Catégories:“ファンタジー”

Catégories: / /

 [amazon]
ホラー小説大賞を受賞しているけど、それほどホラーではなく、むしろファンタジック、と聞いて興味を持ってた作品。その言葉を聞いた時に、私がまず思い出したのが朱川湊人さんだったんですよね。読んでみると、確かに朱川さん... しかも私がダントツで好きな「都市伝説セピア」に通じる雰囲気が...?! いやー、良かったです。この「夜市」という本には、表題作の「夜市」と「風の古道」という中編が2つ収められていて、私は最初「夜市」の方だけ読ませてもらったんですけど、「風の古道」も読みたくて、思わず本屋に走ってしまいました。(笑)

「夜市」は、異界が交わる場所に現れる、お金さえ出せば何でも手に入るという夜市の物語。夜市のイメージ自体はそれほど目新しくないかもしれないんですが、不思議で、ちょっと不気味で、やっぱり魅力的。静かな暗闇の中に、この夜市が鮮やかに浮かび上がってくるように感じられるのがいいんですよね。そして「風の古道」は、花見に行った公園で迷子になった少年が、不思議な道を教えてもらって家に帰り、その道のことが忘れられず... という物語。こちらも読んでいると絵が浮かびます。この道がいいんですよねえ。どちらかといえば、私はこちらの方が好きかな。どちらにしても、これがデビュー作なんてびっくり。
本当の怖いホラーは苦手なんですけど、こういう幻想的な作品は大好き。あっという間に異世界に引き込まれてしまいました。とは言っても、2作品とも異世界から抜け出せる保証はどこにもなくて、そういう意味では十分怖いんですけどね。
「都市伝説セピア」がお好きな方は、ぜひ読んでみて下さいませ~。(角川書店)


+既読の恒川光太郎作品の感想+
「夜市」恒川光太郎
「雷の季節の終わりに」恒川光太郎
「秋の牢獄」恒川光太郎

| | commentaire(8) | trackback(5)
Catégories: / / /

[amazon] [amazon]
「海神別荘」は、表題作のほかに「山吹」「多神教」が入っていて、どれも戯曲。泉鏡花の戯曲はやっぱり読みやすいですね。特に「海神別荘」が良かったです~。これは浦島太郎の女性バージョン(?)。海の中の公子(乙姫様の弟!)に幸せな暮らしを約束された美女が、どうしても今の幸せを父親に伝えたいと言うんですけど、そこには玉手箱こそないものの、ふかーいふかーい落とし穴が... 結構シビアな結末になってます。(笑) でもやっぱり描写が美しい...。これだけでも酔えそうです、ほんとに。
そして「春昼・春昼後刻」は、 眠気を誘うような、うららか~な春の昼下がりの情景にのほほんと読み進めていると... ぎょぎょぎょ。これは実はホラーだったんでしょうか。最後まで読んでからまた最初に戻ると、のどかな春の情景だと思っていたものがやけに濃密に感じられてきて、びっくりでした。
以前に「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」(感想)を読んだ時、overQさんに、「鏡花の文章は波長が合うと案外読みやすいです。でも。そのときに一気に読まないと、他の本を読んでから戻ってくると、読めなくなってたりします(;・∀・)」と言われたので、ちょっと戦々恐々としててたんですが、前回も入りやすかった戯曲から入ったせいか、今回は大丈夫でした。でももう手元には戯曲がない... しかも「草迷宮」と「外科室・海城発電 他5篇」を続けて読もうと思ったのに、そっちは自宅に忘れてきてることが判明。うわー、残念。また改めて読むことにします。で、でも大丈夫かしら...。「外科室」は以前読んだことがあるんですが...。(どきどき) (岩波文庫)


+既読の泉鏡花作品の感想+
「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」泉鏡花
「泉鏡花短篇集」川村二郎編
「海神別荘」「春昼・春昼後刻」泉鏡花
「鏡花百物語集 文豪怪談傑作選・特別篇」東雅夫編

| | commentaire(0) | trackback(0)
Catégories: / /

 [amazon]
まだまだ駆け出しの28歳のフリーライター・寺坂真以が主に仕事場としているのは、近所のファミリーレストラン。ノートパソコンや手帳、携帯電話などをリュックに詰めて出かけていきます。そしてそこで出会った謎を、幸田ハルというおばあさんの助けを借りて解いていくという連作短編集。

いわゆる日常の謎物。ここに登場する幸田ハルというおばあさんは、このファミリーレストランが建つ前に、この辺り一帯の敷地の持ち主だった女性で、20年前に既に亡くなっています。つまり幽霊ということ。この設定が松尾さんらしいところですねー。彼女は生前の暮らしを懐かしんで、時々ファミリーレストランに現れるんですが、みんなに見えるというわけじゃなくて、見える人と見えない人がいるという設定。
で、このおばあちゃんが何とも愛嬌があって可愛いんです。特に冒頭の「ケーキと指輪の問題」で、せっかく解いた謎が仕事の役には立たなかったと分かった時のおばあちゃんの反応といったら...。あまりに可愛らしくて、一気にファンになってしまいました。松尾さんらしさはそれほど強烈ではないので、松尾ファンの私にとってはちょっぴり物足りなさも残るんですが、逆にこういう作品がファン層を広げるかも? ぜひ続編も書いていただきたい作品です~。(光文社)


+既読の松尾由美作品の感想+
「雨恋」松尾由美
「ハートブレイク・レストラン」松尾由美
「いつもの道、ちがう角」松尾由美
「安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎」松尾由美
「九月の恋と出会うまで」松尾由美
「人くい鬼モーリス」松尾由美
「フリッツと満月の夜」松尾由美
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(4) | trackback(1)
Catégories: /

 [amazon]
以前、たらいまわし企画・第10回「映画になったら見てみたい」で挙げたこともある本なんですけど(記事はコチラ)、実は読んでる作品と読んでない作品があって、この1冊を通読するのは今回が初めてだったりします...。(ダメダメ) 表題作は、何度も読んでるんですけどね。たむらしげるさんの絵本でも読んでますし。(感想はコチラ

amazonの紹介によると、「少年愛、数学、天体、ヒコーキ、妖怪...近代日本文学の陰湿な体質を拒否し、星の硬質な煌きに似たニヒリスティックな幻想イメージによって、新しい文学空間を構築する"二十一世紀のダンディ"イナガキ・タルホのコスモロジー」

なんだかものすごい紹介なんですが(笑)、私が好きなのは、若い頃書かれたという幻想的な作品群。表題作のほかに、「黄漠奇聞」「チョコレット」「天体嗜好症」「星を売る店」「弥勒」「彼等」「美のはかなさ」「A感覚とV感覚」の全9編が収録されていて、大体年代順に並んでいるんですけど、ずばり前半の「星を売る店」までですね。特に表題作と「黄漠奇聞」が大好き。大正時代に書かれている作品なんですけど、今読んでも違和感が全くないのが凄いです。レトロな雰囲気を持ちつつ、「モダン」という言葉がぴったり。幻想的で、美しい情景が広がります。特に「黄漠奇聞」の異国情緒溢れる雰囲気が溜まりません~。(これ、最後に「ダンセーニ大尉」という人物が登場するんですけど、もしかしてロード・ダンセイニのことなのでしょうか)
でもこの後、足穂はアルコール中毒などで一時断筆したようなんですよね。前半の作品から「弥勒」が書かれるまで15年ぐらいあいていて、「弥勒」や「彼等」にもまだまだ足穂らしいモチーフはあるものの、自伝的でどこか重い雰囲気。極貧生活を送っていた足穂自身の姿も垣間見えるし、同性愛的傾向も濃くなるし。それはそれで悪くはないんだけど... でもやっぱり前半部分のおとぎ話的な雰囲気が好きです。若い頃の作品をもっと読んでみたいなあ。(新潮文庫)


+既読の稲垣足穂作品の感想+
「一千一秒物語」稲垣足穂・たむらしげる
「一千一秒物語」稲垣足穂

| | commentaire(2) | trackback(0)
Catégories: / / / /

  [amazon] [amazon]
泉鏡花、学生時代に少し読んだ覚えがあるんですが、それきり全然。ここのところずっと読みたいなあと思っていたんですが、ようやく読めました。「夜叉ヶ池」「天守物語」「高野聖」「眉かくしの霊」の4編の中では、「高野聖」だけが既読。

きっと相当時間がかかるんだろうな... と覚悟してたんですけど、これが全然。もう夢中になって読んでしまいましたー。特に良かったのが「夜叉ヶ池」。そして「天守物語」も。この2編は戯曲です。実際、映画やお芝居にもなってますね。(玉三郎のが観てみたいー) 戯曲を読むなんて、本当に久しぶり。子供の頃は、マルシャークの「森は生きている」とか大好きだったんですが、大人になってからはどうも読みづらくなってしまって敬遠してたんです。それがこんなにさらさらと読めるとは、びっくり。もしかしたら、泉鏡花に関しては、戯曲の方が普通の小説よりも入りやすいのでしょうか? 頭の中で台詞を音読するように読んでいると、泉鏡花ならではの艶やかな世界がぱあっと広がってすごく素敵でした。
「夜叉ヶ池」も「天守物語」も、人間だった時は痛ましい亡くなり方をした女性たちが、物の怪になってから幸せを掴むというのがポイント。それに物の怪の方が、人間よりも約束を律儀に守っているんですよね。夜叉ヶ池の主も、本当は剣ヶ峰千蛇ヶ池にいる恋する若君のところに行きたいのに、そんなことしたら大水になってしまうし、人間との昔からの約束もあるから「ええ、怨めしい...」と我慢しているのに、人間の方が浅はかな考えから約束を簡単に破ろうとしてます。醜い俗世と物の怪の美しい世界の対比?(雨乞いをする人間たちが妙なものを池に投げ込んで困る... と、渋い顔をしてる物の怪の姿が可笑しいです♪)
「高野聖」は、山で何度も遭遇する大蛇や、森の中で上から降ってくる蛭の場面がものすごくリアルで気色悪っ。その後のなまめかしい美女の場面が、余計に妖しく感じられました。川で水浴びをしている時、「うとうとする様子で、疵の痛みがなくなって気が遠くなって、ひたと附ついている婦人の身体で、私は花びらの中へ包まれたような工合」だなんて、イメージとしては恋人よりも母親のようだったけど...(笑)

泉鏡花の本は岩波文庫版が何冊か手元にあるので、ぼちぼちと読んでいくつもりです。(岩波文庫)


+既読の泉鏡花作品の感想+
「夜叉ヶ池・天守物語」「高野聖・眉かくしの霊」泉鏡花
「泉鏡花短篇集」川村二郎編
「海神別荘」「春昼・春昼後刻」泉鏡花
「鏡花百物語集 文豪怪談傑作選・特別篇」東雅夫編

| | commentaire(4) | trackback(0)
Catégories: /

 [amazon]
高校2年生の冬、夜中に煙草が吸いたくて堪らなくなった和樹は、雪が降る中をひっそりと外に出て自動販売機へ。しかしその帰り道、通りがかった公園の奥に何かの気配を感じたのです。そこにいたのは真っ白いダッフルコートを着てフードをかぶった1人の女の子。なぜそんな雪の日のそんな時間に女の子が1人で公園にいるのかと不審に思う和樹ですが、「貴方、私が見えるのね?」と言って破顔した少女のペースに巻き込まれて、一緒の時間を過ごすことに。

四日間の奇蹟」を読んでから、ずっと読みたかった浅倉さんの作品。まず雪の情景がものすごく綺麗! きっと浅倉さんの出身地の札幌が舞台なんでしょうね。雪を良く知っている人ならでは、という感じ。そしてその雪の中に現れる少女の存在がとても幻想的~。
そしてそんな幻想的雪景色と対になってるのが、和樹が大学時代や卒業後を過ごすことになる東京。こちらに話が移ってからの展開は、とても現実的。和樹が、自分の適性や世の中の要求を冷静に判断して選択する商業デザインの話もとても面白かったし、めきめきと実力を発揮していく仕事振りとか、自分の仕事に没頭していて他にまるで気が回っていない危うさとか、そんな和樹を巡る会社の人間関係とか、すごくリアル。あくまでも現実的で、何よりも雪の白一色だった故郷と対照的に色彩的に鮮やか。白に始まり、様々な色を経て、そして再び白に戻る物語なんですね。
少女と和樹の会話が、後半になるとちょっと理論的になりすぎて、作品のファンタジックな良さをを少し殺してしまっているかなーとか、鹿嶋美加とのことは、もう少しドラマティックに描かれると思っていたのに!とか、写真家もあれだけ?とか、小さく気になるところはあったんですけど、でも良かったです。「四日間の奇蹟」に比べると、ぐっとくる部分は少なかったんですけどね。雪が降り積もってるのに、とっても暖かい物語でした。(中央公論新社)

| | commentaire(6) | trackback(4)
Catégories: / / /

    [amazon]
去年「精霊の守り人」「闇の守り人」「夢の守り人」と読み進めていた守り人シリーズ。その後、積読本減らしのために図書館自粛期間に入ってしまって途切れていたのですが、ようやく続きが読めましたー。やっぱりこのシリーズはいいですねえ。決して派手じゃないんだけど、すごく好きです。ハードカバーだし、字が大きいから図書館で借りてるけど、文庫本になってくれたら絶対揃えるのに! そしてバルサとチャグム皇子の出会いから始まったこのシリーズ、どうやらバルサを主人公にした「守り人」シリーズと、チャグム皇子を主人公とした「旅人」シリーズに枝分かれしたようですね。今回4冊積み上げてて気づいたんですが、「守り人」は二木真希子さん、「旅人」は佐竹美保さんがイラストを描くことになったのかしら?
今までは一応1冊ずつで完結してたんですが(「神の守り人」は2冊組ですが)、「蒼路の旅人」は、これだけでは完結していません。というか、ここからまた新たな物語が始まったみたいな感じ。(表紙の色合いがこれだけ違うのも、それを意識してるのでしょうか) この行方がどうなるのか早く読みたい! バルサやタンダも好きなんですけど、チャグム皇子も好きなんですよねえ。
そして守り人&旅人スペシャルサイトなんてものも見つけました。次は守り人の物語が出るそうなんですが、既に「炎路の旅人」という作品も書かれているようで... これに関しては、「読みたいという読者の声がありましたら、いずれ出版する機会もあるかなぁと思っております」とのこと。勿論読みたいに決まっていますとも! ぜひぜひ出版をお願いしたいものです。
2つに枝分かれしたシリーズも、最終的にはまた1つに戻るのでしょうね。これからどのような物語になっていくのか本当に楽しみです。(偕成社)


+シリーズ既刊の感想+
「精霊の守り人」「闇の守り人」「夢の守り人」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「虚空の旅人」「神の守り人 来訪編」「神の守り人 帰還編」「蒼路の旅人」上橋菜穂子
「天と地の守り人」1~3 上橋菜穂子
「流れ行く者 守り人短編集」上橋菜穂子
「バルサの食卓」上橋菜穂子・チーム北海道

+既読の上橋菜穂子作品の感想+
「獣の奏者」1・2 上橋菜穂子
Livreに「狐笛のかなた」の感想があります

| | commentaire(6) | trackback(3)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.