Catégories:“文学・作家研究”

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既に毎夏の恒例行事となってるんですが、夏になるとどうしてもPCの調子が悪くなってきて困ります。先日とうとう再インストールしてしまいましたよー。それもあって、どうも本の感想を書くのが追いつきません... いや、連日のこの暑さで読書もそれほど進んでいないのですが。

この二階堂善弘氏、中国物関係のサイトを持ってらっしゃるとあったので、てっきり中国物好きの素人さんかと思っていたんです。文章も読みやすく分かりやすくまとまってたし、2冊とも「西遊記」と「封神演義」が中心になっていますしね... ってそれは偏見?(笑) そしたらなんと、関西大学の教授先生だったんですねー。道理でふとしたところで知識の深みを匂わせていたわけだ! でもそんな風に知識の深さを感じさせつつもマニアックに走ったりせず、むしろ全体像を概観できるように表層がきれいにまとめられているという感じの本でした。この2冊では「中国の神さま」の方が、民間信仰系、道教系、仏教系と、数多い神さまが系統立って要領良く紹介されていて良かったかな。中国物を読みながら、ふと調べてみるのに丁度いいかも。対する「中国妖怪伝」は、それほど「要領良く」という感じではないですね。知名度も高く、ある程度確立した存在の「神さま」に対して、妖怪は特定のお話の中にしか登場しない存在のことが多いので、仕方ないんだけど。
ただ私、「西遊記」は何度も読んでるので神さまも妖怪もお馴染みだし、登場してると嬉しいんですが、「封神演義」は読んだことがないんですよね... 以前読もうとしたことはあったんですが、丁度宮城谷昌光さんの「王家の風日」を読んだところだったので、同じ登場人物が共通してるだけに雰囲気の違いについていけなくて。(あまり覚えてないんですが、文章もダメだったのかも) 中国・台湾での知名度と人気ぶり、影響度を考えると、一度読んでみなくっちゃとは思ってるんですが...。(平凡社新書)

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李白に引き続きの「ビギナーズ・クラシックス中国の古典」。老荘思想には以前からちょっと興味があったので読んでみたんですが、孔子の「論語」を読んだ時みたいには楽しめなかったなあ。老子はなんだか抽象的なことばかり言ってるし... 実際、彼の説く「道」というのは簡単に言葉にできるようなものではないとのことなので、それも致し方ないんでしょうけど、読んでいても大きすぎるというか、深遠すぎてなかなか響いて来なかったです。それに比べると荘子の方がもうちょっと地上の人間に近い感じかな。具体的な分、分かりやすいですね。
このシリーズは、あと「 韓非子」と「 杜甫」があるんですが、そちらは未購入。せっかくだし、やっぱりこの2冊も買っておいた方がいいかしら。「韓非子」は、また読むのにちょっと苦労しそうかな? やっぱり「 杜甫」だけにしておくかなあ。(角川ソフィア文庫)


+関連シリーズ作品の感想+
「論語 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」加地伸行
「陶淵明 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」釜谷武志
「李白 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」筧久美子
「老子・荘子 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」野村茂夫
「紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス日本の古典」紫式部・山本淳子編

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酒を飲み、月を愛で、鳥と遊び、放浪の旅を続けた李白。杜甫と並ぶ唐代の詩人であり、「詩聖」と呼ばれる杜甫に対して「詩仙」と呼ばれる李白の詩69編を、李白の生きざまや人となりを交えて分かりやすく解説した本。

以前、同じ角川ソフィア文庫のビギナーズで「論語」と「陶淵明」を読んで、李白の本も買っていたんですが、ずっと積んだままでようやく読みました。原文と読み下し文、訳、そして訳の解説が載ってるんですが、かなり初心者向けで読みやすいシリーズなんですよね。今回の李白に関しては、時々「コンパ」だの「デート」だの妙に砕けた訳があって、そんな時は「雰囲気が壊れるからやめてくれー」と思ってしまったんですが... いくら初心者向けでも、ここまで砕いてもらわなくても。(汗)
唐の玄宗皇帝の時代に生き、仙人になりたいという夢を持ちつつ、自らの詩文の才能で世の中に出たいと思い続けていた李白。その夢はなかなか叶うことがなくて、しかもようやく叶ったかと思えば、わずか1年で失脚。そういう意味では不遇の人生を送っていたようです。実際に作品を読んでいると、飄々として大らかながらも、その奥には哀愁を感じてしまうような詩が多かったです。そういうところに、李白の人生が出ているのかな。
「月下独酌」を始めとして好きな詩はいくつかあるんですが、今回特にいいなと思ったのはコレ。

静夜思  (静かなる夜の思い)

牀前看月光  (牀前 月光を看る)
疑是地上霜  (疑うらくは 是れ 地上の霜かと)
挙頭望山月  (頭を上げて 山月を望み)
低頭思故郷  (頭を低れて 故郷を思う)

秋の静かな夜に月を眺めながら望郷の念に駆られる詩です。(角川ソフィア文庫)


+関連シリーズ作品の感想+
「論語 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」加地伸行
「陶淵明 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」釜谷武志
「李白 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」筧久美子
「老子・荘子 ビギナーズ・クラシックス中国の古典」野村茂夫
「紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス日本の古典」紫式部・山本淳子編

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たったの一言口をきいただけで、出身階級が分かってしまうというイギリス英語。そして外見について何らかの評価を下す以前に、その人間の属する階級を無意識のうちに考えてしまうというイギリス人。文学作品を読めば、登場人物の住んでいる場所や読む新聞、食べる物、言葉遣い、仕事や学歴などの情報から階級がはっきり読み取れるようになっているといいます。なので文学をテレビや映画など他の媒体に移す時は、階級とアクセントが切っても切り離せない問題。イギリスの階級にはアッパークラス、ミドル・クラス、ワーキング・クラスという大きな分け方がありますが、この本では特にミドル・クラスを「アッパー・ミドル」「ミドル・ミドル」「ロウアー・ミドル」と分けて、その観点からイギリスの文学や映画を論じていきます。

いやあ、面白かった! 著者の新井潤美さんは小学校時代からもっぱら海外で教育を受けた方のようで、イギリスのアッパー・ミドル・クラスやロウアー・ミドル・クラスの寄宿学校も経験されてるんですよね。イギリスの階級を肌で感じる生活を送ってきた方だけに、具体的な例を挙げての説明にはとてもリアリティがありました。私もイギリス人作家の作品は今までも結構読んでますが、細かい階級について知らずに読んでいた部分が多かったので、ものすごく勉強になりましたー。しかも最近、ジェイン・オースティンの作品を何作か立て続けに読んだところでしたしね。それらの作品で一貫して描かれているアッパー・ミドル・クラスの人々や、同じ階級内でも微妙な上下関係とやそのこだわりぶりがとても良く理解できて面白かったです。なんで「エマ」で、主人公のエマが私生児のハリエットをそれほど引き立てていたかも分かったし、そもそもなんでそういう設定が使われていたかも分かったし。
それにそういった作品に出てくる住み込みの女性家庭教師(ガヴァネス)、メアリー・ポピンズみたいな乳母(ナニー)、そして「レベッカ」の主人公がしていたようなコンパニオンの話もすごく面白かったです。「ガヴァネス」は良家の子女を教育する仕事。「コンパニオン」は裕福な独身女性や未亡人の身の回りの世話をしたり、話し相手になるという仕事。通常、アッパー・ミドル・クラスかそれ以上の階級の独身女性が、家の事情などによってやむを得ずつく仕事で、普通の使用人よりも一段上の存在なのだそうです。それに対して、両親の代わりに子供を躾ける「ナニー」はワーキング・クラスやロウアー・ミドル・クラス出身者が一般的で、自分自身が教わったこともないマナーや話し方を仕込まなければならなかったのだそう。映画の「メアリー・ポピンズ」では、メアリー・ポピンズがやけに優しくて愛想が良くて違和感だったんですけど、やっぱり本のつっけんどんなメアリー・ポピンズこそが典型的な「古き良きナニー」だったんですねっ。
どの章もそれぞれに面白くて、ここには書ききれないぐらい。この本の中では、文学作品だけでなくて、そこから映画化された作品のことも例に挙げて、その階級へのこだわりがどんな風に反映されているか(あるいはされていないか)なんていう考察もあって、本好きさんだけでなく、映画好きの方にも楽しめる1冊なのではないかと♪

取り上げられている文学作品
I.ラヴ・コメディ今昔...
  「エマ」(ジェイン・オースティン)、「ブリジット・ジョーンズの日記」(ヘレン・フィールディング)(オースティン「高慢と偏見」も)
II.働く女たち...
  「ジェイン・エア」(シャーロッテ・ブロンテ)、「メアリー・ポピンズ」(P.L.トラヴァース)、「レベッカ」(ダフネ・デュ・モーリア)
III.階級と男たち...
  「大いなる遺産」(チャールズ・ディケンズ)、「眺めのいい部屋」(E.M.フォースター)、「コレクター」(ジョン・ファウルズ)
IV.イギリス人が異世界を描けば...
  「タイム・マシン」(H.G.ウェルズ)、「時計じかけのオレンジ」(アントニー・バージェス)、「ハリー・ポッター」(J.K.ローリング)
V.マイノリティたちのイギリス...
  「日の名残り」(カズオ・イシグロ)、「郊外のブッダ」(ハニーフ・クレイシ)

これらの作品を元にして作られた映画も併せて取り上げられています。(平凡社新書)


+既読の新井潤美作品の感想+
「不機嫌なメアリー・ポピンズ」新井潤美
「階級にとりつかれた人々」新井潤美

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全集の第3巻。20世紀フランスを代表する作家の1人、マルグリット・ユルスナールの作品や登場人物、そしてユルスナール自身に、自分自身の軌跡に重ね合わせていくエッセイ「ユルスナールの靴」。旅を通して出会った様々な人や訪れた街。そこで出会った建造物について書いた12のエッセイ「時のかけらたち」。ユダヤ人たちが高い塀に閉じ込められるようにして住んでいたゲットと呼ばれる地区、トルチェッロのモザイクの聖母像、コルティジャーネと呼ばれる高級娼婦など、主に水の都・ヴェネツィアの影の部分を訪れた旅と記憶の旅「地図のない道」。そして1993年から1996年にかけての18編のエッセイ。

全集の中でも、妙に読むのに時間がかかってしまった1冊。でも決して読みにくかったのではなくて、なんだか思考回路がどんどん広がりすぎてしまったせい。特に「ユルスナールの靴」は、ユルスナールの作品を実際に自分で読まなければという焦燥感に駆られてしまって... 結局は読まずに1冊手元に用意しただけで終わってしまったのだけれど。
その「ユルスナールの靴」の冒頭はこんな文章。

きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。

次の「時のかけらたち」は、実際に足が踏みしめて歩くことになる石畳の道の話がとても印象的だったし、「地図のない道」は、人間としての足場や立ち位置を考えさせられるしエッセイ。この3巻は、「足」がテーマとなるものばかり集めたのかな?
意外な収穫だったのは、「時のかけらたち」の「舗石を敷いた道」の章で語られる「アエネーイス」の話。これは、須賀さんが日本に帰ってしばらくすると、歩きにくいはずの舗石の道が無性に懐かしくなるという話が発展して、ウェルギリウスの「アエネーイス」の中の描写へと話が広がるんですけど、以前「アエネーイス」を読んだ時に納得しきれていなかった部分が、須賀さんの文章を読んですとんと腑に落ちてしまいました... とは言っても、「アエネーイス」にはそんな部分が多かったので、まだまだ理解しきれてないのだけど。でもやっぱり日本語にするとウェルギリウスらしさや良さがさっぱりなくなってしまうみたいで、その辺りにも納得。って、自分の読解力や理解力を棚に上げて勝手なことを言ってるのは重々承知ですが。(笑)
須賀さんの「アエネーイス」の講義、聴きたかったな~。(河出文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「須賀敦子全集1」須賀敦子
「須賀敦子全集2」須賀敦子
「須賀敦子全集3」須賀敦子
「須賀敦子全集4」須賀敦子
「須賀敦子全集5」須賀敦子
「須賀敦子全集6」須賀敦子
「須賀敦子全集7」須賀敦子
「須賀敦子全集8」須賀敦子

+既読の須賀敦子作品の感想+
「トリエステの坂道」須賀敦子
「本に読まれて」須賀敦子
「ヴェネツィアの宿」「コルシア書店の仲間たち」須賀敦子
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子

+既読の須賀敦子翻訳作品の感想+
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「ある家族の会話」ナタリア・ギンズブルグ

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須賀敦子さんの全集の文庫版第6巻は、ナタリア・ギンズブルグ論、イタリア中世詩論、イタリア現代詩論、文学史をめぐって、という4章に分けられた「イタリア文学論」と、須賀さんが邦訳したナタリア・ギンズブルグ作品、アントニオ・タブッキ作品、そしてイタロ・カルヴィーノの「なぜ古典を読むのか」につけられたあとがきを集めた「翻訳書あとがき」。

これまで読んだ全集の1巻と4巻は、一般人向けのエッセイということもあってとても読みやすかったのだけど、こちらの6巻は、「翻訳書あとがき」はともかく、もっと専門的でちょっととっつきにくかったかも。特に「イタリア文学論」の中のイタリア中世詩と現代詩。ここに紹介されてる作家なんて、全然と言っていいほど読んでないですしね... かろうじて、ダンテの「神曲」ぐらいですね。ウンベルト・サーバを始めとするイタリア現代詩人の名前は、須賀さんのエッセイを通じて名前を知った程度だし。しかも中には研究論文らしき文章も混ざってるので、難易度がかなりアップ...。須賀さんの訳でいくつかの詩が読めるのは、とても嬉しかったんですけどね。紹介されている作品に対する須賀さんの愛情がひしひしと感じられるだけに、自分の知識のなさがクヤシくなってしまいます。あ、でもナタリア・ギンズブルグ論はとても面白くて、「ある家族の会話」をぜひとも読んでみたくなりました! あと、アントニオ・タブッキも結局まだ「インド夜想曲」しか読んでないので、他の作品も読みたいなあ。
それと、詩論では原文が沢山紹介されてるんです。(日本語の文章の中にイタリア語が多用されてるのも、素人には読みにくい一因なんですが) 実際にイタリア語での朗読が聴いてみたい! イタリア語って本当に音楽的な言語だし、意味が分からないなりにも豊かに感じられるものがありそうです。(河出文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「須賀敦子全集1」須賀敦子
「須賀敦子全集2」須賀敦子
「須賀敦子全集3」須賀敦子
「須賀敦子全集4」須賀敦子
「須賀敦子全集5」須賀敦子
「須賀敦子全集6」須賀敦子
「須賀敦子全集7」須賀敦子
「須賀敦子全集8」須賀敦子

+既読の須賀敦子作品の感想+
「トリエステの坂道」須賀敦子
「本に読まれて」須賀敦子
「ヴェネツィアの宿」「コルシア書店の仲間たち」須賀敦子
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子

+既読の須賀敦子翻訳作品の感想+
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「ある家族の会話」ナタリア・ギンズブルグ

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文化出版局の「すてきなお母さん」誌に連載されていたというエッセイを1冊の本にまとめたもの。I章「本の中の子供」、II章「夢を追う子ら」に分けて、様々な児作家たちをとりあげています。I章で取り上げられているのは、女性作家。ローラ・インガルス・ワイルダー、エリナー・ファージョン、ヨハンナ・シュピーリ、ケート・グリーナウェイ、ルイザ・メイ・オルコット、ルーマー・ゴッデン、ビアトリクス・ポター、ジョルジュ・サンド、イーディス・ネズビット、セルマ・ラーゲルレーヴ、メアリ・シェリィ、ベッティーナ・フォン・アルニムの12人。II章で取り上げられているのは男性作家で、マーク、トウェイン、ルイス・キャロル、オスカー・ワイルド、ジュール・ヴェルヌ、ジョナサン・スウィフト、宮沢賢治、巌谷小波の7人。

児童文学論というよりも、これは作家論なんですね。19人の作家たちの生い立ちや家族に迫って、それが作品に与えた影響を考えていくエッセイ。この作家のうち、全然読んだことのないのは巌谷小波だけだったんですが、私ったら今まで作家のことなんて本当に何も知らずに読んできたんだなあと、ちょっと愕然としました。この中でも、特にファージョンやオルコット、ジョルジュ・サンド、キャロル、ヴェルヌ辺りは、何度読んだか分からないほど読み返しているのに! もちろんローラ・インガルス・ワイルダーの作品はそのまま彼女の歴史でもあるわけだし、ファージョンのように、「ムギと王さま」のまえがきで「本の小部屋」のことに触れていることから、読書一家の中で相当本を読んで育った人なんだろうなと想像できていた作家もいるんですが。

男性作家と女性作家と章が分かれてるんですが、特に女性作家の章が興味深かったです。例えば、ローラ・インガルス・ワイルダーの章。ローラの生活は、全て手作りです。家も家具も服も日用品も食べ物も全部手作り。外は荒々しい自然そのままの世界だけど、一旦家の中に入ってしまえば、そこはお母さんの手によってきちんと整えられていて、手作りの暖かさと家族の愛情で満ち溢れていて... そこがこのシリーズの人気の1つでもあるはず。でもそこで矢川澄子さんは

手作りの味わいはたしかに捨てがたい。ただしそれはあくまでも現代、二十世紀後半のわたしたちにとっての話であって、フロンティアの開拓者たちはかならずしもそう考えてはいなかったことをよくよく顧みなければならぬ。

と書いてるんですね。実際、この作品は1950年代から邦訳されていたらしいんですが、まだ戦後の荒廃の記憶も生々しい50年代にはあまり読まれることもなく、注目を集めるようになったのは、ようやく70年代になってからだったのだそう。確かに、戦後の窮乏を知っている人間にとっては、かなりキツい作品だったのかもしれませんね...。手作りを趣味として楽しむことができるなんて、確かに今の時代ならではのことと言えますし。このシリーズを読んだ時はまだ小学生だったから仕方ないんだけど、そんなこと全然考えてなかったなあー。
でもあの一連の作品の中で、ローラのお父さんが初めて脱穀機を使った時の言葉は、今でも鮮明に覚えてます。

機械ってものはたいした発明だよなあ! 旧式なやりかたのほうがいい連中は、かってにそうするがいいが、わたしは進歩派だよ。われわれはすばらしい時代に生きているんだ。

決して手作り・手作業信奉者じゃないんですよね。
ここで様々な作品の背景を知ってみると、その作家たちの作品がまた別の視点で味わえそうです。そうでなくても、子供の時の視点とはまた違う目で読めるでしょうしね。改めて、子供時代好きだった色んな本を読み返してみたくなっちゃいました。 (ちくま文庫)


+既読の矢川澄子作品の感想+
「わたしのメルヘン散歩」矢川澄子
「兎とよばれた女」矢川澄子

+既読の矢川澄子翻訳作品の感想+
「七つの人形の恋物語」「スノーグース」ポール・ギャリコ
「トンデモネズミ大活躍」「ほんものの魔法使」ポール・ギャリコ
「小鳥たち」アナイス・ニン
「フィオリモンド姫の首かざり」ド・モーガン
「風の妖精たち」「針さしの物語」ド・モーガン
「ザ・ロンリー」ポール・ギャリコ
「「きよしこの夜」が生まれた日」ポール・ギャリコ
「ゴッケル物語」クレメンス・ブレンターノ
「妖精の国で」W.アリンガム&リチャード・ドイル
「クリスチナ・ロセッティ詩抄」クリスチナ・ロセッティ
「タイコたたきの夢」ライナー・チムニク

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