Catégories:“小説以外”

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「長い長いお医者さんの話」で有名なチェコの作家、カレル・チャペック。この中では「ダーシェンカ」を最初に読んだんですけど、全編これ犬の話。「ダーシェンカ」とは、フォックステリアの子犬の名前で、チャペックがもうほんとべた惚れになってるのが可笑しいのです。子犬を大人しくさせるためにお伽話を作ってみたり、「子犬の写真をうまく撮るには」では、なかなか大人しく写真を撮られてくれない子犬のことが面白可笑しく書いてたり。...でも続けて「チャペックの犬と猫のお話」を読んだら、「ダーシェンカ」の内容もそっくりそのまま入ってました(^^;。 とは言っても、「ダーシェンカ」の方が余裕たっぷりのページ作りがされてるので、同じ部分を読むなら「ダーシェンカ」の方がオススメかも。
「チャペックの犬と猫のお話」は、内容的には「ダーシェンカ」の倍以上あって、こちらは犬だけでなく猫の話も色々と入ってます。日本では犬派と猫派に分かれちゃうことが多いですけど、海外だとどちらも飼ってる人って結構多いですよね。チャペックもそう。でもどっちも雌だから、どんどん子供を産んで、どんどん増えていっちゃう。周囲の人にあげまくってるようですが、「じきに、みんなが私のことを避けているような気がし始めた」というのが可笑しいです。 
「園芸家12ヶ月」では、そんな犬猫を溺愛するのとはまた違って、園芸マニアなチャペックの一面を見ることができます。私みたいに普段は水遣りをするだけの怠慢ガーデナーからすると、もうほんと黙って尊敬するしかないマニアックぶり。でも気持ちは分かるんですよね~。雨が降っても風が吹いても、晴れの日が続いても苦労が絶えないチャペック。読みながら、思わずニヤニヤしてしまう方も多いのでは。ほんとチャペックのマニアックぶりが可笑しいです♪(新潮社文庫・河出文庫・中公文庫)


+既読のカレル・チャペック作品の感想+
「ダーシェンカ」「チャペックの犬と猫のお話」「園芸家12ヶ月」カレル・チャペック
「イギリスだより」「スペイン旅行記」カレル・チャペック
「ロボット」チャペック
「チェコスロヴァキアめぐり」カレル・チャペック
「北欧の旅」カレル・チャペック

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新作が出たら必ず読みたいと思ってる作家さんは何人かいますが、恩田さんもその1人。でも去年の後半から半年ほど図書館自粛生活をしていたせいで、新作を全然読めてなかったんですよね。うっかりしてる間に、加納朋子さんも近藤史恵さんも、西澤保彦さんも東野圭吾さんもはやみねかおるさんも、クラフト・エヴィング商會さんも新作が出てるじゃないですかーっ。恩田さんなんて先日出たばかりの「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」はもちろん、「小説以外」も「ユージニア」もまだ読んでないんですよぅ! 多作の作家さんは、次から次へと読めるので幸せなんですが、一度中断すると追いかけるのが大変。(でも柴田よしきさんはさらに上手で、「ワーキングガール・ウォーズ」「窓際の死神」「夜夢」「シーセッド・ヒーセッド」の4冊!)
ということで、まずは「小説以外」です。恩田さん初のエッセイ集。エッセイは苦手とのことですが、デビュー15年ともなると結構沢山あるものなんですねえ。でも1つずつが短いし、何といっても面白いのです! もうさくさく読めちゃいます。この中で一番面白かったのは、OLと作家の二足のわらじを履いてた頃のエピソード。(「二重生活」の章をぜひ読んでみて!) そして驚いたのは、恩田さんが未だに自分が小説家であるという実感を持っていないということ。今も最大の娯楽は読書で、面白い本を読むたびに「いいなあ、私も作家になりたいなあ」って思ってしまうのだそうです。あれだけ作品を出してるのに!(笑) そんな風に小説家になれるって本当に幸せなことですねー。そしてデビュー作「六番目の小夜子」を書くきっかけとなったのが酒見賢一さんの「後宮小説」だったというのも、ちょっとびっくりでした。

本に関する話題もとても面白かったんですが(読みたい本がまた増えてしまうー)、この中で私が一番反応したのは「ロマンチック・コメディの生きやすい世界を!」の章。映画は嫌いじゃないけど、あまり詳しくない私。最近またちょっとビデオやDVDを観るようになってきてるんですけど、ずーーーーっと何も観てない状態が続いてたんですよね。...そんな私でも白黒映画やカラーになりたての頃の映画にハマって集中的に見ていたことはあるんです。その時に大好きだったのが、ここで恩田さんが挙げてらっしゃる「或る夜の出来事」。(→の画像はカラーですけど、映画は白黒) 物語は典型的なボーイ・ミーツ・ガール物なんですが、とにかく粋でお洒落なんです。「ジェリコの壁」だとかヒッチハイクのシーンだとか、その後色んな映画で真似されて有名になったシーンも色々とあるし、クラーク・ゲーブルはそれほど好みじゃないんだけど、役柄にはぴったりだし、ヒロインのクローデット・コルベールがとにかく可愛いし♪ ...こうやって読んでいると、私もロマンチック・コメディが一番好きなのかもしれないなあ、なんて思ったりして。だから恩田さんの「ライオン・ハート」が大好きなのかもしれないなあ。
あ、でも恩田さんは「擦れ違いフェチ」だそうなんですけど、私は擦れ違いだけはあまり好きじゃないんです... 最悪なのがシェイクスピアの擦れ違い物の喜劇。ほどほどにしてくれれば大丈夫なんですけど、やっぱりあれはちょーっとやり過ぎなのでは...(^^;。(新潮社)

そして恩田さんですが、6月には「蒲公英草紙 常野物語」が発売なのですね。副題が「常野物語」ということは、これが「小説以外」の中のエッセイにも書かれていた「光の帝国」の続編なのでしょうか。(エッセイの中では、「エンド・ゲーム」になってたけど) 楽しみです!


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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歌手のにしきのあきらさんの話に始まり、在日韓国・朝鮮人から、アメリカのコリアン、ベトナムのコリアンなど、世界のコリアンを取材し掘り下げていくノンフィクション。コウカイニッシ。のあさこさんが第5回のたらいまわし企画「あなたが感銘を受けた本は?」で、紹介されていた本です。読もうと思いつつ積んでたんですが、「GO」を読んだ今が丁度いいと思って。韓国人の友達に色々と教えてもらうこともあっても、知ってるようで良く知らない世界ですしね...。
読んでいて一番衝撃度が強かったのは、在日韓国・朝鮮人が日本人に自分の国籍を打ち明けた時のエピソード。通名を使っていれば日本人と同じように接してもらえるけれど、自分が嘘をついているような気がして重苦しくなってきて、思い切って日本人の親友に自分が韓国(朝鮮)人であることを打ち明けると、そこに返ってくるのは、「韓国人も日本人も関係ない」「そんなこと気にしない」という答。時には「わかった。あんたが韓国人いうことは誰にも言わんからね」と言われることもあるという話。
「日本人も韓国人も関係ない」という言葉は、その友達を思う日本人の素直な心情のはず。でも勇気を振り絞って打ち明けた当人にとっては、あまりに当たり障りのない答。「日本人の友人との絶望的な隔たりに孤立感を深め」、「一緒に考えてくれない」「もう何を話しても、どうせわからへん」という気持ちにさせられるだけだというのです。...私自身はそういう受け答えをしたことはないと思うんですけど、でも一歩間違えれば言ってたかもしれないわけで...(もちろん当たり障りのない答というつもりは全くなく、ですね) ここで、「どこが駄目なの?」と思う人もいるのでは? もちろん相手が全力でぶつかってきた時には、こちらも全力返さなければならないんですけど... 身につまされます。

読んでいると、自分が知らないでいることすら知らない「知らない」も色々と。(実は一番驚いたのはベトナムでの章でした) でもやっぱり、「知らない」では済まされないことって多いですよね。
そしてこの本の何が素晴らしいといえば、やはり取材なさっている野村進さんの姿勢でしょうね。おもねるわけでもなく、見下ろすわけでもなく、とてもリベラルな視点で書いているという感じ。講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞というのも頷けますし、「感銘を受けた本」で登場するのも納得です。(講談社+α文庫)

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「河童が覗いた」シリーズは、以前「ヨーロッパ」「インド」と「トイレまんだら」を読んでるんですが(「インド」と「トイレ」は特にオススメ)、この2冊は未読だったんです。前回のたらいまわし企画で、おかぼれもん。のpicoさんが、この「仕事場」も圧巻だと仰ってたので読んでみました。この際、「覗いた」シリーズを全部読んじゃおうということで、「ニッポン」も一緒に。
...って、たら本で紹介された本が続いてますね。(笑) いやね、この企画に参加し始めた頃は、積読本は沢山あるし図書館にも予約を入れまくってるしで、息が詰まりそうになってたんです。せっかく面白い企画に参加してるのに、紹介されてる本もなかなか読めないし。でも去年の暮れから集中的に積読本を消化して少し身軽になったのと、図書館の利用を控え気味にしているおかげで、最近ようやく紹介されている本に手を伸ばす余裕が出てきました。たら本だけでなく、掲示板などで教えて頂いた本ももちろん読みますよー。やっぱり自分の環境は自分で整えないとねっ。という当たり前のことに、今さらのように気付いた私です。(^^ゞ

「河童が覗いたニッポン」は、「覗いた」シリーズ2作目。「京都の地下鉄工事」や「皇居」、「裁判」、「刑務所」など14の「覗いた」が紹介されていきます。この中で一番興味深かったのは、「入墨と刺青」。ここでは刺青には「ほりもの」というルビがふられて、徹底して「入墨(いれずみ)」と区別されてるんです。それもそのはず、入墨(いれずみ)は昔から犯罪者が刑罰として肌に彫り込まれた刻印のこと。それに対して刺青(ほりもの)は、自らの意志で肌に彫り込んだ装飾的なもの。「いれずみ」という言葉は、「前科者」のイメージになっちゃうんですって。そういう区別があったんですね! 他の章もそれぞれに、河童さんならではの好奇心と視点が面白かったです。「集治監」「裁判(傍聴のすすめ)」や「刑務所」など、考えさせられる部分も結構あったし。
そして「河童が覗いた『仕事場』」は、井上ひさしさん、坂東玉三郎さん、辻村ジュサブローさん、岸田今日子さん、三宅一生さんなど49人の仕事場紹介。いや、これはほんと圧巻です。仕事場の描写を通して本人が見えてくるところがいいですねー。まあ、有名人の仕事場が面白いのは、ある意味分かりやすいんですけど、かつて妹尾河童さんの痔を手術した外科病院の手術室まで面白いというのが凄いです。特に印象が強かったのは、雲を専門に描く背景画のベテラン・島倉二千六さんとジャズ・ピアニストの山下洋輔さんの仕事場かな。や、でもほんと凄いんですよ、どれも。一見の価値アリです。
どちらの本も、相変わらずの緻密なイラストとぎっしり詰まった手書きの文字。ほんと読み応えがありましたー。

「河童が覗いたニッポン」は、新潮文庫の表紙が出ないので、講談社文庫の画像を使ってます。この2冊の表紙、基本は同じテイストなのに、随分と明度が違いますね。(新潮文庫・文春文庫)

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昨日読んだ「インド夜想曲」の訳者、須賀敦子さんのエッセイ。これも前回のたらいまわし企画「旅の文学」で、コウカイニッシ。のあさこさんが紹介されていた本です。「ゆるやかでとても深くて、やさしい」だなんて、それは何とも読みたくなってしまうではないですかー。
最初は須賀さんがユダヤ人の詩人・サバに憧れてトリエステの街を訪れたことに始まり、イタリア人のご主人とのこと、お姑さんや義弟夫婦のこと、イタリアで出会った人々のことなど、合わせて12編のエッセイが収められています。でも確かにエッセイではあるんですけど、まるで物語を読んでいるみたいでした。情景も登場人物もとても生き生きとしていて、場面場面が浮かんでくるんですよね。文章も読んでいて心地良いし... 日本語としてもとても美しいと思うし、その美しさ以上に、穏やかに優しく包み込んでくれるような懐の深さが心地よかったです。
トリエステという街の名前から、どうしても「triste(悲しい)」という言葉を連想してしまって、なんだか物哀しい気持ちで読み始めてしまったんですけど、でもそれもあながち間違ってなかったのかも...? という静かな余韻が残りました。これは確かに「ゆるやかでとても深くて、やさしい」ですね。しかも芯の強さもあって。...いいなあ、須賀敦子さん。他の作品もぜひ読んでみなくっちゃ。(新潮文庫)


+既読の須賀敦子作品の感想+
「トリエステの坂道」須賀敦子
「本に読まれて」須賀敦子
「ヴェネツィアの宿」「コルシア書店の仲間たち」須賀敦子
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子
「須賀敦子全集1」須賀敦子
「須賀敦子全集2」須賀敦子
「須賀敦子全集3」須賀敦子
「須賀敦子全集4」須賀敦子
「須賀敦子全集5」須賀敦子
「須賀敦子全集6」須賀敦子
「須賀敦子全集7」須賀敦子
「須賀敦子全集8」須賀敦子

+既読の須賀敦子翻訳作品の感想+
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「ある家族の会話」ナタリア・ギンズブルグ

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漫画家の喜国雅彦さんによる、古本蒐集にまつわるエッセイ。山口雅也さんや京極夏彦さん、奥様の国樹由香さんと共に江戸川乱歩邸を訪問した話に始まり、デパートの古書市でのエピソード、古本集めの先生・二階堂黎人さんとの古本屋巡り、我孫子武丸さんの家の書庫整理の話、函欠け本の函作成、いつ開いているのか分からない「幻影古書店」の話、1日でどれだけのポケミスを見つけられるかに挑戦したポケミスマラソン、豆本作成、有栖川有栖さんの「鮎川哲也本棚」に刺激を受けるオンリー本棚の話題などなど。巻末には古書友達との座談会、そして出久根達郎さんや北村薫さんとの対談も。
これは面白いですっ。漫画家としての喜国さんは勿論知ってましたが、これほどの古書マニアとは全然知りませんでしたー。
稀覯本収集家のマニアっぷりについては、紀田順一郎さんの小説「古本屋探偵の事件簿」で初めて読んでびっくりしたんですけど、やっぱりあれは真実だったんですねえ。いやー、私も相当本の多い家庭に生まれ育ってるし(大地震が来たら真剣に危ないと言われてたんですが、母の地震対策のおかげで震度5でもなんとか無事でした)、古本もよく買いますけど、もう全然世界が違うんですね。私が古本を買うのは、基本的に絶版本など手に入りにくい本を探すため。あくまでも読むためのもの。でも古書マニアにとって本とは読むものではなく、ただ所持するべきものだったとは。買っても全然読まないなんて! 空気にも触れさせたくないほどの人もいるなんて!
いやー、本当にディープでマニアックな世界なんですねー。(感心)
色んなエピソードが面白おかしく書かれていて、ほんと読んでて楽しいです。でもこれを読んで、私なんて単なる平凡な本読みに過ぎないってことをしみじみと実感いたしました。(うちの家族もね・笑) あ、でも祖母の家には、ここに登場してるような本が結構あるんです。夢野久作とか乱歩の函入りの全集とか。ここには登場しないけど、1960~70年代ぐらいのSFマガジンが揃ってたり。あれって売れば結構な値段になるのかも... なんて思ってしまいました。や、売りませんけどね。少なくとも私が読むまでは。(笑)
この本と合わせてココを見るとさらに楽しいです。(双葉文庫)

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取り上げられているのは、ルドヴィヒ2世、ゲオルギー・イヴァーノヴィッチ・グルジエフ、ロベール・ド・モンテスキュー、ウィリアム・ベックフォード、ジル・ド・レエ、サンジュスト、ヘリオガバルスという、3世紀から20世紀までの異端とされる7人の人物。同じ澁澤氏による「世界悪女物語」の男性版といったところでしょうか。ヴィスコンティ監督の映画で有名になったルドヴィヒ2世なんかは結構知ってたんですけど、全然名前を聞いたこともない人もいて、でもなかなか面白い人物が揃っていて楽しかったです。それぞれに写真や肖像画、彫像などが掲載されているというのも嬉しいところ。素直にハンサムだなあと思う人もいるんですけど、「えっ、この顔でそんなにモテたのかっ」なんて思っちゃう人も...。(殴)(河出文庫)


+既読の澁澤龍彦作品の感想+
「私のプリニウス」澁澤龍彦
「異端の肖像」澁澤龍彦
「夢のある部屋」澁澤龍彦
「澁澤龍彦初期小説集」澁澤龍彦
「夢のかたち」「オブジェを求めて」「天使から怪物まで」澁澤龍彦
「高丘親王航海記」澁澤龍彦
「東西不思議物語」澁澤龍彦
Livreに「世界悪女物語」「幻想博物誌」「夢の宇宙誌」「フローラ逍遥」の感想があります)

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