Catégories:“小説以外”

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突然ネコから20歳前後の青年になってしまった夢吉。同居している作家のおっさん(東野さんご本人)には、なってしまったものは仕方ない、せっかく人間として生きてみろと言われ、なぜか冬期オリンピックの様々な選手たちに話を聞きに行くことに。

前半は、冬季五輪競技の紹介、後半は実際にトリノに行ってのオリンピック観戦記。
冬季五輪は嫌いじゃないんですけど、時差があったりすると、すぐに観るのが億劫になってしまう私。それぞれの競技をきちんと観たら、きっとハマるんでしょうけど、一度タイミングを逃してしまうと、どうでもよくなってしまうんですよねえ。それにオリンピックの場合、メダルの数を数えたがるマスコミが鬱陶しいし。結局、トリノ五輪も全然観ないまま終わってしまいました。そんな状態だったので、この本も、まあ、そこそこ。全作品を読んでる東野さんの本だから読んだけど、そうでなければ読まなかったんじゃないかと...。夢吉の視点で書かれていくのは楽しいんですが、やっぱり私はエッセイよりも小説がいいな。
ということで、この本の中で予告されていた、アルペンスキーヤーが主人公という「フェイク」が楽しみです。今はマイナーでも、実は面白い競技って色々とあると思うんですよね。「鳥人計画」(スキーのジャンプ競技の話)だって面白かったんだし、この本の中では「書いても出してくれる出版社がない」と否定的でしたけど、ぜひ小説の中でそういう競技を取り上げて頂きたいものです。こういうエッセイよりも、小説の方が遥かに効果的なのではないかと思うんですけどねえ。(光文社)


+既読の東野圭吾作品の感想+
「ちゃれんじ?」東野圭吾
「さまよう刃」東野圭吾
「黒笑小説」東野圭吾
「容疑者Xの献身」東野圭吾
「さいえんす?」東野圭吾
「夢はトリノをかけめぐる」東野圭吾
「赤い指」東野圭吾
「たぶん最後の御挨拶」東野圭吾
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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「ピーターとペーターの狭間で」(感想)、「翻訳家という楽天家たち」(感想)と同じように、本の雑誌社に掲載された翻訳にまつわるエッセイを1冊の本にまとめたものです。
「ピーターとペーターの狭間で」では純粋に翻訳秘話みたいな部分が面白かったし、「翻訳家という楽天家たち」では、もう少し範囲を広げた翻訳や読書周辺のあれこれが面白かったんですが、今回はまた一段と範囲が広がってたかな? 読みたい本が色々出てきちゃいました。100文字でのねあ。さんが、たらいまわし企画第23回「笑う門には福来たる! "笑"の文学」(記事)で出してらして気になってた「新明解国語辞典」がここでも登場していて、あんまり可笑しいので、ついついポチッとしちゃったし、この本の後に文藝春秋から訳が出たという「ジ・オフィシャル・ポリティカリー・コレクト・ディクショナリー・アンド・ハンドブック」とか... これは邦題が分からないんだけど、 「当世アメリカ・タブー語事典―多文化アメリカと付き合うための英語ユーモア・ブック。」かな?(違うかも)  あと、青山南さんが同じ翻訳家としてヒロインに共感させられてしまったという、多和田葉子さんの「アルファベットの傷口」! これが読みたい。(でもamazonで酷評されててびっくり) それから「頭の中の涼しい風」の章で、本の荷造りで書架があいてくるのを見て青山さんが思い出したという、「ジッドの日記」。その中で、ジッドも本の荷造りをしていて、だんだん書架があいてくるのを「頭の中を涼しい風が通る」ようだと表現してるんですって。これが気になります。(でも全5巻で31,500円なんて本なのね。凄そう...)
あと面白かったのは、本の裏表紙のバーコードとの闘いを続ける絵本作家・レイン・スミスのエピソード。バーコードの存在が許せないレイン・スミスが、バーコードを逆手にとって色々工夫しちゃうのが楽しい~。あとはやっぱり青山さんの文章ですね。ふとした拍子に素顔が出てくるって感じですごく好きです。(本の雑誌社)


+既読の青山南作品の感想+
「翻訳家という楽天家たち」青山南
「ピーターとペーターの狭間で」青山南
「眺めたり触ったり」青山南
「外人のTOKYO暮らし」青山南
「英語になったニッポン小説」青山南
「気になる言葉、気が散る日々」青山南
「小説はゴシップが楽しい」青山南
「大事なことは、ぜーんぶ娘たちに教わった」青山南

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副題は「クレオパトラから樋口一葉まで」。1回に1人ずつ古今東西の有名人をお招きして、その方のためだけにお料理を作るというもの。NHKの「今日の料理」のテキストに連載されていた記事が1冊の本にまとめられたものです。
ここのレストランに招かれているのは、クレオパトラ7世、サンタクロース、聖徳太子、玄奘三蔵、シンドバッド、源義経、チンギス・ハーン、ドラキュラ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、山内一豊の妻・千代、シェイクスピア、ヨハン・セバスチアン・バッハ、コロンブス、ナポレオン1世、河童の河太郎、アンデルセン、チャールズ・ダーウィン、ファーブル、トルストイ、ジェロニモ、近藤勇、アントニ・ガウディ、シュバイツァー、樋口一葉、南方熊楠という総勢25人。

これはsa-ki さんに教えて頂いた本。たらいまわし企画・第24回「五感で感じる文学」です。レシピは、実際にあったものを採用している場合もあるけれど、ほとんどがシェフである河合真理さんの考案だとのこと。できるだけそれぞれの人物の時代や土地にあったと思われる食材や調理器具を使い、お料理を作り上げていったのだそうです。まず、その回お招きする方についての紹介があり、次にシェフによるメニュー説明、お料理の写真、そして実際のレシピ、という構成。普段は、直接料理の写真を見てしまうよりも、文字からの情報として入ってきた方が、「美味しそう~」となる私なんですが、この本はとっても美味しそうでした! それぞれの人物に合わせて作ったお料理そのものももちろんなんですが、写真のためのコーディネートがまた凝ってるんですよね。鮮やかでとっても綺麗。それぞれのお客さまにぴったり~。
美味しそうな料理がいっぱいある中で一番気になったのは、シンドバッドのためのメニューのデザートで出される「ココナッツとフルーツの宝石見立て」。ココナッツを大粒の真珠に、果物をルビーなどの宝石に見立てて、輝くデザートを作ったというもの。これは作りが単純なせいかレシピが載ってなかったんですが、このキラキラの部分は一体何なのかしら! とっても綺麗。そしてびっくりしたのが、トルストイのためのメニューでメインディッシュとして出される「イラクサのシチュー」。グリム童話や何かでしょっちゅう登場して主人公を泣かせてるイラクサは、なんと食べられる植物だったんですか! 今はもうすっかり採る人が減ってしまったそうですが、以前は日本でも山菜として新芽を食べていたのだそうです。ますますびっくり。そして採る人が減ったのは、やはりその棘のせいなのだそう。「刺さるといつまでもチクチクと痛み、細くて抜きにくい」だなんて、やっぱり痛そう... 童話でイラクサを紡いでる場面、結構ありますよね。さぞかし手が腫れ上がったに違いない... このイラクサのシチューは、実際にトルストイの若い頃の食事の記述の中に登場するのだそうです。
実際に自分で作ってみようとは思わないけど(ダメダメ)、誰かが作ってくれるならぜひ食べてみたい... って、それはあまりに虫が良すぎますね。でも自分もぜひ招いて欲しくなってしまう、そんな素敵なレストランでした。(NHK出版)

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古典文学ではなく、比較的最近英訳された11編の日本の小説を元に、原作とその英語版の対比をしながら考察していきます。ここで取り上げられているのは、吉本ばなな「キッチン」、村上龍「69」、小林恭二「迷宮生活」、李良枝「由煕」、高橋源一郎「虹の彼方に」、津島佑子「山を走る女」、村上春樹「象の消滅」、島田雅彦「夢使い」、金井美恵子「兎」、椎名誠「岳物語」、山田詠美「トラッシュ」。

翻訳家の青山南さんの本だけあって、翻訳家としての立場からの意見も沢山。翻訳家志望の人にとても勉強になりそうな1冊です。面白かったー。翻訳作業って、単に言葉を別の言葉で置き換えるだけでなくて、その言葉が背負ってる文化を伝えることでもありますよね。この本の中でも、単に言葉の対比だけでなく、日本語版と英語版の雰囲気の違いやその原因、日本特有の固有名詞やその言葉によって伝わるもの、その訳し方など様々な部分に着目していくんですが、もう「なるほど」がいっぱい。
ただ、私がこの中で読んだことあるのは、「キッチン」と「69」だけだったんです。実際に原文を読んでいたら、きっともっと理解できたろうなと思うと、ちょっと勿体なかったり... と言いつつ、「キッチン」だけは、英語版も読んだことがあるんですが! というか、実は吉本ばななさんの作品を初めて読んだのは、英語版「キッチン」だったんですが!...と書くと、なんだか凄そうなんですけど、英語の本とは言っても、「キッチン」の英語自体は全然難しくなくて、中学生レベルの英語で読めそうな感じです。当時、読まず嫌いだったわけでもないんですが、吉本ばななさんに特に興味もなく素通りしていたら、友達が英語版をプレゼントしてくれて... しかも入院中で暇にしていた時だったもので、あっさりと読むことに...。(笑)
で、その「キッチン」なんですが、英語の文章を読んでいるのに、なんだかするんと身体の中に入ってくる感覚だったんです。原文は一体どんな感じなんだろう? と、退院後に日本語版も読むことになったのでした。ということで、「キッチン」だけはどちらの雰囲気も分かっているわけで、この章が一番面白かったです。この「キッチン」に関しては、青山さんは、翻訳されたからこそ分かりやすくなった部分があると指摘されてますし、確かに私もそう思いました...。日本語版も英語版も雰囲気としては同じなんですけど、英語の方が論理的で分かりやすい文章。逆に日本語の表現を見て、へええと思った覚えがあります。

他の作品では、例えば村上龍さんの「69」で、「林家三平そっくりの男」という言葉を単なる容貌を説明するような言葉に置き換えたことから、失われてしまった日本語のニュアンスのこととか、島田雅彦さんの「夢使い」で、日本語と英語がちゃんぽんになってる部分がきちんと英語に訳されていることによって、伝わらなくなってしまった会話の雰囲気とか、椎名誠さんの「岳物語」でも、文章の順番が緻密に入れ替えられて端正になった分、椎名さん特有の「勢いのままだらだらと書いた」雰囲気はなくなってしまったとか、そういう話が面白かったです。なるほど~。
行間のニュアンスまで上手く訳されているものがあれば、まるで違う雰囲気の作品になってしまっているものもあり、やっぱり翻訳者の方って大変ですね。とても興味深かったです。(集英社)


+既読の青山南作品の感想+
「翻訳家という楽天家たち」青山南
「ピーターとペーターの狭間で」青山南
「眺めたり触ったり」青山南
「外人のTOKYO暮らし」青山南
「英語になったニッポン小説」青山南
「気になる言葉、気が散る日々」青山南
「小説はゴシップが楽しい」青山南
「大事なことは、ぜーんぶ娘たちに教わった」青山南

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カリブ海の西インド諸島出身の黒人モデル、西荻窪の古本屋店主、ボート・ピープルとしてベトナムを出国し、今はベトナム料理店経営者の女性など、東京で暮らす外国人15人に青山南さんがインタビュー。東京にいる外国人を取材するという上で、青山南さんがつけた条件は、フリーランサーであり、30~40代だということ。それは会社に言われて来てるのではなく、自分の意思で東京にいるということ。そして自分なりの人生観を作り始めた年齢だということ。若いと、「夢」ばかり聞かされそうだから。

これらの人々に取材したのは1987年から2年間。日本が丁度バブル景気だった頃で、彼らが経済的にも稼ぎやすかった時期なんですよね。それからバブルも弾けて暮らしにくくなって、彼らのうち半分はもう日本にはいないとのこと。
そんな風に、自分たちの嗅覚に従って、暮らしやすい国に気軽に移っていく人々のフットワークの軽さが羨ましくなってしまうのだけど... そういうのって隣の芝生が青く見えるだけなのかな。1つの国に落ち着く幸せと、気軽に移動できる幸せがありますよね。でも日本語が母国語の人にとっては、日本の外に出たら即外国語に取り囲まれてしまうわけだけど、例えば英語圏の人だったら、気軽に行ける範囲が広いわけで。やっぱり条件が違うよね、と思っちゃう。外国で暮らしてみたいと思いつつ日本に居続けてるのは、結局、ただ単に自分の行動力と決断力がないだけなんですが。
...でも、まあこれも悪くなかったんですけど、やっぱり本関係のエッセイの方が面白いです。(朝日文庫)


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「翻訳家という楽天家たち」青山南
「ピーターとペーターの狭間で」青山南
「眺めたり触ったり」青山南
「外人のTOKYO暮らし」青山南
「英語になったニッポン小説」青山南
「気になる言葉、気が散る日々」青山南
「小説はゴシップが楽しい」青山南
「大事なことは、ぜーんぶ娘たちに教わった」青山南

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自分の読む遅さを以前は結構悩んだという青山南さん。きちんと読んでいるから遅いのか、それとも集中力がないから遅いのか。しかし「きちんと読む」とはどういうことなのか。そんな話から始まる、青山南さんの読書にまつわるエッセイ。

奇妙な世界のまんなかでのkazuouさんに教えて頂いた本。面白かったです! やっぱり青山さんの本や読書に関する話は面白ーい。これってもしかしたら、本の読み方が全然違うせいもあるのかしら? これまで読んだエッセイでも感じていたのですが、私の本の読み方はどうやら青山さんとは正反対みたいなんですよね。私は、面白い本は一気に読んじゃうし、読んでいるうちに夢中になって気がついたら朝になってることもあるし、歩きながらでも本を読むし(人にも物にもぶつかったことないですよー)、面白くない本を途中でやめることもあるし。(なかなかその世界に入れない時は、とりあえず寝かせて熟成することが多いです ←次に読む時に、案外すんなりと入れたりする) もちろん拾い読みの楽しさや索引読みの便利さとか、頷きたくなる部分も多いんですけどね。
池澤直樹さんが言われていたという、「小説って、読むのにあるスピードがいるでしょう」という言葉には私も同感。「じっさい、かなりのスピードで読むなら、たいていの小説はそこそこおもしろい」という青山さんの言葉は、まさに私のことかもしれません。もちろん、じっくりゆっくり読むのに向いている本もあるし、私自身ゆっくり読むこともあるんですけど、基本的には、自分のペースで読めないと、本って全然面白くなくなっちゃうんですよね。「時間もかからなかったし、まあいいか、と評価が甘くなるのか?」というのとはちょっと違うんですが... それでも確かに「これだけ時間をかけたのに」とがっくりくる度合いは、私の場合は少ないかも。
様々なエピソードの中でとても印象的だったのが、アーウィン・ショーのインタビューの中にあった、ニューヨーカーの編集者が言っていたという、小説の最後のパラグラフをばっさり切る話。へええ、余韻が残る作品というのは、そうやって作られるのか! でも言われてみると本当にそうなのかも。なんだか分かる気がします。(早川書房)


+既読の青山南作品の感想+
「翻訳家という楽天家たち」青山南
「ピーターとペーターの狭間で」青山南
「眺めたり触ったり」青山南
「外人のTOKYO暮らし」青山南
「英語になったニッポン小説」青山南
「気になる言葉、気が散る日々」青山南
「小説はゴシップが楽しい」青山南
「大事なことは、ぜーんぶ娘たちに教わった」青山南

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表紙の写真は、緑色の硝子細工のようなオブツーサ。南アフリカの砂漠地帯が原産の多肉植物。それ以外にも、水も土もなしで、根も葉もないのに花の咲くコルチカム、砂漠の宝石のようなイシコロマツバギク、翡翠色のヒスイカズラなど、一風変わった植物が紹介されている本です。

これは、風待屋の sa-ki さんに教えて頂いた本。オブツーサがあんまり綺麗なので、思わず速攻で図書館で借りてきちゃいました。この緑の丸い葉っぱ、ゼリーみたいにぷよっとしてるのかと思ったら、案外硬くてしっかりしてるんだそうです。丸い葉っぱに光を取り入れる透明な窓がついてから、こんな風に透明感のある緑色に見えるんですって。不思議ですよねえ。それにとっても綺麗!
黄色いオシロイバナはうちにもあるし、幻の青いケシとか桃色タンポポとか、園芸店で見かけたことのある品種も結構あったので、題名ほど「ひみつの植物」という感じはしなかったんですが、知らなかったのも色々ありました。それにこのオブツーサが見られただけでも、満足満足。藤田さんが子供の頃に好きでよく眺めていたという学研の植物図鑑は私も大好きだったので、すごく気持ちが伝わってくるようで、その辺りもとても楽しかったです。そして本好きにとって嬉しいのは、植物にまつわる本の話題もあることですね。著者の藤田雅矢さんは、農学博士でありながら、同時に「糞袋」でファンタジーノベル大賞を受賞した作家さんでもあるんです。「文学のかをり」という章では、チューリップ、ハエトリグサ、薔薇、モートンベイ・チェスナッツといった植物と共にそれにまつわる文学作品が紹介されています。「植物SF文学」という題のコラムでは、藤田さんのお気に入りの本+αも。

こういった珍しい植物を楽しめる植物園のデータもあるし、育ててみたい人のために、お取り寄せできるお店のデータや育て方のポイントが付いているのが嬉しいところ。インターネットを通じて購入できるお店も多いようですね。インターネットって本当に便利だなあ。この本は、自分でも買ってしまいそうです。オブツーサ、触ってみたいなー。(WAVE出版)

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