Catégories:“ファンタジー(翻訳)”

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「時と神々の物語」は、「ぺガーナの神々」「時と神々」「三半球物語」の全作品及び、生前単行本未収録だった短編11編、シドニー・S・シームの挿絵も全点収録。「最後の夢の物語」は、「五十一話集」、本邦初公開の「不死鳥を食べた男」の全作品、その他2編の短編を収録。

ロード・ダンセイニの幻想短編集成全4巻の3巻と4巻。もっと早く読もうと思っていたのに、以前に1巻と2巻を読んでから(感想)、大分時間が経ってしまいました。なんせ分厚いんですよね、この4冊。3巻も4巻も、短編集が丸々3つ4つ入っているようなものだし。
この中では、3巻に収録されている「ぺガーナの神々」「時と神々」が再読です。(感想

ダンセイニの真骨頂というのは、やっぱりこういった初期の神話系の作品にあると思うんですよね。ダンセイニの文章は17世紀のジェームズ王の欽定訳聖書の格調高い文体の影響を色濃く受けていると言われていて... これはたとえば2人称が「you - your - you - yours - yourself」ではなくて「thou(複数形はye) - thy - thee - thine - thyself」が使われているとか、動詞の活用形が今とは違うとか、そういうのなんですけど、たとえば16世紀のシェイクスピアの作品なんかでも、その2つの人称形が相手との微妙な距離感によって使い分けられてたりするんですよね。いわゆる「初期近代英語」。ダンセイニの作品でこの古風な言葉が使われていたのは、もっぱら初期の作品の「ぺガーナの神々」「時と神々」「エルフランドの王女」(感想)辺りのようです。
そんな風に言葉に強いこだわりを持っていた作家といえば、J.R.R.トールキンがいるんですが... この本の解説に、トールキンはきっと最初はダンセイニの本を沢山読んで熱中したのだろうけど、細部の言語学的な注意が不十分で深みがないと批判的になったのではないか、というようなことが書かれていて、いかにもありそうだなあと笑ってしまいました。もちろん、どちらも原書で読まない限りは、本当に味わうことはできないのだけど。C.L.ムーアが言ったという「誰もダンセイニを真似ることはできないのだが、ダンセイニを読んだことのある者はたいてい誰でも一度はやってみようとするものである」という言葉だって、原書を読まない限りは本当に理解することはできないし。
ダンセイニの後期の作品は、たとえば「魔法の国の旅人」(感想)のホラ話のような軽快な作品が中心となったようで、ここに収められている沢山の短編の中にもそういった芽がいくつも見られるんですが、やっぱり私は初期の重厚な作品の方が好きですね。「ぺガーナの神々」ほどの神話とまではいかなくても、既存の神話にモチーフを取った話や、異世界との境界線をふっと越えてしまうような作品が好きです。(河出文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「世界の涯の物語」「夢見る人の物語」ロード・ダンセイニ
「時と神々の物語」「最後の夢の物語」ロード・ダンセイニ

+既読のロード・ダンセイニ作品の感想+
「ぺガーナの神々」ロード・ダンセイニ
「魔法使いの弟子」ロード・ダンセイニ
「魔法の国の旅人」ロード・ダンセイニ
「妖精族のむすめ」ロード・ダンセイニ
「エルフランドの王女」ロード・ダンセイニ
「影の谷物語」ロード・ダンセイニ
「ダンセイニ戯曲集」ロード・ダンセイニ
「牧神の祝福」ロード・ダンセイニ

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一ヶ月前に母親が再婚した相手は、子供が嫌いでいつも怒ってばかりのまさに「鬼」。しかもキャスパーとジョニーとグウィニーの3兄妹は、継父の連れ子のダグラスとマルコムともまるで気が合わなかったのです。そんなある日、「鬼」がなぜかジョニーとマルコムに驚くほど大きな化学実験セットを買ってくれます。マルコムの出していた悪臭に対抗しようと、キャスパーとジョニーが一番猛烈な臭いを出しそうな薬品を混ぜ合わせていた時、「鬼」に怒られそうになって慌てたグウィニーにその液体がかかってしまい... そしてグウィニーの体はすっかり軽くなって...。

これも原作は1976年刊だというごく初期の作品。でも家族内の強烈なゴタゴタが中心で、ダイアナ・ウィン・ジョーンズらしさはたっぷり。こういうのを読むたびに、ダイアナ・ウィン・ジョーンズって相当すごい家庭で育ったのかしら、って思ってしまうのですが。
化学実験セットから巻き起こる大騒動は、想像するだけでも楽しくなってしまうようなもの。虹化剤とか動物精、龍牙塩のように、薬品の名前からある程度効果が想像できるものもあるんですが、入っている薬の1つずつの詳細な説明が読んでみたくなってしまいます。そして本文中ではさらっと登場するだけで終わってしまうんですけど、そもそもこの化学実験セットを売っていた「魔術舎有限会社」というお店が、ものすごーく面白そう。本の表紙も、この魔術舎のお店の絵なんです。この辺りがもっとじっくり読みたかった!
子供たちからすればまさに「鬼」のような父親なんですが、大人視点から読むと、いきなり男の子4人に女の子1人という5人の父親になってしまった父親側にも十分同情の余地がありますね。きっと実際にもんのすごい騒ぎでしょうからねー。(実子2人はそれまで寄宿舎生活だったので、その本領発揮を知らなかったという設定) 結局悪人はいなかった、というのがどうも出来過ぎな印象もありますが、ほどよくどたばたでほどよくストレートで、ほどよく面白かったです。(創元ブックランド)


+既読のダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品の感想+
「魔法使いハウルと火の悪魔」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「アブダラの空飛ぶ絨毯」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「デイルマーク王国史」1~4 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「わたしが幽霊だった時」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法使いはだれだ」「クリストファーの魔法の旅」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔女と暮らせば」「トニーノの歌う魔法」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法がいっぱい」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
留守中に読んだ本(18冊)(「マライアおばさん」「七人の魔法使い」「時の町の伝説」の感想)
「呪われた首環の物語」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「花の魔法、白のドラゴン」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「いたずらロバート」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バウンダーズ」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「星空から来た犬」「魔空の森ヘックスウッド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バビロンまでは何マイル」上下 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」「海駆ける騎士の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「うちの一階には鬼がいる!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法!魔法!魔法!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ぼくとルークの一週間と一日」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「牢の中の貴婦人」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法の館にやとわれて」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「キャットと魔法の卵」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
Livreに「ダークホルムの闇の君」「グリフィンの年」「九年目の魔法」の感想があります)

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買ったばかりの椅子を壊したせいで、夏休みまでおこずかいナシとされてしまったジェスとフランク。どうしてもお金を稼がなければならない2人は「仕返し有限会社」を作ろうと考えます。最初の客となったのは、いつも手下を引き連れて暴れまわっている悪がきのバスター・ネル。ヴァーノン・ウィルキンズに歯を折られたことを根に持っており、ヴァーノンの歯を持ってきてくれたらフランクがバスターに借りている10ペンスをチャラにすると言うのですが... という「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」。
そしてもう1つはヴィクトリア女王の時代の物語。父親が小作農からすっかり金持ちになったせいで、村の子供たちとは縁を切って近くに住む名門コーシー家の子供たちとつきあうように言われて、すっかり不満のセシリアとアレックス。そんなある晩、霧の中から突然2人のいる台所に現れてたのは、1人の見知らぬ男。男は全身ずぶ濡れながらも、歴史の教科書から抜け出てきたような見事な中世の騎士姿。主君殺しの疑いをかけられて追放の身となった、元ゲルン伯爵、ロバート・ハウフォース卿と名乗るのですが... という「海駆ける騎士の伝説」。

日本で出版されたのは去年と最近なんですが、どちらもダイアナ・ウィン・ジョーンズの初期の作品。「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」は、児童書として初めて世に出た作品のようですし、「海駆ける騎士の伝説」はデビュー前に書かれたという作品。今のダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品の複雑さはあまり好きじゃないんですけど、比較的ストレートな初期の作品には結構好きなのがあったりするんですよね。
「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」は、構成こそ比較的あっさりながらも容赦ない悪意の話で、かなり最近の作風に近かったかな... まあ、こういうのもいいんですけど、私の好みとはちょっと違う感じ。でも「海駆ける騎士の伝説」は、好みのツボど真ん中でした! なんといっても、異世界の雰囲気が中世騎士伝説の世界だし(笑)、ロバートという騎士が最初に現れた時の挿絵が! まるで「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンなんですよぅ。(私の中では、本と映画でちょっぴりイメージが別物のアラゴルンなんですが、この場合は映画の方のイメージです) 干満の差がとても大きくて、干潮時には危険な流砂が現れるという湾は、異世界への入り口としてすごく相応しく感じられたし、河口近くにあるという城の廃墟が残っている岩だらけの島も物語の始まりに相応しい場所。まあ、言ってしまえば、ダイアナ・ウィン・ジョーンズが書く必要もない歴史ロマンスのような雰囲気なんですけど... でもすごく好き。この世界の話がもっともっと読みたいな。この作品、元々はこの場所を舞台にした6部作のうちの1つで、他の5作は「長ったらしくて、とりとめがなかったので」処分されてしまい、この「海駆ける騎士の伝説」だけが残ったようなんですね。やっぱりこれは、あとの5作の存在があるからこその世界観の深み。でも他の作品も読んでみたかった~。(早川書房・東京創元社)


+既読のダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品の感想+
「魔法使いハウルと火の悪魔」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「アブダラの空飛ぶ絨毯」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「デイルマーク王国史」1~4 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「わたしが幽霊だった時」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法使いはだれだ」「クリストファーの魔法の旅」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔女と暮らせば」「トニーノの歌う魔法」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法がいっぱい」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
留守中に読んだ本(18冊)(「マライアおばさん」「七人の魔法使い」「時の町の伝説」の感想)
「呪われた首環の物語」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「花の魔法、白のドラゴン」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「いたずらロバート」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バウンダーズ」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「星空から来た犬」「魔空の森ヘックスウッド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バビロンまでは何マイル」上下 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」「海駆ける騎士の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「うちの一階には鬼がいる!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法!魔法!魔法!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ぼくとルークの一週間と一日」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「牢の中の貴婦人」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法の館にやとわれて」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「キャットと魔法の卵」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
Livreに「ダークホルムの闇の君」「グリフィンの年」「九年目の魔法」の感想があります)

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キャンディは、ミネソタ州のチキンタウンで生まれ育った少女。チキンタウンの歴史について調べた宿題が原因でひどく怒られたキャンディは、この2日ほど心の中でうねっていた海の波に呼ばれるように、そのまま学校を飛び出してしまいます。そして辿り着いたのは、朽ち果てて骨組みを遺すばかりの塔がそそり立っている場所。そして出会ったのは、ジョン・ミスチーフとその7人の兄弟。ミスチーフたちは何者かに追われており、ミスチーフに頼まれたキャンディは、言われるがままに灯台だというその塔に登り、火を入れることに。そして火がついた時、どことも知れない虚空の果てから、怒涛の海が打ち寄せてきたのです。

アバラット4部作の1作目だそうです。1冊ずつで完結してるのかと勝手に思い込んでたんですけど、思いっきり続き物だったんですね...。完結してから読めば良かったな。
突如現れた海の向こうには、「正午の島」から「25時の島」までの25の島々が浮かぶ世界があって、それぞれの島には人間だけでなく様々な異形の存在も... というアバラットの世界を舞台にした冒険ファンタジー。この辺りの設定は巻末の「『クレップ年鑑』抜粋」に書かれていて、この年鑑抜粋がかなり好みでした。でも、話は重厚だし、キャンディが実際に異世界に行く方法も面白かったし、アバラット側の登場人物もそれぞれに強烈(1人ずつの人物の過去のエピソードだけでも1冊書けそうなぐらい!)なんですが... うーん、実際に読んでる間はイマイチ入りきれなかったかな。「『クレップ年鑑』抜粋」を先に読んでいれば、また違ったのかもしれないんだけど... なんだか文字を目で追うだけの読書になってしまいました。私が読んだ文庫には挿絵がないんですけど、ハードカバーには著者自身による挿絵がたっぷり使われているそうなんですよね。そちらを読んだ方が異世界や異形の存在を理解しやすかったかも。
それとは関係ないんですが、元々児童書として出てる本にしては翻訳の文章が大人向けな感じでちょっとびっくりでした。いや、全体的には読みやすかったんですけど、時々あれ?と思うような単語や言葉遣いがふいっと出てきて、そのたびにびっくりするんですよね。まあ、それもまた雰囲気作りに一役買ってる気がしますが。(ヴィレッジブックス)

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コララインとその両親が引っ越してきたのは、古い大きな家の2階の部屋。1階には元女優の老女が2人、3階には変わり者のおじいさんが住んでいて、2階の半分をコララインの一家が使うのです。あとの半分は今は空き家で、境目のドアをあけた所にはレンガの壁があって行き止まりとなっています。しかしある日、母親が買い物に出かけている時にコララインがドアを開けてみると、確かにあったはずのレンガの壁がなく... コララインが向こう側に足を踏み入れてみると、そこはコララインの家とそっくりな部屋が。そして母親そっくりの女性が。しかしその女性は、本物の母親よりも背が高くて痩せていて、気味が悪いほど色が白く、目が大きな黒いボタンでできていました。

ニール・ゲイマン2冊目なんですが... うーん、微妙... 悪くはなかったんだけど、面白かったかと聞かれると困っちゃう。
せっかく個性的な名前のコララインなのに、近所の人たちには「キャロライン」と呼ばれてばかりだし、蛍光グリーンの手袋が欲しかったのに、お母さんが買おうとするのはみんなが持ってるようなグレーのブラウス。両親は家で仕事をしてるので、いつも身近にはいるんだけど、遊び相手も全然いなくて毎日が退屈。お父さんが作る食事も美味しくないんです。でも「もうひとつの世界」では、現実世界での不満が全部解消されてるんですね。名前を間違える人もいないし、部屋も服も前から欲しかったような雰囲気。だから一見、こっちの世界の方がコララインが本当に属すべき場所みたいに見えてしまうんですけど。
淡々と静かに進むので、言ってしまえば盛り上がりに欠けてるような... でも、それが必ずしも悪いというわけではなくて、これを映画にしたら結構怖くなるんじゃないかなあという雰囲気なんです。実際「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」や「ジャイアント・ピーチ」のヘンリー・セリック監督でアニメ映画が製作中なのだそう。(来年公開ですって) どんな映画になったかちょっと見てみたいかもー。(角川書店)


+既読のニール・ゲイマン作品の感想+
「スターダスト」ニール・ゲイマン
「コララインとボタンの魔女」ニール・ゲイマン

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紀元前6世紀、ナボニドス王時代のバビロン。香油屋の養女のティアマットは、ユダヤ人の友達・シミオンを連れて王宮へと向かっていました。シミオンはアンダリ師の率いるトゥエンンティ・スクエア・チームのメンバー。ティアマットはどうしてもチームに入りたくて、シミオンに助けてくれるよう説得するために、その理由を見せに行くことにしたのです。王宮の王妃の庭は、香油の材料となる香草を集めにティアマットがよく来る場所。ティアマットは何年も前にここで古い印章を見つけており、最近、夜の城壁でその印章にも描かれている聖なる竜、シルシュの姿を見かけていました。シルシュたちは夜になると城壁に放され、しかし飢死しかけていたのです。ティアマットが王宮に来たのは、シルシュたちに持参した残飯をあげるため。しかしティアマットがざくろをシルシュに差し出した時、2人は王の軍隊に見つかって捕まってしまうことに。

古代バビロンを舞台にした冒険物語。これは世界七不思議ファンタジーということで、古代の七不思議を1つずつ取り上げたシリーズなんだそうです。(話の繋がりはないみたいですが) ここで取り上げられてる七不思議は、バビロンの空中庭園。でも空中庭園にはものすごーくそそられるんですけど、結局最後まで話に入れなかったかも...。
まず残念だったのは、まずトゥエンティ・スクエアというゲームのことが良く分からなかったことですね。巻頭に古代都市バビロンの全景図や、地図、用語解説がついていて、そこにゲームの説明もあるんです。それによると、トゥエンティ・スクエアとは実際に古代バビロンで行われ、人気があったというボードゲームとのこと。でもでも、バックギャモンにルールが似てるなんて説明されても! バックギャモン自体知らないわけですし。このゲームが物語の中でかなり重要な役回りをしているので、やっぱりもうちょっと説明が欲しかったな。
それと引っかかってしまったのは、そもそもなんでティアがシルシュを助けたいと思ったのかという部分。どうやらティアマットは動物好きで、日頃近所のマスチフ犬を可愛がってるらしいんですけど、実際に犬が登場する場面では気分が乗らなくて無視しちゃってるし... これじゃあ、全然繋がりのないシルシュを助けるために危険を冒して王宮に忍び込む理由にまではならないんじゃ? しかもシルシュには毒があるという噂なのに。猪突猛進で、一度思い込んだらまっしぐらなティアなので、シルシュと心を通わせてしまった後の行動は理解できるんですけどね。
それでも古代世界の七不思議をそれぞれテーマに取り上げて、7作品を書くというのは面白いですね。ちなみに七不思議とは、エジプトのピラミッド、バビロンの空中庭園、オリンピュアのゼウス像、ハリカルナッソスのマウソロス霊廟、エフェソスのアルテミス神殿、アレクサンドリアの灯台、そしてロードス島の巨像。今の時点では、七不思議2作目の「セヌとレッドのピラミッド」が刊行されているようです。(集英社)


+既読のキャサリン・ロバーツ作品の感想+
「ライアルと5つの魔法の歌」キャサリン・ロバーツ
「バビロン・ゲーム」キャサリン・ロバーツ

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ナチスによって著書が焚書の対象となり、執筆・出版を禁止されたエーリヒ・ケストナーが、その執筆禁止を逆手にとって、既存の物語の再話なら執筆には当たらないだろうと、「ほらふき男爵」をはじめとする広く知られたお話を子供のために再話したもの。ドイツ国内では出版できなかったため、スイスで出版され、スイス経由でドイツの書店に登場したのだそうです。ここに収録されているのは、「ほらふき男爵」「ドン・キホーテ」「シルダの町の人びと」「オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ガリバー旅行記」「長靴をはいた猫」の6編。

ここに収められた6編のうち、私が元々の作品を読んでいるのは「ほらふき男爵」「ガリバー旅行記」「長靴をはいた猫」の3編だけなんですが(「ドン・キホーテ」は、児童用の簡易版なら読んでるんですけど、大元のは未読)、どれも元々の話のそのままの筋なのに、ケストナーらしさがよく効いていて、お話の面白さが元のお話以上に際立っているような気がしました。テンポもいいし、ケストナー独特の語り口が楽しい~。特に「ガリバー旅行記」と「ドン・キホーテ」は元々大人向けとして書かれた本ですしね。子供が読むには、このケストナー版の方が絶対面白いでしょうね。(「ガリバー旅行記」の大人版を読んだ時は、この作者絶対病気だわ、と思った覚えが...)
ゲシュタポに2度も逮捕されながらも、周囲の作家が一斉に亡命していく中、ドイツ国内に留まって自国の崩壊を見つめてきたケストナー。でも、常に社会風刺には富んでるんですが、悲惨さや哀しさは作品に現れることがなくて、作品はあくまでも伸びやか。窮屈なところが全然ないのがすごいです。で、そこにケストナーの作品でお馴染みのレムケの挿絵がぴったり。そしてレムケの死後は、後輩のトリヤーが後を引き継いでいます。(ちくま文庫)


右手の人差し指の爪がバキッと割れてしまって、キーボードを打つのがツラい...
いえ、かなりマシになったんですけどね。イタタ。


+既読のエーリヒ・ケストナー作品の感想+
「点子ちゃんとアントン」エーリヒ・ケストナー
「ケストナーの『ほらふき男爵』」E・ケストナー
Livreに「雪の中の三人男・ガス屋クニッテル」「消え失せた密画」「一杯の珈琲から」の感想があります)

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