Catégories:“2009年”

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町かどのポストのそばにはミカン箱が1つ置いてあり、そこにはジムが座っていました。今8歳のデリーが知ってる限り、もしかしたらそのもっとずっと前から、朝も晩も夏も冬も、ジムはいつだってそこにいたのです。髪は真っ白で、顔は茶色くつやつやとしていて、目は青いガラス玉のようにきらきらしたジム。ジムはデリーの住む赤レンガでできた背の高い家の並ぶ通りの番をしているのだと、デリーは思っていました。この通りにはなくてはならない人なのです。

ゆるゆるとファージョン再読祭り中です。
ファージョンは枠物語が多いんですけど、今回はレンガの家が並ぶ通りにいるジムとデリーのお話が枠で、ジムがデリーに語って聞かせたお話が中身。ジムがどんな人なんだか最初は全然分からないんですけど、地域の人々から愛されてる存在だというのだけは確かなんですよね。そんなジムのことも、お話が進むにつれて徐々に分かってきます。ケント生まれで、キャビンボーイになりたくて家を飛び出し、ゆり木馬号のポッツ船長に出会い、世界中を冒険して回って... ジムがデリーに語る最初のお話こそ、小さい頃にマメ畑を荒らしにくる鳥の見張りをしていた時のことなんですが(これもまた可愛い話なんだわ... ベーコンのサンドイッチ!)、船乗りだっただけあって、そのお話の舞台は世界中に広がってます。時には海の底へ、時には霧の向こうへ、そして時には氷の抜け道の奥へ。イギリスの街角にいながらにして、色んな冒険を楽しませてくれちゃう。やっぱり今回は語り手も聞き手も男の子ですものね!
このお話の中で私が一番好きだったのは「九ばんめの波」かな。ゆり木馬号で航海中のジムが出会うのは、海の波に酔ってしまったタラ。「おまえ、それでもさかなか! こいつはおどろきだ!」と言うジムと一緒になって、海の動物が波に酔うなんて!と思いつつ、タラの「おどろくにはあたらないさ、ジム」「さっきの波は、とてつもなく大きかったじゃないか」という言葉に、妙に納得してみたり。そして船をひっくり返そうとする九番目の大波が来た時、タラはジムに助けてもらったお返しをすることになるのですが~。これがまたスバラシイ。そこらの昔話じゃあ、まずこういうのは読めません。(笑)
海の中の王国や霧の向こうの王国はとても美しかったし、氷の洞窟も幻想的。タラや大海ヘビ、ナマズの女王、ペンギンのフリップといった面々もそれぞれに魅力的~。それに何より枠部分の最後のシメも粋で気持ち良くて! とっても素敵な読後感です。(童話館出版)


+既読のファージョン作品の感想+
「ムギと王さま」「天国を出ていく」ファージョン
「年とったばあやのお話かご」「イタリアののぞきめがね」ファージョン
「町かどのジム」エリノア・ファージョン
「リンゴ畑のマーティン・ピピン」「ヒナギク野のマーティン・ピピン」ファージョン
「銀のシギ」エリナー・ファージョン
「マローンおばさん」エリナー・ファージョン
「ガラスのくつ」エリナー・ファージョン
「エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする」「ねんねんネコのねるとこは」エリナー・ファージョン

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3月初め。両親と共に京都に着いた牧田桂子は、そこで両親と分かれて嵯峨野へと向かいます。両親は奥嵯峨の不昧庵へ。桂子は嵐山の西山草堂で宮沢耕一と約束していたのです。耕一は桂子の恋人。大学の先輩で、一足先に卒業した後、大阪の銀行で働いていました。しかし食事の後、2人で嵯峨野を歩いている時に桂子が見かけたのは、茶屋で床机に腰掛けて薄茶を飲む母と見知らぬ男性の姿。両親は揃って不昧庵でのお茶会に出ているはずなのですが...。そして耕一も、二尊院で母が中年の見知らぬ男と肩を寄せ合って階段を上っているのを見たと言います。

桂子さんシリーズ。先日読んだ「ポポイ」をうんと遡って、あそこではもう「祖母」という立場にいた桂子さんが、まだ大学生だった頃のお話。最初の場面は京都の嵐山なんですけど、西山草堂って!この間、私もお豆腐を食べに行ったお店じゃないですか。なんていうのに始まって、反応してしまう部分がいっぱい。桂子さんが卒論のテーマに選んだジェーン・オースティンにもいちいち反応してしまったし、横道に逸れることも多い読書となってしまいました。いえ、そういうのも楽しかったんですが!

いや、凄いですね。まるで満開の桜の花の下にいるような気分になる作品。とてもとても美しいのに、それでいてどこか不気味なものも潜んでいて... 作中でもこんな表現が。

花ざかりの下から振りあおぐと、この世のものとは思えない妖気の雲がたちこめていて、さびしさに首すじが冷たくなり、花の下にひとがいなければ、桂子は狂って鬼に変じそうであった。

もうぞくぞくとしてきてしまいます。

そして読み終わってみてまず最初の印象は、対比の多い作品だなあということ。美しいのに不気味さもある満開の桜、というのも既にそうだと思うんですが、他にも色々と。伝統的なものとこの作品が書かれた時代における斬新さとか、どこか平板に感じられる明るさと陰影に富んだ暗鬱さとか、死と生とか。...死と生というより、この場合は死と快楽かも。あとは桂子と他の女性の女としての対比とか、桂子と耕一のそれぞれの両親とか、最後にできる2組のカップルとか。なんて書いてたら、だんだん無理矢理な気もしてきちゃったんですが、そんな対比がいたるところにあって、でもそれらがお互いに溶け合ってもいて。物語の舞台としても、東京と京都。物語の始まりは、3月なのに「地の底まで冷え込んで木には花もなかった」という嵯峨野。そして終わりもまた嵯峨野。もっとも終わりの方では、2年前の嵯峨野に比べて「大気のなかにかすかながらも春の吐く息のような暖かさがこもっているのが感じられた」なんですが。常識では考えられない関係となってしまった後に、逆に明るさが見えてくるというのもすごい。
それにしても、「ポポイ」の桂子さんに至るまでには、まだ一波乱も二波乱もありそうですね。だってあそこの「お祖父さま」は... ねえ? 他の作品を読むのも楽しみです。

そして上にも書いたんですが、桂子が卒論に選んでいるのはジェーン・オースティン。「ジェーン・オースティンのユーモアについて」という題です。この大学は、やっぱり東大なんでしょうね。作中でしばしばジェーン・オースティンについての会話が登場するのも、私としてはとても興味深いところでした。特にこのくだり。

オースティンのは、何といっても女の小説ですね。女が手で編むレースのテーブルクロスとか、刺繍とか、そういう種類のものを、ことばを使って丹念に編み上げたのがオースティンの小説ではないかと思います。

ああ、なるほど... これは全くその通りだと思いますね。桂子さんの卒論、読んでみたいなあー。倉橋由美子さんも、きっとかなりお好きなんでしょうね。そういえば私、ジェーン・オースティンの長編では「ノーサンガー・アベイ」だけが未読のまま残ってるんだった。文庫になるのを待ってるんだけど、ならないのかな? 今度図書館で借りてこようっと。 (中公文庫)


+桂子さんシリーズの感想+
「ポポイ」倉橋由美子
「夢の浮橋」倉橋由美子
「城の中の城」倉橋由美子
「交歓」倉橋由美子
「夢の通い路」倉橋由美子
「よもつひらさか往還」倉橋由美子

+既読の倉橋由美子作品の感想+
「偏愛文学館」倉橋由美子

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お父さんに長いこと仕事がなく、お母さんに仕立物を頼む人もいなくなってしまったので、暮らし向きが良くなるまでのしばらくの間、リディアは町でパン屋をしているおじさんのところに行くことになります。リディアはガーデニングが大好きな女の子。そしておじさんの家に行ったら、パン作りを教わりたいと思っていました。

先日読んだ「エリザベスは本の虫」と同じペアによる絵本。なんでかなと思ったら、このお2人ご夫婦だったんですね! 道理で~。サラ・スチュワートは小さい頃から図書館とお祖母さんのお庭が大好きだったそうで、それでこういう作品ができるというわけなんですね。^^
いつもむっつりしていて、全然「にこり」ともしないおじさんと一緒に暮らすことになるリディア。そんなリディアの手紙だけでできているお話です。おじさんの家に行くまでは、おじさんへの手紙、おじさんの家に行ってからは、お父さんとお母さんとおばあちゃんへの手紙。「エリザベスは本の虫」は、本好きさんの心をむぎゅっと鷲掴みしてくれるような絵本でしたが、今回は園芸好きさんの心を鷲掴みしてくれます。...というより。全部のベクトルが本に向かっちゃってるエリザベスに比べて、リディアはもっとバランスの良い健康的な女の子なので、もっと一般的に好まれるかも。(笑)

「エリザベスは本の虫」でも思ってたんですけど、絵がほんと雄弁なんですよねえ。むしろ文章よりも絵の方が語っているかもしれません。絵を見てるだけでもお話の筋は十分分かるはずだし、リディアの笑い声とか街のざわめきとか、聞こえてくるような気がするんですもん。登場人物たちの表情も豊かだし、遊び心も~。という私が一番好きなのは、おうちに帰る場面の絵。これは本当に何度見てもぐっときます。^^

「ガーデニングに終わりなし」という言葉は確かに! ああ、耳が痛いです。(笑)(アスラン書房)


+既読のサラ・スチュワート・デイビッド・スモール作品の感想+
「エリザベスは本の虫」サラ・スチュワート文・デイビッド・スモール絵
「リディアのガーデニング」サラ・スチュワート文・デイビッド・スモール絵

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1916年の夏。15歳だったハワードがその旅で一番楽しみにしていたのはドライブ。車は、父が往診に使っていたT型フォード・ツーリングカー。父は生まれはイリノイ州南部のグランドタワーという小さな町で、ミズーリ州のセントルイスで医者として成功、多忙な日々を送っていましたが、ある日突然、家族旅行に出ると言い出したのです。結局母は家に残るものの、ハワードと双子の弟・レイモンドとアールは生まれて初めてイリノイ州の祖父母と大おじ、大おばを訪ねることに。そして祖母のティリーが15歳だった頃の物語を聞くことになります。

物語そのものも1916年の回想で始まるんですが、実際に中心となるのは、もひとつ遡った1861年に始まる物語。ハワードの回想の中で祖母のティリーが語っていた、祖母の娘時代の物語です。この話はイリノイ州のグランドタワーに、ニューオーリンズからセントルイスに向かう途中の裕福そうな娘・デルフィーン、そして肌の色の濃いカリンダが来たところから始まります。南北戦争がもうすぐそこまで迫ってきていて、ティリーの家でも、ティリーの双子の弟のノアが北軍に今にも志願しそうな状態。そんな家に、黒人奴隷らしきカリンダを連れたデルフィーン、つまり南軍側としか思えない2人が暮らすことになるのですから、フクザツです。...南北戦争は、勝った北軍の立場からすれば、南部の奴隷制度を廃止して、黒人を奴隷状態から解放したと言えるものなんですけど、南軍側、黒人側からすればそんな単純な問題ではなかった、という話を聞いたことがあります... まあいずれにせよ、南北戦争にとって黒人問題は、表向きの1つの大義名分に過ぎなかったと思うんですが。

ティリーの語る物語は、19世紀のアメリカの小さな町の様子を濃やかに鮮やかに描き出していきます。当時の人々の生活ぶりや社会風俗・習慣... 特に印象に残るのは、ティニョンと呼ばれるカリンダのスカーフ、そしてショーボートが来た時の興奮。そして戦地にいる兵士たちの酷い状態。キャスの視る幻も印象的なんですが、冒頭で彼女が見た青と灰色の少年たちというのは、軍服の色なのかな? その辺りが今ひとつ分からなかったんですが、読み落としたかな? あとプラサージュとかの言葉そのものは知りませんでしたが、そういう特殊な状態のことや、少しでも混ざっていれば、という話は聞いたことがありますねえ。そういった話の中にも当時の様子が見えてきます。物語終盤では、それまで考えてもいなかった事実が次々と明かされて、もう本当に目が離せない状態。いや、すごいですね。最初読み始めた時に想像していたよりも、ずっと深い物語でした。
美しく着飾り、自信に満ち溢れている都会の女性・デルフィーンも、無口だけどなかなか逞しいカリンダも、リベラルな物の見方ができるティリーも、それぞれにとても印象に残る女性たち。そして父の最後の言葉と、そんな父の言葉をきちんと受け止めるハワード。みんな、それぞれに素敵です。そして読み終えて最初に戻ってみれば、ハワードのお母さんはセントルイス出身だったんですね。うーん、なるほど。(創元ブックランド)


+既読のリチャード・ペック作品の感想+
「ホーミニ・リッジ学校の奇跡!」リチャード・ペック
「ミシシッピがくれたもの」リチャード・ペック

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この5年間、夏になると従兄弟の章くんの別荘で過ごす5人。中3の章くんを筆頭に、中2の恭と智明、中1のナスと小4のじゃがまる。別荘にいる間は章くんが全ての行動を仕切り、夜の恒例のクラシック・アワー。今年は、シューマンの「子供の情景」でした... という「子供は眠る」。
「ぼく」が初めて藤谷りえ子と知り合ったのは、中3の秋の球技大会の日。不眠症に悩んでいた「ぼく」は、今は使われていない音楽室からバッハの「ゴルドベルク変奏曲」が流れてくるのを耳にします... という「彼女のアリア」。
絹子先生にピアノを習っている奈緒と君江の前に現れたのは、フランス語を話す「サティのおじさん」。4人はレッスンの後にワルツを踊り、素敵な時間を過ごすようになるのですが... という「アーモンド入りチョコレートのワルツ」。
以上3編。

森絵都さんの本も随分追っかけてたのに、最近はとんと読まなくなってしまいました。その間に出たのは「ラン」「架空の球を追う」「君と一緒に生きよう」の3冊。これはやっぱり大人向けの作品なんでしょうか。やっぱりこの方の場合、児童書~YA辺りの作品が好きです、私。
ということで、この「アーモンド入りチョコレートのワルツ」もそんなYA向けの作品。6年前に読んで以来の再読です。なんで今手に取ったかといえば、最初の「子供は眠る」はシューマンの「子供の情景」をテーマに書かれた作品だから。でもって、今ちょうど「子供の情景」を通して弾けるようになったところだから。単純。(笑)

3編とも中学生が主人公となっている物語です。こういう作品の再読って、なんだか懐かしい人に再会したような気分になりますね。久々にばったり会った友達と話しこんでしまって、そうそうあの時あんなこともあったよね!って感じで。いつも自分が中心で物事を仕切らないと気が済まない「子供は眠る」の章くんは、小学校時代の同級生のSさんみたい。「彼女のアリア」の藤谷さんは、中学からずっと一緒だったMちゃん。そして「アーモンド入りチョコレートのワルツ」の君絵は...。
章くんも、あれからぐんと大人になったんでしょうね。あの頃はなんだか懸命にもがいてたものね。表面上は決してそうは見せなかったけど。なあんて。

「子供の情景」のCDはアシュケナージ、アルゲリッチ、アラウ、ケンプなどいくつか聴いてて、それぞれにいいなと思うんですが、私はアルゲリッチのが一番好きかなあ。(右上) 奔放で大胆な演奏という印象のアルゲリッチも、ここでは母親としての優しい愛情深い顔を見せてくれるよう。一緒に入ってるクライスレリアーナはいつものアルゲリッチらしい演奏で、これまた素敵です。
あ、でも「彼女のアリア」で藤谷さんがバッハのゴールドベルク変奏曲を弾いてるんですけど、中学生でこの曲を弾いちゃうって、一体どんな...!! 私は楽譜を見たことないんですけど、難易度としては最高レベルなんじゃないですかね? 末はピアニスト? 序曲のアリアなら、楽譜的にはそれほど難しくないかもしれないけど。いずれにせよ、私もいつかは弾いてみたい憧れの曲集です。でも平均律の4声ですら荷が重い私には...。というこの曲は、グレン・グールドの(左)が好き。
そんな難易度最高レベル(多分)に対して、サティの「アーモンド入りチョコレートのワルツ」の可愛いことったら。こちらは逆に中学生というよりも、小学生向きなような気もしますが。(笑)

文庫本の表紙が、いつの間にかピアノの鍵盤の写真に変わっていてびっくりです。確かにピアノの話ばかりなんですけど、あまりにクリアな写真なので、この内容にはちょっと強すぎるような気がしてしまうー。最初に読んだのが、いせひでこさんの表紙の単行本だったので余計に。ということで、私が持ってる文庫の表紙の画像を出してみました。(現在の表紙は、アマゾンのリンク先で見られます)(角川文庫)


+既読の森絵都作品の感想+
「いつかパラソルの下で」森絵都
「にんきもののひけつ」「にんきもののねがい」「にんきものをめざせ!」「にんきもののはつこい」森絵都
「あいうえおちゃん」「流れ星におねがい」森絵都
「ぼくだけのこと」森絵都
「いちばんめの願いごと」森絵都
「屋久島ジュウソウ」森絵都
「風に舞いあがるビニールシート」森絵都
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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パリの植物園に毎日のように来ては絵を描いてる女の子。立ち入り禁止のところにまで入り込んで庭師に睨まれているのですが、ある日勝手に花を抜いたということでとうとう 捕まえられて、植物学者の先生のところに連れて行かれてしまいます。でも先生は怒りません。さえらというその女の子は先生にひまわりの種をもらって、自分で蒔いてみることに。

いせひでこさんの今回の絵本は、やっぱりとても素敵でした。もうね、絵本というよりも画集と言った方が相応しいかも。植物園が舞台なので、木や草花がいっぱい!「ルリユールおじさん」は青が印象的だったし、「絵描き」は黄色なんですが、今回は植物の緑です。もちろん青や黄色も登場しますけどね。さえらが青い背景の中で黄色い花を持って走ってる場面なんて、ほんと印象に残りますし。私が一番好きだったのは雨の日の絵かな。
そして素敵なのは絵だけでなく、お話も。さえらも可愛いし、さえらが出会う植物学者の先生がとっても素敵なんです~。さえらにとってこの植物学者の先生との出会いは一生心に残るはず。でも先生がさえらに一方的に種を蒔いてるんじゃなくて、さえらの中で花開いたものが、また先生に戻っていくようで、それがとても素敵なんです。

あ、ソフィー! 植物図鑑! そうだ、「ルリユールおじさん」にも樹齢400年のアカシアの木が出てきたなあ、なんて思ったら、そちらも無性に読みたくなって本棚から出してきてしまいました。パリには2本の樹齢400年のアカシアがあって、「ルリユールおじさん」と「大きな木のような人」のアカシアはまた別なんですね。(というか、ちゃんと実在するんですね)
んんん、やっぱり「ルリユールおじさん」は素敵です。私にとってはこちらの方がインパクトが強いかも。青だから、というのもあるし、本、というのもあるし、職人への憧れ、というのもあるし。でもやっぱり植物という命あるもの、特に木の持つ長い命や雄大さ、そこに存在する物語というのも捨てがたい。(←別に捨てなくてもいいんですよ!)

人はみな心の中に、1本の木をもっている。

素敵な言葉ですね。
ソフィーにはルリユールおじさんとの出会いがあって、さえらには植物学者の先生との出会いがあって。こうやって世界が広がっていくんですね。さえらは将来、どんな道を選ぶのかしら?(講談社・理論社)


植物繋がりで。
昨日は久々に庭の手入れをしました。ここんとこずっと全然何もできてなくて、すっかりジャングルになってたのです。まだまだすっきりしないんですが、とりあえず枝や葉っぱがゴミ袋5つ分!
今、庭で満開なのは、薔薇のバレリーナ。どんな花なのかは、こちらの記事をどうぞ。百花繚乱のカテゴリは、このところ全然写真が撮れなくて、すっかり止まってますが...。何も世話をしてないのに、今年も綺麗に咲いてくれてほんと嬉しい。次に咲くのは、いつの間にか根付いてしまった南天かな。これは一体どこから来たんだろう? 気がついたらすっかり居座ってました。真っ白い蕾がいっぱいついた房があるので楽しみです。


+既読の伊勢英子作品の感想+
「ルリユールおじさん」「絵描き」いせひでこ
「旅する絵描き パリからの手紙」伊勢英子
「グレイがまってるから」「気分はおすわりの日」伊勢英子
「マキちゃんの絵にっき」「ぶう」伊勢英子
「カザルスへの旅」伊勢英子
「はじまりの記憶」柳田邦男・伊勢英子
「1000の風 1000のチェロ」「雲のてんらん会」いせひでこ
「空のひきだし」いせひでこ
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ
「大きな木のような人」「ルリユールおじさん」いせひでこ
「にいさん」いせひでこ
「ざしき童子のはなし」「よだかの星」「風の又三郎」「水仙月の四日」宮沢賢治・伊勢英子

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かつて神聖なる丘の聖なる泉のほとりに暮らしていたユニコーンたちは、ワイバーンに故郷の土地を奪われ、流離いの末に、現在住む谷へ。それ以来ユニコーンたちは、いつか自分たちを故郷に連れ戻してくれるという予言の「ファイアブリンガー(炎をもたらすもの)」の出現をひたすら待ちわびていました。そして今、ユニコーンを率いていたのはカラー王とその息子・コーア王子。コーア王子の息子・ジャンはようやく6歳になったばかりの、そろそろ青年になろうというユニコーン。まだまだ悪戯好きの子供で、平気で掟を破る問題児で...。

ファイアブリンガーの3部作。↑に書いたのは1冊目「炎をもたらすもの」のあらすじです。主人公はユニコーンの王子。ユニコーンの他にもワイバーン、グリフィン、パンがいるような異世界が舞台。1冊目で主人公の成長があり、2冊目でぐんと世界が広がり、3冊目で他者理解が深まるって感じでしょうかー。1冊目は主人公の成長物語だし、ちょーっとありきたりな感じなんですけど、人間ではなくユニコーンが主人公なのはどうしてだろうと思ってたんです。2冊目を読んでその理由がよく分かりましたよ。なあるほど!
各種族にそれぞれの創世神話が語り継がれていて、英雄伝説や大きな出来事が語り部によって歌い継がれていて、それぞれに歴史や古いしきたりがあるんです。最初は自分たちの種族が一番神に愛されてると思い込んでいても、実際はそうではないことに気づいて、他の種族にはその種族の価値観があることを知り、お互いを尊重することを学ぶことになります。もちろん同じ種族の中でも価値観は様々。2冊目3冊目で大きな秘密があることが分かって、それが妙に長く引っ張られるんですよね。それがあんまり好みじゃなかったというのはあるんですけど... ここまですると誰を信用すればいいのか分からなくなってしまうし、あんまり感心しなかったんですけど... それでも他者の価値観に触れるという意味では、この出来事にも十分意義があったのかも。神話が生きているのを感じられる世界観は好みだし! 1冊目よりも2冊目3冊目とぐんぐん世界が深まっていくのが良かったです。(創元ブックランド)


+既読のメレディス・アン・ピアス作品の感想+
「ダークエンジェル」メレディス・アン・ピアス
「炎をもたらすもの」「闇の月」「夏星の子」メレディス・アン・ピアス

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