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何があるのか行ってみないと分からないし、欲しいものが見つかっても手に入るとは限らないエルフさんの「気まぐれ屋」。そんなお店をはじめとする42のファンタジックなお店の数々が、イラストと文章で紹介された本。「エルフさんの店」「トウィンクルさんの店」が合わせて1冊の本として復刊されました。

読んでみたいなと思っていた本がタイミング良く復刊されて大喜び。早速手に入れて読んでみると、これがもうほんと好みのツボど真ん中。あとがきに「私は、ずいぶん前から、古めかしいごたごたした店がすきでした。」「本を読んでいてもそういう「お店」がでてくると、いっしょうけんめい想像していました」とあるんですが、私もそういうお店が子供の頃から大好きでした! ごたごたと色んなものが置いてあって、どれも心惹かれるんだけど、その中に1つ自分がずっと前から欲しいと思っていたものがあって... しかもそのお店をやってる人が、どことなく不思議な雰囲気でとても魅力的。でもそのお店はいつも行きたい時に行けるとは限らない、なーんてお店。...となるとまるっきり、ヒルダ・ルイスの「とぶ船」なんですが。多分、本の中のお店を意識するようになったのは、この作品なのではないかと思います。北欧神話のオーディンを思わせるおじいさんのやってた店にピーターが行けたのはたったの2回。でもそこでピーターは後に「スキードブラドニール」だと分かることになる小さな船を手に入れるんですよね。そしてその後、柏葉幸子さんの「霧のむこうのふしぎな町」を読んで、ますます不思議なお店好きに拍車がかかったりなんかして。

この本に紹介されているお店は、ほんと行ってみたくなってしまうようなものばかり。本当に本の中に入り込みたくなってしまうー。見たい夢の絵を描いてくれるエアリーさんの店「ゆめ屋」、海のそばにあって、雨の日や霧がかった日はまるで水の中にいるように見える「かけら屋」。ここには何かわからないけれど、きらきら光る「かけら」が無造作に置かれています。そして世界中の風を集めた「風屋」、忘れかかっていた「時」に入り込んでしまえる「時屋」、月夜の間だけ走る帆船「カナリヤ号」がある「船屋」、物語に出てくる場所の地図を沢山置いている「地図屋」...

そんなお店のことを読んでいるだけでもワクワクしてしまうんですが、そういったお店の中に高柳佐知子さんがお好きな本のネタもさりげなーくちらりちらりと顔を出していて、それを見つけるのがまた楽しいのです。メアリー・ポピンズ、床下の小人たち、不思議の国のアリス、くまのプーさん、ツバメ号とアマゾン号、赤毛のアン、大草原の小さな家、若草物語など、私も子供の頃に夢中になって読み耽っていた本ばかり。でも私が分かる範囲でもいっぱいあるんだけど、気がついてないものもまだまだありそう。こんな本がずっと絶版だったなんて~。復刊されてほんと嬉しいです。そして高柳佐知子さんの「ハイウィロウ村スケッチブック」にもそういったお店が登場するみたいだし、続編で「アリゼの村の贈り物」というのもあるので、こちらもこの機会にぜひ復刊して欲しいものです。読みたい!(亜紀書房)


+シリーズ既刊の感想+
「エルフさんの店」高柳佐知子
「ティスの魔女読本」高柳佐知子
「ハイウィロウ村スケッチブック」高柳佐知子
「アリゼの村の贈り物」高柳佐知子
「不思議の村のハロウィーン」高柳佐知子

+既読の高柳佐知子作品+
「イギリス湖水地方を訪ねて」「風のまにまにイギリスの村へ」高柳佐知子
「ケルトの国に妖精を探しに」高柳佐知子
「ナチュラル暮らしの手作り工房へ、ようこそ」高柳佐知子
「庭が仕事場」高柳佐知子

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メアリー・フィールズが久々の家族旅行から帰ってみると、隣の空き地にはいつの間にか真新しい家が。引っ越してきたのは、トゥックトゥイックという細身長身の若い青年でした。丈の短い変わったローブを着た彼は、外国の風習を真似てみたと「引越しパスタ」を持ってメアリーの家を訪れます。そして翌日、ママ特製のサンドイッチを持たされたメアリーは、引越しの手伝いをしにお隣の家へ。しかし片付けも一通り終わり、ウッドデッキで美味しい紅茶をご馳走になりながらサンドイッチを食べていると、なんとティーポットから電話の呼び出し音が...。

風待屋のsa-ki さんに教えて頂いた本です。トゥックトゥイックさんという青年(通称ツクツクさん)と、お隣の家に住むメアリーのシリーズ。
いやあ、可愛かった! 普通ならあり得ないような不思議な出来事はいっぱいあるし、魔法の匂いはぷんぷんしてるんだけど、決定的な魔法の場面はないんですね。ツクツクさんが魔法を使ったという証拠はどこにもないし、問い詰めようにも、メアリーはいつもうまくかわされてしまうし。この辺り、ちょっと「メアリー・ポピンズ」を思い出します。ジェインやマイケルも、あんなに不思議な時間をメアリー・ポピンズと共有してても、そのことをメアリー・ポピンズが後から認めることなんて絶対ないですし。とは言っても、ツクツクさんはあんな不機嫌なタイプじゃないし、いつもしどろもどろと自分のせいじゃないと主張してるんですが。(笑) 本人が特別魔法を使わなくても、面白い知り合いがいっぱいいるというところも、そういえば「メアリー・ポピンズ」と同じですね。でも最初こそ、そういった不思議な出来事がただの偶然なのか本当に魔法か突き止めようと意気込むメアリーなんですが、そのうちにそういった出来事を自然と受け入れるようになるのが、またいいんですよね~。
そして「メアリー・ポピンズ」以上に色濃く感じられたのが、ルイス・キャロルのアリスの世界。こちらはもう、白ウサギとかチェスの駒とか、アリスを連想しない方が無理というぐらいなんですが、それもそのはず、篠崎砂美さんの原点はあのアリスの世界なんだそうです。道理で! でもアリスに寄りかかりすぎてるわけでもなく、丁度いい距離感。

3冊で3年間の話になってるんですけど、ツクツクさんのメアリーに対する呼び方なんかで、2人の距離が少しずつ近くなってるのが分かるというのもいい感じ。3冊とも一応四季ごとの4章に分かれてるんですが、4つの連作短編集というより、もっと小さなエピソードがいっぱい集まってできてる感じです。sa-ki さんが3冊目の感想で、春の風物詩の「渡り猫」とか、春を数える単位にやられたと書いてらして、それで興味をそそられたんですが、これがもう本当に可愛くて! ノックアウトされてしまいました。午後の明るい日差しの中で美味しい紅茶の香りと一緒に楽しみたい、ほんのり和める暖かい作品。4巻も早く出ないかな~。(GA文庫)

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修道院学校の寄宿舎に暮らすニコルは、寄宿舎と授業が行われる塔を往復する毎日。毎朝礼拝を受け朝食を食べると、自転車で霧の村を通り抜けて塔へと向かうのです。その日は、ニコルたち12人の生徒たちが初めて尖塔へと上がる日でした。最上階に住む院長先生に刺繍を教わるのです。修道院学校の主要教科は刺繍。生徒が刺繍針を持たない日は一日もなく、院長先生の授業を受けられるのは12人の選ばれた生徒だけ。初めて塔の最上階に上がったニコルたちは、早速院長先生の刺繍に驚かされることになります。そして「地球のマント」と呼ばれる黒い布に刺繍をすることに。

こみねゆらさんの「仏蘭西おもちゃ箱」を読んだ時にいまむるさんに教えて頂いた本です。
とてもミステリアスなファンタジー。ものすご~く不思議な雰囲気が漂っていて、こういった情景を日本人作家の作品に見るのは珍しいかも? 読んでいると情景が広がってくるし、自転車の音や小鳥の声が聞こえてくるような気がしてくるほど。うわあ、これ好き! こみねゆらさんの挿絵も素敵だったし、そもそもこの作品はレメディオス・バロというスペインの画家の3枚の作品が元になってできた物語のようなんですね。早速検索してみたら、そのレメディオス・バロの絵もすごく素敵で~。こみねゆらさんの挿絵とも調和してるし、その3枚の絵を見ることによって世界がさらに広がるような気がしました。肝心の物語の最後の最後で少し語り足りない感じもあって、もっと色々なことを明かして欲しかったというのもあったんですけどね。でもすごく好きな雰囲気だし、とても面白かったです。小森香折さんの作品、もっと読んでみたいなあ。と、小森香折さんの既刊を並べてみましたが...

    

「うしろの正面」の佐竹美保さんの表紙は素敵だし、「さくら、ひかる。」も気になりますが、「ニコルの塔」ほどの雰囲気の作品はなさそうかな?(BL出版)


+既読のこみねゆら関連作品の感想+
「妖精王の月」「歌う石」「ドルイドの歌」O.R.メリング
「夏の王」「光をはこぶ娘」O.R.メリング
「夢の書」上下 O.R.メリング
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「こもれび村のあんぺい先生」「にこりん村のふしぎな郵便 」「トチノキ村の雑貨屋さん」「ゆうすげ村の小さな旅館」茂市久美子
「風の誘い」茂市久美子
「仏蘭西おもちゃ箱」こみねゆら
「ニコルの塔」小森香折

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春分の日、夏至の日、秋分の日、冬至の日。広場の時計の長い針と短い針が重なった時、路線番号59番という、時刻表にない一輌だけの路面電車(トラム)がやってきます。ヨーコはそのトラムに乗って、見知らぬ街へと行くのです。

風待屋のsa-ki さんに教えて頂いた絵本です。いやあ、噂に違わず素敵でした!
昼と夜が同じ長さになる日、昼が一年で一番長くなる日、そして一番短くなる日。時刻は時計の長い針と短い針が重なる時。そんな条件が揃った時にだけやって来るトラムに乗ると行ける街。...これだけでもファンタジー心をくすぐってくれるのに、物語にはちょっとした仕掛けがあって、それがまたいいんですよねえ。うわーん、このトラムに乗ってみたい。うちの街にあればいいのに...。(うちの街には、ちょっと似合わないんだけど)
そして北見葉胡さんの絵もこの雰囲気にぴったり。特に好きなのは、占い師が展望台で大きな望遠鏡を覗いて星のお告げをする場面の絵かな。北見葉胡さんとこの物語のヨーコは、奇しくも「ヨーコ」さん繋がりなんですけど、もしかして北見葉胡さんがこの作品の「ヨーコ」のイメージとなっていたりするのかしら?(理論社)


+既読の天沼春樹作品の感想+
「ALICETOPIA(アリストピア)」天沼春樹・大竹茂夫
「リトル・レトロ・トラム」天沼春樹・北見葉胡

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12歳のアブリにとって初の旅となったのは、父が引き連れる小さなラクダの隊商に入って、同じ砂漠に住む別の遊牧の民を訪ねる旅。そしてその帰り道に一行が出会ったのは、1人で旅をしている見知らぬ男でした。スレイマンという名のその男は、昔話の語り部。彼は一行に加わることになり、帰り道の間、一行がお茶や食事で休むたびに物語を語ることになります。

日常&読んだ本log のつなさんのところで知った作品です。(記事
舞台となっているのは現代のサハラ砂漠なんですが、砂漠の民は昔ながらにラクダの隊商を引き連れて旅をして、語り部は昔話を語っています。アブリの希望で、スレイマンの語る物語には車や飛行機や電灯が登場するんですが、実際には魔法と冒険の物語。水の妖精ペリが登場して捨て子のサイードに贈り物をするところなんかを見ても、昔ながらの物語といった感じですしね。でも昔話の語り手と言えば、既に存在している話を自分なりにアレンジしながら語っていくものなのかと思っていたんですが、ここに登場するスレイマンの物語は違いました。隊商の面々の助けを得ながら、身の回りに現れる様々な物にインスピレーションを得ながら、物語を聞き手と一緒に作り上げていくんです。どんな話を聞きたいか聞き手に尋ねるのは当然としても、その後はかなり成り行き任せ。これが面白い~。スレイマンによると物語には3つの種類があって、1つはまず本当に起きた出来事が物語になったもの、次は夢が物語になったもの。そして最後は周囲にある物から紡がれた物語なのだそう。ここで語られてるのはこの最後のタイプの物語ですね。語っているスレイマン自身にも、話がどんな風に発展していくのか分かりません。ただ、周囲に現れる事象を見逃さないように気をつけながら、物語を絨毯のように織り上げていくだけ。
スレイマンの語る物語の主人公・サイードの旅は、宝物を探す旅。サハラ砂漠のニジェール河に始まり、モロッコや、エジプトのカイロ、北イエメンの首都サヌア、そして再びニジェール河へとサハラ砂漠の周囲を巡る旅。出会いと別れを繰り返しながらの物語は、最後の最後で意外な方向へ。いや、この最後がいいですね。まさかこんな風に繋がっていくとは!

そして物語を語るたびに、その締めくくりに登場する言葉も素敵。

誉むべきかな、アッラーの神。われらに言葉を授け、昔語りをする術を与えたまいしアッラーの神に感謝!

これこれ、こういうのが好きなんです♪ これは手紙の最後の署名のように、語り手それぞれに決まった言葉があるのだそう。
この物語の作者はドイツ人なんですが、本が読めるようになった頃からずっとアラビアの世界に魅せられて来たんですって。うんうん、分かる~。ものすごく伝わってきます。いや、もう雰囲気たっぷりの作品でした。(福武書店)

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ある6月の雨の日。仕事途中に立ち寄った青山のギャラリーの扉を押し開けた途端、思いがけない芳香に鼻をくすぐられて驚く友香。それは人間ではなく、ギャラリー奥の壁にかけてある小さな布裂から漂ってくる匂いでした。その週、ギャラリーではトルコの染織をテーマに絨毯やキリムを展示していたのです。その芳香に引き寄せられるように友香は毎日のようにギャラリーを訪れ、その布裂が13世紀のコンヤ地方の村で作られた貴重なトルコ絨毯だと知ることに。そして「匂いは、追わないと消えますよ」というオーナーの言葉に後押しされるように、友香はいい匂いのする絨毯を探しにイスタンブルへ...。

匂いがポイントになるという時点で、実はちょっと引きそうになりましたが... パトリック・ジュースキントの「香水 ある人殺しの物語」(感想)を読んだ時は全然そんなことなかったのに、なんでだろう? 体調の違い?(今、ひどい風邪をひきそうなところを一歩手前で踏みとどまってるような、イヤんな感じがあるのです) 読んでみれば結構面白かったです。芳香を放つ絨毯を探して旅をする物語。現代のイスタンブルから、13世紀のビザンティン帝国の首都・コンスタンティノポリスまで行くことになるという、タイムトラベル物でもあります。
トルコに何度も滞在している新藤悦子さんならではの現在や昔のトルコの描写や絨毯の話もたっぷり。トルコのルーム・セルジューク朝の最盛期を築いたスルタン・ケイクバードと、ニカイア帝国の「千の耳」テオドータの恋を通してトルコの歴史的な一面をも見ることもできて、雰囲気もたっぷり。もっとこの辺りの歴史的な小説を色々と読んでみたいな。(東京書籍)


+既読の新藤悦子作品の感想+
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」新藤悦子
「エツコとハリメ」新藤悦子
「トルコ 風の旅」「イスタンブールの目」新藤悦子
「時をわたるキャラバン」新藤悦子
「羊飼いの口笛が聴こえる」新藤悦子
「チャドルの下から見たホメイニの国」新藤悦子

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夜中の火事で、仁吉と佐助に起こされた若だんな。しかし中庭に向いた離れの板戸を開けた途端に煙を吸いこんでしまった若だんなは、気づくと賽の河原にいたのです... という「鬼と小鬼」他、全5編の連作短編集。

しゃばけシリーズの第6弾。
今回、いきなり若だんなが三途の川のほとりに行ってしまってびっくり~。でも他の短編も「死」や「別れ」を強く意識させられる作品ばかりでした。特に最初の「小鬼」と最後の「はるがいくよ」。
この「はるがいくよ」が余韻が残る作品でいいですねえ。生まれたその日から病弱で、いつまで命が持つのか分からない若だんな。たとえ若だんなが病で亡くなることがなかったとしても、人としてせいぜい数十年を生きるのみ。後に残される妖たちは、その後も長い年月を生きることになるんですが、普段自分があんまり「死」の近くにいるから、若だんなはそんな当たり前のことを実感として知ることはなかったんですね。自分が置いていかれる身になって初めて、そのことに改めて気づかされることになるわけです。小紅の存在が切ないながらも、とても健気で可愛らしい~。(新潮社)


+シリーズ既読の感想+
「しゃばけ」「ぬしさまへ」「ねこのばば」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「おまけのこ」
「うそうそ」畠中恵
「みぃつけた」畠中恵
「ちんぷんかん」畠中恵
「いっちばん」畠中恵

+既読の畠中恵作品の感想+
「ゆめつげ」畠中恵
「とっても不幸な幸運」畠中恵
「アコギなのかリッパなのか」畠中恵
「まんまこと」畠中恵
「つくもがみ貸します」畠中恵
「こころげそう 男女九人お江戸の恋ものがたり」畠中恵
Livreに「百万の手」の感想があります)

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