Catégories:“2009年”

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大正から昭和初期にかけては、怪談文芸の黄金時期。その時代に「妖怪(おばけ)の隊長」と呼ばれた泉鏡花、そして名だたる文人墨客・名優たちが中心となり、百物語怪談会が繰り返し催されることになったのだそう。この本はその会の模様、そこで語られた数々の怪談と、そこから誕生した怪談小説や随筆作品を1冊にまとめたものです。

泉鏡花の名前に惹かれてなんとなく買ってしまった本なんですけど、一昨年刊行の特別編「百物語怪談会 文豪怪談傑作選・特別篇」が、やはり鏡花を中心とする顔ぶれの怪談アンソロジーで、こちらはその続編ともいえる本なのだそう。「百物語怪談会」は明治末期の怪談会で、こちらは大正から昭和にかけての怪談会です。

怪談会のメンバーは、泉鏡花、松崎天民、平山蘆江、久保田万太郎、長谷川伸、芥川龍之介、菊池寛、柳田國男、里見弴、長谷川時雨などなど。びっくりしてしまうほどの豪華メンバーによる怪談会は、意外と言っては失礼なんだけど、びっくりするほど面白かったです。そういった怪談会の模様が新聞や雑誌で詳報されたというのも納得できるレベルの高さ。
どれも文字にして読んでしまうとごく短い話ばかりなんですけど、みんな語り上手ですねー。特に印象に残ったのは、妖怪好きの新派俳優・喜多村緑郎の語る悲恋話かなあ。これは泉鏡花によって「浮舟」という作品にも仕立てられて、それもこの本に収められています。そして芥川龍之介や柳田國男も参加している怪談会の実録の面白いことったら。肝心の泉鏡花の存在感が一番薄かったりして...(笑)
怪談といえば、先日「牡丹灯籠」(感想)を読んで、本来怪談の主役かなと思うお化け話がすっかり脇に回ってたのにびっくりしたところ。こちらでは、短いだけあって主役は主役のままなんですけど、それでもやっぱり相手を怖がらせるだけが主眼というわけじゃないんですね。そこはかとない郷愁が漂っていたり、江戸時代の時代物に感じるような人情を感じさせたり。今時のホラーとはまた全然違ってて、なんだかとっても古き良き時代の和やかな(?)怪談という趣があって、そういうところが好きでした。怪談もいいものですね! まず真偽を疑うのではなくて、なんとそんな出来事があったのかと、話を楽しもうという姿勢がまた読んでいて楽しい一因なのかもしれません。...でもそうですか、死神や厄病神らしき姿を見た時は、頑張って睨みつけてやらないといけないんですね。心しておかなくちゃ。(ちくま文庫)


+既読の泉鏡花作品の感想+
「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」泉鏡花
「泉鏡花短篇集」川村二郎編
「海神別荘」「春昼・春昼後刻」泉鏡花
「鏡花百物語集 文豪怪談傑作選・特別篇」東雅夫編

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大雪の日の夕方、彗君は古い煉瓦造りの建物の中にあるクラブへと出かけます。それは祖父の入江さんが前世紀に始め、最近彗君が入江さんから譲り受けたもの。その日彗君は、バーテンダーの九鬼さんが作った、本物の雪がそのままグラスに盛られているようなカクテルと、鮮やかな血の色をしたカクテルを飲み、その2つのカクテルの不思議な相乗効果で酔郷へと出かけることに...。

バーテンダーの九鬼さんの作るカクテルによって、彗君がさまざまな世界に遊ぶという物語。「夢の通い路」では、桂子さんが「あちらの世界の面々」と交歓を尽くしたんですが、こちらはその慧君版なんですね。桂子さんの孫にあたる慧君が、様々な美女と情を交わすことになります。式子内親王に始まり、ゴーギャン風の南方系美女、かぐや姫、植物的魔女、鬼女、雪女... 時には髑髏まで。ちなみに「よもつひらさか」とは、現世と黄泉の国の境目にある坂のこと。
でも今回なんだかとっても不思議だったのは、全然エロティシズムを感じないこと! 「夢の通い路」も全然肉感的ではなくて、まるで水のような植物のようなさらさらとしたエロティシズムだったと思うんですけど、こっちはそれも全然... 少なくとも前半は全然でした。そういった場面は多いんですけどね。後半は、まあ少しは感じられるようになったけど、それでも「夢の通い路」に比べれば本当に薄いものだし。これって何なんだろう。慧君だからなのかな。それとも読み手の問題?
「ポポイ」を読んだ時にすごく興味を持った慧君なので、「ポポイ」の慧君の辺りを読み返してると、こんな記述がありました。

いつも無限に優しいのがこの人の特徴で、だから慧君は聖者なのだ。相手の意思に反して自分の欲望が働くということがなく、相手の欲することを自分も欲するだけなのだ。そして相手が狂って我を失っても、最初から我というものをもたない慧君は決して狂うことがない。

ああ、そうでした。そういう人だったのでした。だからだったんですね。
こちらの作品でも、慧君と舞の話は私にとってなんだか特別な存在だったなあ。「分子レベルでの理解」に関する会話は、すごく印象に残るものだったし。
でも、今回読んでいて興味を引かれたのは、慧君よりもむしろ九鬼さんだったかも。不思議な酒を作るバーテンダーであり、入江家を取り仕切る執事のような存在であり、入江氏の分身のような存在であり、そして冥界の女王の馴染みでもあり...。いったい彼は何者なんでしょうね?(講談社文庫)


+桂子さんシリーズの感想+
「ポポイ」倉橋由美子
「夢の浮橋」倉橋由美子
「城の中の城」倉橋由美子
「交歓」倉橋由美子
「夢の通い路」倉橋由美子
「よもつひらさか往還」倉橋由美子

+既読の倉橋由美子作品の感想+
「偏愛文学館」倉橋由美子

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ずっとまえ、わたしが小さかったとき、わたしよりももっと小さいいもうとがいました。ちいちゃいいもうとは、目が茶色で、かみの毛は赤くて、鼻がすこしピンク色で、とてもとてもきかんぼうでした...。きかんぼのちいちゃいいもうとが巻き起こす、楽しいけどとっても大変な騒動の数々を、おねえちゃんの「わたし」がお話してくれます。

「きかんぼのちいちゃいいもうと」のシリーズ3冊。「ぐらぐらの歯」と「おとまり」と「いたずらハリー」。
この「きかんぼのちいちゃいいもうと」は、わがままだし気まぐれだし勝手だし、もう本当に大変なんですけど! でもそんな「きかんぼのちいちゃいいもうと」が、実はとても優しくて可愛い女の子で、みんなに愛されてるのがすごく伝わってきて、読んでるだけで幸せになれちゃうんです。だってお隣のジョーンズさん夫婦も、牛乳屋さんもパン屋さんも石炭屋さんも窓ふき屋さんも御用聞きの人たちも、みーんな「きかんぼのちいちゃいいもうと」が大好きなんですもん。しかも酒井駒子さんの挿絵がまたものすごく可愛いし! 特にぶーっと膨れてるところが最高。膨れてるのに、なんでこんなに可愛いのかしら!

どれも楽しいお話だったんですが、私が特に好きだったのは、2巻「おとまり」の表題作。ドレスを脱がないでびしょびしょに濡れてしまった「きかんぼの女の人」って!(笑) しかも、もしや...?と思ったら、次のページの挿絵に描かれてるのがまさにその絵だったし! うふふ。
パンの耳の話とか、指輪の話とか、図書館の話なんかも可笑しいし、あと「本のなかの小さい男の子」の「朝ごはんなし、お昼ごはんもなし」「晩御飯もなかったのよ」「いいえ、晩ごはんはありました」も良かったんですよねえ。大おばさんにあげたスノードームの話も。パラパラめくってるだけでも、素敵な場面がいっぱい出てきて困っちゃう。どれもこれも大好き。でも、何といっても最高なのは、「いたずらハリー」の最後の「おぎょうぎのいいお客さま」でのお母さんとの会話かな♪
自分の妹とか子供とか、知ってる子とか、誰かに重ね合わせながら読む人が多いのではないかと思いますが、私が重ね合わせてしまったのは、友達のとこの子供。おねえちゃんはしっかり者でおりこうさんなのに、その弟はもう本当にやんちゃで! 壮絶な「困ったくん」なんです。でも、すんごく可愛いんですよね。お姉ちゃんもお母さんも始終困らされつつ、その子に向ける視線は愛情たっぷり~。まあ、その子は男の子なので、「きかんぼのちいちゃいいもうと」というよりは、その悪戯仲間のハリーの方がぴったりかもしれませんが!(福音館書店)


+既読の酒井駒子作品の感想+
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「よるくま」「よるくま クリスマスのまえのよる」酒井駒子(「リコちゃんのおうち」)
「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ文・酒井駒子絵訳
「きつねのかみさま」あまんきみこ文・酒井駒子絵
「絵本のつくりかた1」「Pooka+ 酒井駒子 小さな世界」
「ゆきがやんだら」「ぼく、おかあさんのこと...」酒井駒子
「こりゃ まてまて」「ロンパーちゃんとふうせん」酒井駒子
「BとIとRとD」酒井駒子
「赤い蝋燭と人魚」小川未明文・酒井駒子絵
「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵
「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子
「きかんぼのちいちゃいいもうと」1~3 ドロシー・エドワーズ

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ハンスが湖のほとりで小舟を浮かべて遊んでいると、木の上から見ていた風さんがさっと地面に飛び降ります。すると小舟はするすると動き出して... 風さんはハンスを連れて野原を突っ切り、りんごの実を揺り落し、色づいた葉っぱを散らし、雲に乗ってぐんぐん飛んでいくのです... という「風さん」。
一人ぼっちで窓辺に座って外を眺めていたマリーレン。お母さんは出かけたきり、なかなか戻ってきません。灰色の空からひらひらと雪が舞い降りてきて、ゆきのこたちが踊り始めます。そしてゆきのこたちに誘われたマリーレンは、一緒にゆきの女王の国へ... という「ゆきのおしろへ」。
遠い遠い遙かな国。赤ちゃんのいもむしたちは、子守りおばさんが見守る中、緑の葉っぱのジュースを飲んだり、よちよちと歩き回ったり。さなぎの子どもは、綺麗な花が咲き乱れ芳しい香りが溢れる夢のお庭で遊んだり、とんぼのお姉さんにダンスを習ったり。そして3月になると、光の使いたちに羽をもらうのです... という「ちょうちょのくに」。

「風さん」は、水色の服と帽子に金髪をなびかせた男の子。ハンスは白と赤の服に、赤と水色の、とんがった先っぽが垂れ下った帽子。(名称が分かりませんー) 訳者あとがきで、「下を向いた頭がいかにも重そうです。頭が大きめの子の中には想像力が一杯で、でも現実をとらえるのはゆっくり...。子どものタイプをそんな風にとらえる観方もあります。」とありました。そして四大元素の風に対して、ハンスは水と土の子、とも。なるほどなあ。最初はどちらかといえば、大人しくて... ちょっぴり愚鈍なイメージで、走るのもちょっとたどたどしかったハンスが、軽やかな「風さん」にひっぱりまわされてるうちに、だんだんやんちゃになっていくのが可愛いのです。下を向いて垂れてた帽子の先っぽも、最後は上を向いてるし!

「ゆきのおしろへ」は、まず白くてまんまるいゆきのこたちが可愛いし、淡い色合いの雪の世界と白いゆきのこたちの中に、全身真赤な服のマリーレンちゃんの姿が鮮烈。こちらにも風の子が出てきましたが、「風さん」のあの男のではなくて、こちらは女の子。そして雪の女王のお城は、アンデルセンの「雪の女王」とはまた全然違う雰囲気。お城は氷でできていて冷たいはずだし、お庭にもガラスのようなお花が咲いてるんですけど、どこか暖かいんですよね。雪の女王の膝の上に女王そっくりの小さなお姫さまが座っていて、その腕の中にはその小さなお姫さまにそっくりの人形が抱かれているからかしら。雪の女王が、まるで聖母マリアのようなイメージです。そして雪のお姫さまの誕生日のパーティで働く雪だるまたちのおじさん臭くて可笑しいことったら。

そして「ちょうちょのくに」は... うーん、この本だけ感想が出てこなくて困ってしまったのだけど... それは、私自身がちょうちょが苦手なせいもあるのかも。いもむしもダメなんだけど、特にあのヒラヒラと飛んでるちょうちょが怖くて仕方ないんですよねー。あ、でも絵本の中のいもむしの赤ちゃんとか、さなぎの子どもとか、絵としてはすごく可愛いです。3月の春の誕生日に、輝く金の槍を持つ光の使いが、さなぎの子どもたちに羽をあげるというのが素敵。

「ゆきのおしろへ」がオルファースの最初の絵本で、「ちょうちょのくに」が最後の絵本なのだそうです。
他の絵本もそうなんですが、絵の枠がまた素敵なんですよね。アールヌーボーの絵によくあるような枠。この「風さん」では木の幹や枝が枠になってます。文章の方も水辺に咲く菖蒲の花だったり、流れる小舟だったり、綿毛を飛ばすたんぽぽだったり... 「ゆきのおしろへ」は、絵の左右が、真っ白い雪割草。そして「ちょうちょのくに」は、再び木の枠。時々枠にちょうちょやトンボの形がくり抜かれてるのがまた可愛いのです。(平凡社)


+既読のジビュレ・フォン・オルファース作品の感想+
「森のおひめさま」「うさぎのくにへ」「ねっこぼっこ」ジビュレ・フォン・オルファース
「風さん」「ゆきのおしろへ」「ちょうちょのくに」ジビュレ・フォン・オルファース

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ギリシャ神話は子供の頃から大好きで、何か見つけるたびに読むようにしてるんですが、ザル頭のせいか、読んでも読んでも抜け落ちていってしまう私。しかも、これだけ読んでも、知らないエピソードがまだまだ沢山あるみたいなんですよねえ。
というのも、先日光原百合さんの「イオニアの風」(感想)を読んだ時に、「オデュッセイア」... というかトロイア戦争の後日談の話になったんですね。光原百合さんが「イオニアの風」を書かれたきっかけが、その後日談の1つを読まれた時のことだったそうなんですが、私はその後日談を全然知らなくて! わー、そんな話があったんですか、状態。まだまだ知らないことがいっぱいあるんだなあ、そのエピソードはぜひとも読みたいぞ! と、もっと範囲を広げてみることにしました。まず手に取ってみたのは、参考文献として紹介されていた本の中から、一番入手しやすい阿刀田高さんの「ギリシア神話を知っていますか」。調べてみると「私のギリシャ神話」というのもあるようなので、そちらも一緒に。

いくらザル頭とはいえ、ギリシャ古典も含めて、ギリシャ神話に関しては既にある程度読んでるので、いかにも入門編的な題名の本はあんまり手に取らなかったんですけど... いや、これは面白かったです。ごく有名なエピソードだけピックアップして紹介していくという趣向ですが、これが頭の整理にぴったり。様々な文学作品や文献に目を通した上で総括的に語っているので、全体像がとても掴みやすくなってますしね。エピソードそのものは知ってるものばかりでも、阿刀田高さんの解釈が随所に交えられているので、「ああ、こういう読み方もできるのか」という意味でも面白かったし。まっさらなギリシャ神話初心者の読者には阿刀田色がつきすぎてしまうかもしれませんが、既にある程度自分なりのイメージも固まってるので、その心配もあまりなく。
ただこの2冊、内容的にはかなり重なってしまっているので、どちらも読む必要はあんまりないかもしれないですね。ちなみに私は「私のギリシャ神話」の方が好きでした。彫刻とか絵画とか、ギリシャ神話をモチーフにした様々な美術品がカラー図版で紹介されてるのが嬉しいし... どちらも読みやすいんだけど、こちらの本の方が後で出版されてる分、内容的にも一層練られてるような。こんな風に楽しめるんなら、「ホメロスを楽しむために」なんかもいいかもしれないなー。今まで気がついていない、新しい読み方を教えてもらえそうです。
でもでも、肝心のトロイア戦争の後日談については載ってなくて残念。さて、次はどの本に当たろうかしら? 「イオニアの風」の参考文献の中では、ホメロス「イリアス」「オデュッセイア」、ブルフィンチ「完訳ギリシア・ローマ神話」、呉茂一「ギリシア神話」は既読なので、残すは、ロバート・グレイヴズ「ギリシア神話」、バーナード・エヴスリン「ギリシア神話小事典」、カール・ケレーニイ「ギリシアの神話」。本当は光原さんが中学の頃に読まれたというリアン・ガーフィールドの「ギリシア神話物語」載ってるというのが一番ありそうな線なんですけど、この本は既に絶版だし、図書館にもないんですよねえ。絶版という意味では、未読の3つもどれも絶版ですが... ロバート・グレイヴズのがすごく良さそうな感じなのに、これも図書館にないのが残念だな。

で、読んでも読んでも抜け落ちていってしまうザル頭についてですが、「私のギリシャ神話」の宮田毬栄さんによる解説に、こんな文章がありました。

子ども用ダイジェスト版、トマス・ブルフィンチ、呉茂一、カール・ケレーニイ、と読んではきたものの、どれだけ頭に残っているかは、茫洋としてわからない。親しい神々もいれば英雄もいる。だが、親しめない神もたくさんいて、入り組んだ系図まで覚えられるわけがないのだ。
ギリシャ神話の膨大さ遠大さが、全貌をつかみにくくさせているし、阿刀田氏の指摘にもあるように、古代ギリシャ人の願望や恣意が後から神話に加えられ、矛盾や錯綜が生まれているからだろう。

解説を書かれるような方でもそうなんですね! なんだかちょっとほっとしました。(笑)(集英社文庫・新潮文庫)


+既読の阿刀田高作品の感想+
「新トロイア物語」阿刀田高
「ギリシア神話を知っていますか」「私のギリシャ神話」阿刀田高
「ホメロスを楽しむために」阿刀田高
「旧約聖書を知っていますか」阿刀田高

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夏休みが始まって間もなく、マリアンとその兄のジョーは、ピンホーのばば様に呼び出されます。ピンホー一族はクレストマンシー城の近くにあるアルヴァースコート村に住む魔女の一族で、ばば様はその長。近隣の他の町や村に移り住んでも、一族の者たちは皆ばば様の命令には従っているのです。ばば様の用件は、ジョーは夏休み中クレストマンシー城でブーツみがき係をしながら、クレストマンシー城の人々がピンホー一族のことに気付く気配がないかどうか確かめて報告すること、そしてマリアンは、毎日朝食後から夕食前までばば様の家で使い走りをすること。しかしそこにファーリー一族のじじ様とばば様、その娘のドロシアが現れます。口論の末、ファーリーのじじ様のかけた呪文で、ばば様がすっかりおかしくなってしまうのですが...。

大魔法使いクレストマンシーシリーズの7作目。
クレストマンシー城のお膝元でこんなことがあったなんて~~。ということで、すっごく面白かったんだけど! やっぱりクレストマンシーのシリーズが一番好きだし、その中でもこれは上位の方だなと思ったんだけど! でも「ああ、面白かった~」で終わってしまって、あんまり何も書けない私。それより、クレストマンシーシリーズを最初から読み返したいよぅ。
落ち着いて何か書けそうになったら、その時にちゃんと感想を書きますね。(徳間書店)


+シリーズ既刊の感想+
「魔法使いはだれだ」「クリストファーの魔法の旅」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔女と暮らせば」「トニーノの歌う魔法」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法がいっぱい」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法の館にやとわれて」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「キャットと魔法の卵」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

+既読のダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品の感想+
「魔法使いハウルと火の悪魔」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「アブダラの空飛ぶ絨毯」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「デイルマーク王国史」1~4 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「わたしが幽霊だった時」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
留守中に読んだ本(18冊)(「マライアおばさん」「七人の魔法使い」「時の町の伝説」の感想)
「呪われた首環の物語」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「花の魔法、白のドラゴン」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「いたずらロバート」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バウンダーズ」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「星空から来た犬」「魔空の森ヘックスウッド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バビロンまでは何マイル」上下 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」「海駆ける騎士の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「うちの一階には鬼がいる!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法!魔法!魔法!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ぼくとルークの一週間と一日」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「牢の中の貴婦人」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
Livreに「ダークホルムの闇の君」「グリフィンの年」「九年目の魔法」の感想があります)

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エリンは大公(アルハン)領の闘蛇衆の村で育った少女。エリンの母・ソヨンの獣ノ医師としての腕は非常に高く、闘蛇の中でも最強の<牙>の世話を任されていました。しかしエリンは、自分たち母娘は集落の人々とはどこか隔たりがあると感じていました。それもそのはず、ソヨンは元々霧の民(アーリョ)であり、戒めを破って闘蛇衆の頭領の息子だった父・アッソンと恋に落ちたのです。アッソンは既に亡くなっており、頭領である祖父はソヨンの腕を認めながらも、2人に冷たい視線を向けるのみ。そしてそんなある晩、闘蛇の、それも<牙>10頭全てが死ぬという事態が起こります。ソヨンはその責任を取って処刑されることになり、エリンはそれを助けようとして、逆に母に闘蛇の背に乗せられて逃げのびさせられることに。そして意識を失って倒れていたエリンを助けたのは、真王(ヨジェ)領の山間地法で蜂飼いをしていたジョウンでした。

アニメにもなりましたよね。でもアニメを見て、本を読もうと思った方も多いかなと思うんですが(図書館にもそういう人がいっぱいいたなあ)、私自身はアニメを見てもあまりそそられず... いや、元々あまりアニメは好きではないというのも大きいんですけど... まあ、当分読まないかな、なんて思ってた作品です。でもあの分厚いハードカバーが講談社文庫になると知って! いい機会かも、なんて思ってたら、タイミングよく背中を押していただいて! 無事読むことができました。
いやあ、面白かったーー。
「守り人」シリーズも「狐笛のかなた」も大好きだし、読めばきっと面白いんだろうなとは思ったんですけど、やっぱり面白かったです。(それなら、なんでさっさと読まないんだ、私)

「守り人」と同じく異世界ファンタジーなんですが、私の勝手なイメージ的には高句麗、百済、新羅辺りかな?(その辺り、勝手に言ってるだけであまり知らないので、突っ込まないで下さい)
エリンの母の闘蛇に関する教え、謎めいた霧の民、そしてこれから学んでいこうとする王獣のこと。それらの根底に同じ流れがあるのを感じつつ... まさしくエリンの書いた「獣について学ぶことは、きっと、自分が知りたいと思っていることに、つながっているはずである」ということに通じるんだろうなと思いつつ。人と獣との関係。本来、人と獣とはどういった関係であるべきなのか、そして飼いならされた獣の失ってしまったものと、獣本来の姿とは。さらには「操る者」ではなく「奏でる者」としての「奏者」という言葉にも興味を引かれつつ。
いや、一気に読んでしまいました。人間と獣とは違うと何度言われても、何度痛い目に遭っても、また獣を信頼してしまうエリン。その辺りが上橋菜穂子さんらしいなあと思いますね。痛い目に遭いながらも、傷つきながらも、相手を理解しよう、受け入れよう、としてしまう...。もちろん種が違えば考え方も違うし、なかなか上手くいくわけがないんですが、それでも希望は捨てなければ、いつか分かり合える一瞬がくるのかも。人と獣に限らず。

上橋菜穂子さんはこの2冊を4か月で書きあげられたのだそう。確かに、やや性急な展開で、登場人物たちも描き切れてなかったかもしれないな、とも思うんですが、でもそれ以上に、大きな流れや勢いを大切にして描かれた作品なんだなというのを感じますね。いや、見事でした。これで綺麗にまとまったと思ったので、続編が書かれたということに改めて驚いてしまいますが...。やっぱりこれは続きも読んでしまうんだろうな。でも、もうちょっとあとで。こちらをもう一度読み返して、消化しきってから読んだ方が良さそうです。(講談社文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「獣の奏者」1・2 上橋菜穂子

+既読の上橋菜穂子作品の感想+
「虚空の旅人」「神の守り人 来訪編」「神の守り人 帰還編」「蒼路の旅人」上橋菜穂子
「天と地の守り人」1~3 上橋菜穂子
「流れ行く者 守り人短編集」上橋菜穂子
「バルサの食卓」上橋菜穂子・チーム北海道
Livreに「精霊の守り人」「闇の守り人」「夢の守り人」「狐笛のかなた」の感想があります)

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