Catégories:“ファンタジー”

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またまた大好きになっちゃう作品を見つけてしまいましたー!
井辻さんは、叙事詩とか神話がお好きに違いないです。同類の匂いがぷんぷんします。(私なんかに同類とは言われたくないかもしれないけど・笑) もう、とにかくこういう世界は大好き。...と思ったら、あとがきにも、子供の頃から「ロビン・フッドの冒険」「アーサー王」「ローランの歌」のような古い伝承がお好きだったとありました。「もちろんトールキンやC・S・ルイスやマクドナルドも好きですけれど、それは彼らをオリジナルとして好きというよりも、わたしの好きな世界を再現してくれた、ひとつのヴァリエーションとして好きなような気がします」とも。
ああー、分かる...。
あまりきちんと考えたことはなかったですけど、私が「ナルニア」や「指輪物語」をあれだけ愛読したのも、古い叙事詩や伝承に通じる匂いがあるからなんですよね。...ただ、私の場合は、「アーサー王」や「ロビン・フッド」、その他諸々の神話や伝承も大好きだし、「ナルニア」や「指輪物語」も同じぐらいのレベルで好きなので(オリジナルだからこその良さもあれば、小説だからこその良さもある!)、一概にオリジナルが上とも言い切れないのですが。

そして、そういった叙事詩とか神話がお好きだという匂いがぷんぷんするのは、「エルガーノの歌」の方です。こちらは13編が収められた短編集。ごくごく短い短編が12編と、中編と言ってもいいような長さの表題作が収められています。舞台は極北の地だったり、南の砂漠だったり色々なんですが、それぞれにほんと好きな雰囲気で、しかもその世界が、タニス・リーや神月摩由璃さんの描き出す世界のよう。もうほんと困ってしまうぐらい好き♪

そして「パルメランの夢」は、自動人形のパルメランや遍歴の帽子屋・ロフローニョの物語。こちらはどちらかといえば、「エルガーノの歌」よりも、「風街物語」(感想)の雰囲気に近いですね。乾いた風の中に漂う夢の断片のような物語。自動人形のパルメランの中に、チェスの名人の小男や、虹の化石を探している中国人の博士が住み着いていて、そういう設定もいいんですけど、それより帽子屋のロフローニョの作る帽子が素敵なんです。探し物がすぐに見つかる繻子の帽子、黒いタフタに紫のスミレと紗のヴェールがあしらわれた頭痛を取る帽子、ラシャの布のふちのない丸い帽子に星座が銀糸とビーズでかがってある、心の火照りを沈める帽子... 池に投げ込まれて寒天のようにふやけた恋文から帽子を作ってしまったこともありました。形を作り上げた後は凍らせて出来上がり。(笑)

「パルメランの夢」みたいなのも好きなんだけど、「エルガーノの歌」と一緒に読んでしまったので、ちょっと勿体なかったかな。...でもこの方の文章は、なぜか読むのに時間がかかります。オリジナルも翻訳も。きちんと書かれた文章だと思うし、じーっと眺めてみても、一文一文は読みにくいような文章とは思えないのに、何がどう違うのかは、よく分かりませんが...。(ハヤカワ文庫JA)


+既読の井辻朱美作品の感想+
「風街物語 完全版」井辻朱美
「エルガーノの歌」「パルメランの夢」井辻朱美
「幽霊屋敷のコトン」「トヴィウスの森の物語」井辻朱美
「ヘルメ・ハイネの水晶の塔」井辻朱美
「遙かよりくる飛行船」井辻朱美
「ファンタジーの森から」「ファンタジーの魔法空間」井辻朱美
「夢の仕掛け 私のファンタジーめぐり」井辻朱美
「魔法のほうき」井辻朱美
「ファンタジー万華鏡」井辻朱美

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最近sa-ki さんに教えて頂いた本が続いてますが、これもそうです。たらいまわし企画・第24回「五感で感じる文学」で出してらした本。実は、池澤夏樹さんの作品を読むのは初めて。以前、須賀敦子さんが、「本に読まれて」の中で池澤さんの作品を何度も取り上げてらして、気になってたんですけど、なかなか機会がなく... ようやく読めました。

これは南の島に住むティオという12歳の少年を中心にした連作短編集。ティオは、父親がホテルを経営しているので、ジープを運転して父親と一緒に空港にお客を迎えに行ったり、観光客を山に案内したりもするんですけど、基本的に長閑な日々を送ってます。(観光客の案内や世話自体も、長閑な感じなんですが) そもそも、この島の人間は、政府や学校みたいなところで働いているんでなければ、大抵は気の向くままに海で魚を採ったり、山の畑を耕したりという暮らしぶりなんですよね。そして、そんなティオの島では時々、島の神さまや精霊の存在を感じさせる不思議な出来事が起こります。そういった出来事は、案外大きなことだったりするんだけど、でもあまりに自然なので、気がつかない人は気がつかないまま通り過ぎちゃう。この自然さは、例えば沖縄の人がマブイを持っているというような感じに近いかなあ...。不思議なことが起きるという意味ではファンタジー作品と言えるんですけど、どちらかといえば、もっと普通の、本当にあった話を聞くような感覚で読んでました。
私が読んだ本ば文庫本でしたけど、元々は児童書として刊行された本なんですね。道理で... という柔らかさが心地良いです。読んでいると、青い空と白い雲、眩しい陽射し、そよぐ風、真っ青な海といった、南国ならではの情景が目の前に広がるよう。なんだか、自分まで長閑に島の生活を送ってるような気がしてきてしまいます。日々の生活で、肩凝りのような状態になってた心が、柔らかく揉みほぐされるような感じ。
10編の短篇が収められているんですが、私が一番好きだったのは、受け取った人が必ず訪ねずにはいられないという絵はがきを作る、絵はがき屋のピップさんの話。あ、でもこれは不思議なことがごく自然に起きる話ではなくて、一番「書かれたファンタジー」っぽい作品なんですけどね。でもこのピップさんが、この1編だけにしか登場しないのは残念だったなあ。あと、「星が透けて見える大きな体」も好き。長閑な雰囲気が一変、この1編だけ現実の厳しさが迫ってくるような「エミリオの出発」も好きです。(文春文庫)


+既読の池澤夏樹作品の感想+
「南の島のティオ」池澤夏樹
「スティル・ライフ」池澤夏樹
「真昼のプリニウス」池澤夏樹
「夏の朝の成層圏」池澤夏樹
「バビロンに行きて歌え」池澤夏樹
「神々の食」池澤夏樹

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魔法使いのルッフィアモンテが望んだのは、地球の端っこにささやかな、ありとあらゆる風の流れ込むおもちゃのような街を作ること。そしてできたのが風街。沢山の夢が吹き寄せられてくる風街にやって来たマーチ博士が書き綴った短編集です。

風待屋のsa-ki さんに教えて頂いた本。海外ファンタジー作品を多数訳してらっしゃる井辻朱美さんご自身のファンタジー作品は一体どのような物語なのだろうと、ワクワクしながら手に取りました。
まず、神話や古今東西の有名ファンタジーのモチーフがいっぱいで楽しい! 風街ができるきっかけになったのも、魔法使いが鶴の仙人に連れられて行った北方の神々の鍛冶場がきっかけだし、この鍛冶場に置いてあるのが、不老不死の仙丹を焼き上げる太上老君の竃、そして風街を作りたいという望みを叶えたのは、北欧神話の神の1人ロキなんですもん。思いっきりクロスオーバーしています。(笑)
街の裏には《夜》の山脈があり、《夜》に通じる道は、まがまがしい夢が漂い出てくる《妖神たちの小路》... という街の周辺も魅力的なんですが、それ以上に街そのものが素敵。とっても不思議なことが、ごく自然に存在してますし、魅力的なお店も沢山。鞄屋の自慢は、物を出したあと、鞄の口の中へ鞄の底を突っ込めば、くちがねだけになってしまうという鞄だし、開くたびに美しい女の絵が涙を流す傘があったり、毎回違う割れ方をして、毎日新しい自分を発見できるタマゴ鏡なんていうのがあったり...。その他にも、子供の成長に合わせて育つ刺青とか、姿を変える黒ウサギとか、夜の流星が落ちた跡を嗅ぐ犬とか、雨天のみ開館の映画館とか... 《夜》から飛んできた、よい匂いのする夢を拾って売る掃除夫の話なんていうのも素敵。
人間も動物もそれ以外の不思議な存在も一緒くたになって暮らしている風街の物語は、連作短編集とはいっても、それぞれの物語に連続性はそれほどなくて、まるで夢の場面場面のスケッチを見ているよう。少し強い風が吹いたら忘れてしまいそうなほどの淡々とした夢です。でもそのスケッチを眺めていると、明るく透明感のある情景がどんどん拡がっていきます。
メアリー・ポピンズが来るのは、実はこの世界から? 一番強い火星猫の名前が、「スーパーカリフラジリスティックエクスピーアールイードーシャス」なんですよ。(笑) 「ロビン・グッドフェロウがチョコレットの中に閉じ込められた珍事件」というのは、稲垣足穂の「チョコレット」? 神話や古今東西の有名ファンタジーのモチーフがいっぱいで、そういうのを探すのも楽しいところ。登場人物もそれぞれに魅力的だし、読んでいると自分まで風街にいるような気がしてしまう、そんな風に居心地のいい物語でした。画像が出ないのが残念なんですが、安江恵美さんの挿画もこの雰囲気にぴったり。楽しかったです~。(アトリエOCTA)


+既読の井辻朱美作品の感想+
「風街物語 完全版」井辻朱美
「エルガーノの歌」「パルメランの夢」井辻朱美
「幽霊屋敷のコトン」「トヴィウスの森の物語」井辻朱美
「ヘルメ・ハイネの水晶の塔」井辻朱美
「遙かよりくる飛行船」井辻朱美
「ファンタジーの森から」「ファンタジーの魔法空間」井辻朱美
「夢の仕掛け 私のファンタジーめぐり」井辻朱美
「魔法のほうき」井辻朱美
「ファンタジー万華鏡」井辻朱美

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光原百合さんご自身が「声なき楽人(バルド)」シリーズと呼ばれているという、ケルト神話に題材を取ったシリーズ。「祓いの楽人」オシアンと、その相棒・ブランの連作短編集です。ケルト神話は大好きなので、この新刊は本当に楽しみにしてました~。

「祓いの楽人」とは、竪琴を奏でて歌を聞かせる一般的な楽人とは違い、竪琴の調べによって楽の音の神秘を操る人間のこと。自然や人間があるべき様から外れている時に、竪琴の音を聞かせて、あるべき姿に戻すという技を持つ楽人です。なりたいと思ってなれるようなものではなく、なれるのはそれ相応の天分を持った人間だけ。そしてオシアンはとても強力な「祓いの楽人」。諸国を旅しながら、時には死んだ後も頑なな人々の心を開き、彼らに道を示していきます。そして、楽師なのに声を出せないオシアンの代わりに村の人々と話すのは、小生意気で饒舌な相棒・ブランの役目。

「祓い」を必要とするような物語だから仕方ないとはいえ、どの物語もなんて切ない... ただ好きだっただけなのに、大切に思っていただけなのに、なぜか相手を傷つけることになってしまう登場人物たち。本心とは裏腹の言葉を口にしてしまい、心にもない行動をとってしまう、あるいは本当の思いが伝えられないまま終わってしまう。そしてそんな自分の行動を後悔し、死んだ後も留まり続けてしまう...。でも、彼らはただ、自分の深い想いを伝える術を知らなかっただけなんですよね。
未練や後悔の念が中心なのですが、ブランの存在が作品全体の雰囲気を明るくしてくれるようですし、オシアンの美しい透明感のある竪琴の音色が、その明るさを光に昇華させているよう。この世界は、本当にとても素敵でした。ケルト的な雰囲気は、5作目の「三つの星」で一番強く感じたかな。元になっているモチーフや登場人物の名前はもちろんなんですけど、他の4作に比べてダントツでケルトの雰囲気を感じたのは何だったんでしょうね...。「祭礼の島」に、どこかアヴァロンの雰囲気を感じてたからかしら。
でも、あとがきに「ケルト民話に触発されて生まれた一つの異世界の物語」とある通り、とてもケルト的でありながら、光原さんならではの世界です。あんまり自然に存在してるので、こちらもするんとその世界に入っちゃいましたけど、「祓いの楽人」というのも光原さんのオリジナルですよね? まだまだオシアンやブラン自身について分かっていない部分が多いので、彼ら自身の物語も読みたいです。そちらも、相当切ないものになりそうですが...。

そして今回も装幀がとても綺麗です~。最初見た時、「星月夜の夢がたり」とお揃いかと思いました。タイトルのフォントも似てますし。でも、出版社はもちろん、装幀した方も違いました。「星月夜の夢がたり」の暖色系の色合いとは対照的に、こちらは月明かりのような寒色系の色合い。これがまた、オシアンのイメージ、そして作品全体のイメージにぴったりですね。(角川春樹事務所)

そして「親切な海賊」は、幻冬舎のPR誌・星星峡に載っている不定期連載作品。こちらは「潮ノ道の日常」シリーズというシリーズ名なのだそうです。星星峡はジュンク堂に置かれてるんですけど、このジュンク堂に行く時間がなかなか取れなくて...! 最初に行った時は「明日来ると思います」、次に行った時は「もう全て配布してしまいました」... ガックリ。(でも、その後無事読めました!)
「銀の犬」ですっかり切ない気分になってたんですが、こちらを読んだら、暖かくてぽかぽか~。最初はただの困った頑固親父かと思った花嫁の父(結婚式はまだだけど)なんですけど、いいじゃないですか~。吼え合ってるアレクサンダーとジロー(犬です)を挟んで芹菜と話している場面で、すっかり気に入っちゃいました。婚約者の耕介も、最初予想したよりもずっと可愛い気があったし(失礼かな...)、この2人きっと上手くいきますよ! 表面上はお互いブツクサ言いそうだけど、根っこのところで信頼できる関係になりそうです。気がついたら、美弥そっちのけで意気投合して、酒を酌み交わしてるかも。(笑)
芹菜と零司も相変わらずのいいコンビだし(零司、頑張ってますね)、颯月さんも相変わらず、眠そうな割に力強くて素敵。本当は「あたりを打ち払うほどの美人」ぶりをもっと長時間拝めれば言うことないんですけど... 珈琲のカフェインもあんまり効き目なさそうだし、なかなか難しそうですね。(笑)


+既読の光原百合作品の感想+
「ありがと。 あのころの宝もの十二話」ダ・ヴィンチ編集部編(「届いた絵本」)
オール讀物11月号(文藝春秋)(「扉守」)
小説NON 11月号(祥伝社)(「希望の形」)
小説推理・オール讀物・星星峡(「1-1=1」「クリスマスの夜に」「オー・シャンゼリゼ」)
「最後の願い」光原百合
光原百合ベスト3@My Best Books!
「尾道草紙」尾道大学 創作民話の会
「銀の犬」「親切な海賊」光原百合
オール讀物 2007年10月号(「写想家」)
「嘘つき。 やさしい嘘十話」ダ・ヴィンチ編集部編(「木漏れ陽色の酒」)
オール讀物 2008年11月号(「旅の編み人」)
「新・本格推理 不可能犯罪の饗宴」二階堂黎人編・オール讀物 2009年8月号(「花散る夜に」「ピアニシモより小さな祈り」)
「イオニアの風」光原百合
「扉守 潮ノ道の旅人」光原百合
Livreに、これ以前の作品の感想があります)

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夜中の突然の地震で起きた若だんなが耳にしたのは、若だんなが邪魔だから殺してしまおうという声と、このままでは若だんなが死んでしまうのではないかと心配する声、そして遠くから聞こえる悲しそうな泣き声でした。そして翌日また地震が起き、若だんなの頭に物が激突、若だんなは気を失ってしまいます。気がついた若だんなに母親のおたえが提案したのは、湯治に行ったらどうだろうという案。ゆっくりお湯に浸かって養生したらぐっと丈夫になれるかもしれないと、稲荷神様のご神託があったというのです。

若だんなのシリーズの第5弾。
今回は1作目以来の長編なんですねー。この方の連作短編は大好きだけど、やっぱり長編だと嬉しいです。しかもシリーズ初の遠出、目先が変わって新鮮ですし。ただ、箱根まで行くとなると、旅に参加できる人数が限られてるのが、やや残念ではあるのですが...。
旅に出た途端に、消えてしまう仁吉と佐助。いつもなら梃子でも若だんなから離れないと頑張る2人なのに、予想外の事態が起きたとはいえ、結局2人とも離れてしまったというのがちょっと納得しきれないのですが... そのおかげで、若だんなが自力で頑張ることになります。いやー、周囲にどれだけ甘やかされても、若だんなって本当に良い青年ですね。皆が若だんなを思いやる心が温かくて、読んでいるこちらまで幸せな気分になれるのが、このシリーズの良さでしょう。やっぱり人間、基本は愛情をたっぷりと受けることなんだろうなー。
物語冒頭で若だんなが山神に尋ねる「私はずっと、ひ弱なままなのでしょうか」「他に何もいらぬほどの思いに、出会えますでしょうか」という問いがとても印象的でした。山神のくれた「浅い春に吹いた春一番で出来た」金平糖のようなお菓子が食べてみたい...。そして印籠のお獅子も既に仲間入りでしょうか。可愛いです~。(新潮社)


+シリーズ既読の感想+
「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「おまけのこ」
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「いっちばん」畠中恵

+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
Livreに「百万の手」の感想があります)

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ナシアスとバルロが出会ったのは、まだ2人とも叙勲前の騎士見習いの時。デルフィニアの騎士団たちの対抗試合で勝者となったナシアスに、まだ10代始めだったバルロが挑んだのです。勝負はあっという間につきます。そして叩き落された剣を拾おうともせずに背を向けたバルロに対して、礼を逸していることを指摘するナシアス。格式高い家柄と影響力から第二の王家とも言われる大貴族・サヴォア公爵家の1人息子であるバルロは、サヴォアの名にも家格にも左右されないナシアスに興味を抱きます。

デルフィニア戦記外伝、ナシアスとバルロの出会いの物語。「デルフィニア戦記」はあれだけ好きだったのに、「暁の天使たち」以降の、オールスター勢ぞろい内輪受け大会的な雰囲気に馴染めなくて、このシリーズはもういいやーと思っていた私。この外伝も、もしやオールスター隠し芸大会になっちゃうんじゃないかと心配で、なかなか読めなかったんですが... これはなかなか良かったです。(ほっ)
中心となるのはナシアスとバルロ。ウォルはほとんど登場しないし、リィに至っては名前だけ。でもかつての「デルフィニア戦記」の空気がたっぷりでした~。ルゥのことは元々そんなに好きじゃなかったんですけど、もしかしたらリィもシェラもどうでも良かったのかしら? だから「暁の天使たち」以降、楽しめなかったのかも? もしかしたら、私はナシアスさえいてくれれば、それでいいのかも? なんて思ったりもしたんですが(笑)、少年時代のナシアスとバルロの出会いとかやり取りが良かったです。2人の出会いがこの年齢、このタイミングでなければ、その後の友情はあり得なかったんでしょうね~。
その後の本編とも重なる時期のエピソードに関しては、個人的にはなくても良かったかなって感じなんですが、本編を楽しんだ人ならニヤリとできるでしょうね。とにかく懐かしかったです♪ (中央公論社C★NOVELS)


+シリーズ既刊の感想+
「大鷲の誓い」茅田砂胡
Livreに「王女グリンダ」「デルフィニア戦記」シリーズの感想があります)

+既読の茅田砂胡作品の感想+
「レディ・ガンナーと二人の皇子」上中下 茅田砂胡
Livreに「レディ・ガンナー」「桐原家の人々」「スカーレット・ウィザード」の感想があります)

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折原雅之は船の模型を作るのが大好きな中学3年生。ある日、叔父を訪ねた雅之は、「海賊に会いたくはないか」という言葉と共に、叔父に不恰好な黒いラジオを渡されます。そしてそのラジオを通して、不思議な物語を聞くことに...。

ずいぶん前に彩水仙さんにオススメ頂いていた作品。その時に、空猫の図書室の空猫さんもお好きだと仰ってて気になっていたのですが、あいにく絶版となっていて、市内の図書館にもない状態。今回、ようやく読めました!
1人の男の子とラジオをめぐる、オムニバス形式... でいいのかしら、連作短編集です。全部で9編が収められているんですが、それぞれの題名はそのまんまラジオから流れてくる物語の題名でもあります。このラジオの物語が可愛くていいですねえ。童話風の物語あり、現代恋愛物ありと色々なんですが、どれもどこか不思議テイスト。毎回、唐突と言っていいほど突然始まるのに、現実の雅之の物語とほんのりリンクしているせいか、全く違和感なくその世界に入り込めてしまいました。この中では「ひとりぼっちのミーデ」と「ハッピー、ホップ、グリーン、ピー」が好きだなあ。
でも作中作の物語だけでなく、主人公をめぐる人々もいい感じ。特に良かったのは、ラジオをくれる叔父さんと、都会の学校から転校してきた神田さんかな。特に、雅之のおじさんが、シュヴァルの理想宮に憧れて...というクダリは、おじさんらしくて良かったし。コバルト文庫というと、ちょっと色眼鏡で見てしまいがちな私なんですが(失礼)、これは普通の児童書(YA)のレーベルから出して欲しい作品かも。久下じゅんこさんの挿絵も素敵でした。(集英社コバルト文庫)

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