大阪人度が低いんだな。(笑)
ま、そんなこんなで色々思うところはあった本でした... が(笑)、全体的には面白かったです。そういえば、そろそろ千枚漬の季節ですね。食べたいなあ~。(洋泉社)


+既読の入り江敦彦作品の感想+
「京都人だけが知っている」入江敦彦
「京都人だけが食べている」「京味深々 京都人だけが食べている2」「京都な暮らし」入江敦彦

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1927年、セントルイスの街で小銭をせびって暮らす悪ガキだった9歳のウォルトは、イェフーディ師匠に誘われて、愛情の全くない伯父夫婦の家を出て、一緒にカンザス行きの汽車に乗ることに。イェフーディ師匠はウォルトには空を飛ぶための天賦の才があるといい、13歳までに必ず飛べるようにしてやると約束したのです。連れて行かれた家にいたのは、歯が2、3本しかない太ったインディアン女のマザー・スーと、体中の骨ががねじれて歪んでいる15歳のせむしの黒人少年・イソップ。なかなか新しい生活を受け入れることのできないウォルトですが、やがて空が飛べるようになるための33の階段を、少しずつ上り始めることに。

日常&読んだ本log のつなさんにオススメ頂いた本。(記事) 私にとってのポール・オースターのデフォルト作品が最初に読んだ「幽霊たち」のせいか、それ以来オースター作品を読む前は妙に緊張してしまうんですけど、これはすごく読みやすくて面白かったです~。今まで読んだ作品みたいなクールな大人視点じゃなくて少年視点で書かれてるし、普通の人間が空を飛ぶなんてファンタジーのようなことが大真面目に書かれてるので、今まで読んだポール・オースター作品とはちょっと違う雰囲気だなあってびっくりしたんですけど、どちらかといえば「ムーン・パレス」系の作品なんですね。
人種差別やKKK団、禁酒法やギャング、大恐慌などの背景をさりげなく絡めて1920年代の雰囲気を出しているところも良かったし、詳細な修行の様子を見ていると、本当に人間は空を飛べるのかも?なんて気になってしまいそう。でも実際に空を飛べるようになって、巡業が成功して名前が知られるようになっても、ウォルトにとってそれはゴールではなかったんですね。ウォルトの人生は飛翔と落下の連続。そして飛翔と落下の連続の人生を歩んでいるのは、ウォルトだけじゃなくて、イェフーディ師匠もマザー・スーも、イソップもなんですよね。こんなことってあり...?(絶句) って感じの展開もあるし、結構キツい部分もあるんですけど、激動の時代の中で何度も人生の岐路に立たされて、再度の方向転換を強いられながらも、最後まで「生き抜いた」ウォルトの人生は、最終的にはどこか爽やか。波乱万丈でありながら、68年にもわたって描いているせいか、どこかゆったりとした印象もあって、まるで古き良きハリウッド映画を見てたみたいな感じ。
こういう作品ばかりだったら、オースターも読みやすいんだけど... でもやっぱりデフォルトが「幽霊たち」のせいか、それでいいのか?と心配になってしまったりもするんですよね。(「ムーンパレス」を読んだ時も似たようなことを思った覚えが...) やっぱりもっと色々読んでみなくてはー。次は「偶然の音楽」かな。
あ、ちなみに終盤でダニエル・クィンなんて人物が登場しました。実は「シティ・オブ・グラス」に繋がっているんですね~。 (新潮文庫)


+既読のポール・オースター作品の感想+
「ムーン・パレス」ポール・オースター
「ミスター・ヴァーティゴ」ポール・オースター
Livreに「シティ・オヴ・グラス」「幽霊たち」の感想があります)

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安房直子さんの短編集3冊。

「南の島の魔法の話」...「鳥」「ある雪の夜の話」「きつねの窓」「沼のほとり」「さんしょっ子」「南の島の魔法の話」「青い花」「木の葉の魚」「夕日の国」「きつねの夕食会」「もぐらのほったふかい井戸」「だれも知らない時間」
「鶴の家」...「鶴の家」「雪窓」「北風のわすれたハンカチ」「ゆきひらの話」「魔法をかけられた舌」「熊の火」
「夢の果て」...「夢の果て」「あるジャム屋の話」「黄色いスカーフ」「サリーさんの手」「グラタンおばあさんと魔法のアヒル」「花のにおう町」「空にうかんだエレベーター」「ききょうの娘」

どの作品も、やっぱり色彩がとても綺麗。そしてとても豊かなものが広がります。安房直子さんご自身、こういう話を書こうと思って書くというよりも、ある情景が絵のように浮かんできて、そのイメージを物語にするという書き方をすることの方が多いのだそうです。そして「南の島の魔法の話」のあとがきに、安房直子さんが「私が、ファンタジーの作品を好んで書くのは、空想と現実との境の、あの微妙に移り変わる虹のような色が、たまらなく好きだからです」と書かれていたという話がありました。ああ、分かるー。
3冊の中で私が特に好きだったのは、聞いてしまった秘密を取ってもらいに耳鼻科に駆け込んできた少女の話「鳥」、翻訳家がある物語を上手く訳せなくて困っているうちに、実際にその物語を体験してしまう「南の島の魔法の話」、女の子に頼まれて青い傘を作る傘屋の物語「青い花」、鹿の少女と一緒にジャム屋の仕事をだんだん軌道に乗せる「あるジャム屋の話」、黄色いスカーフのおかげでとても幸せな気持ちになるおばあさんの話「黄色いスカーフ」、少女とウサギの満月の夜の冒険物語「空にうかんだエレベーター」。どれも本当にうっとりするほど情景が美しく、でも優しくて甘いだけでないところがいいんですよね。(講談社文庫)


+既読の安房直子作品の感想+
「ハンカチの上の花畑」「だれにも見えないベランダ」安房直子
「南の島の魔法の話」「鶴の家」「夢の果て」安房直子

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アギオン帝国が中心に、様々な部族がその帝国を取り巻くロールの世界。キアスは燃えるような赤い髪をした15歳の少女で、西の谷にあるモールの神殿の巫女見習い。いつかは偉大な巫女になりたいと思いつつも、退屈な勉強や、先輩の巫女に気に入られようといい子ぶる見習い巫女たちに我慢ができず、授業を抜け出しては、モールの林の中にある、ひときわ大きい木ののうろに入ってばかりいました。その木は300年前の大巫女・マシアンの木。女の子が生まれるとモールの木の苗木を植えるモールマイ族にとって、モールの木は生まれた子の<根>であり、生まれた子はその木の<寄生木(やどりぎ)>。巫女の呪歌によって結び付けられた<根>と<寄生木>は、片方が育てばもう片方も育ち、どちらかが死ねばもう片方も死ぬという関係。マシアンの木がまだ生きているということは、マシアンもまだ生きているということ。呼び出しの儀式に失敗して巫女になれなかったキアスは、マシアンを探す旅に出ることに。

海外作品に負けない骨太のファンタジーを書く日本人作家さんは何人かいますが、浜たかやさんもその1人でしょうね。これはロールという架空の世界を舞台に繰り広げられるファンタジー。世界の成り立ちの神話も詳細に描かれていて、世界観がとてもしっかりしていました。それぞれの部族ごとに信奉する神がいて、独自の歴史やしきたりがあるという部分とかもさりげなく、でもきちんと描かれてていいなあ。こういうの好き~。最近のファンタジー作品にはあまり書き込まない傾向があるのかもしれないけど、私はやっぱりこんな風にじっくりと作りこまれて、丹念に描かれてる方が好き。脇役もそれぞれに魅力的で、とても楽しめました。
ただ、序盤~中盤に比べると、終盤はやや失速しているような... というか、ちょっと書き飛ばされてしまったような。じっくり書いて欲しいところがやけにあっさりしてるし、特にせっかくマシアンが登場しても、マシアンなら語って聞かせられる部分がほとんど語られずに終わってしまったし。それに「龍使い」という題名の割に、全然龍を使ってないし! 名前に関しても、結局ただの偶然だったのかなあー。せっかくの作品なんだから、その辺りも丁寧に書いて欲しかったな。そんなことになったら、ただでさえ分厚い本がさらに分厚くなってしまうんですけどね。すごくいい作品なだけに、その辺りだけがちょっぴり残念。(偕成社)

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コララインとその両親が引っ越してきたのは、古い大きな家の2階の部屋。1階には元女優の老女が2人、3階には変わり者のおじいさんが住んでいて、2階の半分をコララインの一家が使うのです。あとの半分は今は空き家で、境目のドアをあけた所にはレンガの壁があって行き止まりとなっています。しかしある日、母親が買い物に出かけている時にコララインがドアを開けてみると、確かにあったはずのレンガの壁がなく... コララインが向こう側に足を踏み入れてみると、そこはコララインの家とそっくりな部屋が。そして母親そっくりの女性が。しかしその女性は、本物の母親よりも背が高くて痩せていて、気味が悪いほど色が白く、目が大きな黒いボタンでできていました。

ニール・ゲイマン2冊目なんですが... うーん、微妙... 悪くはなかったんだけど、面白かったかと聞かれると困っちゃう。
せっかく個性的な名前のコララインなのに、近所の人たちには「キャロライン」と呼ばれてばかりだし、蛍光グリーンの手袋が欲しかったのに、お母さんが買おうとするのはみんなが持ってるようなグレーのブラウス。両親は家で仕事をしてるので、いつも身近にはいるんだけど、遊び相手も全然いなくて毎日が退屈。お父さんが作る食事も美味しくないんです。でも「もうひとつの世界」では、現実世界での不満が全部解消されてるんですね。名前を間違える人もいないし、部屋も服も前から欲しかったような雰囲気。だから一見、こっちの世界の方がコララインが本当に属すべき場所みたいに見えてしまうんですけど。
淡々と静かに進むので、言ってしまえば盛り上がりに欠けてるような... でも、それが必ずしも悪いというわけではなくて、これを映画にしたら結構怖くなるんじゃないかなあという雰囲気なんです。実際「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」や「ジャイアント・ピーチ」のヘンリー・セリック監督でアニメ映画が製作中なのだそう。(来年公開ですって) どんな映画になったかちょっと見てみたいかもー。(角川書店)


+既読のニール・ゲイマン作品の感想+
「スターダスト」ニール・ゲイマン
「コララインとボタンの魔女」ニール・ゲイマン

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吉野朔実さんが「本の雑誌」に連載しているエッセイ漫画「吉野朔実劇場」の4冊目。これだけが市内の図書館の蔵書になくて読めなかったんですが、ようやく読めましたー。
これで既刊5冊全部読んだわけですが、今まで京都の話なんて出てましたっけ? 吉野朔実さんがそんなに京都がお好きとは知りませんでしたよぅ。東京から約2時間半、お一人でもお友達とでも気軽に行くし、もう何度行ったか分からないぐらいなんだとか。...でね、ここで吉野朔実さんは桂離宮に行くんです。本当は3ヶ月前から申し込まなくちゃいけないのに裏技で。いや、その裏技はどうでもいいんですけど! 私も今度桂離宮に行くんですよぅ、来月!紅葉の時期を狙って!(7月には修学院離宮に行きました... 来年は苔寺? 笑)
うわあ、なんていいタイミング。おかげで「京都マニア」の章を食い入るように読んでしまったじゃないですかー。えっ、「なかひがし」というお店は3ヶ月前から予約が必要って! 古伊万里好き好き♪ お店、行ってみたーい。桂離宮の近くにある和菓子のお店でお昼ご飯を食べたって、それは普通のお昼ご飯のメニューなんですか?! うぉー気になるぞーー。
そして、ここに紹介されてる京都の本は、全部読みます!読みますとも! と珍しくやる気を見せる私なのでありました。(笑)

えっと、今回ももちろん面白かったです。いつもよりも紹介本既読率が微妙に高かったかな? 「月下の一群」が無性に読みたくなっちゃった。田口俊樹氏がさりげに登場してるところに「きゃーっ」。そして今回は春日武彦さん、西田薫さん、山本充さんとの対談だったんですが、ニヤリとしてしまったのは、山本氏の

電車の中で何がいちばん読まれてるかはわかりませんが、僕の場合、おっ文学っぽいと思って覗くと村上春樹ということが多いですね。で、「やれやれ」と思う。(笑)

という言葉。で、本好きな人も村上春樹作品は読むけど、電車の中ではまず読まないとして、春日氏の言った理由が

恥じらってね。村上春樹を読むのが恥ずかしいんじゃなくて、それを覗いて「あ、村上春樹だ」ってわかるようなやつにいろいろ思われちゃうのが嫌なんだよ。

ってところに、さらにニマニマ。(笑)
あ、「ジャイアンツ・ハウス」の司書さんは、私は「すごくヤセてる」方に一票です♪(本の雑誌社)


+シリーズ既刊の感想+
「お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き」「お母さんは『赤毛のアン』が大好き」吉野朔実
「弟の家には本棚がない」「本を読む兄、読まぬ兄」吉野朔実
「犬は本よりも電信柱が好き」吉野朔実

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子供の頃よく読んでいたのは、トマス・ブルフィンチの「ギリシア・ローマ神話」。大人になってから参考にしていたのは、アポロドーロスの「ギリシア神話」。ブルフィンチのはオウィディウスの「変身物語」みたいなお話が沢山入っていて、読み物としてとても面白いのだけど、元々は今から英文学を読みたいというアメリカ人のために書かれた入門書ですしね。なんていうか、実際のギリシャ神話よりもかなりロマンティックにされてしまっている部分があるんです。そして逆にアポロドーロスのギリシャ神話にはそういうお話的な面白さは全然なくて、淡々と事実を書き連ねていったという感じ。(もちろん事実ではない部分も多いのだけど・笑) 古代ローマ人によるギリシャ神話なので、これが一番原型に近いという安心感があるし、資料としてもとても役に立つんですけど、相当!無機質なので、物語として読むには全然面白くないんです。(笑)

その2つに比べて、呉茂一さんのギリシア神話は、日本人が書いたものとしては一番読みやすく優れているという評判の本。久々に系統だったギリシャ神話の本が読みたいなと思って手に取ってみました。(アポロドーロスの「ギリシア神話」を訳した高津春繁さんの「ギリシア・ローマ神話辞典」と並ぶ好著なのだとか)
さすがにギリシア文学を多数訳してらっしゃる呉茂一さんだけあって、そういった部分に多く言及されてるのが良かったです。まあ、「イーリアス」「オデュッセイア」をはじめとする主なギリシャ文学を既に読んでる人にとっては復習的なものでしかないと思うんですけど、私がありがたかったのは、ギリシャ悲劇に関する部分! アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスと一通り読んではいるんですけど、歴史的・国家的な背景をよく知らずに読んでた部分もあるので、あの人物はここに繋がるのか~!的な部分でものすごく参考になりました。点と点が繋がって線になる、あるいは線と線が繋がって面になる面白さですね。あと、それぞれの神話のエピソードやそれにまつわる神々の生まれた歴史・社会的背景にも触れられてるので、そういった部分に興味がある人にもとても参考になるのではないでしょうかー。そしてその上で読み物として面白いです。ロングセラーだというのも納得。(新潮文庫)

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