Catégories:“2009年”

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大学3年の由布は、伯母が営む小さな飲み屋・雁木亭でアルバイト中。そんなある日、由布が開店前の掃除をしていた時にやって来たのは、雁木亭の常連の1人、浜中。浜中は息子のいる茨城に引っ越すことになり、挨拶にやって来たのです。伯母は店の奥にある井戸の水を由布に汲ませ、その水を浜中に飲ませます。その井戸の水には不思議な言い伝えがあり、潮ノ道を出る時にこの水を飲んでおけば、必ずまたこの地に戻って来られるというのです... という「帰去来の井戸」他、全7編の連作短篇集。

お久しぶりの更新です... が、すみません、まだ復活したというわけではないのです。まだまだ充電中なのですが~。
光原百合さんの本が出たので! 出たら感想を書くとお約束してたので! それと1つ下の記事は、いただいた本のお礼がてらの感想です。

このシリーズは「オール讀物」に不定期に掲載されていて、その時にほとんどの作品を読んでいるのですが、通して読むのは今回が初めて。光原百合さんの潮ノ道を舞台にしたファンタジーのシリーズです。もうほんと大好きで、本になるのが待ち遠しかったんですよー。通して読めて嬉しい! あ、でも、表題作の「扉守」以降はブログに感想を書いてるんですが、1作目の「帰去来の井戸」は、どうやら今回初めてだったみたいです。それに「桜絵師」も読んでない... これは「小説現代」に掲載だったんですね。いやん、知らなかった!(というより、教えて頂いたのに頭からすっぽり抜けてしまっていたのかも...)

今回、本のタイトルが「扉守」となっているのが、実は少し意外だったのです。てっきり「潮ノ道幻想譚」とかその手のタイトルになるかと思いこんでいて、作品の1つのタイトルが本全体のタイトルになるとは思ってなくて。でも改めて通して読んでみて、なんとなく分かったような気がしました。1作ずつ読んでいた時は気がついてなかったんですけど、「扉守」はシリーズの方向性を決定づけた作品というか... それまでの「帰去来の井戸」も「天の音、地の声」も、言ってしまえば十分そういう作品だったんですけど、ここまではっきりとは定まってなかったような気がしますね。なんというか、ここでしっかりと楔を打ち込まれた... というのは言葉の使い方を間違えてるような気もしますが(汗)、そんな印象がありました。
どの話もそれぞれに良かったし、すごく好きな場面が色々と。例えば「帰去来の井戸」の小舟の場面とか... 冴え冴えとした満月の光が水に映るのが感じられてとても素敵。あと「天の音、地の声」の、夕暮れの中の宵闇色の猫とか、「ピアニシモより小さな祈り」の終盤の和音が響く場面とか。...あ、夜の場面ばかりだ。そうか、だからこの本の表紙絵は夜のイメージだったのか。(と、今頃納得してみたり) あ、でも「桜絵師」の満開の桜の場面もとても素敵だったなあ。満開の桜って、とても美しいんだけど美しいだけじゃない何かがありますよね。そんなイメージにぴったりで。そして話としては、最後の「ピアニシモより小さな祈り」が一番好きかな。私自身がピアノに思い入れがあるせいが大きいかもしれませんが、読んでいるとじんわりと胸が熱くなります。でもどの話もそれぞれに大好き。零さんのピアノも実際に聴いてみたいし、サクヤさんたちの芝居も観たいし、行雲さんの絵も見てみたい。満月の夜の小舟も見てみたくてたまらない... どの話を読んでも、潮ノ道に行ってみたくて堪らなくなります。まだまだ続いて欲しいシリーズです。(文藝春秋)


+既読の光原百合作品の感想+
「ありがと。 あのころの宝もの十二話」ダ・ヴィンチ編集部編(「届いた絵本」)
オール讀物11月号(文藝春秋)(「扉守」)
小説NON 11月号(祥伝社)(「希望の形」)
小説推理・オール讀物・星星峡(「1-1=1」「クリスマスの夜に」「オー・シャンゼリゼ」)
「最後の願い」光原百合
光原百合ベスト3@My Best Books!
「尾道草紙」尾道大学 創作民話の会
「銀の犬」「親切な海賊」光原百合
オール讀物 2007年10月号(「写想家」)
「嘘つき。 やさしい嘘十話」ダ・ヴィンチ編集部編(「木漏れ陽色の酒」)
オール讀物 2008年11月号(「旅の編み人」)
「新・本格推理 不可能犯罪の饗宴」二階堂黎人編・オール讀物 2009年8月号(「ピアニシモより小さな祈り」「花散る夜に」)
「イオニアの風」光原百合
「扉守 潮ノ道の旅人」光原百合
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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高校1年の秋。文化祭を前に化学部の硫酸銅の結晶がなくなり、文化祭の実行委員をしている穂村チカは、同じ吹奏楽部所属で幼馴染の上条ハルタに助けを求めます。硫酸銅の結晶は透明で美しい青色が人気の結晶なのですが、実は劇薬。警察に届けるべきなのは分かっていても、一旦届けてしまえば文化祭は間違いなく中止になってしまうのです... という「結晶泥棒」 他、全4編の連作短篇集。

先日サイン本を送って頂いたんですけど! お礼のメールをしようとしたのに、本に挟まっていた名刺をなくしてしまって、連絡先が分からなくなってしまいました...。ということで、本の感想を書いてお礼に代えさせていただきます。Uさん、ごめんなさいーーー。そして、いつもありがとうございますーーー。

この本を読んだのは先日の三連休の時。久々に「のだめカンタービレ」のDVDを観はじめたらすっかりハマってしまって、読書がすっかりお留守になってしまったんですけど、この作品は高校の吹奏楽部の生徒が中心になってるので、微妙にリンクしててすごく楽しめました。ああ、オーボエってそういう楽器だったのか、とか。そう知ってみると、のだめの黒木くんは、どんな風にオーボエを選んだのかなーとか考えてしまいます。(もちろんその音色が一番の理由でしょうけど) 吹奏楽部の割に、肝心の楽器演奏の場面がほとんどなかったのが、少し残念だったんですけどね。

初めての作家さんの作品なので、読む前にどんな雰囲気なんだろう?とドキドキしたし、最初にハルタが引きこもりっぽかったので、ちょっとキケン...? と思ったんですが、読み進めてみれば全然大丈夫でした。音楽とミステリ。そして青春。雰囲気はちょっと軽めだけど、なかなかいいですねえ。これは米澤穂信さんの古典部シリーズを思い出すわーー。と思いつつ読み進めてみれば、やっぱりそう感じてらっしゃる方が多いようで!
白いルービックキューブの話も良かったし、表題作「退出ゲーム」での即興劇も面白かった。「エレファンツ・ブレス」 の意外な方向への展開も楽しめたし。みんなの憧れの草壁先生の魅力は今一つ伝わってこなかったのが残念だったんですが、演劇部の名越や看板女優のマヤ(笑)、生徒会長の日野原や発明家の萩本兄弟、ミステリアスななサックス吹きのセイ・マレンなど脇役にも楽しい面々が揃ってるし、これはぜひ続編に期待したいと思います... と思ったら、既に出てるんですね。「初恋ソムリエ」、今度はこちらも読んでみます。(角川書店)

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14歳のカッレは名探偵に憧れ、ロンドンの貧民窟やシカゴの暗黒街に生まれたかったと思っている少年。日々怪しい人物をチェックし、町の治安を守るために見回りを欠かさず、空想の中で「探偵ブルムクヴィスト」になっては、いっぱしの名探偵ぶって「架空の聞き手」相手に捜査や推理の基本を語ってきかせています。しかし実際には、カッレは小さな町の食料品店の1人息子。カッレが住む平和な町では事件など望むべくもないのです。そして夏休み。遊び仲間の靴屋の息子のアンデスと、パン屋の娘のエーヴァ・ロッタと一緒に毎日のように遊びまわっているカッレの前に現れたのは、エーヴァ・ロッタのお母さんの弟だというエイナルおじさん。エイナルおじさんはエーヴァ・ロッタの家にしばらく滞在することになり、何かといえばカッレたち3人につきまとうのですが...。

子供の頃の私にとってリンドグレーンといえば、まずこのカッレくんのシリーズ。もう何度読んだか分からないぐらい大好きでした。ピッピもいいんですけどね、破天荒で突拍子のないことをしてばかりのピッピよりも、この3人の方が好き。現実味があって、身近な存在に感じられたからかも。このシリーズを最初に読んだのは、多分小学校3年生の頃だから、9歳のピッピよりも14歳のカッレたち3人の方が大人っぽく感じられて良かったというのもあったのかも。
ケストナーの「エーミールと探偵たち」はもう読んでたかもしれないけど、ホームズやルパンを読むようになる前で、「探偵」という存在にもあまり馴染んでなかった頃。カッレくんが憧れるエルキュール・ポワロやピーター・ウィムジィ卿の存在も知らなかったし(アスビョーン・クラーグは未だに知らない)、歴史上のバラ戦争なんていうのも、もちろん初耳。でもカッレたち3人の「白バラ軍」と、それに敵対する「赤バラ軍」のバラ戦争にも「いく千いく万の人命は、死と死の暗夜に落ちてゆくであろう」という言葉にもワクワクしたし(この言葉は、今読んでも本当にかっこいい)、夜中にこっそり家を抜け出しての冒険ときたら! そしてエーヴァ・ロッタのパパがくれる甘パンの美味しそうなことったら!

で、今回久しぶりに本を手に取ったんですけど、やっぱりすっごく面白かった~。これは本当に大好きです。展開も全て覚えてるというのに、すっかり童心に戻ってワクワク。でもそんな風にワクワクしつつも、早く名探偵になりたくて背伸びしてるカッレくんが、たまらなく可愛かったりなんかもして~。この辺りは自分が年を重ねた分、受ける印象がちょっぴり変わりますね。そういう描写がその時よりも目につくというか。一緒に白バラ軍に入って活躍したい(というかエーヴァ・ロッタになりたかった)と思ってた子供の頃とは違って、温かい目で見守る側になってる自分を再認識してしまう...。そして空想の中の事件だけでなく現実の事件に触れることによって、3人が大人の世界を垣間見る部分なんかでは、ああ、まだまだ大人になってしまうのは早いよ、1日でも長くこの幸せな時間を過ごさせてあげたいな、なんて思ってしまう...。
と言いつつ、入れるものなら今でもやっぱり私も白バラ軍に入りたいですけどね。で、赤バラ軍と戦争をしたい! 聖像の争奪戦を繰り広げたい! 白バラ軍はもちろんだけど、赤バラ軍のシックステンとベンカとユンカだって、とっても気持ちいい男の子たち。赤バラも白バラも、読んでる私まで気持ちよくなってしまうほど素敵な子供たちです。やっぱりいいな、このシリーズは。いくつになっても、子供の頃、最初にこのシリーズを読んだ頃の自分を思い出させてくれるみたい。うふふ、大好き。(岩波少年文庫)


+既読のリンドグレーン作品の感想+
「長くつ下のピッピ」「ピッピ船にのる」「ピッピ南の島へ」リンドグレーン
「やかまし村の子どもたち」「やかまし村の春・夏・秋・冬」「やかまし村はいつもにぎやか」リンドグレーン
「名探偵カッレくん」「カッレくんの冒険」「名探偵カッレとスパイ団」リンドグレーン

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リーサはもうじき8つになる女の子。家族はお父さんとお母さん、9歳のラッセと8歳のボッセという2人の兄さん。リーサの住んでいる家はやかまし村の中屋敷で、北屋敷には9歳のブリッタと7歳のアンナという2人の女の子、そして南屋敷にはオッレという8歳の男の子がいます。険しい坂道をいくつも上ったとても高いところにあるやかまし村にあるのは、この隣り合った3つの屋敷だけなのです。

ほのぼのとした小さな農村を舞台にした6人の子供たちの物語が、リーサの視点で語られていきます。リンドグレーンでも、このシリーズを読むのは今回が初めて。ピッピのシリーズと比べるとあんまり穏やかでほのぼのしているので(大自然の中の冒険はたっぷりなんですが)、最初はちょっと物足りなく感じてたんですが、3冊読み終える頃にはすっかりこの世界に入り込んでいました。
男の子と女の子の3人ずつに分かれることはあっても、6人の子供たちはいつでも一緒。ほとんどの出来事はやかまし村の中か、そうでなければ学校のある大村で起こります。学校に通うのも6人一緒。学校のない休みの間は、それこそ一日中一緒。ラッセとボッセの部屋とオッレの部屋は菩提樹伝いに移動できるほどだし、リーサの部屋とブリッタとアンナの部屋も、紐を渡してタバコの箱に手紙を入れて伝わらせられるほどの近さ。6人の子供たちも同じ兄弟姉妹のような近しさ。一緒に秘密の隠れ家を作ってみたり、自分たちにしか分からない言葉で話してみたり、インディアンごっこをしてみたり... そんな日常の遊びの中に、カブラ抜きをしたり鶏の卵を集めたり、動物たちに餌をやったり、干し草の取り入れをしたりという家のお手伝いも入ってくるんですが、みんなでやればどれも楽しくて。電話もテレビもない生活なんですが、和やかなゆったりした空気が流れているのがとても心地いい~。親同士も仲が良いので、3つの家族が大きな1つの家族みたいなんですよね。元々はこんな風に育った子供たち同士が結婚したのかしら? あくまでも子供たち中心の話なんだけど、ふとしたところから大人の包容力の大きさや温かく見守るまなざしが感じられて、それもいいんですよね。こんな温かい環境で育つ子供たちは、心の中まで豊かになるはず。本当に幸せ者だな~。(岩波少年文庫)


+既読のリンドグレーン作品の感想+
「長くつ下のピッピ」「ピッピ船にのる」「ピッピ南の島へ」リンドグレーン
「やかまし村の子どもたち」「やかまし村の春・夏・秋・冬」「やかまし村はいつもにぎやか」リンドグレーン
「名探偵カッレくん」「カッレくんの冒険」「名探偵カッレとスパイ団」リンドグレーン

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スウェーデンの小さな町のはずれの草ぼうぼうの古い庭に「ごたごた荘」という名前の古い家が建っていました。その家に住んでいるのは、ピッピ・ナガクツシタという名前の女の子。9歳なのにお父さんもお母さんもなく、船乗りだったお父さんにもらったサルの「ニルソン氏」と、この家に来てすぐ金貨で買った馬一頭と一緒に住んでいるのです。ごたごた荘の隣の家にはトミーとアンニカという男の子と女の子が住んでおり、3人はすぐに仲良くなります。

子供の頃に何度も読んだ長くつ下のピッピのシリーズ。先日ふとテレビをつけたら、一人芝居みたいなのをやってて懐かしくなっちゃって! 思わず手に取ってしまいました。久々の再読です。あ、子供の頃に何度も読んでいたとは言っても、自分で持っていたのは最初の「長くつ下のピッピ」1冊だけ。なので何度も読んだのもこれ1冊で、あとのは1、2回しか読んでないのですが。

子供の頃でも、ピッピみたいな破天荒な女の子が実際にいたら楽しいけど大変だろうなと思いながら読んでいた覚えがあるので、大人になった今読み返したら、ピッピに苦笑させられてしまうかも、なんて思ってたんです。もしかしたら、ピッピが痛々しく感じられてしまうかも? とも。で、ちょっと手に取る前に躊躇ってたんですが、杞憂でした。相変わらず楽しい! ピッピ、可愛い!
でも、改めて3冊まとめて読んでみると、1冊ごとにピッピの姿がだんだん変っていくなあ、なんて思ったりもしますね。1冊目のピッピはほんと破天荒。何者にも束縛されず自由気儘に日々すごしていて、仲良しのトミーとアンニカを喜ばせるのは大好きだけど、そのほかの人たちには、それほどサービス精神旺盛というわけでもないみたい。大人をからかうのも、自分が楽しいからってだけだし... まあ、その真っ直ぐさがいいんですけどね。火事の家に取り残された子供たちを救いだして英雄になってますが、この時も火事の恐ろしさや、取り残された子供たちの感じている恐怖を理解してるわけではなくて、周囲の人たちの話から助けた方がいいと分かったから、助けてます。
でも2冊目になると、力強いのは相変わらずなんだけど、いじめっ子や乱暴者をやっつける「弱きを助け強きをくじく」ピッピ像が強調されているようです。トミーとアンニカ以外の子供たちにも目を向けるようになるし、この2人以外の気持ちを考えることもし始めます。2人を連れ出して遊びに行った時にも、後で2人の両親が心配しないように置手紙を残してたりしますしね。これは1冊目では考えられなかったこと。そして3冊目になると、ピッピのほら話で逆に励まされる人も出てきますし。いつの間にかトミーとアンニカのお母さんの信頼も勝ち得てます。
最初は、破天荒なピッピ像から、もっと多くの人に受け入れられやすいヒロイン像へと微妙に変化したのかなーなんて思っていたのですが、3冊目を最後まで読んでみると、やっぱりこれはピッピの成長といった方が相応しいような気がしてきました。というのは、3冊目の「ピッピ南の島へ」のラストから。これは、ちょっとびっくりするような雰囲気なんですよね。そういえば、子供の頃もこのラストには違和感を感じていたのですが... でもこれが、既に大人であるリンドグレーンなりの終わらせ方だったんでしょうか。楽しい子供時代の終わりの予感。

で、子供の頃もピッピよりもアンニカになりたいと思った私ですが、大人になってから読み返しても、やっぱりなり替わるならアンニカの方が~ でした。自分自身がアンニカに近いというのも大きいんですけど(笑)、何といっても、アンニカならピッピの近くの一番いい位置でトミーと一緒に楽しんでいられますしね。「もの発見家」になるのも、木の上でお茶をして、その木の大きなうろの中に入ってみたりするのも、本当に楽しそう。ちょっと怖くなっちゃうような冒険も、2人がいれば大丈夫。遠足やパーティーで出てくるピッピの手作りのご馳走も美味しそう。読んでいるだけでワクワクしてきます。例えば床の上にショウガ入りクッキーの生地を伸ばしたり、誕生日のパーティのテーブルのご馳走をテーブルクロスごと片付けてしまうのは、冷静に考えればかなり困った状態になるはずなんですけどね。(笑)
それに子供の頃に一番羨ましかったのは、ピッピの家の居間にある大きなタンス。ピッピがお父さんと一緒に世界中をまわった時に買った宝物が、沢山詰まっているタンスなんです。2人がタンスの引き出しをあけては楽しんでるのが羨ましくて仕方なかったし、何かのたびにピッピがトミーとアンニカにプレゼントしてる物もすごく素敵だし! これは今でも羨ましくなっちゃいます。やっぱりアンニカになって、トミーとピッピと一緒に引き出しを覗きこみたいわ~。(ピッピになれば、その全ては自分の物になるのにねえ・笑)(岩波少年文庫)


+既読のリンドグレーン作品の感想+
「長くつ下のピッピ」「ピッピ船にのる」「ピッピ南の島へ」リンドグレーン
「やかまし村の子どもたち」「やかまし村の春・夏・秋・冬」「やかまし村はいつもにぎやか」リンドグレーン

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小さな町のラテン語学校に通っていた10歳の頃。シンクレールが近所の少年2人とうろついているところにやって来たのは、普通の小学校に行っている13歳ぐらいの強く荒っぽい少年・フランツ・クローマー。クローマーはシンクレールたちを手下のように扱い、クローマーを恐れていたシンクレールも内心面白くないながらも、それに従うことに。そして自分の身なりやしつけの良さが彼らの反感をそそっているのを感じたシンクレールは大げさな泥棒の話を作りだして語り、それが天地店名にかけて本当のことだと誓ってしまうのです。そしてその日からシンクレールはクローマーに脅されることになるのですが...。

感想はのちほど。(新潮文庫)


+既読のヘルマン・ヘッセ作品の感想+
「メルヒェン」ヘルマン・ヘッセ
「デミアン」ヘルマン・ヘッセ

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モストアッケル通りに住むある若い未亡人に子供が生まれ、かねてから挨拶を交わしていた、隣人のビンスワンゲルさんが名づけ親となります。そして1つの願い事を言うようにと言われた未亡人は、みんながわが子を愛さずにはいられないようにということを願うのですが... という「アウグスツス」他、全9編の短篇集。

ヘッセによる創作童話集。童話とは言ってもグリムやペローのようなものではなくて、どちらかといえばトルストイのような雰囲気。でも民話を膨らませたトルストイとは違って、こちらは純然たる創作です。そして童話とは言っても子供向けではなくて、むしろ青少年から大人向けの深みのある物語ですね。どれもすごく良かった~。ヘッセは「車輪の下」を読んだことがある程度なんですが、それも全然覚えてなくて...。改めて、色々と読んでみたくなりました。

特に良かったのは、やっぱり表題作の「アウグスツス」かな。これは「愛されること」の意味を考えさせられます。若い母親は「愛されること」こそが一番の幸福と考えて、息子のためにそれを願ったわけなんですが... 「愛されること」は、確かにすごく幸せなことですよね。誰だって他人は好かれたいはず。少なくとも嫌われたいとは思ってないはず。でも「愛されること」は、確かに幸せの1つではあるものの、それは一番良いことというわけではなくて...。1人の人間が日々生活し、様々な感情や行動を積み重ねてこその「愛されること」なんですね。ただ「愛される」だけではダメ。もちろん、他の人間が同じことを願ったとしても、同じ結末を迎えるとは限らないのですが。これを読んで、設定も展開も結末も全然違うんですが、オスカー・ワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」を思い出しました。
あと私が好きだったのは「別な星の奇妙なたより」かなあ。これは、ユートピアとも言える美しい村が雷雨と大水と地震によって破壊され、死者のための花もなくなってしまったため、1人の若者が王様に花をもらいに行くことになるという話。この村には悲しみや憎しみ、嫉妬や殺人といった悪は存在しないので、若者もそういうのをおとぎ話で読んだことがあるだけなんです。でも王都への旅の途中に生々しい戦争を目の当たりにして...。この辺りは、やっぱり第一次大戦中に書かれたということなんだろうな。この作品もそうなんですけど、陰惨さと苦しさ、そして幻想的なまでに美しい情景が対照的な作品、主人公も絶望に打ちのめされたかと思えば歓喜に打ち震えることになって、極端から極端へ走るというのが多かったかも。ヘッセ自身も、感情の振れ幅の大きな人だったのかしら。そしてこれまた全編通して感じられるのは、母の大きな存在。ヘッセ自身、心の奥底で母親を求め続けていたんでしょうね。
訳者解説に「小つぶではあるが、最もヘッセらしい物語を集めている」とある通り、物語の1つ1つは小粒かもしれないんですが、乾いた心に沁み込んでくるような繊細で美しい物語ばかり。でもヘッセ自身は、「詩人」のハン・フォークのように、自分自身の言葉を切望して、探し求め続けていたんでしょうね。「詩人」では、言葉は最終的に音楽にとって代わられることになるんですが... ヘッセの中ではどうだったのかしら? (新潮文庫)

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