Catégories:“2009年”

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高貴な英国貴族の広大な屋敷に生まれ育ったオーランドー。エリザベス一世と血縁であり、大層気に入られていたオーランドーは美しく成長して宮廷に出仕。領地や屋敷、ガーター勲章を賜り、女王行幸の際には必ずお供することに。しかしロンドンの宮廷で出会ったロシアの姫君との恋愛、そして破局の後、オーランドーは屋敷に戻って読書に耽り、数多くの劇や詩を書くことになります。

文庫本の裏表紙の説明に

オーランドーとは何者? 36歳の女性にして360歳の両性具有者、エリザベス1世のお気に入りの美少年、やり手の大使、ロンドン社交界のレディ、文学賞を受賞した詩人、そしてつまりは... 何者? 性を超え時代を超え、恋愛遍歴を重ね、変化する時代精神を乗りこなしながら彼/彼女が守ってきたもの。...

とあるので、SF作品なのかと思って読み始めたんですが、全然そうではありませんでした。(良かったー) むしろ歴史小説ですね。でもオーランドーはエリザベス1世(1533-1603)の時代に生まれて、20世紀になるまでずっと生き続けることになるんですけど、時代はオーランドーが執筆に没頭していたり、7日間ほど目覚めないといった状態の間にごく自然に移り変わっちゃうし、周囲のメンバーもそのままなので、その時代時代の風物や流行が入れ替わるだけ。ごく自然な流れの話として読めてしまうほど。オーランドーがそれらの時代の移り変わりの生き証人となっている物語とは言えそうですが。

その300年以上に渡る時代の流れが何を表しているかといえば、オーランドーの家のモデルとされるサックヴィル家人々の歴史であり、ヴァージニア・ウルフと同時代のサックヴィル家の1人娘、そして女流作家となったヴィタ・サックヴィルの生涯なのだそうです。少年の頃のオーランドーや、まだ男性で大使をしていた頃のオーランドーの肖像画、そして女性となった後のオーランドーの写真が出てくるんですけど、その写真はヴィタの写真だし、肖像画はヴィタの祖先の肖像画とのこと。(どれも同一人物としか思えないほどそっくりですよー)
そしてこの300年は、エリザベス朝以降の英文学の流れも表しているのだそう。この英文学の流れがまたとても面白いんですよね。大学の英文学史の授業で名前を習ったり実際に作品を読んだ詩人や作家が次々と~。エリザベス朝の文学は、女性とは無縁で、シェイクスピアの劇のヒロインも演じたのは少年たち。そして男性に生まれたオーランドーが突然女性になってしまったのは、エリザベス朝が終わり、英文学に女性が登場するようになった17世紀末頃。確かにとても意図が感じられますね。
そしてオーランドーは男性の時も女性になってからも、名前は変わらずオーランドー。私としては「狂えるオルランド」(シャルルマーニュ伝説に出てくる騎士・ローランと同一人物)が真っ先に思い浮かぶんですが、やっぱりその線が濃厚のようで~。この作品でオーランドーの恋のお相手となるロシアのお姫様のポートレートは、ヴァージニア・ウルフの姪のアンジェリカのものだそうだし。アンジェリカといえば「狂えるオルランド」に出てくる異国のお姫さま! ほかにも色々な含みがあるみたい。作品そのものもすごく面白かったんだけど、そういう色々なことを教えてくれる訳者の杉山洋子さんによる解説「隠し絵のロマンス -伝記的に」もとても良かったです。(ちくま文庫)

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ちっぽけなぼろ小屋からトレーラーいっぱいになるほどの荷物が出てくるのに驚いたアート・スリックは、2時間ほどその光景を眺めた後で、ジム・ブーマーを連れてその奇妙な地区へと向かいます... というR.A.ラファティ「われらの街で」他、全15編の短篇集。

お金では買えないものをお金で売ってくれる「魔法の店」。ふとしたことから店に迷い込むことはできても、一旦商品を買って店を出てしまえば、二度と戻ることができないかもしれない店。そんな魔法の店の物語を集めたアンソロジー。ファンタジー作品に登場する魔法のお店は大好きなので、以前からとても読みたかった1冊。それぞれの短篇につけられた荒俣宏さんの文章がまた素敵なんですよねえ。15編中、稲垣足穂「星を売る店」、ハーヴィ・ジェイコブズ「おもちゃ」、H.G.ウェルズ「魔法の店」、クリスチーナ・ロゼッティ「小鬼の市」は既読。(「小鬼の市」を読むのは、今年3度目! でも3回とも違う訳者さん)
特に好みだったのは、上にもちらっとあらすじを書いたR.A.ラファティの「われらの街で」。ちっぽけな小屋からその何倍もの大きさの品物が出てきたり、公認代書屋はタイプライターもないのに口述筆記をしていたり、隣のビアホールでは冷蔵庫もないのに注文した通りのビールがよく冷えた状態で出てきたり... でもその銘柄のスペリングが間違えていたり。ここに登場する奇妙な人々はあくまでも自然なことのように魔法を使ってるし、アートとジムに質問されても堂々と話をはぐらかしてるのが可笑しいんです。
H.G.ウェルズ「魔法の店」のような純正の魔法のお店はちょっと怖いんですけど、不思議な品が埃をかぶって置かれてるようなヤン・ヴァイス「マルツェラン氏の店」みたいな店には行ってみたくなっちゃう。いつかそんなお店がある横丁に迷い込んでみたいなあ... でもそんなことになったら、もう帰って来られなくなっちゃうかもしれないなあ。(ちくま文庫)

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1625年4月。ガスコーニュ地方の古い貴族の家に育ったダルタニャンは、父親から15エキューの金と妙な色合いの馬、銃士隊の隊長・トレヴィル宛の紹介状、そして母親からはどんな傷にも効くという万能の軟膏の作り方を伝授され、パリへと向かいます。途中、マンの町で馬のことを笑われて、笑った男たちに殴りかかるものの、逆に殴り倒され、しかも気を失っている間にトレヴィル宛の紹介状を取られてしまうという出来事もあるものの、ダルタニャンは無事にパリのトレヴィルの屋敷に辿り着き、アトスとポルトス、そしてアラミスと知り合うことに。

「三銃士」は子供の頃に大好きだったんですけど、それが「ダルタニャン物語」のごく一部だと知ったのは大人になってから。小学校の頃に読んでたのは岩波少年文庫だし、きちんとしたのを読んでみたかったんですよねえ。でも全11巻だし長いですからね。読みたい読みたいと思いつつ早何年。いえ、去年だって北方水滸伝全19巻とか窯変源氏物語全14巻を読んでるし、読めば読めないわけじゃないはずなんですけど... 長い作品には、やっぱり何かきっかけが欲しいわけです。で、先日丁度いいきっかけがあったので読んでみることに~。
いやあ、やっぱり面白かった。訳が古めで騎士のことを「武士」、剣のことを「刀」なんて言ってるし、「枢機卿」も「枢機官」になってるんですけどね。そして逆に「妹のアドレスをダルタニャンに教えた」なんて文章があって、「アドレス? URL?」なんて思ってしまったり。(笑) でもこの面白さには、全然影響しないですね。今読んでもミレディーの悪女ぶりは凄まじいし、ダルタニャンって実は結構女ったらしだったのね...とびっくりしてみたり。アトスとポルトスとアラミスも、久しぶりで懐かしかったです! これは続きを読むのも楽しみ~。

今回読んだ「友を選らばば三銃士」「妖婦ミレディの秘密」の2冊で第1部、普通の「三銃士」に当たります。私が読んでいるのは図書館にあった講談社文庫版なので、ここでリンクしているブッキング版とは違うんですが、訳者さんが同じなので多分一緒かと。そして3~5巻は第2部で「二十年後」、6~11巻が第3部で「ブラジュロンヌ子爵」。この「三銃士」の時、ダルタニャンは20歳なんですけど、第2部ではいきなり40歳になっちゃうってわけですか。びっくり! 次は3~5巻を借りて来ようっと。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「ダルタニャン物語」1・2 A・デュマ
「ダルタニャン物語」3~5 A・デュマ

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ネペンテスは王立図書館で拾われて育てられた孤児。今は図書館で書記として書物の翻訳をしています。まだ16歳に過ぎないネペンテスですが、珍しい文字を読み解く勘が備わっているのです。そんなある日、ネペンテスは同僚のオリエルが空の学院に本を貰いに行くのに付き合うことになります。空の学院は馬で平原を通り抜けた先の謎めいた森にあり、その森ではどんなことでも起こり得ると言われているため、オリエルはとても怖がっていたのです。怯えたオリエルに代わってネペンテスが若者から受け取った本には、茨のような文字が書かれていました。その本を一目見て心を奪われたネペンテスは、本を司書には渡さず、自分で訳し始めることに。

図書館が舞台で、不思議な茨文字で書かれた書物が出てくる... というだけで物凄く楽しみにしていたマキリップの新作。ものすごく良かったですー!! マキリップというだけで評価が5割り増しになってしまう私なんですが(笑)、これほどの作品を読んだのは久々!と思ってしまうほど。いや、ほんと素晴らしいー。
宮殿の地下に広がる図書館、謎めいた森、魔術師たちの空の学院、そしていつか国に危機が訪れた時に目覚めるというレイン王国初代の王の眠る海辺の洞窟。それだけでも十分なほどなのに、物語の中心となっているのは、茨のような文字で書かれた書物。その本を一目見た時から、ネペンテスは茨に絡め取られてしまうことになるんです。ネペンテスが読み進めるにつれて、伝説の王アクシスと王に影のようにつき従ったという魔法使い・ケインが生きていた頃の古代エベンの物語が蘇ってきて、その物語が現実のレイン王国の物語に覆いかぶさるように重層的に響き始めます。レイン王国では、若き女王・テッサラが即位したばかり。魔術師のヴィヴェイや元司令官のガーヴィンたちが女王を守り、盛りたてていこうとしているんですが、十二の邦はいつ反乱を起こしてもおかしくない状態だし、もしかすると十二邦の外に敵がいるのかも。敵についてまだ全然掴めないでいるうちに、レイン王国の初代の王も目覚めてしまうし... その警告の言葉は「茨に気をつけよ」というもの。
...なんて説明では全然伝わらないと思いますが、とにかくマキリップらしい世界観を堪能しました。マキリップの描く世界はすっきりと綺麗に整理整頓された世界ではなくて、むしろ物がいっぱいごちゃっと詰め込まれてるようなとこがあるんですけど、それだけに様々な色彩に溢れていて、その色合いをどんどん変えていくのが本当に魅力的。もう図書館も森も空の学院も海辺の洞窟も素敵すぎるっ。登場人物も良かったですしね。私が特に気に入ったのは若き女王・テッサラ。最初はぼーっとした女の子にしか見えない彼女なんですが、実はすごいんです。ただ、途中まで魔術師のヴィヴェイを男性と思い込んでいたことだけは内緒... 元司令官(当然男性)と一緒に暮らしてるってとこで、気付くべきだったんでしょうけど...。(恥)
今回もKinuko Y. Craftさんによる表紙がとても素敵です~♪→公式サイト(創元推理文庫)


+既読のパトリシア・A・マキリップ作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」の感想)
「星を帯びし者」「海と炎の娘」「風の竪琴弾き」パトリシア.A.マキリップ
「ムーンフラッシュ」「ムーンドリーム」パトリシア・A・マキリップ
「オドの魔法学校」パトリシア・A・マキリップ
「ホアズブレスの龍追い人」パトリシア・A・マキリップ
「チェンジリング・シー」パトリシア・A・マキリップ
「茨文字の魔法」パトリシア・A・マキリップ

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貧しい家に育ち、音楽学校でピアノを学んだ17歳の「わたし」は、フランス一の金持ちである「彼」に求婚され、結婚。寝台車で彼の城へと向かうのですが... という表題作他全10編の短編集。

「青髭」や「美女と野獣」、「長靴をはいた猫」「白雪姫」「赤ずきん」などの童話、ドラキュラや狼人間といった伝説をアンジェラ・カーターが現代の物語として語りなおした幻想童話集。七生子さんにものすごく良かった!と伺ってたし、タニス・リーの「血のごとく赤く 幻想童話集」(感想)も大好きだったので、楽しみにしてた本です。
で、読んでみて。どの作品もエロティックで陰鬱な空気が漂っていて、甘美な毒とでもいった感じでしょうか。すごく素敵でした~。「大人のための」という言葉がぴったり。血の赤と雪の白、烏の黒という色合いが「雪の子」という作品に出てくるんですけど、読んでいると、この3色がどの作品でもとても鮮やかに浮かび上がってきます。タニス・リーの「血のごとく赤く」でも、この3色の印象が強いんですけど... まあ「白雪姫」の色と言ってしまえばそれまでなんですけど... 童話における三原色なのでしょうか?(笑)

「美女と野獣」が、「野獣の求愛」「虎の花嫁」という2つのある意味正反対な物語になっているのも面白いし、狼三部作なんかもとても濃くて面白かったのだけど、私にとって一番印象が強かったのは、やっぱり表題作の「血染めの部屋」かしら。これは「青髭」を語りなおしたものです。青髭と結婚するのは、音楽学校(コンセルヴァトワール)に通っていた17歳の少女。ギロチンが首に当たる位置と丁度重なる血のようにルビーの首飾り、夫である侯爵のエロティックな版画のコレクション、夥しい白い百合が飾られている寝室、寝室の12枚の鏡、微妙に調律が狂っているベックスタイン・ピアノ... この物語全編を通して音楽が聞こえてくるのも嬉しいところなんですよね。これまでに3度結婚しているという青髭の最初の妻は、主人公も少女の頃にオペラでイゾルデを歌っているのを見たことがあるというプリマドンナ。結婚前に2人で出かけたのも「トリスタンとイゾルデ」。そして普段はドビュッシーの前奏曲やエチュードを弾いてる主人公なんですけど、見てはいけないものを見てしまった動揺をおさめるために弾くのはバッハの平均律クラヴィーア。そんな音楽の使い方もすごく効果的だと思います。主人公の造形描写に一役買ってますしね。意外性のある(でもちゃんと伏線がある)ラストも良かったな。(ちくま文庫)


+既読のアンジェラ・カーター作品の感想+
「ワイズ・チルドレン」アンジェラ・カーター
「魔法の玩具店」アンジェラ・カーター
「夜ごとのサーカス」アンジェラ・カーター
「血染めの部屋 大人のための幻想童話」アンジェラ・カーター

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母が突然亡くなり、父は永年勤めた製薬会社を辞めて、ヨーロッパを旅してまわることに。そしてその旅の合間に、娘のルーマが夫のアダム、息子のアカーシュと暮らす家にやってきます... という表題作他、全8編。

「停電の夜に」「その名にちなんで」に続くジュンパ・ラヒリの3作目。
これまでの2作同様、主要な登場人物たちはほとんどがインドにルーツを持つ人々。でも主人公となるのは、移民の第一世代ではなくて第二世代です。育ちも(そしてほとんどの場合は生まれも)アメリカという彼らは、もうアメリカ人と全く同じような生活を送っているし、本を読んでいる限りでは「アメリカ人」と呼んでもまるで違和感がありません。しかもこの本に描かれているのは、ごく普通の家庭にあり得る物語ばかりなんですよね。それでもインドの人々の浅黒い肌にくっきりとした目鼻立ちは、アメリカの白人の中にあって相当目立つはず。そうだ、インドの人々だったんだ、と読みながらふと気付いて、そのたびに驚くことになりました。最初の2作を読んだ時は「インド」という言葉が頭から離れたことはなかったのに。そして2作目の「その名にちなんで」を読んだ時には、第一世代と第二世代の意識の違いに驚かされたし、インドでもアメリカでも彼らが本質的に受け入れられることは既にないんだなあと強く感じさせられたのに、この本ではそうではありませんでした。肌の色が違っていても、彼らは既にアメリカという土地にしっかりと根付いているんですね。時の流れを感じるなあ。
やっぱりジュンパ・ラヒリはいいですね。本を開いたところに、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンの「ラヒリが造形する人物には、作家の指紋が残らない。作家は人物の動きに立ち会っているだけのようだ。人物はまったく自然に成長する」という書評が載ってるんですが、本当にその通りですねー。それはもう本当にびっくりするほど。
そういえば去年は新潮クレストブックスを1冊も読まなかったんですよね、私。久しぶりに読みましたが、やっぱり良かったです。今年はまた色々と読んでいきたいな。(新潮クレストブックス)


+既読のジュンパ・ラヒリ作品の感想+
「停電の夜に」「その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ
「見知らぬ場所」ジュンパ・ラヒリ

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遥か昔、元来太陽の周囲を回る惑星だった月は、地球の引力に吸い寄せられてしだいに地球に接近し、とうとう地球の周りに軌道を描くようになります。そして月と地球が相互の引力で引き合った結果、2つの天体の表面は変形し、柔らかい月の表面が地球に滴り落ちることになるのです。それを Qfwfq は帰宅途中の高速道路で見ていて... という「柔らかい月」他、全11編。

以前読んだ「レ・コスミコミケ」と同じくQfwfq 氏の出てくる短編集。あちらでも「月の距離」という月と地球がとても近くにあった頃の話から始まってたんですけど、こちらも月の話から。柔らかい月の表面が地球に滴り落ちるなんて部分もとても映像的で楽いし、その出来事が起きた当時もマディソン・アヴェニューには摩天楼があり、その時の月の滴り(隕石)に破壊されたものを、何百何千世紀かけて「かつての自然のままの外観を取り戻そうとして」再現しようとしているなんて、一体どんな発想なんでしょうね! 「語り」って、ほんと「騙り」なんだなあ。
ということで、この本は「Qfwfq 氏の話」「プリシッラ」「ティ・ゼロ」という3部構成。「Qfwfq 氏の話」で起源としての誕生、「プリシッラ」で細胞分裂としての生と死... 「ティ・ゼロ」で描かれているのは永遠のような一瞬? 最初は前面にいたQfwfq 氏は、第2部に入った頃から徐々に姿を消し始めて、第3部では、もういないも同然となってしまいます。2部の「死」と共に、「個」を失ってしまったみたい。先に書かれた「レ・コスミコミケ」から一貫して語ってきた Qfwfq 氏がこんな風にフェイドアウトするところにも、きっとすごく大きな意味があるんでしょうね。で、その第3部がまた面白かったりするんだわ! こういうの好き好き。そして最後の「モンテクリスト伯」で描かれてるのは、すでに迷宮のようになってしまった「イフ城」からの脱出について。「個」を失ったQfwfq氏は、ここから脱出していずこへ...? というよりカルヴィーノはどこへ脱出しようとしてるんでしょう。そうやって重さを払いのけて身軽になろうとしていたのかなあ。(河出文庫)


+既読のイタロ・カルヴィーノ作品の感想+
「宿命の交わる城」イタロ・カルヴィーノ
「不在の騎士」イタロ・カルヴィーノ
「レ・コスミコミケ」イタロ・カルヴィーノ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「まっぷたつの子爵」「木のぼり男爵」イタロ・カルヴィーノ
「イタリア民話集」上下 カルヴィーノ
「魔法の庭」イタロ・カルヴィーノ
「見えない都市」イタロ・カルヴィーノ
「マルコヴァルドさんの四季」カルヴィーノ
「冬の夜ひとりの旅人が」イタロ・カルヴィーノ
「柔かい月」イタロ・カルヴィーノ
「カルヴィーノの文学講義」イタロ・カルヴィーノ
「パロマー」カルヴィーノ
「くもの巣の小道」イタロ・カルヴィーノ
「むずかしい愛」カルヴィーノ

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