Catégories:“2008年”

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先日再読したばかりの高橋由佳利さんによるトルコ・コミックエッセイ「トルコで私も考えた」。最新刊が出たので早速~。

今回一番びっくりしたのは、高橋さんのご主人が実は1巻の時から登場していたということ! 思わず1巻をめくって探してしまいましたよー。探してみたら、いましたいました。この頃の絵にはまだ髪の毛があったので、全然気がつかなかった。そうか、2巻を読んだ時には唐突に感じられた国際結婚にも、実は伏線があったのですねー。(違います) 今回初公開の家族写真にはご主人も写っていて、なかなかの男前ぶりを見せてくれます。そしてちょっと悲しかったのが、いつの間にか義理のお父さんが亡くなられていたこと。実はお気に入りの人物だったんだけどなあ。
事前に今回はトルコの楽器を習う話が良かったと聞いていた通り、その辺りもすごく面白かったし... 西洋音楽とはまるで違うらしいトルコ音楽、一度聞いてみたーい。7拍子だの9拍子だのをトルコの太鼓ダルブカで難なく刻んでしまうケナンくん、やめてしまうなんてもったいなーい。(子供の学習能力の高さというよりも、やっぱりトルコ人としてのDNAなのでは?) 最近はどんどん物価も高くなってトルコが変わりつつあるというのも、読んでるだけの身ながらも寂しい話ですね。そして何が一番寂しいって、「トル考」がこの21世紀編で一旦終わりだということ。えーっ、そうだったんですか。逆に引き際が鮮やかということでいいのかもしれないけど、楽しかったのになあ。
高橋さんの絵はこういったギャグ路線のものしか見てないんですが、たまに登場する真面目な絵はとっても綺麗。見てると佐々木倫子さんの絵を思い出すんですけど、本当に似てるのかな~? 真面目なストーリー漫画も一度見てみたくなっちゃいます。(集英社)


+シリーズ既刊の感想+
「トルコで私も考えた」1~4 高橋由佳利
「トルコで私も考えた 21世紀編」高橋由佳利

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学生の多い東京の西の近郊の町にある古道具屋・中野商店。店主は25年ほど前に脱サラして店を始めたという中野さんで、店には昭和を思わせる雑多な生活用品が並んでいます。アルバイトはタケオとヒトミの2人。タケオは引き取り要員で、午後になると中野さんとトラックで依頼のあったお客の荷物を引き取りに行き、ヒトミは午前に引き続き店番をするという役割分担。そして店には中野さんの姉のマサヨさんもよく顔を出すのです。

店主の中野さんの人柄なのか、どこか不思議な雰囲気を漂わせている中野商店での日々を、アルバイトのヒトミの視点から描いた長編。店に深く関わっている4人も、ここにやってくる客も、中野さんの愛人だというサキ子も、みーんなみんなマイペース。平凡な日々の中にもそれなりに波があり、それを淡々と描き出しているような感じの作品です。古い写真を眺めながら、こういうこともあったなあ、と思い出に浸っているという印象でしょうか。ええと、今の私にはあまりインパクトが感じられなくてさらっと読み流してしまったのだけど、こういうのが好きな人には堪らない作品かもしれないですねえ。(新潮文庫)


+既読の川上弘美作品の感想+
「古道具中野商店」川上弘美
「大好きな本 川上弘美書評集」川上弘美
Livreに「神様」「なんとなくな日々」「センセイの鞄」「パレード」の感想があります)

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梁山泊と童貫軍が総力の全てをかけてぶつかる、北方水滸伝完結の19巻。

いやあ、全部読んでしまいました。ふぅー。
19巻は、前巻に引き続きの激しい戦闘の物語となっています... が、こういう結末になるのかあ。童貫軍との激しいぶつかり合いはいいし、「水滸伝」としての話自体はここで終わるんだけど、でもあまりに次の「楊令伝」の存在が見えすぎるラストにちょっとびっくり。これじゃあ、この「水滸伝」が「楊令伝」の前座みたいじゃないですか。いや、その後へ繋がっていくということ自体はいいのだけど... とりあえずここで一つ区切りはつけて欲しかったなあ、というのが正直なところ。
でも梁山泊側だけで108人いるので、途轍もない数の登場人物になるのだけど、北方さんの描く漢たちは、誰もがそれぞれにかっこよかったな。全巻通して特に心に残った人物といえば、林沖と楊志。あとは秦明とか呼延灼、解珍、李逵辺り。思っていた以上に生き残った人間がいたので(とは言っても、全体から考えると僅かなんだけど)、このメンバーが「楊令伝」でも活躍することになるんですね、きっと。
あとは北方水滸伝読本として「替天行道」というのが出てます。こちらは「水滸伝」にまつわる北方さんの手記や対談、登場人物の設定資料、担当編集者が連載中に北方さんに書いた手紙などが収められているのだそう。これも読むかどうかは、現在考え中。(集英社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「水滸伝」1~3 北方謙三
「水滸伝」4~6 北方謙三
「水滸伝」7~9 北方謙三
「水滸伝」10~12 北方謙三
「水滸伝」13~15 北方謙三
「水滸伝」16~18 北方謙三
「水滸伝」19 北方謙三

+既読の北方謙三作品の感想+
「破軍の星」北方謙三
「楊家将」上下 北方謙三
Livreにブラディ・ドールシリーズと「三国志」の感想があります)

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致死軍が青蓮寺に襲い掛かるなど水面下での動きが目立つ16巻、とうとう童貫が出陣する17巻、さらに戦況が厳しくなる18巻。

やっぱり童貫は強かったんですねえ。前から禁軍随一の実力という評判でしたけど、梁山泊側の苦戦が痛々しくなってしまうほど。あれだけのメンバーを揃えていても、やっぱり敵わないのですか! でも、こんなに強い軍を具えている国の内情が腐敗しきっているというのも、やっぱりどこか妙な感じが...。今回はどちらかといえば水面下の戦いが繰り広げられた16巻が面白かったな。燕青の意外な活躍ぶりも良かったし。
それにしても、気に入っていた主要メンバーが次々に死んでしまうのはやっぱり悲しい。特に18巻では、殺しても死にそうになかった人たちばかり散っていきます。そして、それらのメンバーをひっくるめたほど強い楊令の活躍ぶりには、ちょっとびっくり。いや、強いだろうとは思っていましたけど、ここまで...? これじゃあちょっと人間離れしてますよぅ。でもここから今執筆中の「楊令伝」に繋がっていくんですものね。(集英社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「水滸伝」1~3 北方謙三
「水滸伝」4~6 北方謙三
「水滸伝」7~9 北方謙三
「水滸伝」10~12 北方謙三
「水滸伝」13~15 北方謙三
「水滸伝」16~18 北方謙三
「水滸伝」19 北方謙三

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「破軍の星」北方謙三
「楊家将」上下 北方謙三
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官軍が10万以上の大軍で梁山泊を討とうと動き始める13巻、その軍がとうとう20万以上になる14巻、そして梁山泊が必死の攻防を繰り広げる15巻。

戦いに明け暮れたこの3巻。物語の前半ではどんどん人が集まってきていたんですが、この辺りになるともう本当にどんどん人が死んでいきます。その方が、本家本元の「水滸伝」の108人集まるまで誰も死なない状態よりも、余程自然なんですけどね... 北方さんご自身、「俺の水滸伝は死ぬんだよ」とインタビューの時に呟かれていたのだそう。
今回好きだったのは、林冲が単廷珪を叩きのめす場面。そして特に印象に残ったのは、石梯山での魯達と鄒淵の会話。

「俺は、天下などほんとうに考えたことはないんだ。梁山泊が天下を奪る。そうすれば、別の宋ができる。それだけのことだ。違うと思うか?」
「それは、いい国かもしれねえだろう?」
「宋も、建国された時は、いい国だった。民に活気があって、いろいろなものが発展した。それが、やがて腐った。」
「梁山泊が天下を奪っても、腐ると思っているのかい?」
「十年後は見える。多分二十年後も。しかし三十年後は霧の彼方で、五十年後はないも同じだ。(後略)」

いや、全くその通りですよね。だからといって、何もしないまま諦めるのは間違ってると思うわけですが。(集英社文庫)


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「水滸伝」1~3 北方謙三
「水滸伝」4~6 北方謙三
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一度だけなら必ず勝てるという呼延灼が梁山泊に戦いを挑む10巻、もっと兵が集まるまでじっくりと力を蓄えたいという考えと、今が攻め込む時だという考えの対立が大きくなっている11巻、青蓮寺がとうとう闇塩のルートを探り出したのか?!という12巻。

ひーっ、この人が死んでしまうのか!という11巻なんですけども。
12巻での、「どちらでもいい、片方には死んで貰いたかった。ひとりが死んだあとに、そのことに気づいたよ」という台詞が凄いなあ。死んでしまったこと自体はとても衝撃的だし、みんなショックを受けてるけど、でも心の底にこういう思いを持っていた人も必ずいたはず。こういうところでウッと来るんですよね、北方さんの作品って。
でももうすっかり折り返し地点を過ぎて。これからは散っていく漢の方が多くなっていくんですねえ...。

そしてこの水滸伝を読んでいて、毎巻楽しみにしているのが実は解説だったりします。そもそも豪華メンバーだし、みんな熱いんですよねえ。語ってる語ってる。もっと本家の「水滸伝」との比較の話が多ければいいのに、なんて思ったりもするけれど。そして便利なのが登場人物表。なんていっても、登場人物が多いですからね。その巻の話に登場する順番で登場人物が紹介されていきます。戦死者の名前が載るようになったのも嬉しいところ。ただ問題は、その巻で官軍から梁山泊に加わったりする人物も、梁山泊の方に名前が入ってることかな。これで誰が加わるのかネタバレになっちゃいますしね。というよりも、この人はきっと加わるんだろうなと期待して梁山泊側の名前の一覧を辿ってしまう私の行動が、一番問題かしら。(笑)(集英社文庫)


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「水滸伝」7~9 北方謙三
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北方版「水滸伝」、全国を巡り歩いていてまだ梁山泊に入っていない宋江ら5人が大軍に包囲される7巻、祝家荘に入った官軍と梁山泊軍がぶつかる8巻、林冲に思わぬ罠が仕掛けられる9巻。

こういう作品には魅力的な敵役が不可欠だし、実際、青蓮寺の李富や聞煥章といった面々がそういった役割を務めてるのは分かるんですけど、官軍側があまりに魅力的になりすぎるのも問題なんですよね。読んでいても、宋という国の腐敗ぶりが今ひとつ伝わってこないような... もちろん役人は各地で賄賂を受け取って好き勝手してるし、禁軍にしろ地方軍にしろ、弛みきってる軍も多いみたいなんだけど、そんな全国から不満を持った人々が蜂起するほどとは思えないなあ。むしろ宋という国はとても大きくて、むしろ土台が堅固という印象です。そもそも青蓮寺みたいなしっかりした組織と人材があるんだし、たとえ腐りきっていたとしても、彼らなら民衆が決定的に蜂起する寸前の状態に押さえつけておくなんてことは簡単だったはず、とか思っちゃう。いくら不遇の状態に落とされてるからといって、れっきとした軍人がおいそれと叛徒に寝返るとも思えないですしね。でも、だからといって人材不足で勝負にならないなんてことになったら、それこそお話にならないし...。その辺りの兼ね合いがとーっても難しそう。
今回青蓮寺側がちょっと生彩を欠いていたのは、その辺りの関係なのかな~?
なーんてちょっと穿った読み方をしてしまいました。だって、今まで名前だけの登場だったとはいえ、あれほど恐れられていたはずのあの人物でさえ「あっさり」死んでしまうんですもん。この人物がやられるのはもちろん大歓迎なんですけど... でももうちょっと手応えが欲しかった気もするし... んんー、フクザツ。(集英社文庫)


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