Catégories:“2008年”

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「三六六日の絵ことば歳時記」という副題通り、1年366日の1日ごとに1ページ、その日が何の日だとか各地のお祭や行事、その季節ならではのお料理のレシピ、身近な草花や鳥や虫のこと、星座のこと、そしてそういうことからおーなりさんが思い出すエピソードなどを、優しいイラストを交えて書き綴っていった本。
タイトルを「ひらがな暦」としたのは、歳時記や暦に詳しくない人でも楽しめる、ひらがなのようにやさしい本にしたいから、とあとがきにありましたが、本当にその通りの本になってます。いやあ、可愛い本だなあ。こういう本って、本当は全部通して読んだりしないで、その日その日に毎日少しずつ読むべきなんですよね。私は図書館で借りてしまったので、結局通して読んでしまったのだけど...。今この季節に夏のことを読むのは、ちょっぴり妙な感じ。
今日、1月21日は大寒。「一年中で一番、寒い日。」(新潮社)


+既読のおーなり由子作品の感想+
「しあわせな葉っぱ」おーなり由子
「ひらがな暦 三六六日の絵ことば歳時記」おーなり由子
Livreに「きれいな色とことば」「月の砂漠をさばさばと」「モーラと私」の感想があります)

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12歳のアブリにとって初の旅となったのは、父が引き連れる小さなラクダの隊商に入って、同じ砂漠に住む別の遊牧の民を訪ねる旅。そしてその帰り道に一行が出会ったのは、1人で旅をしている見知らぬ男でした。スレイマンという名のその男は、昔話の語り部。彼は一行に加わることになり、帰り道の間、一行がお茶や食事で休むたびに物語を語ることになります。

日常&読んだ本log のつなさんのところで知った作品です。(記事
舞台となっているのは現代のサハラ砂漠なんですが、砂漠の民は昔ながらにラクダの隊商を引き連れて旅をして、語り部は昔話を語っています。アブリの希望で、スレイマンの語る物語には車や飛行機や電灯が登場するんですが、実際には魔法と冒険の物語。水の妖精ペリが登場して捨て子のサイードに贈り物をするところなんかを見ても、昔ながらの物語といった感じですしね。でも昔話の語り手と言えば、既に存在している話を自分なりにアレンジしながら語っていくものなのかと思っていたんですが、ここに登場するスレイマンの物語は違いました。隊商の面々の助けを得ながら、身の回りに現れる様々な物にインスピレーションを得ながら、物語を聞き手と一緒に作り上げていくんです。どんな話を聞きたいか聞き手に尋ねるのは当然としても、その後はかなり成り行き任せ。これが面白い~。スレイマンによると物語には3つの種類があって、1つはまず本当に起きた出来事が物語になったもの、次は夢が物語になったもの。そして最後は周囲にある物から紡がれた物語なのだそう。ここで語られてるのはこの最後のタイプの物語ですね。語っているスレイマン自身にも、話がどんな風に発展していくのか分かりません。ただ、周囲に現れる事象を見逃さないように気をつけながら、物語を絨毯のように織り上げていくだけ。
スレイマンの語る物語の主人公・サイードの旅は、宝物を探す旅。サハラ砂漠のニジェール河に始まり、モロッコや、エジプトのカイロ、北イエメンの首都サヌア、そして再びニジェール河へとサハラ砂漠の周囲を巡る旅。出会いと別れを繰り返しながらの物語は、最後の最後で意外な方向へ。いや、この最後がいいですね。まさかこんな風に繋がっていくとは!

そして物語を語るたびに、その締めくくりに登場する言葉も素敵。

誉むべきかな、アッラーの神。われらに言葉を授け、昔語りをする術を与えたまいしアッラーの神に感謝!

これこれ、こういうのが好きなんです♪ これは手紙の最後の署名のように、語り手それぞれに決まった言葉があるのだそう。
この物語の作者はドイツ人なんですが、本が読めるようになった頃からずっとアラビアの世界に魅せられて来たんですって。うんうん、分かる~。ものすごく伝わってきます。いや、もう雰囲気たっぷりの作品でした。(福武書店)

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初めての旅から2年後、トルコで暮らすと決意して会社も辞めてしまったフジイセツコさん。トルコ語も分からないまま、まずは3ヶ月の予定でトルコに滞在。そして半年の帰国を経て、再びトルコへ。そして気がつけば5年。友人に送っていた絵日記がきっかけでトルコ暮らしの話が1冊にまとまってしまったという本です。

コマコマとした説明入りのイラスト満載で、イラストが好みならとても楽しい本なんですけど...
スケッチ的なものはとてもいいのに、「ああなって、それからこうなって」的な、順番に読まなければならない絵になると、突如読みにくくなるのはなぜ? ちゃんとコマ割されてるページはともかく、矢印に沿って読んでいくタイプの絵は、どこから始まってどう進めばいいのか分からない&読みにくいー。それに、新藤悦子さんの本はトルコがどこか懐かしく感じられて無性に行きたくなるし、細川直子さんの「トルコの幸せな食卓」は、ものすごーく!トルコ料理が食べたくなったというのに、ついでにいえば高橋由佳利さんの「トルコで私も考えた」も大好きだったのに! この本を読むと「トルコに住むのは、私には無理だな」になっちゃう。楽しいエピソードも沢山載ってるはずなのに、トルコのイヤな部分ばかりが目につくというか... 作者と性格が合わないのでしょうか。逆にその部分が、今からトルコに住んでみようって人にはすごく役立つのではないかとも思うんですけどね。私にしてみれば、トルコの本で楽しく遊ばせてもらっていたのに、すっかり夢がなくなっちゃった感じです。(旅行人)

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20時間近く列車に乗って初めてトルコを訪れ、何はともあれ腹ごしらえをと街に出た時に入った食堂で食べたトルコ料理の安く美味しかったことに感動したという細川直子さん。テーブルに積み上げられたパンはパリッと香ばしく、噛み締めるほどにほんのり甘さが広がり、バットに盛られた料理の中から選んだ野菜と肉の煮込みも、暖かく優しい味がしてとても美味しくて、それでたったの300円。「食べものが安くておいしい国は、きっといい国に違いない」と感じた細川さんは、その後イスタンブールの旅行代理店に勤務しながら10年以上暮らすことになり、今もトルコと日本を行ったり来たりの生活なのだそう。「トルコのなにがそんなに気に入ったの?」という問いに「食べもの」と答えるほどの食いしん坊・細川直子さんのトルコ案内。

もう、なんて美味しそうなんでしょう! フランス料理、中華料理と共に世界三大料理に数えられることもあるというトルコ料理の魅力が圧倒的な勢いで伝わってくる本です。これは、細川直子さんが心底美味しいものが好きな方だからなんでしょうね~。あとがきに「料理研究家ではなくいわゆるグルメでもない私が、トルコ料理のことをどれだけ正確に伝えられるか自信はなかった」とありますが、これだけ美味しそうなら十分でしょう! もうほんと、読んでるとどれもこれも食べたくなっちゃいます。おなかがすいてる時に読んだら、ものすごくキケンな本かも。そしてその食べ物を通して見えてくるトルコの人々も、とても暖かくて魅力的なんですよね。確かに料理の安くて美味しい国には悪い国はないのかも! なんて気になってきます。トルコにはなかなか行けそうにないけど、せめてトルコ料理はまた食べに行きたいなあ。
巻末には代表的なトルコ家庭料理6品のレシピもあるので、試してみるのも良さそうです。(洋泉社)

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「地中海戦記3部作」と呼ばれているらしい3冊。一貫して描かれているのは、キリスト教の西欧諸国VSイスラム教のオスマントルコの戦い。「コンスタンティノープルの陥落」では1453年、「ロードス島攻防記」は1522年、「レパントの海戦」は1571年のそれぞれの出来事が中心に描かれています。

3作通して、なんだか小説を読んでるというよりも、まるでノンフィクションを読んでいるような印象の作品でした。やっぱりこの方の持ち味は、こういった硬質のノン・フィクション寄りの作風なんでしょうねえ。個人的な好みとしては、もっとフィクション寄りの作品の方なんですけど、実際には塩野さんの作品の中に描かれている恋愛模様なんかにはあんまりそそられないので... 結局こういった作風で正解なのかも。
3作ともどちらかといえば西欧側の視点から描かれてるんですが、私が興味津々だったのは、やっぱりというか何というかトルコ側。「コンスタンティノープルの陥落」で登場するのは、オスマントルコ帝国の基礎を築いたスルタン・マホメット2世。「ロードス島攻防記」は、夢枕獏さんの「シナン」(感想)や新藤悦子さんの「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」(感想)に出てきたスレイマン大帝。そして「レパントの海戦」に登場するのは、そのスレイマンの次にスルタンとなった息子のセリム。
でもこういう本を読むと、そういやトルコ軍の戦いっぷりってば残虐なんだった... と思い出させられちゃいますね。多分西欧側の視点から描いた本からの知識なので、必要以上に強調されていそうなんですが、「今降伏すれば全員の命は保証する」なんて言っておきながら、いざ降伏したら皆殺しにしちゃった、なんて印象がものすごーくあるんです。そして実際、「コンスタンティノープルの陥落」や「レパントの海戦」では、そういった一面も。でも驚いたのは、スレイマン大帝の紳士的なこと! ここまで紳士的なのってヨーロッパにも珍しいのではないかしら... 作中ではフランス貴族が引き合いに出されていて、「スレイマンこそ本当の騎士だった」なんて聖ヨハネ騎士団長が言ってたりします。本当にそうだったのかしら。でも実際がどうだったにせよ、こういった描き方ができるのは、キリスト教国家でもイスラム教国家でもない国の人間だけでしょうね。
実際の戦いの場面が中心で、そういうのは本当はあまり得意じゃないんですが、色んな立場の人間の視点から多層的に描かれているのが面白かったし、防衛的な城砦の構築なんかの話もすごく興味深かったです。聖ヨハネ騎士団についても知りたいと思っていたので丁度良かったし! でもやっぱり小説を読んだ~というより、勉強したな~って気分になるんですよね、塩野さんの作品って。(笑)(新潮文庫)


+既読の塩野七生作品の感想+
「ローマ人の物語 危機と克服」21~23 塩野七生
「ローマ人の物語」8~10 塩野七生 「ガリア戦記」カエサル
「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」塩野七生
「ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず」1・2 塩野七生
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」塩野七生
「ローマ人の物語 ハンニバル戦記」3~5 塩野七生
「ローマ人の物語 勝者の混迷」6・7 塩野七生
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前」8~10 塩野七生(再読)
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以降」11~13 塩野七生
「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ」14~16 塩野七生
「ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち」17~20 塩野七生
「ローマ人の物語 賢帝の世紀」24~26 塩野七生
「ローマ人の物語 すべての道はローマに通ず」塩野七生

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トルコの村で絨毯を一枚織り上げた新藤悦子さんは、絨毯に取り付かれたかのように絨毯の産地を巡る旅へ。そして気づいたのは、自分が惹かれるのは何年もかけて精緻に織り上げられた高価な絹の絨毯ではなく、遊牧民が織る伸びやかな絵柄のウール絨毯であること。絨毯を通して遊牧民の歴史を肌で感じるうちに、遊牧地を訪ねてみたくなった新藤さんは、トルコ西部の山にある遊牧民の夏の放牧地で羊飼いに挑戦することに。

遊牧民は本来、夏の遊牧地ヤイラと冬の遊牧地クシュラを往復する生活。現在は定住化政策によって、村で暮らしている遊牧民が多いようですが、それでもヤイラは遊牧民の誇りと憧れなのだそう。でもびっくりしたのは、ヤイラに行きたがってる新藤さんの前では「ヤイラなんて、今はもうないよ」とその存在を隠そうとすること。新藤さんが村の社交場であるチャイハネ(喫茶店のようなもの)に何度も通って親しくなっても、なかなか教えてもらえないんですね。一旦バレてしまえば、どのヤイラに行くのがいいのか話し合い始めるんですが。これは「日本人女性がなんで羊飼いなんかを?」というのもあるんでしょうけど、自分たちの拠り所として大切にしておきたいというのもあるのかな...。そして現実の羊の遊牧は、長閑で牧歌的な昼のイメージとは大違い。なんと日没から夜明けまでの夜通しの作業でした。そりゃ女性にはなかなか難しいはずだわ。
そしてこの出来事と同じように印象に残ったのは、幻の白い天幕(ユルト)を見たいという新藤さんが、「どうせあとで貧しいと馬鹿にするつもりだろう」と持ち主に断られる場面。その裏には、ここ数年でトルコ人労働者がめっきり増えたドイツで、トルコの貧しさを売り物にして悪口を言うようなテレビ番組が増えたという現実があるんだそうです。そして「ユルトにクラスというのもいいものですね」なんていう新藤さんに対するシェヴケットの言葉は、「冬にここに来れば考えも変わるよ」というもの。
ヤイラのことも白い天幕のことも、今の生活を愛しながらも厳しい現実の壁が立ちはだかっているというのが伝わってくるみたい。客人をもてなさないのは恥だと考えているトルコ人にそんな言動をさせてしまうなんて、その裏にあるものを考えてしまいます。きっと興味本位で無神経な客も増えてるんだろうなあ...。(朝日新聞社)


+既読の新藤悦子作品の感想+
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」新藤悦子
「エツコとハリメ」新藤悦子
「トルコ 風の旅」「イスタンブールの目」新藤悦子
「時をわたるキャラバン」新藤悦子
「羊飼いの口笛が聴こえる」新藤悦子
「チャドルの下から見たホメイニの国」新藤悦子

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ある6月の雨の日。仕事途中に立ち寄った青山のギャラリーの扉を押し開けた途端、思いがけない芳香に鼻をくすぐられて驚く友香。それは人間ではなく、ギャラリー奥の壁にかけてある小さな布裂から漂ってくる匂いでした。その週、ギャラリーではトルコの染織をテーマに絨毯やキリムを展示していたのです。その芳香に引き寄せられるように友香は毎日のようにギャラリーを訪れ、その布裂が13世紀のコンヤ地方の村で作られた貴重なトルコ絨毯だと知ることに。そして「匂いは、追わないと消えますよ」というオーナーの言葉に後押しされるように、友香はいい匂いのする絨毯を探しにイスタンブルへ...。

匂いがポイントになるという時点で、実はちょっと引きそうになりましたが... パトリック・ジュースキントの「香水 ある人殺しの物語」(感想)を読んだ時は全然そんなことなかったのに、なんでだろう? 体調の違い?(今、ひどい風邪をひきそうなところを一歩手前で踏みとどまってるような、イヤんな感じがあるのです) 読んでみれば結構面白かったです。芳香を放つ絨毯を探して旅をする物語。現代のイスタンブルから、13世紀のビザンティン帝国の首都・コンスタンティノポリスまで行くことになるという、タイムトラベル物でもあります。
トルコに何度も滞在している新藤悦子さんならではの現在や昔のトルコの描写や絨毯の話もたっぷり。トルコのルーム・セルジューク朝の最盛期を築いたスルタン・ケイクバードと、ニカイア帝国の「千の耳」テオドータの恋を通してトルコの歴史的な一面をも見ることもできて、雰囲気もたっぷり。もっとこの辺りの歴史的な小説を色々と読んでみたいな。(東京書籍)


+既読の新藤悦子作品の感想+
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」新藤悦子
「エツコとハリメ」新藤悦子
「トルコ 風の旅」「イスタンブールの目」新藤悦子
「時をわたるキャラバン」新藤悦子
「羊飼いの口笛が聴こえる」新藤悦子
「チャドルの下から見たホメイニの国」新藤悦子

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