Catégories:“ファンタジー”

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「耳猫風信社」は、「綺羅星波止場」の中に入っている短編「耳猫風信社」を長編化したもの。
日記を買おうとして行き着けの店に行くものの、その日に限ってお店がお休み。仕方なくトアンは隣町に行き、そこで出会ったカシスという不思議な少年に日記帳を買える店を教えてもらい... という物語。短編の時もそうだったんですが、隣町のあの辺りにあるはず、という場所が見つからなくて、トアンとその友達のソラは何度も探し回ることになるんですよね。探していない時はふとした拍子に行けるし、カシスが一緒だったら何の苦労もなく行けるのに。そういう風に、いつでも行けるとは限らない場所という設定はそそります。先日読んだヒルダ・ルイスの「とぶ船」の中で、ピーターが船を買ったお店もそうでした。柏葉幸子さんの「霧のむこうのふしぎな町」に登場するお店にふとした拍子で入った人たちも、そんなことを思うんだろうなあ。あとこの作品は、やっぱり猫ですね。トアンとソラは全然分かってないけど、読者には明らかに分かるので、ニマニマしてしまいます。

で、「耳猫風信社」の中に「月の船でゆく」という映画が登場するので、何か関連があるのかなと思ったんですが、どうやら全然関係なかったようで... 「月の船でゆく」は、17歳の高校生ジャスと、ジャスの拾ったティコという少年の物語。「耳猫風信社」は面白かったし、好きな雰囲気だったんですが、こっちは微妙。最後にちょっとびっくりさせられるポイントがあって、それのおかげで、自分の中では「イマイチかも... → 案外悪くないかな」辺りまで復活したんですけど、どうやらこの辺りに長野まゆみさんの作風の変化の時期があるようですねえ。いずれにせよ、長野まゆみさんの書く女の子は、どうも好きになれないなー。(光文社文庫)


+既読の長野まゆみ作品の感想+
「螺子式少年」「夏至南風」「行ってみたいな、童話の国」長野まゆみ
「夏期休暇」「遊覧旅行」長野まゆみ
「夏至祭」「綺羅星波止場」長野まゆみ
「耳猫風信社」「月の船でゆく」長野まゆみ
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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ある夏の晩、自転車でいつもの空家の前を通りがかった月彦は、灯りが点っているのに気づいて驚きます。月彦と同じぐらいの年恰好の少年が2人向かい合って、言い争っていたのです。こっそり見つめていた月彦はじきに気がつかれて、家の中に招かれることに。それは黒蜜糖と銀色という2人の少年たちでした... という「夏至祭」。
中編「銀色と黒蜜糖」を始めとして、宮沢賢治風の童話「銀の実」、灯影と垂氷という2人の少年の「綺羅星波止場」と「雨の午后三時」などを収めた、短編集「綺羅星波止場」。

久々の長野まゆみ作品。長野まゆみさん、いつの間にか作風が変わっちゃったみたいだし、もうこういうのは読まないかな~なんて思ってたんですが、いざ読み始めると、この世界はやっぱりなかなか心地よかったです。初期の作品の雰囲気だったし、今回は猫の登場が多かったんですよね。
「夏至祭」と「綺羅星波止場」の中の「銀色と黒蜜糖」に登場する少年たちは、「野ばら」にも登場する少年たち。「野ばら」を何度も書き直しているうちに生まれた亜種のようなものらしいです。少年たちの性格も違うし、ストーリーも全然違ってました。結局最初に世の中に出ることになった「野ばら」よりも、私はこの「夏至祭」の方がずっと好きだなあ。(河出文庫)


+既読の長野まゆみ作品の感想+
「螺子式少年」「夏至南風」「行ってみたいな、童話の国」長野まゆみ
「夏期休暇」「遊覧旅行」長野まゆみ
「夏至祭」「綺羅星波止場」長野まゆみ
「耳猫風信社」「月の船でゆく」長野まゆみ
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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5歳の一太郎は、身体が弱くて熱を出してばかり。両親は店の切り盛りで忙しく、お店にいる小僧さんたちも働くのに忙しく、毎日一太郎は離れの部屋で一人ぼっちで寝ています。そんなある日、ふと天井を見た一太郎が見つけたのは、天井の隅にいる小鬼たち。小鬼たちは、じきに沢山出てきて、楽しそうにぎゅいぎゅいと騒ぎ始めます。思わず一緒に遊ぼうと話しかける一太郎。そして一太郎は小鬼たちと鬼ごっこを始めることに。

若だんなのシリーズの絵本。一太郎と鳴家の出会いの物語。
本編と同じく柴田ゆうさんの絵なのでイメージもぴったりだし、もうそのまんま楽しむことができます。手代の佐助や仁吉の少年姿が見られるのも嬉しいし、一人ぼっちで寂しい一太郎が、鳴家の可愛らしさや楽しい雰囲気に和んでいく様子が、とてもほのぼのとしていて暖かいのです~。あんなに楽しそうに遊んじゃって、後で大丈夫なのかしら... なんてちょっとハラハラしながら読んでましたが、それだけのことはある出会いですね。こうやってあやかしに慰められていたからこそ、一太郎はそのまままっすぐ育って、今の若だんなになれたんじゃないかな、なんて思っちゃうほどの素敵な出会い。で、やっぱり鳴家って猫みたい。ものすごーく可愛かったです。この本は図書館で借りて読んだんですけど、やっぱり自分でも買っちゃおうかな♪(新潮社)


+シリーズ既読の感想+
「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「おまけのこ」
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「いっちばん」畠中恵

+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
Livreに「百万の手」の感想があります)

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小学校6年生の瑠璃が学校帰りに見つけたのは、レベル21というお店。広い道から少し引っ込んでるところにあるせいか、よく通る道なのに今まで全然気がつかなかったことに瑠璃は驚きます。窓の外から覗くと、テーブルの上にこまごまとした物が並べられているのが見えて、瑠璃は思わず店の中に入ることに。

小学生の女の子・瑠璃と、レベル21というアンティークショップ(?)の店主・アンジュさんの連作短編集。風待屋のsa-ki さんに教えて頂いた本。児童書です。
元々アンティークショップは大好きなんですが、ここに描かれているレベル21というお店もとっても素敵でした。イメージとしては丁度、「耳をすませば」に出てくる地球屋みたいな感じですね。お店にいるのは、あのおじいさんの代わりに、アンジュさんという素敵な女性。並んでいる品物を1つ1つ手に取って見ているだけでも楽しそうなのに、アンジュさんと仲良くなんてなれたら、もうほんと何時間でも過ごせそう。アンジュさんの私室で勝手に本を読んだりしてる瑠璃が羨ましくなっちゃう。そしてお店の存在が地味なので気づく人が少ないけれど、でも必要な人は訪れることになるという部分は、「霧のむこうのふしぎな町」のキチガイ通りを思い出しました。あの通りに並んでいても違和感がなさそう。謎めいたアンジュさんが実はあそこの住人と親戚だったとしても、全然驚かないです、私。(笑)
地球屋が頭にあったせいか、瑠璃を見てると宝石の原石のような女の子だなってほんと思いました。あのエメラルドの原石のような。ただ、どの短編にも心の問題が描かれてるんですけど、どれもあっさりと終わってしまって、あまり掘り下げたりはしないんですよね。この本の対象年齢が低いとはいえ、なんでここで止めてしまったのかしら? あ、でも、この辺りにはちょっと興味があるんですが、逆にそのあっさり加減が疲れ気味の私には心地良かったです。

作中にポール・ドラローシュの「レディ・ジェーン・グレイの処刑」という絵が引き合いに出されていました。私もテートギャラリーで見ました。(こんな絵) 先日読んだ夏目漱石の「倫敦塔」にも、この場面が登場してましたよ。そういえば以前ルーブルに行った時に、とても気に入ったのに絵葉書がなくて残念だったのが、同じくドラローシュの「若き殉教者」(こんな絵)だったんですよね。今見てもやっぱり素敵。絵葉書でいいから欲しいなあ...。(理論社)

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聖なる石の産地であり、魔女たちの故郷でもあるソーントーンに育ち、その年初めて先輩魔女と共に旅に出たのは、14歳になったばかりの見習いの魔女・ジリオン。長い旅もようやく終わりに近づき、明日はようやく山に帰る日。その日も村人たちの治療が一日中続き、日が暮れる頃にはジリオンは疲れ切っていました。しかし寝床に入ったジリオンは、夜更けの客に起こされることに。それは大きな青狼の毛皮を頭から被っている若い男。男は馬が毒に犯されたので助けて欲しいとジリオンに訴えます。そして男は、どうしても同意しようとしないジリオンの下腹を拳で打ち、意識を失ったジリオンから一番大事なサイトシリンの石を奪ったのです。

ソーントーン・サイクル3部作。久美沙織さんの作品を読むのは、ドラゴンファームシリーズ以来。このソーントーン・サイクルは、明るくて楽しかったドラゴンファームシリーズとはかなり雰囲気が違うんですね。文章も硬めで、まるでハヤカワ文庫FTの翻訳ファンタジーを読んでるみたい。ドラゴンファームも良かったけど、これもなかなかいい感じ...? でも会話文に時々妙に砕けた部分があるのがちょっと... やっぱりこういうのは翻訳作品にはあり得ない部分ですね。せっかくいい雰囲気なのに、会話でブチ壊さないで欲しいなあ。性悪の魔女の蓮っ葉な様子は、まるで一昔前のテレビドラマみたいで、ものすごく安直に感じられてしまいました。もうちょっと雰囲気を出しながらというわけにはいかなかったのでしょうか... そうでなければ、全部硬い方が断然好み。これじゃあ作品そのものが安っぽく感じられてしまうー。
でも、物語そのものはなかなか面白かったです。ジリオンの魔女としての成長物語... と言うには、かなり痛い展開が続いて悲惨だし、一体この人物や場面には必然性があったのかしら?なんて思ってしまった部分も何箇所かあったんですが、最後は綺麗に閉じてくれて満足。意外な人物の意外な魅力が見られたところが好きだったなー。読後感も良かったです。オリジナリティな部分も色々あって、しっかりとした世界観を持つファンタジーでした。(新潮文庫)


+既読の久美沙織作品の感想+
「石の剣」「舞いおりた翼」 「青狼王のくちづけ」久美沙織
Livreにドラゴンファームシリーズの感想があります)

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風待屋のsa-ki さんに教えて頂いた本。「その町へ行くのに 特別な切符や旅券はいらない」という、風町を舞台にした掌編集です。
地球上のどこかに存在しているはず... という井辻朱美さんの「風街」のように、この風町もどこかにきっとあるんだろうな...と、自分も行きたくなってしまうような場所。柏葉幸子さんの「霧のむこうのふしぎな町」で、あの町を必要としている人は、どこからでも一歩踏み出せば行けてしまうように、この本を読む人がたとえどこにいても、風町はそのすぐ隣に存在していそう。

私が特に気に入ったのは、坂の上の閑静なお屋敷町に迷い込んだ時に、偶然結婚式に参会することになった「婚礼」、屋上で大判のスケッチブックを広げ、「大きな青い花びらを押し花にするような具合に」空の色をぴったりと挟み込む「青い空」。アジサイ色の傘を買う「雨が待ってる」。
魔女のような黒い服で夜の散歩をする「月の光」や、月の香りの中で綱渡りをする「星を拾う」のように、印象的な夜が描かれた物語もあるけど、どちらかといえば昼間のイメージ。そして町の名前そのままに「風」も印象的ではあるんですけど、読んでいて印象が強かったのはむしろ水でした。例えば、喫茶店の床を川がいく筋も流れていたり... 夜の間にバケツの水の中に落ちた星くらげ、青一色の部屋で人魚のように泳ぐ伯母さん、アジサイの傘を差している間にすっぽりと水に沈んでしまう街。ライムソーダ色の窓ガラスを通してみる町並みも、水の中の世界のよう。
全体的に、夢の中の話を集めたようなソフトフォーカス感。字が大きめだし、お話も童話風なので、分類としては児童書なのかもしれませんが、これはむしろ大人向けの本のような気がします。飯田和好さんのイラストもこの雰囲気にぴったり。(偕成社)


+既読の竹下文子作品の感想+
「風町通信」竹下文子
「木苺通信」竹下文子
「星とトランペット」竹下文子
「窓のそばで」「星占師のいた街」竹下文子
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ

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猫好きで知られる作家20名による猫ファンタジー競作集。それぞれに既成の辞書には存在しない、架空の猫熟語を思い浮かべ、それにちなんだ物語を書き下ろしたという趣向なのだそうです。以前sa-ki さんのところで見かけて、井辻朱美さんの風街シリーズの作品も載っていると知って、ずっと気になってた本。どれも10ページ前後という短い作品ばかりなんですが、それぞれに味わいがあって面白かったです~。東雅夫さんも「猫たちによって誘われる『異界』を描いた物語と、異界への導き手でたる『猫』たちの玄妙なる生態を描いた物語」の2種類に大別されて驚いたと書いてらっしゃいますが、本当にその通りですね。やっぱり1匹の猫の中に可愛らしさとか妖しさ、怖さが自然に共存するというところが、現実と異世界を結び付けるのにぴったりなのかも。

私が気に入ったのは、ふと気がつくとファンタジックな世界に招き入れられていた「猫火花」(加門七海)、スキマにも自然体で対応している猫的性格が可笑しい「猫眼鏡」(谷山浩子)、こんな書店が本当にあれば...と思ってしまう「猫書店」(秋里光彦)、猫の妖しさが澁澤龍彦の世界によく似合いながらも、妙に可愛らしい「猫寺物語」(佐藤弓生)、大好きな風街を舞台にした「魔女猫」(井辻朱美)、日記調の作品がこのアンソロジーの中では珍しくて存在感がある「失猫症候群」(片岡まみこ)、哀しさの中にほのぼのとした暖かさが残る「猫波」(霜島ケイ)など。
その中でも一番良かったのは、加門七海さんの「猫火花」かな。加門七海さんってこういう作品も書かれるんですね。このシリーズで、もっと書いてもらいたい!(日本出版社)

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