Catégories:“2008年”

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幼い頃にアラビア人の乳母から聞いたジンの妖精の物語に憧れ続け、とうとう海を渡ってしまったフランスの裕福な貴族の息子・アズール。しかし、ようやく乳母が教えてくれた言葉を話す地にたどりついたというのに、そこでは青い瞳は呪われているとされており、アズールの青い目を見るとみんな逃げたり、石を投げつけてくるのです。アズールは仕方なく目を閉じて盲人のふりをして旅を続けることにし、やがて乳母のジェナヌと、兄弟のように育った乳母の子アスマールに再会することに。

イスラム繋がりで、「空とぶじゅうたん」と一緒に読んだんですけど... これって去年の夏に映画が公開されてた作品だったんですねー。(右がそのDVD) アマゾンによれば、「フランスアニメーション界の鬼才、ミッシェル・オスロ監督最新作! 『キリクと魔女』で、フランスアニメーション界最大のヒットを記録した、ミッシェル・オスロ監督の最新作『アズールとアスマール』。本作は2006年にフランスで公開され、『キリクと魔女』を超える160万人を動員する大ヒットを記録」だそう。いやー、アニメにはあまり興味ないので...。(汗)
表紙の絵に惹かれたんですが、中身の人物は目が怖い...。やっぱりいかにもCGって感じの人物の絵は苦手です。でもそこここに描かれている文様はとても素敵。アラビアの場面だけでなく、アズールのフランスの場面も。それだけでも、見た甲斐がありました。あと、表紙の絵も青が綺麗なんですけど、途中、夜に青く浮かび上がる町の情景もとても綺麗なんです。人物は影絵のように黒くなっていて、そういうのも好み。同じく闇の洞窟の場面も綺麗だったなあ。(徳間書店)

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じゅうたんを織るのが大好きな4人姉妹。おばあさんの焼いた熱々のチーズパイと、一番上のお姉さんの入れたチャイを飲みながらの休憩時間に話をねだられたおばあさんは、じゅうたんを織るのがとても上手だったイップという美しい娘と羊飼いのハッサンの話を物語ります...という「糸は翼になって」他、全5編。

旅の伴侶であり、話をつむぎ出す「糸口」そのものだったという絨毯。元々は遊牧民が生み出して、天幕の中に敷くのはもちろん、天幕の扉にしたり、塩や小麦粉を入れる袋にしたり、赤ちゃんをくるんだりと、日常の様々な用途に使っていたもの。その後、トルコやペルシャに広まると、テーブル掛けとして使ったり、絵のように壁にかけられるようにもなります。簡単に持ち運べる大切な財産でもあり、旅の途中で休憩する時にはさっと敷ける便利な敷物。小さいサイズの絨毯は、日に5回のイスラムの礼拝には欠かせないもの。そんな風に日常の生活に欠かせない絨毯にまつわる言い伝えを、新藤悦子さんが物語として織り上げ、こみねゆらさんの絵を添えた絵物語集です。
それぞれにアラビアンナイトの話の1つと言われたらそう思い込んでしまいそうな、雰囲気たっぷりの物語。これはトルコやイランを旅したり滞在したりして、実際にトルコで現地のおばあさんと絨毯を織ったこともあるという新藤悦子さんだからこそ書ける物語かもしれないですね。絵本なので、どうしてもそれぞれの話が短いのが難点なんだけど... もっとじっくり読みたかった。私が物語として一番惹かれたのは、2の方に収められている「ざくろの恋」で、これはアフガニスタンの内戦から逃げようと西の国境に向かって歩いていたハーシムが、いつの間にか砂漠に迷い込んでしまい、人気のない廃墟で白いターバンを巻いた少年に出会う話。時空を越えた素敵な物語です。でも、歌を歌うと恋心が糸となって出てくる「糸は翼になって」や、知らない男に嫁がされる哀しみを描いた「消えたシャフメーラン」なんかも素敵。そしてこみねゆらさんによる絵が素晴らしい! エキゾティックな雰囲気がたっぷりだし、それぞれの物語にはトルコのヤージュベディル絨毯、クルド絨毯、イランのムード絨毯、トルクメン絨毯、イスファハン絨毯といった、地方や部族ごとに代々伝わる美しい手織りの絨毯の細密な絵が紹介されいて、それがまた素敵なのです。殊にそれまで赤系がメインだった絨毯の中、最後に登場した青いイスファハン絨毯の美しいことといったら。このイスファハン絨毯は、イランの絨毯の中でも最も美しい絹製の絨毯なのだそう。実物を見てみたいし、触ってみたいなあ。本そのものもとても素敵で、ぜひ手元に置いておきたくなっちゃいます。(ブッキング)


+既読の新藤悦子作品の感想+
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」新藤悦子
「エツコとハリメ」新藤悦子
「トルコ 風の旅」「イスタンブールの目」新藤悦子
「時をわたるキャラバン」新藤悦子
「羊飼いの口笛が聴こえる」新藤悦子
「チャドルの下から見たホメイニの国」新藤悦子

+既読のこみねゆら関連作品の感想+
「妖精王の月」「歌う石」「ドルイドの歌」O.R.メリング
「夏の王」「光をはこぶ娘」O.R.メリング
「夢の書」上下 O.R.メリング
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「こもれび村のあんぺい先生」「にこりん村のふしぎな郵便 」「トチノキ村の雑貨屋さん」「ゆうすげ村の小さな旅館」茂市久美子
「風の誘い」茂市久美子
「仏蘭西おもちゃ箱」こみねゆら

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2年前、1匹の家ねずみ起こした事故のせいで耳がほとんど聞こえなくなり、恋人も失ってしまった絵描きの植田さんは3ヵ月後、画材一式とわずかな着替えを携えて、都会から遠く離れた高原の一軒家に引っ越すことに。

雪景色に包まれた、とても静かな物語。植田さんと高原の町の人たち、そしてイルマとメリ親娘の交流が、静かに描かれていきます。植田さんの日々は、鳥のさえずりも聞こえないとても静かなもの。私には、植田さんがそれほど心を閉ざしているようには思えなかったのだけど... それでも高原の小屋での孤独な生活を居心地良く感じているのは確か。「自分はずいぶん長く、この世の物音をきこうとしてこなかったのかもしれない。耳が悪くなっただけじゃない、みずから耳をふさぎ、かたく身をちぢめ、音を遠ざけていたんだ。それはまた、自分で音を出さずにいる、ということでもある。ちょうど冬の山奥でかたく凍りついた岩のように」という言葉がとても印象に残りました。
メリとオシダさんが一緒に植田さんの作品ファイルを見ている場面、窪地の「ばけもの」を見に行く場面、凍結した湖でのスケートの場面、火祭りの場面、それぞれの場面がとても印象的。火祭りの時に人々が山の神に向けて書いている祈りの言葉が、素朴で暖かくて素敵~。横領事件やイジメ問題が絶えない「向こう側」とは、まるで別天地みたい。
後半、植田さんの描いた絵が挿入されます。これは植田真さんが描いた絵。この植田真さんは、この物語の植田さんとはまた違いますよね...?(笑) 絵の雰囲気がとても物語の雰囲気に合っていて、絵を見ながらメリと同じ気持ちになれたような気がしたほど。植田さんの感情が久しぶりにほとばしり出たような絵の数々でした。(新潮文庫)


+既読のいしいしんじ作品の感想+
「トリツカレ男」いしいしんじ
「絵描きの植田さん」いしいしんじ・植田真
Livreに 「ぶらんこ乗り」「麦ふみクーツェ」「プラネタリウムのふたご」の感想があります)

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高校2年生の春休みの京都旅行の時に急行列車の中で出会って親しくなり、しかしその後亡くなってしまった阪井京子。その京子のご両親から久しぶりに家に招かれた「わたし」は、かつて京子にもらったそばちょこに梅酒ゼリーを作って持っていくのですが... という「のぞき梅」他、全11編の短編集。

単行本未収録の作品から、ホラー風味の強い11編選んで収めたという短編集。若竹七海さんお得意の、人間の悪意がじわじわ~っと染み込んでくるような怖さや、漠然とした不安からくる怖さ、超常現象や怪奇現象的な怖さ、怪談的な怖さなど、一言でホラーとは言っても怖さは様々。でも読んでいて、それぞれの作品がばらばらに発表されたとは思えないほど、各短編同士に繋がりや流れがあるのにはびっくりでした。特に途中の何編かは、短編のポイントとなる言葉が次の短編に引き継がれていて、そういった意味でもぎょっとさせられたし...。短編集を組む時に、その辺りの配列にも十分気を配られたんでしょうねー。
それぞれに面白かったんだけど、これで私が短編が苦手でなければもっと楽しめたでしょうに勿体ないなー、と思ってしまいました... 11編もあると集中力を持続させるのが大変なんです。連作短編集なら、準長編みたいなものだから大丈夫なんですけどね。
それでも一番印象に残ったのは表題作の「バベル島」かな。これはイギリスのウェールズ北西部のバベル塔で起きた惨劇の話。そこでボランティアの一員として働きながらも、からくも日本に生還した高畑一樹と、200年前にそこを訪れていた曽祖父・葉村寅吉、それぞれの日記から話が進んでいきます。舞台といい雰囲気といい何と言い、かなり好み。あ、葉村寅吉ってことは、葉村晶の曽祖父... だったりするのかな。やっぱり。(光文社文庫)


+既読の若竹七海作品の感想+
「猫島ハウスの騒動」若竹七海
「親切なおばけ」若竹七海・杉田比呂美
「バベル島」若竹七海
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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富貴庵の店主・芦辺が陶子に語ったのは、同じ人形が10ヶ月のうちに3度も店に戻ってきたという話。昭和を代表する人形作家・北崎濤声の正真物で、しかも素晴らしい出来の人形だというのですが... という「倣雛心中」他、全4編。

冬狐堂のシリーズ第4弾。このシリーズを読むのも久々です。以前から、魑魅魍魎が跋扈するような古美術・骨董業界の話が面白くも、あまりに救いがなくて、読んでいるとちょっと息苦しくなってしまうようなところがあったんですが、今回もそうでした。相変わらず傷だらけになりながらも、女1人この世界で生き抜いていこうとする陶子の姿が痛々しい...。自分目当ての罠だと分かっていても、毅然とした一歩を踏み出すような女性だし、そんなところが彼女の魅力なんですけどね。
業界内の悪意以外にも、何も知らずに見れば見事な品物が、思いがけない業を潜めていることもあります。大切にされてきた素性の良い品物ならともかく、ここに登場するのは作り手や代々の持ち主のどろどろとした負の思いを引き継いでいそうな品物ばかり。もうほんと、見事に上っ面だけが綺麗な世界ですね。同じように古い品物を扱っていても、先日読んだ畠中恵さんの「つくもがみ貸します」(感想)とは、全然雰囲気が違うなー。
今回は、陶子の旗師生命も危ぶまれる要素が登場。そんな脆さを秘めた陶子を支えていくのが、カメラマンの横尾硝子でした。その硝子が一番クローズアップされるのは、表題作の「瑠璃の契り」。これは薩摩の切り子ガラスの話。表紙にもなってるコレです。...そうか、彼女は名前そのまんまのガラスだったのねー。ということは陶子はやっぱり陶器で、プロフェッサーDは、DOLL...?(笑) その他にも雅蘭堂の越名集治や、博多でカクテルを名物とする屋台を出してる根岸キュータ、池尻大橋や三軒茶屋のバーが登場します。(文春文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「狐罠」「狐闇」「緋友禅」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「瑠璃の契り」北森鴻

+既読の北森鴻作品の感想+
「共犯マジック」北森鴻
「蜻蛉始末」北森鴻
「親不孝通りディテクティブ」北森鴻
「螢坂」北森鴻
「暁の密使」北森鴻
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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癌で亡くなったお父さんのこと、高校生となった2人の娘さんのこと、犬のグレイのこと。空のこと、風のこと、雲のこと、絵を描くこと、そして自分のこと。2年もの間、空の底に棲んで、昨日と明日の境目で「空の断片」を切り取っては、「その形や色をことばにおきかえて 空のあなをうめて」いく作業をし続けていたといういせひでこさんの、日常を切り取ってスケッチしたようなエッセイ集。

このエッセイは、「雲のてんらん会」の絵本(感想)とほぼ同時期に書かれていたみたいですね。この2冊はセットで楽しむべき本なのかも。それぞれのエッセイのタイトルも、「はぐれ雲」「ひつじ雲」「ひこうき雲」「徒雲」「線状巻雲」「北海道の雲」... と、雲や空を感じさせるものばかりです。毎日の空に浮かぶ様々な雲にはそれぞれの物語があるように、それらを集めたこの本もまた、まさに「雲のてんらん会」という言葉に相応しいものになってます。こうやって空の雲を言葉に置き換えていくことによって、伊勢さんご自身が様々な出来事を乗り越えるための静かなパワーを生み出していたのかも。
この本の表紙の絵は、「五月の歌」というタイトルで、真っ青な空の下で少年が一心にチェロを弾く絵。聖路加国際病院の小児科病棟にあるのだそうです。小児科病棟にこんな絵が飾られているだなんて素敵だな。(理論社)

昨日と明日に境はなく
それでも後ろをふりとばして
歩いていく中で
出会った雲や風や光。
毎日かきかえられる空の地図。
透明なはさみをもって
空の底に棲む私。
切りとられた「空の断片」は
スケッチ帖からはみ出し
ポケットからこぼれ出し
行き先をさがしていた。
ていねいにひろって
そらのひきだしにしまった。


+既読の伊勢英子作品の感想+
「ルリユールおじさん」「絵描き」いせひでこ
「旅する絵描き パリからの手紙」伊勢英子
「グレイがまってるから」「気分はおすわりの日」伊勢英子
「マキちゃんの絵にっき」「ぶう」伊勢英子
「カザルスへの旅」伊勢英子
「はじまりの記憶」柳田邦男・伊勢英子
「1000の風 1000のチェロ」「雲のてんらん会」いせひでこ
「空のひきだし」いせひでこ
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ
「大きな木のような人」「ルリユールおじさん」いせひでこ
「にいさん」いせひでこ
「ざしき童子のはなし」「よだかの星」「風の又三郎」「水仙月の四日」宮沢賢治・伊勢英子

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新しくチェロ教室に入ってきた女の子は、ぼくよりもずっと難しい曲をペラペラと弾くのに、なんだか怒ってるみたい。でも帰り道に公園でまた会った2人は草の上に座って一緒にチェロを弾き、大通りでチェロを持った人々が同じ方に歩いていくのを見て、一緒について行ってみることに... という「1000の風 1000のチェロ」。そして、夜明けから夕暮れまでの様々な時の、そして様々な色や形をした雲を集めた「雲のてんらん会」。

「1000の風 1000のチェロ」は、大震災復興支援コンサートのことをモチーフにした絵本。ここに出てくる女の子は、神戸で震災の被災者。そして「ぼく」の方は、飼っていた犬のグレイを亡くして、その代わりにお父さんが買ってくれたチェロを始めた男の子。今日って1月17日だったんですね。これを昨日図書館で借りてきたのは、そして今朝これを読んでいたのは、それに合わせたわけじゃないんですけど... むしろ思い出してたら借りてこなかっただろうと思うのだけど... あの記憶は私にとっては今も生々しいのだけど、それでも、こんな風に震災関係の本が読めるようになったんだなあ、私。
「雲のてんらん会」は、様々な雲を集めた、まさに雲の展覧会。伊勢英子さんが雲がお好きで、いつか雲の絵本を作りたい思ってらしたというのは、確か「グレイが待ってるから」(感想)で読んだのだけど、それがこういう形になったのかあ。私も空を見上げるのは大好き。朝焼けに燃えている空も、お昼間の空にぽっかりと浮かぶ白い雲も、お天気の悪い日の今にも落ちてきそうなどんよりとした色の空も、そして夕闇の迫る空の微妙な色合いも。私の場合はどちらかというと、雲が好きというよりも空の色合いを追うのが好きなのだけど。ここに収められた絵も、添えられた文章もとても美しいです。何時間でもぼーっと眺めていられそう。ただ、せっかくの文章なのに、フォントがね... もう少し違うものだったら良かったのに。もっと柔らかい、たとえば雲のような風のようなイメージのフォントはなかったのかな。フォントは同じでも、せめて太文字でなければ。それだけが少し残念。(偕成社・講談社)


+既読の伊勢英子作品の感想+
「ルリユールおじさん」「絵描き」いせひでこ
「旅する絵描き パリからの手紙」伊勢英子
「グレイがまってるから」「気分はおすわりの日」伊勢英子
「マキちゃんの絵にっき」「ぶう」伊勢英子
「カザルスへの旅」伊勢英子
「はじまりの記憶」柳田邦男・伊勢英子
「1000の風 1000のチェロ」「雲のてんらん会」いせひでこ
「空のひきだし」いせひでこ
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ
「大きな木のような人」「ルリユールおじさん」いせひでこ
「にいさん」いせひでこ
「ざしき童子のはなし」「よだかの星」「風の又三郎」「水仙月の四日」宮沢賢治・伊勢英子

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