Catégories:“ファンタジー(翻訳)”

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クーフリンもフィン・マックールもケルト神話の中に登場する人物。クーフリンの方が時代が古いです。アルスター伝説の時代。そしてフィン・マックールはその3世紀ほど後のフィアナ伝説の時代。サトクリフ自身によるまえがきにもあるように、クーフリンは叙事詩、英雄物語と呼ぶのに相応しいような荒々しい物語で、フィン・マックールは叙事詩というより民話や妖精物語といった感じかもしれません。多分、フィン・マックールの息子・アシーンが、妖精の女王・ニーヴと共に常若国ティル・ナ・ノーグに去ってしまうエピソードが入ってるのも大きいと思うんですけどね。これは浦島伝説のように、何年か経って戻って来てみたら何百年も経っていたというものです。
先日読んだO.R.メリングの「ドルイドの歌」にクーフリンの牛捕りのエピソードが描かれていたので久々にこの辺りを読みたくなって、まだ読んだことのなかったこの本を借りてきました。

ローズマリー・サトクリフの作品は、以前「ケルトの白馬」を読んだだけで(感想)、しかもそれはサトクリフのオリジナルな物語だったので、純粋な歴史物(?)を読むのは初めて。なのでこの2作しか知らないんですが、もしかしたらサトクリフの歴史物って、オリジナルには忠実だけど、その分遊び心はあまりないのかもしれないなあ、なんて思いました。読む前からそんな予感はしてたんですけどね。クーフリンに関して言えば、O.R.メリングの描き出したクーフリンの方が意外な少年らしさがあって好きだったし、フィン・マックールに関して言えば、「オシァン ケルト民族の古歌」があんまり良かったものだから(感想)、なんだかこちらがとっても散文的に思えて仕方なく... いえ、本当に散文だから仕方ないんですけど...(笑) 読みやすいのはこちらの方が上だと思うんですが、美しさとか雄々しさとか、気高さなんかがちょっと足りないような気が...。とはいえ、決してけなしているわけではなく。応用編を読む前に読むべき作品というか、この辺りの世界には、まず最初にサトクリフから入ったら楽しかったんだろうな、って感じです。きっとサトクリフは、オリジナルの空気を掴むのが上手いんでしょうね。ケルトの魅力の1つは斜陽の美。どちらも散り際が鮮やかでした。(ほるぷ出版)


+既読のローズマリー・サトクリフ作品の感想+
「ケルトの白馬」ローズマリー・サトクリフ
「炎の戦士クーフリン」「黄金の騎士フィン・マックール」ローズマリー・サトクリフ

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双子の妹・オナーがアイルランドで亡くなって1年、ローレルは再びカナダから祖父母のいるアイルランドへと来ていました。神話や伝説が好きで、妖精を信じていたオナーは、日記にローレルが知らなかった様々なことを書き残しており、どうやら何かの使命を果たす人間に選ばれていたようなのです... という「夏の王」。そして、アイルランドからカナダへと引っ越すことを決めた父親に憤慨していた少女ダーナの前に現れたのは、妖精の女王。上王(ハイキング)の使者が国境ではね返されて困っており、ダーナにその使者の役目を務めて欲しいというのです。それをすれば心の奥底にある望みを叶えてくれると言われ、ダーナは3歳の頃に突然消えたという母親のことを考えます... という「光をはこぶ娘」の2冊。

先日読んだO.R.メリングの3冊のケルトファンタジーシリーズの続きです。シリーズとは言っても話がきちんと繋がってるわけじゃないんですが、登場人物にも共通点がなかった前3冊とは違って、「妖精王の月」に出てきた人たちがちらほらと顔を見せるようになってきました。こちらも面白かったんだけど、どこか次の作品への繋ぎっぽい感じもちょっぴりあるかなあ。でも、今までは全部アイルランドが舞台で、カナダとかアメリカとかがちらっと出てくる程度だったんですけど、訳者あとがきによれば次はカナダが舞台らしいんです。そろそろ登場人物が出揃った? 次こそ色んな出会いがあるのかも~。楽しみです。
でもこのシリーズって全部で何冊になるんでしょう。Amazon.comを見る限り、次のは多分「The Book of Dreams」だと思うんですけど... 「光をはこぶ娘」の原書は2001年発行で、日本語訳が出たのは2002年。「The Book of Dreams」は2003年発行なのに、日本語訳が未だに出てないということは、何か問題でもあったのでしょうか。シリーズが終わるまで相当待たされるかもしれないですねえ。まあ、話は1冊ずつで独立してるので、次が気になって身悶えるということはないんですが。(笑)(講談社)


+シリーズ既刊の感想+
「妖精王の月」「歌う石」「ドルイドの歌」O.R.メリング
「夏の王」「光をはこぶ娘」O.R.メリング
「夢の書」上下 O.R.メリング

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カナダからアイルランドに住むいとこのフィンダファーに会いに来て、一緒にアイルランド旅行に出るグウェン。しかし人質の墳墓で野営した夜、フィンダファーが妖精王に花嫁として連れ去られてしまい... という「妖精王の月」、アメリカに住む孤児のケイが、誕生日に何者からか送られてきた18冊の古い本をきっかけに、アイルランドに自分探しの旅に出る「歌う石」、カナダから親戚の農場にやって来たローズマリーとジミーは、住み込みで働いている男の行動に興味をひかれて、夜中にその男をつけるのですが... という「ドルイドの歌」の3冊。

O.R.メリングのケルトファンタジーシリーズ。O.R.メリングは5歳の時にカナダに移住したものの、アイルランド生まれで、今またアイルランドに住んでケルト色の濃い物語を書いているという作家さん。ずっと読んでみたいなと思ってたんですが、ようやく読めました!
「妖精王の月」だけ現代のアイルランドが舞台なんですが、登場する妖精の造形がとてもアイルランドらしいし、「歌う石」はトゥアハ・デ・ダナーン一族の支配するイニスフェイルの島が舞台でエリウが登場、「ドルイドの歌」はアルスター神話の時代が舞台で、クーフーリンやコノハトの女王・メーヴが登場します。噂にたがわず、どれもケルト色の濃い作品で、すごく楽しかった。主人公の女の子が素敵な男の子に出会うと必ず恋愛になってしまうのはご愛嬌なんですが(私はミディールが断然好きだ!笑)、ケルト神話をまた読み返したくなってしまうなあ。今のところ5冊出ているようだったので、とりあえず3冊借りてきたんですけど、話としては1冊ずつ独立してるんですね。でもちょこちょこと繋がりもあるので、これは最後には大きな物語となりそうな予感。残りの2冊も早速借りてくるつもり。

ところで、「妖精王の月」の2人の女の子の名前は、フィンダファーとグウェニヴァーなんですけど、フィンダファーはアイルランド系、グウェニヴァーはウェールズ系で、元は同じ名前なんだそうです。アーサー王妃のグウィネヴィアも、やっぱり元は同じ名前なのでしょうかー。「グウェニヴァー」と「グウィネヴィア」そっくりですよね。これで全然違ってたりなんかしたら、サギだわー。(講談社)
5/19追記 名前のことはその後マオさんに教えて頂きました。ありがとうございます♪


+シリーズ既刊の感想+
「妖精王の月」「歌う石」「ドルイドの歌」O.R.メリング
「夏の王」「光をはこぶ娘」O.R.メリング
「夢の書」上下 O.R.メリング

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コーンウォールの港町に、夏休みの4週間滞在することになったドルウ一家。着いた翌日は1日中雨で、サイモンとジェインとバーニイの3人のきょうだいは、早速家の中の探検を始めます。3人が見つけたのは、寝室の洋服だんすの裏に隠れていた扉と埃だらけの屋根裏部屋。そして茶色がかった分厚い羊皮紙。それは600年ほど昔に書かれた、アーサー王伝説にまつわる古文書だったのです。

アーサー王伝説がモチーフとなっている「闇の戦い」シリーズの前日譚的作品とのことで、手にとった作品。コーンウォールを舞台に、アーサー王の聖杯に「にせた形に作られた」カップや古文書を巡って、3人のきょうだいが闇と戦う物語。でも、3人の謎解きや、秘密を探り出そうとする闇の手先たちとの競争は緊迫感たっぷりだし、その手先たちはとても不気味なんですけど、闇の暗さが今ひとつ伝わって来ないんですよね。闇の側が聖杯を手にしたらどうなってしまうのかというのも、かなり概念的というか抽象的で分かりにくいし。
3人を助けてくれるメリイおじさんの正体はあっさりと見当がつくんですが、この作品ではまだ明かされてません。最後に見つかった古文書の内容も分からず仕舞い。「闇の戦い」を読めば、闇の手先たちのことも合わせてもっと分かるのかな? この作品は訳にちょっと違和感があったこともあって今ひとつだったんですけど、「闇の戦い」は浅羽莢子さんの訳だし! そちらも近々読んでみようと思います。(学習研究社)


+既読のスーザン・クーパー作品の感想+
「妖精の騎士タム・リン」スーザン・クーパー再話
「コーンウォールの聖杯」スーザン・クーパー

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シカゴの辣腕弁護士ベン・ホリデイは、2年前に妻とそのおなかの中にいた子供を亡くして以来、自分の殻に閉じこもりがち。弁護士会を何度もすっぽかし、最後に残った友達は同僚のマイルズ・ベネットただ1人。そんなある日、亡き妻宛てに有名デパートのクリスマスカタログが届きます。何とはなしに見ていたベンの目に飛びこんできたのは、「魔法の王国売ります」の文字。値段は100万ドル。一流デパートが出す広告とも思えないまま、ベンはその魔法の王国が気になって仕方なくなるのですが...。

ランドオーヴァーシリーズ3冊です。最初の1冊は以前にも読んだんですけど、細かい部分を忘れているので再読。(感想
いやー、やっぱり設定が面白いです。主人公が弁護士というのがいいんですよねえ。弁護士だから頭もいいし、文字通り弁も立つわけで。しかも趣味はボクシング。ちょっとは戦えるわけです。(笑)
ランドオーヴァーには魔女もいればドラゴンもいて、ノームやコボルト、シルフ、妖魔なんかもいて、思いっきりファンタジーの世界。でも主人公が大人でしかも弁護士というだけあって、物事の進め方がかなり現実的。この点、子供が主人公のファンタジーとは一味違います。そして1巻で完全にランドオーヴァーに引っ越してしまったかと思いきや、2巻3巻でもまだアメリカの場面が結構登場してました。そういうのがウリの1つなんでしょう。私としては、アメリカの場面が入るのもいいけど、基本はランドオーヴァーでお願いしますって感じなんですが。
このシリーズ、今のところ5冊出てます。5冊で完結してるのかしら? やっぱり1冊目が一番面白かったな、なんてことにもなりそうなんですけど、近いうちに読んでみようと思います。(ハヤカワ文庫FT)


+シリーズ既刊の感想+
「魔法の王国売ります!」テリー・ブルックス
「魔法の王国売ります!」「黒いユニコーン」「魔術師の大失敗」テリー・ブルックス
「大魔王の逆襲」「見習い魔女にご用心」テリー・ブルックス

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いつの間にか悪夢をもたらす才能を失ってしまった夢馬のインブリは、闇の馬将軍によって、夜の悪夢の運び手から白昼夢を運ぶ任務に変えられてしまうことに。インブリは、闇の馬将軍がトレント王に宛てた「馬の乗り手(ホースマン)にご注意あれ」というメッセージを持って、生まれて初めて昼のザンスに行くのですが... という「夢馬の使命」。
トレント王が王座を退き、ドオアがザンスの王位について5年。秘密の会議をするためにゾンビーの頭の城を訪れるドオアとイレーヌ、そして3歳の娘のアイビィなのですが、城に近づいた時、イレーヌは夢馬のインブリとドラゴンとアイビィの恐ろしい幻影を見ることに... という「王女とドラゴン」。

魔法の国ザンスシリーズの6巻と7巻です。ここまでくると、もうすっかり初期のザンスシリーズからは変わってしまってますねー。登場人物たちも、すっかり世代交代の時期に来てるようです。やっぱり最初の3冊の頃の雰囲気が良かったなあ、と思ってしまいます。それでも「夢馬の使命」の方は面白かったんですけど、「王女とドラゴン」の方は... そろそろ続きを読むのがしんどくなってきました。
この「夢馬の使命」、原題が「Night Mare」なんです。そのまんま訳せば、「夜の雌馬」という意味。明らかに「Nightmare(悪夢)」とかけてるんですよね。ザンスらしいだじゃれ。で、この言葉の「Night Mare」の日本語訳が「夢馬」。そうなると「夢魔」にも通じるわけです。いつものことながら、山田順子さんの翻訳センスは見事だなあ、と本題とは関係ないところで感心してみたり。(ハヤカワ文庫FT)


+シリーズ既刊の感想+
「カメレオンの呪文 魔法の国ザンス1」ピアズ・アンソニイ
「カメレオンの呪文」「魔王の聖域」「ルーグナ城の秘密」ピアズ・アンソニイ
「魔法の通廊」「人喰い鬼の探索」ピアズ・アンソニイ
「夢馬の使命」「王女とドラゴン」ピアズ・アンソニイ

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12世紀末のイギリス。ウェールズ近くのコルディコットの荘園領主の息子・アーサーは13歳。神父に習う読み書きの勉強は楽しいものの、目下の夢は騎士に仕える従者としての修業をすること。しかし16歳の兄は12歳の時に修業に出してもらったのに、アーサーが修業に出してもらえる見込みはまるでないようなのです。そんなある日、アーサーは父親の友人のマーリンに黒曜石の石を渡されます。絶対に秘密だと言われたその石を自分の部屋で見ていたアーサーは、石の表面に突然見知らぬ情景が映し出されて驚きます。

これは、ソニーマガジンズから全3巻の単行本で刊行されている「ふたりのアーサー」と同じ作品。角川文庫から再版されるに当たって題名が変わったようですね。でも1巻が2004年、2巻が2005年に出たのに、3巻目がなかなか出ないんです。本当は出揃ってから読もうと思ってたんだけど、積んでるのも気になるし、待ちきれなくて先に読んでしまいましたー。
獅子心王リチャードからジョン王へと移り変わろうとしているイギリスが舞台で、13歳の少年アーサーの視点から日記のように描かれていきます。最初のうちは荘園の生活が事細かに描き出されてるだけで、それはそれでとても興味深いんですが、アーサーがマーリンに石をもらってから、話が一気に動き始めるんですね。石が見せるアーサー王伝説の場面は、現実のアーサー少年の出来事とどこかしらリンクしてて、アーサー王の出生の秘密が明かされるとアーサー少年のことも明らかになったりします。...でも、そこにどういう意図があるのかはまだ不明。私はてっきりアーサー少年がアーサー王の生まれ変わりで、アーサー王がブリテンの危機に復活するという話なのかと思ったんですけど、どうやら違うようで... マーリンについてもよく分からないままだし。
それにしても、この話に登場する人たちって、ほんと全然アーサー王の話を知らないんですね。アーサー少年のおばあさんが、アーサー王のこととは知らずに眠れる王様の話をしたりするんですけど、誰もアーサー王という存在自体知らないようです。なんだか不思議になってしまうほど。字の読めない人たちはともかく、神父ですら「ティンタジェル」が何なのか全然知らないんですもん。この当時は本当にそうだったのでしょうか。
でも3巻まで全部読まないと、感想が書きにくいな。3巻は一体いつ出るんでしょう?(角川文庫)

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Note


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