Catégories:“2008年”

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酒を飲み、月を愛で、鳥と遊び、放浪の旅を続けた李白。杜甫と並ぶ唐代の詩人であり、「詩聖」と呼ばれる杜甫に対して「詩仙」と呼ばれる李白の詩69編を、李白の生きざまや人となりを交えて分かりやすく解説した本。

以前、同じ角川ソフィア文庫のビギナーズで「論語」と「陶淵明」を読んで、李白の本も買っていたんですが、ずっと積んだままでようやく読みました。原文と読み下し文、訳、そして訳の解説が載ってるんですが、かなり初心者向けで読みやすいシリーズなんですよね。今回の李白に関しては、時々「コンパ」だの「デート」だの妙に砕けた訳があって、そんな時は「雰囲気が壊れるからやめてくれー」と思ってしまったんですが... いくら初心者向けでも、ここまで砕いてもらわなくても。(汗)
唐の玄宗皇帝の時代に生き、仙人になりたいという夢を持ちつつ、自らの詩文の才能で世の中に出たいと思い続けていた李白。その夢はなかなか叶うことがなくて、しかもようやく叶ったかと思えば、わずか1年で失脚。そういう意味では不遇の人生を送っていたようです。実際に作品を読んでいると、飄々として大らかながらも、その奥には哀愁を感じてしまうような詩が多かったです。そういうところに、李白の人生が出ているのかな。
「月下独酌」を始めとして好きな詩はいくつかあるんですが、今回特にいいなと思ったのはコレ。

静夜思  (静かなる夜の思い)

牀前看月光  (牀前 月光を看る)
疑是地上霜  (疑うらくは 是れ 地上の霜かと)
挙頭望山月  (頭を上げて 山月を望み)
低頭思故郷  (頭を低れて 故郷を思う)

秋の静かな夜に月を眺めながら望郷の念に駆られる詩です。(角川ソフィア文庫)


+関連シリーズ作品の感想+
「論語 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」加地伸行
「陶淵明 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」釜谷武志
「李白 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」筧久美子
「老子・荘子 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」野村茂夫
「紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス日本の古典」紫式部・山本淳子編

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中国古典の中から365の言葉を選び、1年365日毎日一言ずつ紹介していくという形で構成された本です。何がきっかけで私ってばこんな本を買ったんだっけ、と思いつつ、ずーっと積みっぱなしなので読んでみたんですが...
うーん、様々な名言を知るという意味では良かったんですけど、あまり私向きの本ではなかったみたい。これって一種のビジネス書ですよー。現在管理職にある人間や経営者、あるいはそういった地位を目指す人が読むべき本なのでは。というか、毎日の言葉そのものがそうだというわけではなくて、その言葉に対する解説が思いっきり管理職 and 経営者向けなんです。
改めてアマゾンの紹介を見てみると

先人の英知の結晶である中国古典指導者の心得から処世の知恵に至るまで、ビジネスマンが気軽に読め、かつ実践に役立つ珠玉の言葉、365篇を平易に解説。

やっぱりビジネスマン向けの本だったのかーっ。

ちなみに今日5月11日の言葉は礼記から、「細人の人を愛するや姑息を以ってす」。
「細人」は君子の反対で詰まらない人間という意味。本当は次のような対句になっているのだそうです。

君子の人を愛するや徳を以ってし
細人の人を愛するや姑息を以ってす。

言葉通りに取れば愛の深さの違いって感じですが、君子と細人とでは人間のレベルが違うということだとのこと。
まあ、日付と言葉に特に関連はないんでしょうけどね。(笑)(PHP文庫)

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夏のサンフランシスコだというのに、全身灰色の小柄な男が厚手の黒いウールのコートに黒い手袋、帽子、サングラスという姿の3人の男たちを連れて書店に入っていくのを見て、怪訝に思うソフィー。その書店はソフィーの双子の弟・ジョシュがバイトをしている店で、ソフィーがバイトをしているカフェの真向かいにあるのです。その頃、書店の地下室では、ジョシュが突然漂ってきたペパーミントのにおいと腐った卵のにおいに吐きそうになっていました。しかし外の新鮮な空気を吸おうと階段を上るほどにそのにおいはきつくなり、1階では店主のニック・フレミングと灰色の男が対決していたのです。

アイルランドを代表する作家の1人だというマイケル・スコットの、全6巻になる予定のシリーズ1作目。...というのは読み終わってから知ったことで、読む前も読んでる最中もこの1冊で終わるのかと思っていたんですが... 本のどこにも1巻だなんて書いてないし! ページ数がどんどん残り少なくなって、これで本当に決着が付くのか?って心配してしまったじゃないですか。そういうのは先にちゃんと書いておいて欲しいなー。(小野不由美さんの「黄昏の岸 暁の天」を読んだ時とまるで同じ状態だ)

というのはともかく。
ここに登場するニコラ・フラメルとその妻・ペレネル、そして敵となるジョン・ディー博士の3人は実在の人物で、この本の中に書かれている業績も史実そのままなのだそう。そしてこの3人の他にも、アイルランドの神話の影の国の女王・スカアハや戦争の女神・モリガン、ギリシャ神話や古代エジプトの神話などに登場する三つの顔を持つ女神・ヘカテー、エジプト神話の猫の頭に人間の身体の豊穣の女神・バステト、あとは有名なライオンの身体と人間の顔を持つスフィンクス、そして北欧神話に登場する宇宙樹・ユグドラシルなどが登場します。この物語の中で重要な役割を担う「アブラハムの書」というのも、実在した書物なのだそう。
世界中のいわゆる神々と呼ばれる存在が人間よりも先に存在して地球を何万年にも渡って支配していたエルダー族という種族で、同じエルダー族が違う場所では違う名前で神として信仰されていたという部分は面白かったし、人間が絡んだ部分が神話や伝説として残っているという部分も良かったんですが、ちょっと節操がなさすぎるのではないかという印象も...。でも勢いがあってなかなか面白かったし、読み応えもあったので(なんだかんだ言っても、神話の小ネタが楽しいのね)、続きが出たら読む予定~。(理論社)


+既刊シリーズの感想+
「アルケミスト 錬金術師ニコラ・フラメル」マイケル・スコット
「マジシャン 魔術師ニコロ・マキャベリ」マイケル・スコット

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古代ギリシアの歴史家・ヘロドトスによる、ギリシア諸都市とペルシア帝国の争いの歴史。前5世紀、ついにペルシア帝国が大軍を擁してギリシアに攻め入ったペルシア戦争、そして当時存在した様々な国々の紹介。ヘロドトス自身が各地を歩き回って聞き集めた説話や風土習俗を元に書き上げたものであり、ヨーロッパにおける最も古い歴史書とも言われている作品。元々は全9巻として書かれており、それがこの文庫1冊に3巻ずつ収められています。

基本的には、ペルシア戦争と呼ばれるアケメネス朝ペルシア帝国のギリシア遠征の原因から結果までが描かれているし、ペルシア戦争に関する貴重な資料でもあるそうなんですが... 実際、サラミスの海戦のことなんかもすごく面白いんですが、それ以外のことも色々書かれてるんですよね。そちらの方が私にとっては楽しかったかも。たとえばアルゴー船の遠征でのイアソンと王女メディアのこととか、ペルセウスとアンドロメダのこと、トロイアのパリスがヘレネを奪って始まったトロイア戦争のことなどが、神話ではなく、歴史的な出来事として書かれているのが面白かったし~。ギリシアやペルシア周辺諸国のことが色々と詳しく説明されているんですが、その中でも特に2巻で触れられているエジプトの風物や宗教、その地理的な話もすごく面白かったです。ミイラの作り方とか、そのミイラの松竹梅的な値段による違いとか。(笑)
ヘロドトスが自分が聞いた話を紹介するというスタンスで、自分はこう考える、自分はこの意見を信じるけれど、読者がどの意見に納得するかは読者次第、というのも良かったです。ただ、ギリシアとペルシアはもちろんのこと、アフリカからインドまでものすごく沢山の国が登場するし、それに伴って人名もものすごく沢山! 到底覚え切れなくて、それだけは大変でした。(岩波文庫)

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ウンベルト・サバ、ジュゼッペ・ウンガレッティ、エウジェニオ・モンターレ、ディーノ・カンパーナ、サルヴァトーレ・クワジーモドという20世紀を代表する現代イタリアの5人の詩人たちについて書いた「イタリアの詩人たち」、そして須賀敦子さんによる翻訳で、「ウンベルト・サバ詩集」「ミケランジェロの詩と手紙」「歌曲のためのナポリ詩集」。

「須賀敦子全集」のほとんどがエッセイだったんですが、この第5巻は須賀敦子さんによる翻訳が中心。最初の「イタリアの詩人たち」こそ現代詩人たちの紹介と批評になってるんですが、それ以降は全て翻訳です。でも読んでいて、これこそが須賀敦子文学の原点なんだなあという感じでした。やっぱりイタリアの文学、特に詩を愛していたからこそ、エッセイのあの文章が生まれてきたんでしょうね。
そして「イタリアの詩人たち」は、特に須賀敦子さんの核心に迫る部分なのではないでしょうか。5人の詩人たちの作品とその魅力が、それぞれに美しく透明感のある、1人1人の詩人に相応しい言葉で翻訳されていきます。私はあまり詩心がないんですけど、それでもやっぱり須賀敦子さんの言葉は沁みいってくるものがありますねえ。声に出して朗読してみたくなります。そして私が特に気に入ったのは、精神分裂症のために放浪と病院生活を繰り返しながら散文詩を書いていたというディーノ・カンパーナの作品。散文なので分かりやすいという部分もあるんですけど、とにかく美しい! 須賀敦子さんも書いてますが、狂気の中に生きていたからこそ純粋に詩の世界を追求することができたというのは、やはり詩人として幸せなことだったのでしょうね。もっと色んな作品を読んでみたいな。(河出文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「須賀敦子全集1」須賀敦子
「須賀敦子全集2」須賀敦子
「須賀敦子全集3」須賀敦子
「須賀敦子全集4」須賀敦子
「須賀敦子全集5」須賀敦子
「須賀敦子全集6」須賀敦子
「須賀敦子全集7」須賀敦子
「須賀敦子全集8」須賀敦子

+既読の須賀敦子作品の感想+
「トリエステの坂道」須賀敦子
「本に読まれて」須賀敦子
「ヴェネツィアの宿」「コルシア書店の仲間たち」須賀敦子
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子

+既読の須賀敦子翻訳作品の感想+
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「ある家族の会話」ナタリア・ギンズブルグ

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大夜会に出席するためにめかしこんだアデルファン伯爵は数年来の友人・セラフィーニョと共にタンポポ男爵夫人の屋敷へ。しかしタンポポ男爵夫人に無視されてめ怒り始めたセラフィーニョを連れて入り込んだ小部屋の中で、アデルファンはズボンのポケットに入れておいたバルバランが何者かに盗られてしまったのに気づいて... という「アンダンの騒乱」。
21歳の誕生日を迎え、邸宅でどんちゃん騒ぎを開くことにした少佐。段取りは全てアンティオッシュ・タンブルタンブルに一任され、沢山の飲み物や食べ物、そしてレコードが用意されます。そのパーティで少佐はジザニイと出会い、彼のアヴァンチュールが始まることに... という「ヴェルコカンとプランクトン」。

以前からボリス・ヴィアン全集を読もうと思っていて、ようやく読み始めたんですが... うわー、よく分かりませんでした! どちらもとにかく自由に書かれたという印象。特に「アンダンの騒乱」はヴィアンの処女作品なんですが、謎の「バルバラン」が結局何だったのかも分からず仕舞いだったし、何を書きたかったのかもよく分からないまま... 主人公かと思っていた人物も実はそうじゃなかったようですしね。気がついたら全然違う話になっちゃってました。でもそれがイヤな感じというわけじゃなくて、むしろこれがボリス・ヴィアンなんだろうなあ~といった感じ。こんなにのびのびと書いてるっていうのは(少なくとものびのびと書いてるように見えます)、実はやっぱりすごいことなのかも...。それでも「日々の泡」や「心臓抜き」のような、きちんと物語が展開していく作品の方が読んでいて面白いし、読み応えもあるんですけどね。こちらはまだ登場人物を作者が好きなように動かして遊んでいるという感じだし。言葉遊びも沢山あるでしょうし、笑いどころも実は多そう。でも日本語訳からは言葉遊びは分からないし、笑うほどの余裕はありませんでした、私。まだまだ修行不足かも。(笑)
続けざまに読むのはしんどそうなので、全集にはぼちぼちと手をつけていきます。


+既読のボリス・ヴィアン作品の感想+
「日々の泡」ボリス・ヴィアン
「心臓抜き」ボリス・ヴィアン
「アンダンの騒乱」「ヴェルコカンとプランクトン」ボリス・ヴィアン

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伝えられるところによると、その昔、サンダリング・フラッド(引き裂く川)と呼ばれる大河が大地を分断し、その上流の渓谷地方の東側にウエザメルと呼ばれる農場には両親を早くに亡くし、祖父母に育てられた強く頑丈な少年・オズバーンが住んでいました。オズバーンは生まれながらの詩人であり、しかもわずか12歳の時に羊の群れを襲った狼3匹を殺して、少年闘士としてその近隣では有名な存在となります。そんなオズバーンがエルフヒルドという名の同じ年頃の乙女と出会ったのは、彼が13歳になったばかりの頃のこと。しかしエルフヒルドはサンダリング・フラッドの西側の鹿の森の丘に住んでおり、2人は川越しに様々なことを語り合うものの、川は空を飛ぶ鳥以外の生き物に流れを横切ることを決して許しはしなかったのです。

北欧文学に強く影響を受けて書いたといわれる、ウィリアム・モリスの遺作。
確かに北欧文学の影響を受けているだけあって、まるでサガのような雰囲気を持つ作品。物語全体としてはオズバーンのサガで、オズバーン自身の成長物語と、オズバーンを始めとする男たちの勇壮な戦いが中心。そしてその中に、美しいエルフヒルドとの恋物語も描きこまれているという形。このロマンス自体は中世のイギリス文学にも見られるようなものなんですが、キリスト教圏というよりも北欧圏らしく、若い2人の思いがとてもストレートに描かれてます。
でも、とっても素敵な物語になる可能性が高い作品だったと思うんですが... 日本語訳がどうもとても読みにくくて話になかなか入り込めなかったこと、物語そのものにも推敲されきっていない、あまり整理されていない部分が目についてしまうのが残念でした。途中、エルフヒルドが行方不明になって、そこからはオズバーンの戦いばかりがクローズアップされることになるんですけど、この辺りが少々長すぎて冗長に感じられてしまいましたしね...。しかもオズバーンとエルフヒルドのやっとの再会も、盛り上がり不足。失踪していた間のエルフヒルドの物語を老婆が1人で全て語ってしまうというのも、その大きな要因かな。モリス自身が筆を取ったのではなくて、病床で口述筆記をしたそうなので、ある程度は仕方ないと思うんですけどね。
この老婆や2人に贈り物をする小人、そしてスティールヘッドなどの人物についても、最後に明かしてもっと盛り上げて欲しかったところです。モリスにもっと時間があれば良かったのに、残念!(平凡社ライブラリー)


+既読のウィリアム・モリス作品の感想+
「世界のはての泉」上下 ウィリアム・モリス
「理想の書物」ウィリアム・モリス
「輝く平原の物語」ウィリアム・モリス
「ジョン・ボールの夢」ウィリアム・モリス
「ユートピアだより」ウィリアム・モリス
「不思議なみずうみの島々」上下 ウィリアム・モリス
「世界のかなたの森」ウィリアム・モリス
「サンダリング・フラッド」ウィリアム・モリス
「アイスランドへの旅」ウィリアム・モリス

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