Catégories:“2009年”

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北海道の富良野の東大演習林に「えぞ松の更新」を見に行った幸田文さん。北海道の自然は厳しく、えぞ松の種も毎年数知れないほど発芽しても、ほとんどのものは育つことができない状態。しかし倒木の上に着床して発芽したものは、そこでも自然淘汰されるものの、強く幸運な何本かは生き延びることができるのです。それが「えぞ松の更新」。1本の倒木の上に整然と行儀よく並んで立つえぞ松の様子に、知識のない人でも、これがえぞ松の更新だということが分かるのだそうですが...。そんな「えぞ松」ほか、木にまつわる全15編のエッセイ集。

ずっと気になってた本です。ようやく読めました。すごく良かった~。
幸田文さんは、幸田露伴の次女。だから文才がある、というわけでもないんでしょうけど、やっぱり面白かったです。文章の良し悪しというのは私には(いつも)分からないんだけど、読んでいて心地よいリズムがあるし、なんていうか、感性が独特なんですね。言葉への表わし方がものすごく素直ということなのかな。擬態語... というのかよく分からないんだけど、そういうのもとても多くて、初めて聞く言葉なんだけど、それがまたすごく表情豊かで、「言いたいこと、分かる分かるー!」という感じ。
実際に木を見に行けば、そこでもまた一般人とは違う反応を見せます。木の気持ちを汲み取り、推し量り、時には我を通してでもとことんその木の姿を見極めようとする幸田文さん。一番印象に残ったのは、「ひのき」の章に書かれた「アテ」の話。森林に携わる人々がアテのことをさんざん貶すのを見て「木の身になってごらんなさい、恨めしくて、くやし涙がこぼれます」とまで言い、特別にアテを挽くことまで頼み込むのです。実際に挽いている場面でも、アテの猛々しさが伝わってきます。

半分まで素直に裁たれてきた板が、そこからぐうっと身をねじった。裁たれつつ、反りかえった。耐えかねた、といったような反りのうちかただった。途中から急に反ったのだから、当然板の頭のほうは振られて、コンベヤを一尺も外へはみだした。すべて、はっと見ている間のことだった。

これは実は挽いている人にもかなり危険な作業だったのでは...。それでも幸田文さんは、反ったのだからまた矯められるのではないかと考えて、実際に掴んで、その固さを身をもって知らされることになります。

この中で一番古い「えぞ松の更新」は1971年1月、最後の「ポプラ」が1984年6月発表。13年半にもわたって書き継がれたことになるんですね。その間、北海道から屋久島の杉まで、日本国内の様々な木に出会ってきたという幸田文さん。人間は、たとえば杉のように何千年も生きられはしませんが、それでも幸田文さんの長いスパンで物事と付き合っている姿も印象的でした。

住むことにしろ、食べもの着物にしろ、春夏秋冬、四つの季節を経てみなければ、ひと通りのこともわかりはしない。ましてや山や川のようなものは、四季の変化どころではない。朝夕でも晴雨でも姿をかえてみせるのだから、せめて四季四回は見ておかないと、話にならないのだ(P.101~P.102)

ああ、なるほどなあ、って思います。本当にそうですね。(新潮文庫)

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ある朝突然、仲良しのことりが死んでしまい、悲しんだくまは綺麗な箱を作って、その中にことりを寝かせて持ち歩きます。ことりは一見眠っているだけのよう。しかし森の友達たちは、箱の中のことりを見るとみな困った顔をして、もう早くことりのことを忘れた方がいいと言うのです。くまはとうとう暗く締め切った部屋に閉じこもってしまい...。

まず、くまとことりの「きょうの朝」の話のところで、心が鷲掴みにされました。

「ねえ、ことり。きょうも『きょうの朝』だね。きのうの朝も、おとといの朝も、『きょうの朝』って思ってたのに、ふしぎだね。あしたになると、また朝がきて、あさってになると、また朝がきて、でもみんな『きょうの朝』になるんだろうな。ぼくたち、いつも『きょうの朝』にいるんだ。ずっとずっといっしょにね」

「そうだよ、くま。ぼくはきのうの朝より、あしたの朝より、きょうの朝がいちばんすきさ」

それなのに、そんなことを言い合える、かけがいのない友達を失ってしまっただなんて。ああ、切ないです。深い悲しみを癒すには、確かに時間が一番の薬なんだけど... くまだってそんなことは薄々は分かってたかもしれないんだけど... でもそんなに簡単に割り切れるはずないですよね。純粋にことりを失った悲しみ、やるせない喪失感はもちろんのこと、死んでいくことりに何もできなかった自分への責めや悔いもあったかもしれない。でも、そんな悲しみの中に溺れそうになった時の出会い。そしてあの一言。ああ、くまはこの一言が欲しかったんだなあって思います。それなのに、森の仲間は誰もこの一言を言ってあげられなかったのか!
モノトーンの絵の中の、ほんの少しの明るいピンク色が、くまの気持ちを表しているんでしょうね。そしてきっとそのうち、もっともっと色が増えていくんでしょう。で、いつか、モノトーンの背景のそこここが綺麗な色で彩られて。そうなったら素敵だな。(河出書房新社)


+既読の酒井駒子作品の感想+
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「よるくま」「よるくま クリスマスのまえのよる」酒井駒子(「リコちゃんのおうち」)
「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ文・酒井駒子絵訳
「きつねのかみさま」あまんきみこ文・酒井駒子絵
「絵本のつくりかた1」「Pooka+ 酒井駒子 小さな世界」
「ゆきがやんだら」「ぼく、おかあさんのこと...」酒井駒子
「こりゃ まてまて」「ロンパーちゃんとふうせん」酒井駒子
「BとIとRとD」酒井駒子
「赤い蝋燭と人魚」小川未明文・酒井駒子絵
「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵
「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子
「きかんぼのちいちゃいいもうと」1~3 ドロシー・エドワーズ

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北の海に住む人魚は、生まれてくる子供に、寂しく冷たい海ではなく、人間の住む美しい町で育って欲しいと考えて、子供を陸で産み落とします。それは人魚の女の子。その女の子を拾ったのは、蝋燭の店をしている子供のいない老夫婦でした。老夫婦は神様に授けられた子供だと考えて、大切に育てるのですが...。

「人魚は、南の方の海にばかり棲んでいるのではありません。北の海にも棲んでいたのであります」という始まりがとても美しい小川未明さんの童話。大正10年の作品なんだそうです。でも美しいながらも、暗くて怖くて寂しくて哀しくて、実は子供の頃からずっと苦手だったんですよね。老夫婦が子供を拾う話となると、どうしても桃太郎とかかぐや姫とかそういう話を思い浮かべるんですけど、この物語は全然違うんですもん。なんで、いつの間に、そんなことになってしまったの? と、なんだか裏切られたような気がしてしまって。
でもこの童話に、酒井駒子さんの絵がこの上なくよく似合うのです。酒井駒子さんの絵は、黒がとても印象に残る絵。暗い北の海の中や、そこで暮らす人魚の孤独感。この上なく寂しいんだけど、なんて美しい...!
そんな黒が基調の絵なんですが、海岸の小さな町の描写では背景が白となります。小さいけれど、ちょっと素敵な町。蠟燭の店をやってる、信心深いお爺さんとお婆さん。そんな2人が拾った可愛い女の子の人魚。神様に授けられたこの子を大切に育てようという優しい気持ち。しかしまた徐々に黒くなるのですね。それは拾ったのが普通の女の子ではなく、人魚だと分かった時から始まっていたのでしょうか...。どんどん美しく育っていく人魚の女の子。絵がうまい彼女のおかげで、蝋燭店は繁盛します。でもそれが良くなかったのかも。女の子の真直ぐな気持ちはお爺さんとお婆さんに届かなくなってしまう。優しかったはずの手は、いつしか残酷な手になってしまう。

この物語にはこの絵しかない、とそう思えてしまうほどはまっている酒井駒子さんの絵。闇のような黒と血のような赤が、ただただ印象的。苦手だった物語のはずなのに... もしかしたら、今まで読んだ駒子さんの絵本の中で、これが一番インパクトが強かったかも。(偕成社)


+既読の酒井駒子作品の感想+
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「よるくま」「よるくま クリスマスのまえのよる」酒井駒子(「リコちゃんのおうち」)
「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ文・酒井駒子絵訳
「きつねのかみさま」あまんきみこ文・酒井駒子絵
「絵本のつくりかた1」「Pooka+ 酒井駒子 小さな世界」
「ゆきがやんだら」「ぼく、おかあさんのこと...」酒井駒子
「こりゃ まてまて」「ロンパーちゃんとふうせん」酒井駒子
「BとIとRとD」酒井駒子
「赤い蝋燭と人魚」小川未明文・酒井駒子絵
「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵
「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子
「きかんぼのちいちゃいいもうと」1~3 ドロシー・エドワーズ

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□(しかく)ちゃんという女の子の、8つの小さな情景。「昼間の蒸気機関車」「図書館」「お友達」「12月」「幼稚園」「指しゃぶり」「カミナリ」「スイレン」。

「BとIとRとD」という題名が「BIRD」をバラバラにしているように、□ちゃんの日常の情景も1つずつバラバラで、全部で8つ。でも、大人の読者にとってはバラバラな情景も、□ちゃんにとっては滑らかに続いているんでしょうね。そして「BとIとRとD」が「BIRD」になるんだろうなあ。
この中で一番身近な情景は「図書館」。私の職場にも、いるいる、こういう女の子! すんごい可愛いんですよね。児童書を配架してる時にいたりすると、思わず本を片付ける手がゆっくりになったりなんかして。(笑) そして私が一番好きなのは「お友達」。ふとした瞬間に夢から醒めたように「足先の縫い目の堅いのが、急に見えてきて」というのが、ものすごくよく分かる... 他のお話でも「分かるなあ」はいっぱいあるんだけど、これに関しては、なんだかもう本当に胸が痛いほど分かってしまいます。という私自身は、お人形ではあまり遊ばなかったのだけど。そしてとっても可愛いのは「カミナリ」。これはお話も可愛いんだけど、絵がいいのです。リンゴの実に落ちてるちっちゃなカミナリ。いいなあ、可愛いなあ。(白泉社)


+既読の酒井駒子作品の感想+
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「よるくま」「よるくま クリスマスのまえのよる」酒井駒子(「リコちゃんのおうち」)
「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ文・酒井駒子絵訳
「きつねのかみさま」あまんきみこ文・酒井駒子絵
「絵本のつくりかた1」「Pooka+ 酒井駒子 小さな世界」
「ゆきがやんだら」「ぼく、おかあさんのこと...」酒井駒子
「こりゃ まてまて」「ロンパーちゃんとふうせん」酒井駒子
「BとIとRとD」酒井駒子
「赤い蝋燭と人魚」小川未明文・酒井駒子絵
「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵
「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子
「きかんぼのちいちゃいいもうと」1~3 ドロシー・エドワーズ

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アナトール・ル・ブラーズはフランスにおける柳田國夫のような存在で、日本の「遠野物語」のような伝説集をいくつか残しているそうなんですが、この本は、そのアナトール・ル・ブラーズの著作の中でもとりわけ名高いという原著「ブルターニュの人々における死の伝説」全132話から97話を抜粋したもの。「予兆」「死の前」「アンクー」「死の真似事」「呪い殺し」「魂の出発」「死後」「埋葬」「魂の出発」「溺死者」「呑み込まれた町」「殺人者と首吊り人」「アナオン」「魂の祝祭」「魂の巡礼」「アナオンに涙を流しすぎてはいけない」「幽霊」「悪意ある死者」「悪魔祓いとその仲間」「地獄」「天国」の全21章。

先日読んだ現代教養文庫のフランス民話集数冊(感想)でも見た話がいくつかあったし、あと「ブルターニュ幻想 フランス民話」(感想)なんかとも、多分重なっている部分があったと思うんですが... この本の方が、人々から直接採集したという雰囲気が色濃く残ってたかな。
一読してまず気づかされるのは、死の身近さ。そしてキリスト教色の濃さ。たとえば洗礼を受けずに死ぬのはとてもとても不幸なことなので、赤ん坊が生まれたら、何はさておき早く洗礼を受けさせなくちゃいけないんですね。洗礼を受けずに死んだ子供の苦しみの描写と併せて、そのことが物語の中で何度も語られています。死ぬ間際の赦しの秘跡も大切なんですが、何よりもまず洗礼。異教徒のまま死ぬということをすごく恐れてます。そして、日常における「死」の扱い方。他人をからかってやろうと死んだふりなんかをすれば、その悪戯者本人を待っているのは本当の死だし、誤って人を呪えば、そこで待ち受けているのも呪った本人の死。死を決して軽々しく考えてはいけないという教訓。
でも、死そのものは、決して悪いことではないのです。死んだ人間が生前心正しく生きていて、償いの必要さえなければ、もしくは償いがごく軽くて無事に終われば、どうやらこの世に生きているよりも居心地がいいみたい。そして死ぬことよりも重要なのは、救われるかどうかということ。業の深い人間の死後は、相当大変なようです。償おうにも自分の力だけでは償うことができずに、生きている人間の力を借りる話も多々あったし。それに何か不穏な出来事が起きた時、みんなまず司祭に相談しに行くんですが、司祭に助けを求めて、助言を得られて、しかもきちんと司祭に言われた通りにできたとしても、結局死んでしまい... それでも救われたから良かった、なんて話もありました。
これほどまでに「死」ばかりが描かれているとは、ちょっとびっくりなんですが... まあ、伝承の宝庫であるブルターニュで死にまつわる話を集めただけといえばそれだけなんですけど... 逆に言えば、まずキリスト教徒になり、キリスト教徒として正しく生きることが重要で、そして決して「死」をもてあそんではいけない、という感覚を養うために、いかに日頃から刷り込みされてるかということでもあるんでしょうね。もしかしたら、そのために利用されてる民話もあるのかも、なんて思ったりもします。

でもそんなキリスト教的な死の物語の奥に見え隠れしているのは、ケルトの存在。たとえば「アンクー」と呼ばれる存在は、まるでキリスト教の悪魔と重なっているように描かれてるんですが、本来はケルトの死神なんです。水に沈んだイスの町も、元々はケルトの中の伝説の1つ。やっぱりブルターニュはケルト色が濃い土地柄ですね。でもそれらの伝説の起源の大半はアイルランドだそうなんですが、アイルランドとはまた違った印象。独特です。

出版社も違えば訳者も違いますが、この本の2か月後に出版された、同じくアナトール・ル・ブラーズの「ブルターニュ 死の伝承」と、どうやら原著は同じみたい。というか、そちらが完訳版で、こちらが抜粋なんですね。全132話から97話を抜粋ということは、あと35話増えるだけだし、とは思うんだけど、調べてみたらページ数も値段も倍ほど違う! その「ブルターニュ 死の伝承」は766ページで9240円なんです。(こっちは349ページで2730円)これは到底自分では買えないし... しかも市内の図書館には蔵書がないようで... 当分読めなさそうだなあ。でも、ネットで調べてると、どうやらそっちを読まないと分からない部分というのもあるようなんですよね。気になるなあ。(国書刊行会)

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「私」の恋人が逆進化。ある日まで彼は「私」の恋人だったのに、次の日は猿になり、それから1ヶ月たった今では、海亀なのです... という「思い出す人」他、全16編の短編集。

読み始めてまずびっくりしたのが、そのシュールさ。だって、恋人がある日突然猿になってしまって、それからヒヒになったりいろいろして、今は海亀なんですよ! しかもそんなことを、語り手の彼女が淡々と語り続けるんです。怒りも困惑も悲しみもなくて、ましてや狂気のかけらもなくて、ただ事実を事実として認めて、見守りつつ語るだけ。彼女は、覚えておくことこそが自分の仕事だと感じてるんですね。元々、少女の頃に既に特定の願いごとがもたらす結果を学んでしまったからと、星にはただ「善いこと」だけを願っていたような女性ではあるんですが... それでも、ね。普通ならパニックを起こしたり、元に戻れるよう神頼みになったり、もしくはすっかり諦めてしまって、その「元恋人」を捨ててしまったり... あと他にどんな選択肢があるのか今ぱっと思い浮かびませんが、彼女のように、ただ淡々と「見守り続ける」というのは、あまりないような。でも、彼女は当然のようにそうしてる。そして、そんな一種独特の雰囲気が、この作品だけでなくて、全ての作品に共通しているんです。何が起きても動じない神経の太さというのではなくて、とてもとても繊細なのに、何が起きてもただ受け止める度量を持つ人々の姿が描かれています。そこには無理な明るさも過剰な暗さもななくて。シュールでありながら、そこからあと1歩を踏み出してしまわない絶妙さ。そしてその絶妙なセンスがものすごく美しいのです。

訳者あとがきによると、エイミー・ベンダーはイタロ・カルヴィーノ、オスカー・ワイルド、ジェイムズ・ボールドウィン辺りの作品が好きなんだとか。キャリル・チャーチルの戯曲「クラウド・ナイン」、オリヴァー・サックスのエッセイ、ガブリエル・ガルシア=マルケスの「百年の孤独」が大好きで、その後村上春樹の奇妙な宇宙に入り浸ることになったんですって。ああ、分かる気がする! という私は、ジェイムズ・ボールドウィンもキャリル・チャーチルもオリヴァー・サックスも読んだことないんですが(汗)、カルヴィーノとワイルド、そして「百年の孤独」に村上春樹と聞けば、なるほど納得です。特にカルヴィーノが好きな方は、一度試してみる価値があるかと~♪ (角川文庫)

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まずは「こりゃ まてまて」。
公園に行った女の子。チョウやトカゲ、ハトやネコを見つけるたびに「こりゃ まてまて」と追いかけるのですが、みんなすぐ逃げて行ってしまって...。
0歳児~3歳児対象の赤ちゃん絵本。日常の中でよくありそうな場面を切り取ったお話です。いつもながら酒井駒子さんの描く子がとても可愛くて~。特にこのほっぺが絶品! つんつん、すりすりしたい~。
で、この絵本、すごくいいなと思ったのが文字なんです。ちょっぴり擦れてて、微妙に不揃いのハンコ風の字。擦れてるとか不揃いとか言っても、気がつかない人が多いかもって程度なんですけどね。でもやっぱり印刷のための普通の活字とはまた違う表情。他の作品、特に「よるくま クリスマスのまえのよる」を読んだ時に、普通の印刷のフォントだと、この絵にはちょっと無粋な感じがしちゃうなあ、なんて思ってたので(普通のお話部分はまだいいんだけど、字が大きいとことかね)、そういうところに気が配られてるのが素敵。このシリーズっていっぱいあるけど、ほかのもそんな風にフォントに気を配られているのかしら? 今度チェックしてみよう。

そして「ロンパーちゃんとふうせん」。
まちで風船をもらったロンパーちゃん。飛んでいってしまわないように、指にくくってもらって、無事におうちに到着。でもおうちで遊ぼうとしても、風船はすぐに天井にのぼってしまうのです。そんな風船に、お母さんは素敵な工夫をしてくれるのですが...。
ロンパーちゃん、可愛いな~。糸でも浮かんでる風船って、すぐ指からするりと抜けて飛んでいってしまいますね。子供の頃に何度悔しい思いをしたことか... 私の母も指にくくりつけてくれてたはずなんだけど。そしてこの表紙のピンク色からして、お洒落な感じで印象的なんですけど、ロンパーちゃんのお母さんがまるで少し昔のパリっぽいモードでお洒落なんです。風船をくれるお兄さんも日本とはちょっと違う感じだし、このお話の舞台はどこなんだろう? 住んでるところも「アパルトマン」って感じに見えるんですが。

「こりゃ まてまて」の子がもう少し大きくなったら、ロンパーちゃんになるのかな? なんて考えるのも楽しいです。でも「こりゃ まてまて」の子のお父さんはごく普通の日本のお父さんだし、遊んでるのは多摩川の土手って感じだし... ロンパーちゃんのお母さんはパリのモードな人だから...(笑)
ロンパーちゃんも、まだまだぷくぷくほっぺの年代。これがまた可愛いんですよね♪(白泉社・福音館書店)


+既読の酒井駒子作品の感想+
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「よるくま」「よるくま クリスマスのまえのよる」酒井駒子(「リコちゃんのおうち」)
「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ文・酒井駒子絵訳
「きつねのかみさま」あまんきみこ文・酒井駒子絵
「絵本のつくりかた1」「Pooka+ 酒井駒子 小さな世界」
「ゆきがやんだら」「ぼく、おかあさんのこと...」酒井駒子
「こりゃ まてまて」「ロンパーちゃんとふうせん」酒井駒子
「BとIとRとD」酒井駒子
「赤い蝋燭と人魚」小川未明文・酒井駒子絵
「くまとやまねこ」湯本香樹実文・酒井駒子絵
「金曜日の砂糖ちゃん」酒井駒子
「きかんぼのちいちゃいいもうと」1~3 ドロシー・エドワーズ

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